大雨の被害で火災保険は使える?ケーススタディと申請のコツ【2025年版】

火災保険

最近よく耳にする線状降水帯などの大雨で自宅が被害を受けたとき、「火災保険は使えるのか?」という疑問にお答えします。

どんな原因で、どこにどのような損害が出たのかによって適用される補償が異なるため、最新の制度・用語に沿ってわかりやすく整理します。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

大雨の被害に対応する補償

まず前提として、ご契約の火災保険に「水災」や「風災」「水濡れ(漏水)」など大雨被害をカバーするために必要な補償が付いていることが重要です。

火災保険は、ものによっては水災が除外されていたり、特約として付けないと補償されないものがあります。

いざという時に備え、現在の補償内容と免責になる内容を確認しておきましょう。

水災

豪雨・台風・洪水・高潮・土砂崩れ等の「水害」により、建物や家財に損害が生じた場合に対象となります。
契約時に水災を外していると補償を受けられないことがあるため注意が必要です。

なお、水災は商品ごとに「床上浸水」や「地盤面から45cm超の浸水」または「損害割合が一定以上(例:30%以上)」などの支払いの基準や条件が設けられていることがあります。
各保険会社によって微妙に異なるので、現在加入している保険の約款やパンフレット、保険証を確認しておきましょう。

ちなみに、水災にかかる保険料は、2024年10月にあった改定によって市区町村ごとのリスクに応じて細分化され、同じ契約でも所在地により保険料が上下する仕組みになりました。

このリスクごとの段階は等地区分などと呼ばれ、基本的には1~5の等地あり、数字が小さいほどリスクが低いとされています。
参考リンク:水災等地検索|損害保険料率算出機構

より詳しい内容はこちらの記事で解説しています。

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風災

案外見落としがちなのですが、台風や豪雨時の「強風」が原因で生じた損害は風災の補償範囲なので、風災を付けていなければ水災があっても補償されません。

例を挙げるとすれば、強風で飛ばされた看板や屋根材が窓を破損し、そこから雨が吹き込んで室内や家財が濡れた場合などです。

風災は雹災や雪災など大雨に似た自然災害による損害もカバーできるため、セットで付けておくこともオススメです。

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また、飛んで来た物で建物が損害を受けた場合は、「飛来物・落下・衝突等」や「破損・汚損(その他偶然の事故)」といった補償が適用されることもあります。

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漏水・水濡れ

大雨が直接の原因でも、内水氾濫による給排水管からの逆流など、実際に水関係の事故が起きた場所によっては「漏水・水濡れ」の補償範囲だと判断されることがあります。
また、マンションなどの集合住宅の場合、上階・左右の住戸で起きた水害が原因で自宅も漏水被害にあうことがあります。

次のようなケースがそれです。

  • 内水氾濫で下水が逆流し、トイレや排水口から水が溢れて室内が水浸しになった※
  • マンション上階で漏水事故が発生し、自宅が水濡れ被害を受けた(他戸室起因)

※溢れた水が建物内にあったもの、もしくは下水設備内にあった水であることが判断基準になる場合もあり、また保険会社によっては内水氾濫が絡むなら水災補償となるケースもあります。約款をご確認ください。

ただし、配管そのものの修理費は「消耗・劣化」に当たり対象外となるのが一般的です(損害原因の特定が肝心です)。

水災(建物の外からの水)と、漏水(設備・配管や他戸室起因)は区分される点に注意しましょう。

火災で補償される大雨被害の例

水災や風災等を付帯していても、「どの補償で」「どこまで」支払われるかは原因・状況・約款で変わります。

補償を受けられるケースとそうではないケースを比べてみましょう。

保険金請求ができる大雨被害

補償内容や補償例を基に、保険金請求が通る大雨被害の例をまとめました。

補償 対象となる主な損害 ポイント
水災補償 床上浸水、内水氾濫、高潮、土砂崩れ等で建物・家財に損害 商品により「床上/地盤面45cm超/損害割合30%以上」等の支払基準あり
風災補償 強風が原因の屋根・外壁・窓等の破損、それに伴う雨の吹込み 風が起因なら「飛来・落下」ではなく風災の適用になることが多い
漏水・水濡れ補償 配管事故や上階からの漏水で室内・家財が濡れた損害 自宅が加害側で他人に被害を与えた場合は「個人賠償責任特約」で対応

ただし、上記の例は補償されるといっても注意が必要なポイントを含んでいます。

床上浸水の注意点

水災の支払基準として「床上浸水」「地盤面から45cm超」や「損害割合30%以上」などが定められている商品があります。

特に「45cm」は、起点が床面からか、もしくは地盤面からかといった基準は保険商品ごとに異なるため、必ず約款やパンフレットで確認しておきましょう。

基本的に地盤面からとしている所が多いですが、これは建築確認書などの書類で確認できますよ。

内水氾濫とは?

「内水氾濫」は、下水・排水路・小河川等の排水能力を超えて、雨水を河川へ排出できず市街地側で溢れる現象です。

対して堤防越水等で河川側から流れ込むのは「外水氾濫」。

自治体の治水状況や地形によりリスクが変わるため、ハザードマップと併せて確認しましょう。

ハザードマップで情報が確認できなかった場合は、お住まいの市町村区+治水・もしくは内水氾濫といったキーワードで検索すると情報が出てくるかもしれません。

また、気象庁の「キキクル」では、リアルタイムな大雨危険度等を地図で把握できます。

緊急時の避難判断に活用しましょう。

キキクル https://www.jma.go.jp/bosai/risk/

保険金請求が却下される大雨被害

同じ「大雨が原因」に見えても、直接原因や契約範囲の違いで支払われないことがあります。

代表例を解説します。

浸水による泥の被害

地盤面から45cm以下の浸水では、水災を付けていても補償されない場合があります。

その場合は被害が軽いという訳ではなく、水によって運ばれてきた泥などの汚れが床下や庭、玄関や倉庫などに残ってしまい、清掃が必要なケースが多いです。

そして、もし下水道から水が氾濫していた場合、消毒が必要になるケースもあります。保険金を請求したくても水災の補償条件を満たせず、消毒費用は自腹です。

ただし、土砂崩れで家屋内に土砂が流入した場合などは水災の対象となる可能性があります。

建物の欠陥・経年劣化が原因の場合

雨漏り等でも、経年劣化や施工不良が直接原因と判断されれば火災保険の対象です。

火災保険は「偶然・外来」の事故を対象とし、維持管理上の不具合が原因の場合は補償しません。

そのため、雨漏りと言ってしまったら建物の欠陥が原因だと考えられやすいので要注意です。

[リンク:火災保険のNGワード・これを言ったら保険金が下りません!事例を交えてポイント解説]

もし建物の欠陥が施工ミスのせいだった時は、施工会社や販売業者に連絡しましょう。

施工会社や不動産販売業者は住宅瑕疵担保責任保険というものに加入していて、こういったケースで施工ミスが認められた場合に、この保険を使って賠償金や修繕費を支払ってくれます。もし既に業者が廃業している場合は、一定の条件を満たしていれば住宅購入者が直接この保険に保険金を請求することも可能です。

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また、窓を閉め忘れたことで大雨が室内に入り水浸しになったなど、うっかりミスが原因の場合はどの保険でも補償されないので、気を付けましょう。

地盤沈下・不同沈下(大雨起因)

豪雨で地盤が緩んで家が傾く・沈下する等は、一般に火災保険の対象外(免責)となることが多いです。

土砂災害が直接原因なら水災対象になり得ますが、地震に伴う液状化は火災保険ではなく地震保険での対応になります。

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契約した補償範囲と実際の損害理由が異なる

「水災は外していた」「家財を付けていなかった」等、契約範囲の設定ミスで請求不可となることがあります。

特に建物と家財の分類は見落としがちな部分もあり、認識違いによって保険金を当てにできなくなるということも考えられます。

下表を目安にご確認ください(正確な情報は約款をご確認ください)。

分類 主な対象例 注意点
建物 基礎・柱・屋根・外壁・床・天井/浴室・キッチン・トイレ等の据付設備/配管・給排水設備/門・塀・カーポート・物置・太陽光発電設備 等 門・塀・物置・屋外設備は商品により建物扱いでも特約・限度額がある場合あり
家財 家具・家電・衣類・寝具・カーテン・じゅうたん・食器・パソコン・自転車・スポーツ用品 等 自動車は対象外(車両保険)/現金・貴金属は限度額設定や条件が他の家財と異なる

大雨被害に備えるための火災保険ポイント

補償を確実に受けるには「契約前の整備」「事故時の伝え方」「証拠保全」が三本柱です。

次の内容を日頃からチェックしておきましょう。

契約内容の事前確認

水災補償の有無、支払基準(床上/45cm超/損害割合等)、免責金額、屋外設備の扱い、個人賠償責任特約の有無などを事前に確認しましょう。

直前の追加や事故後の変更は原則適用されません。

保険証券・設計書・約款で根拠を把握し、不明点は代理店・保険会社へ相談しておきましょう。

ハザードマップで建物所在地のリスクを確認し、リスクに合わせた備えができているかも要確認です。

請求時のNGワード

事故受付時の初動は、その後の判断に影響します。

原因の断定や誤解を招く表現は避け、事実を淡々と伝えるのがコツです。

  • 「雨漏り」…建物の欠陥・老朽が原因と誤解されやすい表現。
  • 「壊滅した」など誇大表現…事実確認前の過度な表現は心証を悪化させがち。
  • 過小申告・自責的発言…「自分の不注意で…」「少しなんですけど…」等は免責の判断材料になり得る。
  • 「~だけ…」”~”の部分が免責に該当する場合、その場で却下になる可能性がある。

落ち着いて電話するため、事前にメモで「いつ・どこで・何が・どうなった・現状の危険」を箇条書きにしておくと安心です。

被害状況報告リスト

日時・天候:○月○日○時頃/大雨警報中など詳細なほどGOOD
被害:浸水、土砂崩れで壁が壊れたなど現象のみをシンプルに
測定:浸水高(cm)、濡れ面積(㎡)など具体的な数字があればGOOD
被害品目:建物(壁・床・天井など具体的な部位)、家財(最初は品目と大体の数でOK)
記録:写真・動画・見積書・応急処置の領収書

なお、損害を受けた時から保険金を請求するまでの期間に上限が設けられているので、それも事前に確認しておきましょう。

約款やパンフレットを何回も確認するのは大変なので、必要な確認事項をメモして保険証券と一緒に保管しておくと便利です。

被害の写真や動画を撮る

大型の台風など、広い範囲で同等の被害が発生した場合、保険会社には請求などの連絡が殺到します。

そのため、請求のための手続きや、鑑定人の到着までに時間がかかる場合があります。

基本的にそういった場合は写真鑑定になることが多いため、被害状況を写真や動画で記録しておくことが重要です。

家を片付ける前に「被害の全景・近景」「浸水高さが分かる写真(壁にメジャーを当てる)」その他必要と思われる部分を撮影しましょう。

もちろん安全第一で避難が最優先ですので、あくまでも片付け前で大丈夫です。

まとめ

大雨による損害は被害状況によって適用される補償が変わり、支払基準や免責、家財の有無など契約内容によっても結果が大きく違います。

2024年以降は水災保険料がリスクに応じて細分化され、水災補償の契約率が下がりました。

事前に最新の水災リスクと契約内容を照らし合わせ、火災保険がうまく機能するように備えることに加えて、保険金を請求するときの注意点なども把握しておきましょう。

正しい備えと手順で、いざというときに確実な保険金請求につなげていただければ幸いです。

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