時代が生んだ新しい保険とは?クマ被害やAI悪用などニッチでピンポイントな保険紹介

保険全般

保険というと生命保険や火災保険のような定番を思い浮かべがちですが、実はその時代の「困りごと」に合わせて、新しい保険が次々に生まれています。
ここでは、いまの社会を映す“時代性のある保険”を年代別に紹介します。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

面白い保険はなぜ生まれる?

世の中の変化で「新しい支出」が増えると、そこに保険が追いつく形で“ピンポイントな補償”が生まれます。
たとえば猛暑で熱中症の受診が増える、イベント文化が戻ってキャンセル料が重くなる、生成AIやSNSの普及でデジタル被害が身近になる、といった流れです。

もう1つ大きいのが、少額短期保険(少短)を中心に「小口・短期・用途特化」の商品設計が増えたこと。

アプリや決済サービスの中から、必要なときにサッと加入できるようになり、保険が日常の導線に“組み込まれる”ケースが増えています。
たとえば「d払い」や「PayPay」「楽天ペイ」から熱中症に備える保険が提供されるのは、その象徴です。

このあと紹介する保険を、まずは一覧で見てみましょう。

項目 販売会社 概要
クマ侵入で営業停止 東京海上日動 クマ侵入で施設を閉鎖した場合の、予約取消による営業利益の損失や対策費用を補償(事業者向け)
猛暑の日の受診に備える 楽天(楽天ペイ×楽天少短) アプリから加入できる熱中症保険。
点滴治療や入院などを補償する設計
その日だけ熱中症に備える PayPayほけん 1日単位などの小口プランで熱中症のお見舞い金に備える
遠征キャンセル料に備える Mysurance 推し活遠征のキャンセル費用を補償する専用サイトを展開
航空券のキャンセル料に備える スカイマーク(第一スマート少短) イベント中止・延期など所定事由で航空券をキャンセルする場合の費用を補償
観劇チケットの取消に備える ニッセイプラス少短 所定事由で観劇をキャンセルした場合のチケット代を補償
修学旅行の取消に備える Mysurance 生徒が行けなくなった場合のキャンセル料を補償(学校行事向け)
AI悪用・SNS被害の相談費用に備える ミカタ少額短期保険 デジタル被害への“法的支援”として弁護士費用をカバーする発想
ドローン事故の賠償に備える 三井住友海上(DJI賠償責任保険) 対人・対物だけでなく、プライバシー侵害など人格権侵害も含めた賠償責任に備える

ここからは、時代に合わせて生まれた流れが見えやすいように、年代ごとに見ていきます。

2021年はコロナ禍で「キャンセル費用」が“現実の損失”になった

コロナ禍は、旅行やイベントが「体調次第で急に行けなくなる」ことを当たり前にしました。
その結果、楽しみが消えるだけでなく、キャンセル料という形で家計や生活にも直撃する損失が可視化されます。

この流れの中で分かりやすいのが、学校行事に特化したキャンセル費用保険です。

修学旅行キャンセル保険とは


マイシュアランス・修学旅行キャンセル保険

修学旅行は、直前の体調不良だけでなく、濃厚接触の扱いなどで参加できなくなるケースもあり、家庭がキャンセル料を負担することがあります。
修学旅行キャンセル保険は、こうした「行けなくなったことで発生するキャンセル料」を補償対象にした保険です。

Mysuranceは2021年10月に『修学旅行キャンセル保険』の提供開始を発表しています。

ポイントは、旅行そのものの楽しさではなく「支出としてのキャンセル料」を補償の中心に置いていること。
この“費用にフォーカスする保険”は、のちの推し活保険チケット保険にもつながっていきます。

2022年は猛暑の「その日だけ加入」が一般化


Paypayほけん「熱中症お見舞い金」

猛暑が当たり前になるにつれ、熱中症は「気をつければ防げる」だけではなく、救急搬送や受診につながる現実的なリスクになりました。
そこで出てきたのが、必要なタイミングで加入できる熱中症保険です。

PayPayほけんでは、2022年4月に熱中症のお見舞い金に備える商品を提供開始し、当日加入できる設計を打ち出しています。
「今日は屋外イベントがある」「炎天下で作業がある」といった日だけ備えられるのが、これまでの保険とは違う体験です。

2023年は最新技術に適応した賠償リスクが現実になった

コロナ禍をきっかけに、社会のあらゆる場面でオンライン化・機械化が進みました。
その結果、個人でも業務でも“技術を使う場面”が増え、事故の形も多様になっています。

この文脈で分かりやすい例が、ドローンの賠償責任です。
空撮や点検などの用途が広がるほど、落下・衝突のような物理事故だけでなく、撮影に伴うプライバシー侵害なども「賠償の対象」になり得ます。

ドローン保険とは


DJI賠償責任保険|DJI製品向けドローン保険 AEROENTRY

『DJI賠償責任保険』は、第三者への対人・対物に加え、人格権侵害やプライバシー侵害などを含めた賠償責任に備える設計が示されています。

ここで押さえたいのは、最新技術に備える保険=サイバーだけではない、ということ。
「機械化・自動化が進むほど、賠償リスクの形も増える」ため、技術の普及が進む領域ほど保険が整備されていきます。

2024年はアプリ販路×ピンポイント補償が拡大

2024年頃から目立つのが、保険が単体で売られるのではなく、普段使うサービスの中に“組み込まれる”形です。
加入のハードルが下がり、保険が「必要になりそうな瞬間の選択肢」として出てくるようになりました。

その代表例が「推し活×航空券」「決済アプリ×熱中症」です。

『スカイマーク推し活おうえん保険』は、イベントの中止・延期など所定事由で航空券をキャンセルする場合に備える設計で、2024年8月から提供開始とされています。


【公式】推し活キャンセル保険|遠征のキャンセル料を全額補償!|Mysurance

スカイマーク以外にも、修学旅行キャンセル保険を販売しているマイシュアランスも推し活応援保険があります。(こちらは販売は2025年です)

また、『ドコモの熱中症お見舞金保険』はd払いアプリから加入できることを特徴として、2024年6月に提供開始が発表されています。

2025年は社会課題と消費行動にフォーカス

2025年は、社会の不安や“備えたい気持ち”を思い出す出来事が多かった年として記憶している方も多いはずです。
道路の陥没、山火事、地震など、ニュースを見るたびに「これ、自分の生活にも起き得る」と感じた人もいるでしょう。

その中で、地域の観光産業や生活に影響が出やすい形で目立ったのが、野生動物問題です。

東京海上日動は、観光・レジャー施設の敷地内にクマが侵入して施設を閉鎖した場合、取消した予約分の営業利益の損失やクマ対策費用を補償する保険を、2025年12月から提供開始すると発表しました。

また消費行動の面では、推し活の広がりとともに「キャンセル費用に備える」という考え方がさらに一般化しています。
Mysuranceは推し活キャンセル保険の専用サイトを2025年3月に開設し、推し活遠征のキャンセル費用を補償するコンセプトを前面に出しています。

同じく、ニッセイプラス少短は観劇キャンセル時のチケット代を補償する「チケット保険」を2025年11月に発表しています。

クマ侵入時施設閉鎖対応保険とは

この保険は、個人向けではなく「施設を運営する事業者向け」です。
クマの侵入という突発的な出来事で施設を閉鎖せざるを得ない場合に、予約を取り消すことで発生する営業利益の損失や、クマ対策費用を補償する考え方が特徴です。

一方で「個人がクマ被害に遭ったら保険は使える?」という疑問も出てきます。
結論としては、けがなら傷害保険の対象になり得ますし、自宅や庭の設備などが壊された場合は火災保険でカバーできる可能性があります。
ただし、実際に支払対象になるかは契約内容(補償範囲・特約・免責)で変わるため、思い込みで判断せず、加入中の保険の補償内容を確認するのが安全です。

推し活保険の種類

「推し活に保険?」と思うかもしれませんが、ここ数年で当たり前になったのが、体調や感染症、イベント事情で“自分の判断でキャンセルする”という行動です。
推し活保険は、そのときに発生するキャンセル料(旅行費や航空券、予約など)という、現実の支出に備える発想です。

具体的には、推し活遠征のキャンセル費用に備える保険(Mysurance) 、航空券のキャンセル費用に特化した保険(スカイマーク×第一スマート少短) 、観劇チケットのキャンセルに備える保険(ニッセイプラス少短) など、補償対象となる“支出の種類”が分かれています。

2026年はAI悪用問題へ備える保険が注目される


弁護士保険ミカタ

サイバー犯罪という言葉は以前からありましたが、生成AIやSNSの普及で、被害がより身近になり、かつ複雑になってきました。
「投資詐欺」や「非同意の性的画像生成(ディープフェイク)」のように、被害に気づきにくく、発生したときの精神的・社会的ダメージも大きいタイプの問題が増えています。

こうした領域で現実的に必要になるのは、セキュリティ対策そのものというより、被害に遭った後の「相談・交渉・手続き」です。
ミカタ少額短期保険は、AI悪用詐欺や性的画像生成被害に触れながら、弁護士保険の活用を促す発信を行っています。

また、火災保険など既存の保険でも弁護士費用系の特約が用意されていることがありますが、デジタル被害が明確に想定されているとは限らないケースもあります。
「対象が何か」「どこまでが補償される費用か」は、必ず約款・重要事項説明書で確認しておきたいポイントです。

まとめ

面白い保険は、話題作りのために奇抜な商品を作っているわけではありません。
その時々の社会で増えた「困りごと」や「新しい支出」に対して、保険という形で解決策を提供しているだけです。

そして大事なのは、ニッチ保険に飛びつく前に、まず“いま加入している保険”でカバーできる範囲を確認すること。
火災保険や医療保険、傷害保険の特約で足りるケースもあれば、専門の保険でないと埋まらない穴もあります。

新しい保険に加入する前に、次の4点をチェックしておくと失敗しにくくなります。

  1. 誰が対象か(個人向けか、事業者向けか)
  2. いつ対象か(加入タイミング、保険期間、対象期間の制限)
  3. 何を補償するか(損害そのものか、キャンセル料や弁護士費用など「費用」か)
  4. まずは加入中の保険を見直す(特約で足りないか、重複加入にならないか)

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