賠償責任保険と聞いて、なんとなく思い浮かべるのは子供が事故を起こした時の賠償や、自転車で人に怪我をさせてしまったときの賠償。多くの方がそんなイメージを持っていると思います。
しかしこの保険はいくつか種類があり、状況や責任の所在によって使える保険が違うんです。
この記事では、賠償責任保険、そして賠償責任補償特約について解説します。
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他人に与えた損害(賠償責任)を補償する保険
火災保険や自動車保険もふくめ、保険というものは、
(2)他人への行為に伴う賠償リスクを守る保険(自動車・対人対物賠償など)
に分かれます。
賠償責任保険は(2)に該当するもので、それがさらに 日常生活賠償と 事業系賠償に分かれます。
| 日常生活賠償 | 個人が入れる保険で、日常生活において加入者(個人)が賠償責任を負った場合に機能する。 |
|---|---|
| 事業系賠償 | 事業の経営者が入れる保険で、仕事中に起きた事故の賠償責任は事故を起こした従業員の雇用主に責任があると判断される可能性があるため、そういった賠償事故をカバーする。 |
ここからはこの二つの保険をそれぞれ深堀していきます。
日常生活賠償保険(=個人賠償責任保険)とは
その名の通り、日常生活において賠償責任を負った場合の保険です。
個人賠償責任保険という名前になっている場合もあります。
この保険の特徴は次の通りです。
| 主な特徴 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 契約者本人・同居の親族・別居の未婚子まで自動セット |
| 典型的な事故例 | 自転車事故、子どものボール遊びで窓ガラス破損、ペットの咬傷、ベランダから落下した植木鉢で通行人負傷 など |
| 補償限度額 | 2025年現在は 1~5億円、または無制限が主流 |
| 付帯サービス | 示談交渉代行、弁護士費用・訴訟費用が付帯する保険もある |
| 加入方法 | 単独商品もあるが、自動車保険・火災保険・自転車保険・賃貸入居者用保険の特約として付帯するパターンが主流 |
※代表的な内容なので、保険商品によっては上記の内容とは異なる場合があります。
正確な情報は、各保険会社の案内を確認して下さい。
なぜ別の保険に特約として付帯させるパターンが主流になっているかと言うと、保険会社側の事情があります。
事故件数は多くないが一件あたりの賠償額が高額になりやすいため、保険会社が支払う保険金を用意するためには、加入者一人当たりの保険料が多くなってしまいます。事故件数は少ないのに…。
そのため、単独販売より加入者母数の大きい主契約に特約で抱き合わせる方式が定着したという流れです。
事業系賠償保険とは
こちらは仕事が関わっている状況で賠償責任を負った場合の保険です。
もっと詳しく書くと、従業員が起こした事故は、それが仕事中だったら会社の責任になってしまう可能性が高いため、そういった事故の賠償を補償してくれます。
といっても、この保険もいろんな種類があるのです。
| 区分 | 主な補償対象 | 典型的な事故例 |
|---|---|---|
| 施設賠償責任保険 | 建物・設備の欠陥や管理不備が原因 | 看板落下、床の水漏れで来客が転倒 |
| 業務遂行賠償責任特約 | 作業・サービス提供中のミス | 工事中に工具を落として通行人を負傷させた |
| 生産物賠償(PL) | 納品後の商品欠陥 | 製造した食料品で食中毒 |
| 請負業者賠償 | 工事現場の第三者事故 | 足場材落下で隣家を破損 |
| 専門職賠償(E&O) | 専門家の業務過誤 | 税理士の申告ミスでクライアントに損害 |
| 管理物賠償 | 受託・保管物の損壊 | クリーニング店が預かり品を縮ませた |
事業といっても世の中にはいろんな会社がありますし、店舗なども含まれます。
事業内容ごとに起こりうる事故の内容も変わってくるので、どんな業種の会社でもきちんと必要な補償を受けられるように、保険や特約も色々用意されています。
事業用の保険は売上高・従業員数・床面積・業種ごとの料率を掛け合わせて決定するため、小規模オフィスなら年間数万円、月数千円から加入可能です。
どういう補償内容の契約でも最低5,000円以上の保険料がかかるというルールもありますが、それでもありとあらゆる事故をカバーできると思えば、安いと感じられるのではないでしょうか。
ただし、契約の仕方によっては漏水事故の賠償が対象外になっていることもあるので、そこは契約内容をよく確認してください。
従業員が通勤中に起こした事故は、会社の安全配慮義務や監督に違反や問題があったと判断されなければ、従業員個人に賠償責任が生じると考えられます。
しかし、通勤は勤務のために必要なことだから通勤中に起きたことも会社に責任があるという考え方もあり、通勤中の移動手段が社用車なのかマイカーなのか、マイカーならそれを勤務中も使用しているかどうかなど、様々な要件が複雑に絡み合っているため判断が難しいところです。
ただこれは賠償責任に関してのことで、従業員が通勤中に怪我をした場合は労災などがおります。
賠償責任保険の”今”
賠償責任保険は、社会や生活に密接した保険です。
そのため、社会の移り変わりによって保険の内容や種類などもどんどん変わっていく、”今”が見える保険ともいえます。
そんな賠償責任保険の最近のトレンドをご紹介します。
最近は自転車保険が人気!
近年、自転車による事故が多発している傾向にあることから、自転車保険への加入義務を条例で定める自治体が増えています。
きっかけになったといわれているのは、2013年に神戸市で起きた、自転車に乗っている小学生と歩いているご老人が衝突した事故で、小学生側に9,500万円の賠償が命じられたという事件です。
参考リンク:日本経済新聞|親に9500万円賠償命令 小5自転車が女性はねる
のちに和解したそうですが、例え自転車であっても重大な事故につながるリスクがあることを再認識させられる事件でした。
ヘルメットの着用が義務付けられましたし、今後も条例と保険の両方で万全な体制が整えられていくのだと思います。
示談交渉サービス付きが人気
示談交渉サービスは、自動車保険のCMなどで有名な、被害者とのやりとりを代行してくれるサービスです。
日常生活賠償責任保険、個人賠償責任補償にも、この『示談交渉サービス』が付帯しているものが増えています。
賠償保険に限らず、保険は各会社で保険料をある程度揃えましょうという決まりがあるので、価格での競争がしにくい状態です。
他社との差をつけるために、保険料の値下げではなく付帯サービスをつけることで、集客を図っています。
示談交渉をした経験がある人は世の中のごく一部の人で、一般的にとてもハードルが高いですし、余計なことを言って状況を悪化させるなんて可能性もあります。
プロ、かつ第三者が間に入ってくれると安心ですから、人気が出るのも当然ですね。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
保険請求について皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
まとめ
賠償責任保険は「日常生活用」と「事業活動用」に大別されます。
前者は家族全員を広くカバーし、現在は5 億円〜無制限が標準。後者は施設賠・業務遂行賠・PL賠など複数の保険を組み合わせ、自社リスクに合わせた設計が不可欠。
条例化が進む自転車保険や漏水担保特約など最新動向も確認し、万一の高額賠償に備えましょう。






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