火災保険に加入するときは、必ず対象にする建物の構造級別を書類に記入する必要があります。
これは建物の構造(材質等)から建物の耐火性を図る物ですが、実は認定や築年数の有無などで色々変わってきたり、2010年にルールが大きく変わったことから、ちょっと複雑になっています。
この記事ではその複雑な構造級別の詳細をわかりやすく説明し、構造級別に関する要注意ポイントも解説します。
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火災保険の構造級別とは
簡単にいうと、建物の種類の分類です。
火災保険では建物の所在地や広さといった建物の価値から保険料を算出し、保険金に関しても再調達価額(修理や再築に必要な金額)を判断する際に建物の価値を元に考えます。
この建物の価値が、頑丈でお高めなコンクリート造の建物と、燃えやすくて比較的リーズナブルな木造の建物で同じだったら、ちょっと不公平ですよね。
そこで、建物の価値に構造の情報も追加して、火災などのリスクや必要な再調達価額の計算に反映させようということで、構造級別というものが存在します。
構造級別の分類と分類方法
構造級別は、現在では柱など建物を支える部材の種類や、集合住宅か否かという点で分けられています。
| 構造級別 | 該当する建物 |
|---|---|
| M構造 |
など(別名:マンション構造) |
| T構造 |
など(別名:耐火構造) |
| H構造 |
など(別名:非耐火構造) |
※最近は木造のマンションと言うのもありますが、準耐火建築物などの認定があればM構造やT構造に分類されます。
柱だけではなく建物全体の材質や建築方法によって分類されるので、構造の級別と言われています。
木造等H構造に分類される建物であっても、下記の耐火性能の認定を受けている場合は、一つ上のT構造にできる可能性があります。
建築基準法が定める耐火性能の認定とは
「耐火建築物」「準耐火建築物」「省令準耐火建築物」など、材質や建築方法など、それぞれに定められた条件や基準をクリアして建てられた建物に、耐火性能が高いと認定するという仕組みです。
建築確認申請書(第四面)という書類に明記されており、他にもハウスメーカー等から購入した場合はパンフレットに書かれている場合もあります。
参考:建物の基本情報を確認できる書類|建物の構造と耐火性能|お家ドクター火災保険Web
構造級別で気を付けなければいけない要注意ポイント
構造級別は、火災保険に加入する際に建築確認申請書などの書類を調べて、契約書に記入すればそれで終わり、後はもう何も気にしなくていいと思ってしまいがちです。
しかし、火災保険に加入した後でも注意を払わなければならないポイントがあります。
制度変更があった
損害保険料率算出機構が参考純率の区分を改定したことを受け、平成22年(2010年)1月1日以降に開始する契約に関して、各損害保険会社で構造級別に関する仕組みを変更しました。
後述する長期一括契約をしていた場合、契約当時の制度や内容が現在も続行されている可能性がありますので、具体的に何がどう変わったのかも知っておく必要があります。
| 建物の構造 | H22以前 | H22以降 |
|---|---|---|
| コンクリート造の建物 | A構造(1級) | マンション→M構造、一戸建て→T構造 |
| 鉄骨造 | B構造(2級) | マンション→M構造、一戸建て→T構造 |
| 木造建築物・モルタル | C構造(3級) | H構造 |
| 木造で壁が木版張り (燃えやすい構造) |
D構造(4級) | H構造 |
平成22年1月以前は、柱や建物を支える部材だけではなく、壁なども構造級別の判断材料になっていました。
また、一つの建物に対して複数の構造が当てはまる場合は、一番耐火性が低い等級を当てはめるというマイナールールがあるため、一部でも木板張りの個所があればC構造ではなくD構造になるなど、構造級別の判断が複雑でした。
現在もそのマイナールールは残っていますが、平成22年以前はより等級が多く判断基準が複雑だったことで、実際に適用すべき構造級別とは別の構造級別で契約してしまい、火災などの事故が起きた際にそれが判明してトラブルになるということもあったそうです。
そういったトラブルを防ぐために、現在の柱等を基準にしたM/T/H構造に変更されました。
しかし先述した通り、長期一括契約をした場合、現在も複雑で古い4区分の構造級別になっている可能性があります。
その問題点については、次の項目で解説します。
長期一括契約だと古い構造級別のままになっている
構造級別が変更された平成22年(2010年)当時は、長期一括契約の最長契約年数は36年が一般的でした。
その後2015年に長くても10年にしようという動きがあり、2022年以降も多くの損保会社が最長5年に短縮している流れがあります。
構造級別や長期契約年数の他にも、火災保険はその時々の災害リスクに対応するためにこまめな変更がされます。
しかし保険商品の内容が変わったとしても、契約者に提供されるのは契約した当時の制度、仕組み、保険内容です。
もし1990年以降に最長期間で長期一括契約をしていた場合は、2025年現在も古い構造級別が適用されて、それに合わせた保険料になっている可能性があります。
見直し(契約内容の変更や再契約)をしたら保険料が安くなる可能性もあるので、まずは保険代理店に相談してみましょう。

火災保険と地震保険では構造級別が違う
地震保険は火災保険とセットで契約することが必須で、保険をかけるものも火災保険と同じ建物・家財である必要があります。
※火災保険で建物と家財を保険の対象にしている場合、建物のみ、家財のみに地震保険をかけるということは出来ます。
その際に、もし木造の建物だけど「耐火建築物」などの認定を受けてH構造からT構造になった、という場合は、注意が必要です。
耐火建築物などの認定は、あくまでも耐火性能が高いという認定なので、建物の耐震性を証明する物ではありません。
そのため火災保険ではT構造でも、地震保険ではH構造に値する別の構造級別が適用されます。
基本的に地震保険に加入する際は保険会社が登録内容をチェックするので大丈夫だとは思いますが、万が一火災保険の構造級別を元に考えて間違った構造級別を登録してしまうと、実際に損害が起きた時にトラブルが起きる可能性があります。
差額を納めてくれ、なんて言われる可能性もゼロではありませんので、今一度保険証券を確認してみましょう。
ちなみに、地震保険と火災保険の構造級別はまた別の名称の分類になっています。
地震保険の構造級別
地震保険の構造級別は、次のようになっています。
| 構造級別 | 該当する建物 | 火災保険でいうと |
|---|---|---|
| イ構造 |
|
M構造、一部のT構造 |
| ロ構造 | 木造の住宅 | 一部のT構造、H構造 |
※イとロがあるなら「ハ」もあるのでは?と思うかもしれませんが、ハ構造というものはありませんので、あしからず。
こちらは木造か否かというシンプルな基準になっていますが、耐震等級1~3のいずれかの認定を受けた場合、2または3だった場合は、木造でもイ構造に分類されます。
ただし証明書の提出が必要なので、保険会社が求めるフォーマットに適した書類を提出しましょう。
また、耐震等級を持っている場合は地震保険料が最大50%引きされる割引制度もありますので、必見です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
火災保険の構造級別についての皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
まとめ
火災保険、そして地震保険における建物の構造級別については以上です。
内容をできる限りわかりやすく、かつ的確なものにしようと2010年に内容が変わりましたが、それでもまだまだ複雑です。
万が一実際の建物とは違う構造級別で保険を契約しないように、手続きの際は注意しましょう。
すでに加入済みの方は
- 保険始期が平成22年(2010年)1月1日以降か
- 以前だった場合は新しい構造級別で等級が上がる=保険料が安くなる可能性があるか
などをチェックしましょう!






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