火災保険は過去10年間で4回も値上げされています。
特に2022年と2024年は値上げ率が過去最高を連続で更新しており、どのような理由でここまで値上げが続いているのか、また、実際に保険料が上がったらどうしたらよいのかを解説します。
火災保険料が上がっても慌てず、しっかりと補償内容や契約内容を確認して、より自分に合った保険に見直していきましょう。
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保険料の値上げ理由
火災保険の保険料は大きく分けて「純保険料率」と「付加保険料率」から構成されています。
保険料が値上げされる場合、この純保険料率と付加保険料率のどちらかが上がります。
いずれの場合も、時代の変化に合わせて保険内容を維持・進化させるために費用がかかり、結果的に保険料が引き上げられてしまうケースが多いです。
ただし、一律に全員が同じように値上げされるわけではなく、リスクの高い補償や地域、物件の構造など、さまざまな要因を加味して見直されるのが特徴です。
ここでは、具体的にどの部分が値上げしているのか、その理由を見ていきましょう。
純保険料率(参考純率)の値上がり理由
純保険料率は、損害保険料算出機構が算出する参考純率の動きに大きく影響を受けます。
参考純率とは、損害保険各社が過去に受けた事故例や支払った保険金額などを元に、最新のリスク状況を反映して決定される保険の基礎料率のことです。
参考純率が上昇すれば、自然災害などで支払う可能性のある保険金が増えると見込まれるため、それに合わせて純保険料率も上がりやすくなります。
自然災害の大規模化・頻発化
2024年は台風シーズンが長引いたほか、台風以外の温帯低気圧による豪雨など、さまざまな災害が全国各地で起こりました。
被災の頻度が増えると保険会社が支払う保険金も増加し、その分、保険料として加入者から集める資金が必要になるため値上げにつながります。
建築資材の高騰
建物を再築するための資材価格が上がると修繕・復旧費用が高額化します。
再築費用をベースに保険金を支払う火災保険では、支払い保険金の増加が見込まれるため、保険会社に負担がかかってしまいます。
十分な保険金を支払えるように保険会社が保険料の見直しが行うことで、保険料が値上げされる可能性があります。
対象物の老朽化
古い建物は新しい建物と比べて耐火性・耐震性・耐久性が弱いケースが多く、災害被害を受けると修繕にかかる費用も大きくなりやすいです。
特に近年の自然災害は複合的・大規模化しており、老朽建物へのダメージがより深刻化するため、保険料率の値上がり要因となっています。
災害の複雑化
昔、例えば15年前の火災保険では想定していなかった二次被害など、災害時のリスクは年々複雑化しています。
そのため、様々なリスクに備えられるようにと保険料の見直しが行われ、また長期契約の上限も最長5年まで縮小されました。
特定の補償に対するリスク管理
2024年の値上げでは水災補償が大きく見直されました。
『自然災害の大規模化・頻発化』でも触れましたが、近年は台風や豪雨による被害が大きくなってきています。
そして建物の周囲にある河川の規模、立地、地盤などによって水災の被害を受けやすい建物とそうではない建物があるため、2024年の値上げでは市区町村レベルでリスクを区分し、リスクが高い区分を重点的に値上げされるといった特徴があります。
今後も、地震保険など他の補償が見直される可能性があるため注意が必要です。
付加保険料率の値上がり理由
一方、付加保険料率は保険会社の経費やサービス拡充にかかる費用/span>をまかなう部分を指します。 どの保険会社でも確実に経費や申請件数が増えていると明言することは難しいですが、逆に言うと上記の2点は保険に限らず世間一般の多くの企業に当てはまる傾向でもあります。 また、付加保険料率の値上げは、純保険料率とは違い明確な理由が公表されにくい内容です。 ここでは、過去10年ほどの値上げの歴史と平均値上げ率を一覧にしてみます。 ※上記データは公表情報や各保険会社からのニュースリリースを参照し再編集したものです。 2024年の改定では、水災補償の保険料を市区町村単位でリスク(等地)を分ける仕組みに移行しました。 上記はあくまでも理論値で、自由設計型保険などで水災補償をそもそも付けていない人が多い場合、値上げ率はまた異なる結果になります。 築年数が古い建物ほど、損傷や被害のリスクが高くなることから、保険料が大幅に上がりやすい傾向があります。 また、築年数に関する保険加入条件に関しても、上限の築年数が下げられました。 そういった場合、交渉によっては保険に加入できるケースもありますので、詳しくは下記の記事をご覧ください。 従来は「火災保険 = 免責金額はどの補償でも一律」という考え方が主流でしたが、近年の改定では補償ごとに異なる免責金額を設定できようになりました。 それに加えて、例えば築30年以上の風災や漏水リスクに対しての免責金額が変更されるなど、値上げのタイミングで細かい条件を調整する保険会社もあります。 リスクが低い補償に関しては、免責金額を上げることで保険料をおさえられる可能性があります。 ここ最近の物価高騰に伴い建築資材も高騰しており、建物の延べ床面積や構造(木造・鉄骨造など)ごとに設定される「建築単価」も引き上げられることがあります。 一部保険についてはこちら かつては30年などの超長期契約が存在し、割引率も高かったのですが、自然災害リスクの変化などを踏まえて長期契約の上限は現在5年が一般的です。 今後は長期一括払いの割引自体が無くなるとも言われており、その代わりになる割引制度が実施されるかどうか、各保険会社の動きに注目しましょう。 火災保険料の値上げ情報が発表されると、「今すぐ保険を見直しして保険料を安くしよう」と焦る方が多いのですが、実は改定内容次第では保険料が下がるケースや新たな割引制度が追加されるケースもあります。 ここからは、火災保険が値上がりした時に検討すべきポイントを紹介します。 保険料の値上げは、参考純率の変更だけではなく保険会社独自の判断で行われるため、各社が一斉に、同じ時期に横並びで値上げを実施するとは限りません。 会社によって実施時期が異なることも多いので、いつ・どの部分が・どういう理由で値上げになるのか、まずは情報収集をしましょう。 そのうえで自分の契約内容がどの程度影響を受けるかを確認し、必要があれば保険代理店などに相談してから見直すと安心です。 水災リスクが高い地域ほど、保険料が上がりやすいのは確かです。 がけ崩れや地滑りなども水災補償の対象になるケースがあるため、洪水ハザードマップだけでなく、自分の家がある場所の地盤や過去の事例を踏まえて判断する必要があります。 マンションの上階なら不要、という場合もありますが、不安な方は保険代理店に相談するとよいでしょう。 過去の改定でも、築浅割引や補償ごとの免責金額設定など、保険料を引き下げる新たな割引制度が追加されたことがあります。 火災保険の補償項目ごとに免責金額を設定できる商品の場合、リスクが低い補償は免責金額を上げることで保険料を軽減できます。 しかしよく確認してみると、お客様の家の近くにあるという川は農業用水用の川で水門がついている河川。 こういう場合、念のために水災補償を付けていたとしても、免責金額を下げることでリスクへの備えと保険料のバランスをとることが出来ます。
2024年8月に南海トラフ地震の注意の呼びかけがあったように、近いうちに大型地震が来る可能性が高いと世間で認識されており、それを受けて地震保険も値上げする可能性を懸念する声が増えています。 地震保険は建物の再建が目的というより、被災後の生活再建を支援する性格が強い保険です。 保険料が値上げしたのに十分な保険金が支払われない可能性があるなんて、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、だからといって既に加入している地震保険を解約することはお勧めしません。 地震保険料の負担を減らしたい場合は、免責金額(自己負担額)の設定を見直すなど、火災保険&地震保険全体で保険料をおさえる工夫をしましょう。 この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています! メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
自然災害のリスク上昇という“避けられない理由”<ほど大きく公表されないことが多いですが、実際には下記のような理由で上がっています。
新サービスの開発費など、保険商品の魅力をアピールすることにつながる事柄の場合は値上げの理由の一つとして公表されることもあるでしょうが、そうではない場合は純保険料率を値上げする際に一緒に値上げしている傾向があると思います。過去の値上がりの理由から見える傾向
たとえば2022年10月は純保険料率が平均10.9%上がり、2024年は全国平均で13%アップと言われています。
値上げのたびに保険料だけでなく、保険の内容そのものも改定されることがあるので、単に「上がるから嫌だな」で終わらず、改定内容をしっかり把握することが大切です。
年度
平均値上げ率
主な内容
2008年
約8~9%アップ
参考純率の見直し
2015年
約2~3.5%アップ
自然災害リスクを部分的に加味
2019年
約5~6%アップ
水災リスクの算出方法改定
2021年
約3~5%アップ
長期契約縮小に伴う補償見直し
2022年10月
約10.9%アップ
純保険料率の大幅アップ
2024年
約13%アップ
水災補償の細分化強化
(参考:一般社団法人日本損害保険協会)水災の等地設定
大規模な水災時に備えるため、「水災リスクが高い地域から、保険金の原資を多めに回収しよう」というのが狙いです。
ただし、水災のリスクが低い地域でも値上げする可能性はゼロではありません。
1等地
2等地
3等地
4等地
5等地
約6%ダウン
約2%ダウン
±0
約5%アップ
約9%アップ
築年数の区分細分化
場合によっては老朽化しすぎていて保険加入が厳しくなるケースもあるため、今後も注意が必要です。
古民家などは保険商品によっては加入すらできないという状況になりつつあります。
免責金額設定
建築単価の改定
この場合、再建築費が従来よりも高く見積もられるため、保険金額の設定を低めにしていると「一部保険扱い」となり、割増料率が適用される可能性があるので注意が必要です。 
長期契約の縮小
それに伴い、長期一括払いの割引率も低下しているのが現状です。 火災保険が値上がりした時にチェックするポイントと保険料を安く抑える方法
値上げの理由や値上げと同時に行われる改定の内容をきちんと確認してから、それに合わせた見直しをすることが大切です。見直しのタイミング

水災を外すかどうかの判断は慎重に
しかし、同じ市区町村内でも家の立地条件によってはリスクの差が大きく異なります。割引をチェック
逆に長期契約一括払いによる割引率は年々縮小しており、今後は廃止される可能性も指摘されています。
値上げの報道だけに反応するのではなく、同時に追加や改定された割引制度を確認して、保険料をできるだけ安く抑える工夫をしましょう。 免責金額の設定
たとえば水災リスクがほぼないと判断できる場所なら、補償を外すか、もしくは免責金額を高めにして備えるといった調整が可能です。
その際は、「本当にその補償が不要かどうか」を慎重に判断してください。
お客様に見直しを頼まれたときに、水災リスクが低いのに水災補償に入っていた人がいました。
理由を聞いたところ、保険に加入する際に保険代理店で「近くに川はありますか?」「あります」というやり取りをしたことで『水災を付けることを勧められたから』だそうです。
この川は増水しても水門を閉じればOKで水災リスクが本来は低い川で、周囲にがけ崩れや土砂災害の心配がある高地もない地域でした。保険金額の確認
国と保険会社の支払い分担が決まっているため、大災害が続いた場合、保険金が減額される条件がある保険会社もあります。
どのくらいの規模で保険金が減額されるという明確な指標はありませんが、2011年の東日本大震災では保険金の減額は行われませんでした。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
火災保険料の値上げについて皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
火災保険料の値上げについてまとめ
詳細と自分の契約内容を確認してから見直しをするべし。
値上げが発表されても、すぐに飛びつかず「いつ、どの補償が、どの程度上がるのか」を見極めてから行動することが大切です。
保険会社によって時期や上げ幅がずれる可能性もありますし、割引制度の追加など逆に保険料が下がる要素もあるかもしれません。火災保険は家や家計を守る重要な備えですから、信頼できる保険代理店に相談しながら、必要な補償を必要な分だけ付けて上手に契約していきましょう。





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