事業用火災保険(企業向け総合保険)とは?補償内容や選び方を解説

火災保険

年々増加する台風・豪雨・地震などの自然災害によって、火災保険や地震保険への関心が高まっています。
しかし、自宅への備えと同じくらい大切なのが、職場の建物や設備・商品に対するリスクへの備えです。

この記事では、個人事業主や会社の経営者・担当者など、職場のリスク管理に関わる方に向けて、事業用火災保険についてわかりやすくまとめました。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

事業用火災保険とは?

事業用火災保険とは、会社・店舗・工場・倉庫など、事業の場所で火災や災害・事故が起きた際の損害に備える保険のことです。
「事業用火災保険」はあくまで総称的な呼び方であり、実際には「企業向け総合保険」「事業用総合保険」といった名称で販売されていることがほとんどです。

1990年代後半の保険自由化以前は、個人向け保険と同様に、火災リスクには火災保険、賠償責任には賠償責任保険というように、リスクの種類ごとに個別の保険に加入するのが一般的でした。
しかし、規制緩和によって現在のような総合型の商品が増え、今では複数のリスクをひとつの保険でまとめてカバーできる企業向け総合保険が主流となっています。

保険の自由化とは?
1990年代後半、規制緩和の一環として損害保険・生命保険の自由化が進みました。
それまでは保険料が業界で統一されていたうえ、新商品の販売にも政府の厳しい審査が必要でした。
自由化によって各社が独自に保険料や商品を設定できるようになり、現在のような多様な保険商品が生まれました。

では、具体的にどのようなリスクをカバーできるのか、詳しく見ていきましょう。

事業用の建物・設備・商品などを守る保険

企業向け総合保険では、一般的に以下のような補償が用意されています。
具体的に何が補償されるのかは保険商品によって異なりますが、企業向けのニーズを意識したラインナップになっていることが多いです。

補償の種類 主な内容
火災・自然災害などの財物損害 火災・落雷・爆発・風災・水災・雪災・盗難などによる建物・設備・商品の損害を補償
休業損害(利益損失) 災害や事故、感染症拡大といったトラブルで事業が休止した際に生じる売上損失・固定費などを補償
賠償責任 施設の管理上の不備や業務上のミスにより第三者に損害を与えた場合の賠償金などを補償
その他のリスク サイバー攻撃による個人情報漏洩などの被害、輸送中の事故、イベント中止など、業種に応じた特約で対応

個人向けの火災保険でも、個人賠償責任特約やサイバー犯罪被害に対応する特約を選べる商品が増えてきました。
それと同様に、事業用の保険でも今やさまざまなリスクをひとつの契約でまとめてカバーできるのが当たり前になっています。

事業規模や業種によってリスクの内容は異なりますが、補償の柔軟なカスタマイズが可能な点が、企業向け総合保険の大きな特徴です。

詳しくは次の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

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保険料と保険金の算出方法

事業用の火災保険における保険料・保険金の考え方は、個人向けの火災保険と基本的な仕組みを共有しながらも、いくつか異なる点があります。

まず、保険金額(損害が発生した際に支払われる上限金額)の設定について、事業用では建物・設備・商品それぞれを「再調達価額(新価)」、つまり同等のものを新たに取得するのにかかる費用を基準に設定するのが原則です。

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個人向けと同様に、保険金額が実際の価額より低いと、損害が発生した際に十分な補償を受けられなくなるため、適切な評価が重要です。
保険料を決める主な要素は以下のとおりです。

  • 建物の所在地・構造・面積:耐火性能が高い構造ほど保険料は安くなる傾向があります。
  • 業種・事業内容:「火を多く使う飲食業」と「事務作業中心のオフィス」では火災リスクが大きく異なるなど、業種によって保険料率が変わります。
  • 補償内容と特約の範囲:補償範囲を広げると保険料は上がります。
  • 免責金額(自己負担額)の設定:免責金額を高く設定するほど保険料を抑えられます。
  • 過去の損害発生状況:事故歴や損害申請の履歴が保険料に影響することがあります。

個人向けの火災保険と大きく異なるのは、「業種」が保険料の算出に関わる点と、売上高や事業規模といった要素が加味される場合がある点です。
また、資産規模が大きな法人の場合、保険会社が現場に赴いてリスク評価を行うことも珍しくありません。

このように事業用の保険は加入する企業ごとの状況に応じた設計が基本となるため、ウェブ上で手軽に料金が確認できる個人向け保険とは異なり、見積もりは保険会社や代理店に直接依頼するのが一般的です。

地震にも備えられるのか

このメディアを見てくださっている方の中に「地震保険」を知らない人はいないかと思いますが、実は一口に地震保険と言ってもいろいろあります。
一般的にいう地震保険は政府と損害保険会社が共同で運営する制度であり、住居(居住用建物・家財)が補償の対象です。
そのため、事業用の建物や設備・商品に対する地震リスクには、この地震保険は使えません。

事業用の建物や財物の地震への備えとしては、それぞれの企業向け総合保険が設けている「地震危険補償特約」などに加入することが一般的な方法です。
ただし、すべての企業向け総合保険に同じ地震特約があるとは限りませんし、建物の所在地や条件によっては特約を付けられない場合もあります。

また、火災保険や事業用の保険に加入していなくても単独で入れる地震補償保険というものも存在しています。
こちらは通常の地震保険と併用できる他、「地震に備えるために”火災保険にも加入しないといけない”」といった縛りがありません。その分保険金支払いの額やルール、保険料なども他の保険とは異なります。

具体的にどのようなケースに保険金が支払われるのかをしっかり確認してから選ぶようにしましょう。

なお、自宅兼事務所のような「併用住宅」の場合、条件次第で個人向けの火災保険に加入できることがあり、その場合は政府の地震保険に加入できます。

しかし、業務で使用する機材など、日常生活の「家財」に該当しないものは補償の対象外となることがあります。
また、そもそも併用住宅の場合は個人向け火災保険への加入にもいくつかの条件や審査があるため、会社の建物や財物の地震リスクをこちらでカバーしようとするのは難しい場合が多いでしょう。

事業用火災保険の選び方

事業用火災保険を選ぶ際には、価格だけで比較するのではなく、自社のリスク実態に合っているかどうかを軸に検討することが大切です。
以下に、チェックしておきたい主なポイントをまとめました。

補償の内容を自社のリスクに合わせて確認する

企業向け総合保険は、カバーするリスクの範囲を自社の状況に合わせてカスタマイズできることが大きな特徴です。

飲食店・製造業・事務所・倉庫業など、業種によってリスクの種類は大きく異なります。
たとえば、飲食店なら食中毒に関する補償や施設賠償責任、製造業なら製造物責任(PL)への備えが重要になるでしょう。

基本補償だけで十分かどうか、また特約で追加すべきリスクはないかを、保険会社や代理店の担当者とじっくり相談しながら設計することをおすすめします。

複数拠点をまとめて契約できるかを確認する

複数の事務所・店舗・倉庫を持つ企業の場合、それぞれの物件で個別に保険に入るのか、ひとつの契約でまとめてカバーする「包括契約」を活用するのかで、管理のしやすさや保険料が変わってきます。

包括契約には契約手続きの効率化や保険料の最適化というメリットがある一方で、物件ごとに免責金額や補償条件が異なる場合もあります。
「新たに物件を取得した際も、一定額まで自動的に補償される」という仕組みを持つ商品もありますので、事業の拡大が見込まれる場合は特に、包括契約の内容を詳しく確認しておくとよいでしょう。

免責金額(自己負担額)を把握しておく

免責金額とは、損害が発生した際に契約者が自己負担する金額のことです。
たとえば免責金額が10万円に設定されていれば、10万円以下の損害は補償されず、すべて自己負担になります。
免責金額を高く設定すると保険料を抑えられる反面、小さな損害には保険が使えなくなります。

事業用の場合は個人向けよりも損害額が大きくなりやすいため、どの程度の損害まで自己負担できるかを踏まえて、無理のない免責金額を設定することが重要です。
加えて、免責金額は1円単位で自由に設定できるわけではなく、ある程度の設定枠が保険商品ごとに設定されていることが一般的です。
事前に設定された金額が企業規模や想定しうるリスクに見合ったものかどうかも、保険選びでは重要なポイントになります。

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設備・商品の補償のされ方を確認する

設備や商品については、事前に申告した金額を保険金額として設定するのが基本ですが、在庫が多い時期などに申告以上の財物があった場合、超過分が補償対象外になる可能性があります。
「超過分も自動的に補償される仕組みがあるか」「申告方法はどうなっているか」などを事前に確認しておくと、いざという時に補償が不足するリスクを防ぐことができます。

また、商品・製品については屋外に置いてある場合は補償対象外となる商品もあるため、保管場所ごとに補償の対象になるかどうかも確認しておきましょう。

地震への備えとなる特約の内容を確認する

先ほど説明したように、事業用の建物や財物の地震リスクは、企業向け総合保険の「地震危険補償特約」などで対応するのが一般的です。
ただし、地震特約の補償範囲や支払条件は商品によって異なります。

「全損でなければ支払われない」「一部損の場合は補償割合が変わる」といった条件が設定されていることもあるため、実際にどのような状況で保険金が支払われるのかを細かく確認することが大切です。
また、建物の所在地によっては特約を付けられない場合もあることを念頭に置いておきましょう。

加入前の審査について理解しておく

事業用の火災保険に加入する際には、個人向けの保険よりも詳細な審査・手続きが求められることが多いです。
建物の構造や面積、業種、事業規模、過去の損害発生状況などの情報提供が必要であり、資産規模が大きい場合は現地確認が行われることもあります。

また、審査完了までにかかる期間は状況によって異なり、すぐに契約が成立するとは限りません。
事業の開始・移転・更新のタイミングに合わせて保険の準備を進めたい場合は、余裕を持ったスケジュールで動くことをおすすめします。

「いつから補償が始まるのか」「審査にどれくらいかかるか」を事前に担当者に確認しておくと安心です。

まとめ|事業用火災保険は事業継続のために備える保険

事業用火災保険(企業向け総合保険)は、火災・自然災害・賠償責任・休業損害など、事業に関わるさまざまなリスクをまとめてカバーできる保険です。
個人向けの火災保険とは異なり、業種・事業規模・物件の状況に応じてオーダーメイドで設計するのが基本であり、選ぶ際には補償内容・免責金額・地震特約の有無などを丁寧に確認することが重要です。

万が一の災害や事故で事業が止まってしまえば、顧客への影響だけでなく、従業員の雇用にも関わります。
事業用火災保険は、事業を継続させるための備えとして、ぜひ早めに検討しておきたい保険のひとつです。
保険会社や代理店に相談し、自社のリスクに合った補償設計を整えることからはじめてみましょう。

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