インフルエンザは毎年冬に流行しますが、2025年シーズンは例年より早めに流行が始まり、ニュースなどでも警戒が呼びかけられています。
では、もしインフルエンザにかかってしまった場合、どのような保険が使えるのでしょうか。
この記事では、公的医療保険から民間の医療保険・死亡保険・就業不能保険まで、インフルエンザと保険の関係を整理して解説していきます。
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インフルエンザに対して機能する保険
人を対象にした保険はいくつか種類があり、その保険のタイプによってインフルエンザに対する「反応」が変わります。
まずは、どんな保険があるのかをざっくり整理しておきましょう。
公的医療保険
国が運営している制度で、すべての日本人が何らかの形で加入しているといってもよいのが公的医療保険です。
病気・ケガの治療費7~9割を公的医療保険が負担してくれるという仕組みで、インフルエンザに罹った場合も、診察代や薬代は1〜3割の自己負担で済みます。
インフルエンザが重症化し、肺炎などの合併症で入院した場合でも、入院費そのものは公的医療保険の対象です。
費用が高額になったときは「高額療養費制度」が使えるため、自己負担額にも上限があります。
会社員や公務員の方は長期で仕事を休まざるを得なくなった場合に「傷病手当金」が使えるケースもあります。
とはいえ、公的医療保険は「すべての人に最低限のセーフティーネットを提供する」ものです。
入院中の差額ベッド代や、収入減少による生活費の不安まで十分にカバーできるわけではないため、万が一にしっかり備えるには民間の保険による保障を組み合わせる方が安心です。
民間の保険(生命保険)
病気に関する保障が受けられるのは、公的医療保険だけではありません。
民間の保険会社が販売する、任意で加入する保険もあります。
ケガや病気、死亡、介護など、人に起こるさまざまなリスクをまとめて「生命保険」と呼ぶことが多いです。
代表的な種類は次のとおりです。
- 医療保険(がん保険など特定の病気に特化したものを含む)
- 傷害保険
- 就業不能保険・所得補償保険
- 介護保険
- 死亡保険
生命保険文化センターの2024年度「生命保険に関する全国実態調査」によると、2人以上世帯における生命保険(個人年金保険を含む)の世帯加入率は89.2%とされています。
加入目的は次のような項目が上位です。
- 医療費や入院費のため: 57.5%
- 万一のときの家族の生活保障のため: 50.0%
このように、自分自身の医療費だけでなく、「自分にもしものことがあったときに家族の生活を守るため」に加入している人も多いことがわかります。
インフルエンザに対して主に機能するのは、医療保険・死亡保険・就業不能保険(所得補償保険を含む)です。
次の項目では、それぞれどのような場面で役立つのかを詳しく見ていきましょう。
インフルエンザは医療保険で保障されるけど例外もある
一口に「民間の医療保険」といっても、実はいろいろな種類があります。
代表的なタイプを整理しておきましょう。
代表的な民間の医療保険の種類と特徴は、以下のようなイメージです。
| 保険の種類 | 主な特徴 | インフルエンザとの関係 |
|---|---|---|
| 終身医療保険 | 一生涯、入院・手術などの医療保障が続くタイプ。保険料は一生一定か、60歳などで払い終える設計が多い。 | 高齢になってからインフルエンザが重症化し、入院した場合でも、一生涯保障の対象になります。 |
| 定期医療保険 | 10年更新や60歳までなど、一定期間だけ保障されるタイプ。若いうちは保険料が安いが、更新ごとに上がっていく。 | 加入している期間内にインフルエンザで入院した場合のみ、給付金の対象になります。 |
| 日額型医療保険 | 「入院1日につき◯◯円」など、日数に応じて定額で給付されるタイプ。日本の医療保険で最も一般的。 | インフルエンザで5日入院した場合、「日額×5日分」が支払われます。 |
| 実費型・自己負担額型 | 実際にかかった自己負担額や、高額療養費制度の自己負担上限を超えた部分などを補うタイプ。 | インフルエンザ単体では医療費がそこまで高額になりづらく、大きな給付になることは少なめです。 |
どのタイプであっても共通しているのは、「ケガや病気による入院・手術・一部の通院をカバーしてくれる」ということです。
この意味では、インフルエンザでの入院は原則として医療保険の対象に含まれています。
ただし、いくつか重要な「例外」があり、そこを理解しておかないと「思っていたのと違った…」となりかねません。
一部の医療保険は診療のみで済んだインフルエンザを保障しない
医療保険は、公的医療保険ではカバーしきれない部分、あるいは公的医療保険が使えても自己負担が大きい部分をカバーするための保険です。
そのため、「入院なしの軽い病気」までは想定していない商品も多く、インフルエンザであっても、一度の診察と薬の処方だけで済んだ場合は、保険金を請求しても支払い対象外になるケースが一般的です。
こういった弱点を補うには、次のような保障を検討する必要があります。
- 通院に関する特約(入院後の通院だけでなく、入院を伴わない通院も対象にするタイプ)
- インフルエンザなど特定の病気に関する少額短期保険や特約
ただし、これらの特約は保険料が高くなりがちで、「節約のために外してしまった」という人も少なくありません。
今のうちに、自分の加入している医療保険の証券や約款を確認し、「入院しなかった場合はどうなるのか」「通院はどこまで保障対象なのか」をチェックしておくと安心です。
がん保険など特定の病気に特化した保険は対象外
医療保険の中には、「がん保険」のように特定の病気への保障に特化した単独の保険もあります。 こういった特化型医療保険は、
- がんなど特定の疾患に絞って手厚く保障する
- 一般的な医療保険と保障範囲が重なりすぎないようにする
といった設計になっているため、風邪やインフルエンザなどの一般的な病気は対象外になっているケースがほとんどです。
たとえば、がん保険であれば「がんの治療を目的とした入院・通院・手術」に限って給付されるのが一般的で、同じ入院でも「インフルエンザ治療目的の入院」は支払い対象にならないことが多いと考えられます。
インフルエンザに備えたい場合は、「がん保険=インフルエンザにも使える」と思い込まず、必ず一般の医療保険の内容を確認するようにしましょう。
インフルエンザが対象になっていても回数や型によっては保障されない
最近は、少額短期保険としてインフルエンザの投薬治療・入院を保障してくれる保険も増えてきました。
参考リンク:ニッセイプラス 熱中症・インフルエンザ保険
こういった保険なら、診察と薬の処方のみで済んだケースでも、一定額の見舞金が支払われることがあります。
「ちょっとした体調不良でも家計へのインパクトが心配」「毎年のようにインフルエンザにかかってしまう」という人には、心強い選択肢といえるでしょう。
一方で、インフルエンザなら何でも対象というわけではなく、A型・B型など、インフルエンザの型を指定している保険もあります。
本特約のお支払い対象となるインフルエンザは、感染症法の5類感染症に該当するインフルエンザA型またはB型です(新型インフルエンザ等は対象外です。)。 出典:インフルエンザ保険 (基本保障タイプ)|Tokio Marine X少額短期保険株式会社
インフルエンザの投薬治療(入院なし)もカバーしたい場合は、こういった「対象となる型」「回数制限」「同一シーズン内の支払い上限」などの条件を、パンフレットや約款でよく確認してから加入するようにしましょう。
死亡保険はインフルエンザも対象
残念ながらインフルエンザが原因で亡くなってしまった場合、死亡保険は基本的に「入院の有無に関係なく」病気による死亡として扱われます。
インフルエンザの型による違いもなく、病名がインフルエンザであっても、その後の合併症(肺炎など)が直接の死因であっても、いずれも病気死亡として取り扱われるのが一般的です。
新型コロナウイルス感染症が流行した際にも、多くの生命保険では「特定の感染症だから対象外」とする対応は取られませんでした。
インフルエンザについても、今後大流行したとしても、それだけを理由に死亡保険の支払い対象から外される可能性は高くないと考えられます。
とはいえ、これはあくまで「現時点での一般的な傾向」であり、将来的に保険会社の支払い能力を大きく超えるほどの請求が発生した場合など、何らかの理由で商品内容が改定されたり、免責が設けられたりする可能性がゼロとは言い切れません。
インフルエンザで亡くなってしまったときのことも含めて死亡保険を検討するのであれば、過去にその保険がどのような改定を行ってきたか、募集パンフレットや会社のニュースリリースに軽く目を通しておくと安心です。
また、生命保険には「加入から一定期間内の死亡は保険金を支払わない」といったルール(免責期間)が設けられている商品もあります。
インフルエンザは、いつ・どこで感染するかわからない病気です。
「保険に入ったから大丈夫」と油断するのではなく、ワクチン接種や手洗い・うがい、マスクなど、日頃の予防対策に力を入れることが何より大切です。
就業不能保険・所得補償保険はものによる
就業不能保険・所得補償保険は、病気やケガなどが原因で働けなくなったときに、収入や生活費の減少分を保険金でカバーする保険です。
この「何らかの理由」の中にインフルエンザが含まれる場合でも、実際に保険金が支払われるかどうかは、「就業不能の定義」と「休業した日数」によって大きく変わります。
多くの就業不能保険では
「医師の診断により業務に就けない状態」が、「60日以上」など一定期間以上続いた場合に、その後の期間について保険金を支払う
といったルールになっています。
たいていは60日以上などの長期休業が対象で、「インフルエンザにかかって、一週間休んだ」といったケースは、たとえ収入面で不安を感じていても、就業不能保険の支払い対象にはならないことがほとんどです。
一方で、インフルエンザの後遺症で強い倦怠感やめまいなどの不調が続き、医師から「当面は就業不可」と診断され、その状態が60日以上続いた場合はどうでしょうか。
この場合は、
- 医師の診断書で「就業不能」と認められているか
- 契約している保険の約款で定める「就業不能状態」の定義に当てはまるか
といった条件を満たせば、保険金請求が通る可能性が高くなります。ここで重要なのは、「インフルエンザかどうか」ではなく、「どのくらいの期間、どの程度働けない状態が続いたか」という点だと覚えておきましょう。
また、「所得補償保険」や「短期収入補償保険」といった名称の保険は、一般的な就業不能保険よりも休業期間の条件が短めに設定されていることがあります。
たとえば、免責期間が7日や14日など比較的短く、「その期間を超えて働けない状態が続いたら給付開始」といったイメージです。
フリーランスや自営業のように、1〜2週間の休業でも生活に大きな影響が出やすい人は、こういった「短期タイプ」の収入補償も選択肢に入れてみるとよいでしょう。
まとめ
インフルエンザと保険の関係は、少しややこしく見えますが、整理してみると意外とシンプルです。
| 保険の種類 | 主な役割 | インフルエンザのときに使える場面 |
|---|---|---|
| 公的医療保険(高額療養費制度を含む) | 病気・ケガの治療費の自己負担を1〜3割に抑える。医療費が高額になった場合は高額療養費制度で負担を軽減する。 | インフルエンザの診察・検査・薬代、重症化して入院した際の医療費など、基本的な医療費全般。 |
| 医療保険(民間) | 病気やケガによる入院・手術・一部の通院について、日額給付や実費に応じた給付で家計の負担を和らげる。 | インフルエンザが重症化して入院したときの入院給付金や、契約内容によっては退院後や通院の給付。 |
| インフルエンザ専用の少額短期保険 | インフルエンザの診断・投薬治療・短期入院などに対して、定額の見舞金などを支払う。 | 入院なしで診察と薬の処方のみで済んだ場合でも、一時金が受け取れるタイプがある。 |
| 死亡保険 | 被保険者が亡くなったときに、遺族の生活費や教育費などに充てられるまとまった金額や年金を支払う。 | インフルエンザやその合併症(肺炎など)が原因で死亡したときの死亡保障として機能する。 |
| 就業不能保険 | 病気やケガで長期間働けなくなった場合に、一定額の給付金で収入減少をカバーする。 | インフルエンザ後遺症や合併症が原因で、医師により「就業不能」と診断され、その状態が60日以上続いた場合など。 |
| 所得補償保険(短期収入補償型) | 数週間〜1年程度の休業による所得減少を、月々の給付金などで補う。 | フリーランスや自営業の人が、インフルエンザで2週間以上仕事ができない状態が続いた場合など、商品が定める休業期間の条件を満たしたとき。 |
インフルエンザそのものは、ワクチンや日常的な予防でリスクを下げることができる病気です。
それでも、重症化や長期の体調不良がゼロになるわけではありません。この記事をきっかけに、
- 自分の公的医療保険・傷病手当金の仕組み
- 加入している医療保険・死亡保険・就業不能保険の内容
- インフルエンザなど短期の病気で不安なポイント
を一度見直してみてください。「どこまでを公的保険に任せて、どこからを民間の保障で補うか」を意識しておくことで、もしものときにも慌てずに対応しやすくなります。
そして何より、保険に頼る前に、手洗い・うがい・マスク・ワクチン接種など、日常的なインフルエンザ予防を続けていきましょう。






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