マンションのバルコニーの損害は火災保険で補償される?管理規約と確認ポイントを解説

火災保険

バルコニーは自宅の一部ではありますが、こと分譲マンションでは「共用部分」として扱われることがあります。

では、台風や飛来物などでバルコニーに損害が発生した場合、修繕費は管理組合が負担するのでしょうか。それとも、区分所有者が負担するのでしょうか。

実は、バルコニーの修繕費負担は、マンションの管理規約や損害の原因によって変わります。そして条件次第では、火災保険で修繕費をカバーできる可能性があります。

この記事では、マンションのバルコニーに損害が出た場合、誰が修繕費を負担するのか、火災保険を使える条件はどんなものかなど、確認すべきポイントを解説します。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

※記事内で言及している火災保険は、個人が持ち家を対象にする家計火災保険をさしています。賃貸用の保険管理組合の火災保険等ではありませんのでご注意ください。

バルコニー等の損害は誰が修繕する義務を負っている?

さて、まずは分譲マンションならではの複雑な”あるある”についてお話ししましょう。

持ち家が分譲マンションの場合、一戸建てと同じく個人用の火災保険に加入できます。ただし、その火災保険で補償されるのは専有部分とされている場所のみです。

専有部分とは、区分所有者が個別に所有している住戸内の部分を指します。一般的には室内の、区分所有者が生活で使用・管理する範囲が専有部分に含まれます。
この専有部分で起きた損害は、基本的には区分所有者が責任を負うことになっているため、もし何かがあった際は火災保険などを使うことができます。

それとは反対に、同じ分譲マンションで生活している別の区分所有者とも共同で使う部分を、共用部分と言います。
もし共用部分に損害が発生した場合は、その分譲マンションの管理組合が加入している管理組合用の保険、もしくは組合費から修繕費を賄うケースが一般的です。

専有部分と共用部分の境界はどこなのか、壁芯説と上塗説など、話だしたらきりがないのですが、とりあえずこの記事では

  • どこからどこまでが専有部分かは、分譲マンションの管理規約によって違う
  • 専有部分なら区分所有者が修繕義務を負う可能性が高い(例外有り)

ということを覚えておいて下さい。

ここからは、以上の情報を前提として「バルコニーで起きた損害は誰が修繕費を払うのか」といった点について詳しく解説していきます。

バルコニーは専有部分ではなく共用部分として扱われることが多い

この記事で一番重要なことは、分譲マンションのバルコニーやベランダは、専用使用権付きの共用部分であることが多いということです。

バルコニー、ベランダはマンションの外観を左右する部分であり、万が一の際は同じフロアの住人も使う避難経路として活用されることもあります。
そのため普段は区分所有者が生活のために使うプライベートな空間であっても、共用部分として整理されることが一般的です。

ただし、洗濯物を干すなど区分所有者がある程度自由に使える部分ではありますし、防犯上の兼ね合いもあって、共用部分とはいえ誰でも自由に出入りできるようにはなっていません。
専用使用権付きとは、そういう意味です。

ここで改めてどういうところが専有部分で、どういうところが共用部分なのかを確認しておきましょう。

といっても、実は法律で決まっているわけではなく、そのマンションの管理規約によって変わります。

国土交通省が公開している「マンション標準管理規約」をベースに作られていることが多いため、こちらを参考に見てみましょう。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansionkiyaku.html

区分 該当するものの例 備考・注意点
専有部分 ・住戸の内装(壁紙、床材など)
・戸室内の間仕切り壁
・住戸内の設備(システムキッチン、ユニットバス、洗面台など)
天井、床、壁の「表面」から内側が専有部分となります。
共用部分 ・建物の基本構造部分(支柱、屋根、外壁、床スラブなど)
・玄関ホール、廊下、階段、エレベーター
・管理事務所、集会室
個人の意思で勝手に変更や解体はできません。
共用部分
(専用使用権あり)
・バルコニー、ベランダ
・窓枠、窓ガラス
・玄関ドア(錠および内部塗装を除く)
構造上は共用部分ですが、特定の居住者が独占的に使える部分です。勝手な交換やリフォームは原則禁止です。
配管・配線 ・共用用排水管(竪管)
・専有部分にある枝管(本管までの接続部まで)
規約により「枝管も共用部分」とするケースや「専有部分」とするケースがあり、トラブルになりやすい箇所です。

壁や床、天井の中にある配管に関しても共用/専有に分かれているというのは、水漏れ事故の記事でも解説しています。

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以上の表の内容は、国土交通省が発表した指標やベース、テンプレートのようなものです。

マンションによっては細かい範囲や修繕費のルールが異なることもありますので、分譲マンションにお住まいの方はお手持ちの管理規約をご確認ください。

次は規約のどこを確認すればいいのか、そして結局修繕の義務はどうなのかというポイントについて解説します。

修繕の義務や責任の確認

専有部分は区分所有者が事故時の修繕費を負担する、というニュアンスが強いです。
しかし実際のところは、管理規約内に専有/共用の範囲とは別枠で「修繕費の負担」に関する記載があります。

次のポイントにそって管理規約を確認してみましょう。

確認する項目 確認したい内容
バルコニーの扱い 専有部分なのか、共用部分なのか、専用使用権付共用部分なのかを確認します。
専用使用権の対象範囲 バルコニーのほか、専用庭・玄関扉・窓枠・窓ガラスなどが対象に含まれるかを確認します。
修繕費の負担 損害が発生したとき、管理組合と区分所有者のどちらが費用を負担するのかを確認します。
修繕時の手続き 修理前に管理組合や管理会社の承認が必要かを確認します。

損害が発生したときの修繕費を誰が負担するのかという部分は、火災保険を使って修繕費をカバーできるかどうかにも直結します。

事故の種類によっても違う場合がある

管理組合と区分所有者のどちらが修繕費を負担するかは管理規約に書いてあるとご説明しましたが、実際は損害が起きた理由・原因によって変わってきます。

例として、国土交通省が発表するマンション標準管理規約から一文を抜粋します。

バルコニー等の破損が第三者による犯罪行為等によることが明らかである場合の保存行為の実施については、通常の使用に伴わないものであるため、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。

ただし、同居人や賃借人等による破損については、「通常の使用に伴う」ものとして、当該バルコニー等の専用使用権を有する者がその責任と負担において保存行為を行うものとする。

出典:単棟型 マンション標準管理規約(令和7年10月17日改正) – 国土交通省

このように、第三者による破損、台風などの自然災害や落下物事故による破損、通常使用による損耗・経年劣化などで、扱いが変わることがあります。

修繕費の負担を判断するときは、「バルコニーが誰の使用部分か」だけでなく、「どのような事故・損害なのか」もあわせて確認しましょう。

管理規約で確認する部分は?

バルコニーの修繕費負担を確認する場合は、管理規約の中でも「専用使用権」「共用部分等の管理」「敷地及び共用部分等の管理」「別表」などを確認します。

PDFで管理規約を確認できる場合は、「バルコニー」「専用使用権」「責任と負担」「通常の使用に伴うもの」「修繕」などの言葉で検索すると見つけやすいです。
紙の管理規約を確認する場合は…がんばりましょう。

確認する場所 確認したい内容
専有部分の範囲 バルコニー・玄関扉・窓枠・窓ガラスなどが専有部分に含まれるかを確認します。
共用部分の範囲 バルコニー等が共用部分として記載されているかを確認します。
専用使用権 どの共用部分を、どの区分所有者が専用で使用できるのかを確認します。
敷地及び共用部分等の管理 共用部分の管理や修繕を、管理組合と区分所有者のどちらが負担するのかを確認します。
通常の使用に伴うもの バルコニー等について、通常使用に伴う管理・修繕が専用使用権者の責任と負担とされているかを確認します。
別表 バルコニー・専用庭・玄関扉・窓枠・窓ガラスなど、専用使用権の対象範囲を確認します。
使用細則・専用使用細則 バルコニーの使用方法、禁止事項、修理時の承認手続きなどを確認します。

さて、記事タイトルにもなっている「マンションのバルコニーの損害は火災保険で補償される?」という疑問への答えが固まってきましたね。

管理規約上、区分所有者が修繕費を負担すると書かれていれば、個人用の火災保険が使えます。

反対に管理組合が修繕する条件に当てはまっていれば、区分所有者の持ち出しはなく、管理組合が加入する火災保険などで修繕費が賄われます。
近年はマンション老朽化による引受拒否、保険料値上げなどで管理組合が保険に入っていないケースもありますので、気になる場合は加入実態なども合わせて確認するといいかもしれませんね。

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火災保険で専用使用権付き共用部分の損害はカバーできるのか?

ここからは、バルコニーやベランダ等、専用使用権付き共用部分で損害が起き、その修繕費を区分所有者が負担するということを前提に、「火災保険がどのように使えるか」といった点を解説していきます。

パターン1・建物の保険対象に専用使用権付共用部分を含む

火災保険によっては、マンション戸室を建物の保険対象にする場合、バルコニーなどの専用使用権付共用部分を含むと説明されています。

このタイプでは、バルコニー等が建物の保険対象に含まれるため、損害原因が補償対象であれば、特別な専用特約を追加しなくても補償を受けられる可能性があります。

代表的な商品としては、日新火災の「お家ドクター火災保険Web」や、東京海上日動の「トータルアシスト住まいの保険」などがあります。

保険会社・商品 整理
日新火災
お家ドクター火災保険Web
マンション戸室の場合、バルコニーなどの専用使用権付共用部分を建物の保険対象に含む。
東京海上日動
トータルアシスト住まいの保険
マンション戸室に、バルコニー等の専用使用権付共用部分を含む。

ただし、火災保険の補償対象に専用使用権付き共用部分(建物)が含まれていても、どのような事故でも補償されるわけではありません。

火災、風災、外部からの物体の衝突、破損・汚損など、契約している補償内容に該当する事故であることが必要です。

パターン2・専用使用部分の特約で補償する

バルコニー等の専用使用部分について、専用の特約で補償する火災保険もあります。

このタイプは、バルコニーそのものを通常の建物損害として見るというより、管理規約に基づいて被保険者が負担した修繕費用を、費用保険金として補償する考え方です。

代表的な商品としては、SBI損保の「住まいの保険」、三井住友海上の「GK すまいの保険」、あいおいニッセイ同和損保の「タフ・すまいの保険」、セコム損保の「セコム安心マイホーム保険」、楽天損保の「ホームアシスト」などがあります。

保険会社・商品 特約・費用補償の扱い
三井住友海上 GK すまいの保険 バルコニー等専用使用部分修繕費用特約が自動セット。
あいおいニッセイ同和損保 タフ・すまいの保険 マンション戸室等の区分所有建物の場合、バルコニー等専用使用部分修繕費用特約が自動セット。1事故1敷地内ごとに30万円限度。
セコム損保 セコム安心マイホーム保険 バルコニー等修理費用として、管理組合の規約等に基づき修理した場合に支払い。

ただし、特約の扱いは保険会社によって異なります。

マンション戸室の建物契約に自動セットされるものもあれば、任意でセットする必要があるもの、取り外しができるものもあります。

また、支払限度額が設けられている商品もあります。

そのため、バルコニー等の損害に備えたい場合は、契約している火災保険に「バルコニー等専用使用部分修繕費用特約」「バルコニー等修理費用」「共用部分修理費用補償特約」などの補償があるかを確認しましょう。

バルコニーの損害を火災保険で補償してもらうときの注意点

バルコニー等の専用使用権付共用部分が火災保険の対象に含まれていても、それだけで必ず補償されるわけではありません。

損害原因や契約内容、管理規約、修理前の手続きによっては、補償対象外になることもあります。

ここでは、バルコニーの損害で火災保険を使うときに確認したい注意点を解説します。

損害の原因が補償対象になるか

火災保険で補償を受けるには、損害の原因が契約している補償内容に含まれている必要があります。

バルコニーで起こりやすい損害としては、火災、台風などの風災、飛来物や落下物による破損、外部からの物体の衝突、破損・汚損などが考えられます。

たとえば、台風で飛んできた物によりバルコニーの手すりが破損した場合は、風災として扱われる可能性があります。

一方で、風によるものではない飛来物や落下物による損害は、「建物外部からの物体の落下・飛来・衝突等」などの補償で確認する場合があります。

つまり、同じような原因がある損害でも、事故の状況によって保険金を請求できる補償や特約が変わるのです。

「風災の補償はあるものの、外部からの物体の飛来・衝突の補償を外している」といった場合などは、想定していた事故が補償されない可能性もあります。

バルコニー等が保険の対象に含まれるかだけでなく、損害原因に対応する補償を契約しているかも確認しましょう。

また、そもそもの大前提として、損害の原因が経年劣化やそれに類するものだった場合は、どのような特約を付帯させていても火災保険では補償されません。この点もしっかり把握したうえで、補償内容を確認しましょう。

建物と家財のどちらで契約しているか

火災保険では、保険の対象を「建物」と「家財」に分けて契約します。

バルコニーの手すり・床・壁など、建物に定着している部分の損害は建物の一部や付属品として扱うことが基本です。

一方で、バルコニーに置いている屋外用家具、鉢植え、観葉植物、収納ラックなど、後から置いた動産は家財として扱われる可能性があります。

家財を保険の対象にしていない場合、これらの家財に該当するものが損害を受けても、火災保険で補償されないことがあります。

また、「どっちなの?」と迷いやすいのが、エアコンの室外機といった設備。これらは、保険会社や契約内容、管理規約によって扱いが変わるので、判断に迷うものがある場合は、保険会社や代理店に確認しましょう。

管理組合や管理会社への確認が必要になる

バルコニーは共用部分として扱われることが多いため、損害が発生しても区分所有者の判断だけで修理を進められない場合があります。

修理前に管理組合や管理会社の承認が必要になるケースもあるため、事故が起きたら早めに確認しましょう。

  1. 損害箇所の写真を撮影する
  2. 事故が起きた日時や状況を記録する
  3. 管理会社または管理組合に連絡する
  4. 管理規約上、誰が修繕費を負担するのかを確認する
  5. 修理前に承認が必要かを確認する
  6. 保険会社または代理店に連絡する
  7. 見積書や必要書類をそろえて保険金請求を進める

特に、バルコニー等の専用使用部分修繕費用特約では、管理規約に基づいて被保険者が修繕費を負担したことが補償の前提になる場合があります。

修理を急ぎたい場合でも、事前に管理組合や保険会社へ確認しておくと安心です。

特約には支払限度額がある場合がある

バルコニー等の専用使用部分を補償する特約には、支払限度額が設定されている場合があります。

たとえば、1回の事故につき30~50万円が限度といった形で、補償される金額の上限が決められている商品があります。

修理費用が限度額を超えた場合、超過分は自己負担になる可能性があります。

また、自己負担額が設定されている契約では、損害額から自己負担額を差し引いた金額が支払われることもあります。

バルコニー等の補償を確認するときは、補償の有無だけでなく、支払限度額や自己負担額もあわせて確認しましょう。

窓や玄関扉も同じ扱いになるとは限らない

専用使用権付共用部分には、バルコニー以外に、窓枠・窓ガラス・玄関扉・専用庭などが含まれる場合があります。

ただし、これらがすべてバルコニーと同じ扱いになるとは限りません。

たとえば、玄関扉は外側が共用部分、内側の塗装部分は専有部分に近い扱いになるなど、マンションごとの管理規約で細かく区分されている場合があります。

窓についても、窓ガラス・サッシ・窓枠・網戸などで扱いが分かれることがあります。

また、アルコーブや門扉、フェンスなども専用使用部分に含まれる場合がありますね。何はともかく、マンションの管理規約次第です。

バルコニー以外の損害についても、管理規約の「共用部分の範囲」「専用使用権」「別表」などを確認しましょう。

まとめ

マンションのバルコニーは、自宅の一部のように見えますが、分譲マンションでは共用部分として扱われることが多い場所です。

ただし、特定の住戸の区分所有者が専用で使う部分でもあるため、専用使用権付共用部分として管理規約に定められていることがあります。

バルコニーに損害が発生した場合、修繕費を管理組合が負担するのか、区分所有者が負担するのかは、管理規約や事故の種類によって変わります。

区分所有者が修繕費を負担する場合は、個人で加入している火災保険で補償できる可能性があります。

ただし、火災保険によって、建物の保険対象に専用使用権付共用部分を含むタイプと、専用使用部分の修繕費用特約で補償するタイプがあります。

また、損害原因が補償対象に含まれているか、建物と家財のどちらで契約しているか、支払限度額があるかなども確認が必要です。

バルコニーの損害で火災保険を使いたいときは、まず管理規約を確認し、管理会社や管理組合、保険会社に相談しながら手続きを進めましょう。

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