火災保険に加入しようと補償を見比べているとき、高確率で目に入るのが「騒擾」という文字。
意味はなんとなくわかるけど、必要性がわからなくて外してしまうということもあると思います。
この補償が具体的にどんな機能を持っているのか、そしてどういう人が必要なのかなどを解説します。
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火災保険の騒擾とは
騒擾(そうじょう)の補償は、騒擾およびこれに類する集団行動、労働争議に伴う暴力行為、破壊行為によって保険の対象が被害を受けた場合に機能する補償です。
また、数世帯以上またはこれに準ずる規模にわたり、平穏が害される状態または被害を生ずる状態を騒擾といいます。
「うちはそんな心配いらないな」と思うかもしれませんが、実は身近なところに“集団行動による被害”の芽が隠れていることがあります。
- サッカーのサポーターなど、スポーツ観戦後に興奮した人々が集まって騒ぎを起こす
- ライブ会場や神社仏閣など、行列に並ぶ人々の間で騒ぎが起きる
- 特定の団体や組織に対して、抗議デモが行われる
こういった日常的にあり得る出来事が、状況次第で騒擾につながる可能性があります。
自宅のすぐ近くに人が集まる施設、会社や工場がある場合は、「全く心配しなくていい」というわけではありません。
ただし、騒擾の補償が機能するかどうかは状況によって変わります。
同じ“人が集まった出来事”に見えても、保険的に見たときに「騒擾として扱えるか」は別問題だからです。
騒擾の補償が機能するケース
ここで、実際に騒擾の補償がある火災保険の説明を見てみましょう。
集団による破壊行為は対岸の火事ではありません
人が集まったときに生まれるパワーはとても大きなものです。万が⼀、ご自宅近くで集団による暴力行為が発生したら、お住まいが破壊されてしまうことは容易に想像できます。建物が保険の対象の場合
労働争議等に伴う暴力行為があり建物が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。家財が保険の対象の場合
労働争議等に伴う暴力行為があり家財が損害を受けた場合に、保険金をお支払いします。こんなときでも補償されます
自宅前で破壊行為が発生し、自宅の塀や壁が破壊されてしまった。*
*建物が保険の対象に含まれる場合にかぎります。
※スリム(Ⅰ型)、スリム(Ⅱ型)では補償されません。
具体的にどういう事故なのかはややわかりにくいものの、集団といえる人数の人々が何らかの行動を起こし、それによって自宅が破壊される、損害を受けるといった場合に補償を受けられることが読み取れます。
ここで重要なのは、「集団」と「破壊・被害・損害」という2つの要素です。
事故状況の説明にこの2種類の言葉がそろっていないと、騒擾の補償が機能しない可能性があります。
騒擾の補償が機能しなくなるケース
次の例のような、騒擾とは言いにくい状況で事故が起きた場合は、騒擾の補償を契約していても機能しない可能性があります。
- 人は多かったが、暴力行為や破壊行為がなく、偶然の押し合いで門扉が少し歪んだ(「集団の破壊行為」と言えるかが微妙)
- 来場者の持ち物(ベビーカー・自転車など)がぶつかって外壁に傷が付いたが、誰がやったか特定できず、加害者側の賠償問題として整理されやすい
- イベントの混雑で植栽や外構が踏まれて傷んだが、「破壊行為による損害」とは言いにくく、管理不足や通常損耗に近い扱いになる可能性がある
- 近隣で騒ぎはあったが、被害を受けたのが自宅だけで、騒擾(数世帯以上に及ぶ規模)と言える状況の説明が弱い
ポイントは、「人が多かったこと」だけでは騒擾になりにくい、という点です。
騒擾の補償が想定しているのは、あくまで集団行動によって平穏が害され、暴力行為・破壊行為などが絡んで被害が生じるような状態です。
また、同じ“壊れた”でも、原因が「騒擾」ではなく「その他偶然の事故」「外部からの飛来物・落下・衝突」「第三者賠償」と判断されることもあります。
つまり、騒擾の補償を付けていても、事故の説明の組み立てが騒擾に当てはまらなければ、別の補償で検討されるか、そもそも支払い対象外になる可能性もあるということです。
暴動や戦争は免責
騒擾は「数世帯以上またはこれに準ずる規模」にわたる集団行動による破壊行為などを想定していますが、約款上は「戦争・内乱・革命・暴動」など、さらに大きな規模の事変による損害は免責(保険金を支払わない)として扱われることが一般的です。
また、テロについても、火災保険の普通保険約款で免責とされていたり、別途「テロ危険不担保特約」などで補償対象外となる設計が存在します。
つまり「騒擾補償がある=集団が絡む損害なら何でも補償される」ではありません。
被害の規模や性質が“騒擾を超える”と判断されると、騒擾ではなく免責側に振り分けられる可能性があります。
気になる人は約款・重要事項説明書の「保険金をお支払いできない場合(免責事項)」を確認し、判断に迷うときは事故受付で「騒擾に当たるか、免責(暴動・テロ等)に当たるか」を前提に相談しましょう。
騒擾の補償は必要?不要?判断ポイントとは
ここまでの説明で、「うちはやっぱり騒擾の補償はいらないかも…」と思う人が多いかもしれません。
ただ、騒擾は“ピンポイントに必要な人”がいる補償でもあり、外してから後悔しやすい落とし穴もあります。
ここでは、判断のためのポイントを整理します。
他の事故と組み合わせた補償になっていることが多い
騒擾の補償対象になる事故は、日常の中では頻度が高いとは言いにくい分、単独の補償として用意されるよりも、他の補償とセット(抱き合わせ)になっていることが多いです。
| 保険会社 | 商品 | 騒擾が含まれる(または同じ枠で案内される)補償例 |
|---|---|---|
| 日新火災 | お家ドクター火災保険Web | 盗難・水濡れ等危険補償特約 |
| ソニー損保 | 新ネット火災保険 | 漏水による水ぬれ、飛来物や外部からの物体の衝突などの補償 |
| 損保ジャパン | THE すまいの保険 | 建物外部からの物体の落下・飛来、水濡れ(みずぬれ)、騒擾(そうじょう)、盗難などの補償 |
このように、盗難や漏水、飛来物・衝突・落下物などの補償とセットになっているケースが一般的です。
セットに組み込まれている補償も、家の状態や立地によっては不要という人がいます。
たとえば漏水などはマンションじゃないと機能しない、と思われがちです。
ただ、盗難や漏水、飛来物などに備えたいという人は、結果として騒擾の補償もセットで契約することになりやすいです。
騒擾だけをピンポイントに外せることはあまりないため、「騒擾を付けたいかどうか」だけで判断するよりも、セット全体として必要かどうかで考えた方が現実的な場面もあります。
人通りが多い・人が集まる施設が自宅の周りにあるなら
騒擾とは、デモや労働争議のように特定の目的をもって集まっているかどうかは定義されていません。
そのため、スポーツ場やライブ会場など、多くの人が集まる施設が自宅の周りにある場合、自宅周辺で騒擾が起きる可能性があります。
また、お正月のお参り、商店街のお祭りなど、特定の日にだけ人がたくさん集まる場所も要注意です。
集団パニックによる混乱など、集団行動による破壊とは言えない状況では騒擾の補償は機能しない可能性がありますが、破壊行動、暴力行為などが認められたうえで被害にあっていたら騒擾の補償が使える可能性があります。
加えて、見落としがちな“人が増えるシーン”として、次のような立地もチェックしておくと判断しやすくなります。
- 駅・大きなバスターミナルの近く
- 花火大会やマラソン大会などの、会場のルートになる地域
- 商業施設の近く(初売りやブラックフライデー等のセール期間)
- 整理券配布が行われる場所
- 観光地の動線上にある住宅 など
普段は静かでも、年に数回だけ人が集中する立地は「想定していなかった集団行動」が起きやすく、保険の必要度を見誤りやすいポイントになります。
以上の条件に当てはまる場合は、過去の事故などを調べたうえで、騒擾の補償を付けることを検討してみるといいでしょう。
まとめ
火災保険の騒擾(そうじょう)補償は、騒擾やこれに類する集団行動、労働争議に伴う暴力行為・破壊行為などによって、建物や家財が損害を受けたときに機能する補償です。
一見すると「そんなの起きない」と感じやすい一方で、スポーツ観戦後の興奮、イベント会場の混乱、行列トラブルなど、集団行動がきっかけになる被害は身近なところにも潜んでいます。
ただし、騒擾は「人が多い」だけでは当てはまりにくく、集団と破壊・被害・損害という要素がそろわないと、補償が機能しない可能性もあります。
また、騒擾は単独で外せない形で、盗難・水ぬれ・飛来物などとセットになっていることも多いため、必要性は補償全体のバランスで判断するのがおすすめです。
自宅周辺に人が集まる施設がある、イベントで人が増える立地にある、年に数回だけでも混雑が起きやすい環境にあるという場合は、騒擾補償を「不要」と決めつけず、一度契約内容と立地リスクを照らし合わせて検討してみてください。
“起きてほしくない事故”だからこそ、外しがちな補償ほど、いざというときに差が出ます。




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