地震保険は火災保険と合わせて加入することもあり、保険料が負担になりがちです。
割引制度が設けられてはいますが、その条件はやや複雑で、建物の状態によって適用できる割引や割引率が大きく変わります。
とくに築年数が古い住宅やマンションでは、そもそも割引が使えるのかどうか分からないまま契約しているケースも少なくありません。
この記事では、単なる割引制度の一覧紹介ではなく、実際にどの割引が使えるのか、使えない場合はどうすればいいのかといった、契約者目線の耳寄り情報を解説します。
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地震保険の割引の種類と条件
地震保険には、建物の耐震性能に応じて利用できる割引制度があります。
使えるのは次の4種類のうちいずれか1つだけで、複数の割引を併用することはできません。
条件に当てはまる場合は、最も割引率が高いものを1つ選ぶのが基本です。
耐震等級割引
住宅性能表示制度に基づく耐震等級(1〜3)を取得している建物が対象です。
耐震等級に応じて、等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%の割引が適用されます。
確認できる主な書類には、住宅性能評価書(設計・建設)や、長期優良住宅の認定書類などがあります。
新築住宅では取得しているケースも多いものの、取得していることを証明する書類を提出しなければ割引は適用されません。
- 設計住宅性能評価書
参考リンク(国土交通省HPのPDFを開きます) - 建設住宅性能評価書
参考リンク※同上(国土交通省HPのPDFを開きます)
免震建築物割引
品確法に基づく免震構造の建物が対象で、割引率は一律50%です。
免震装置によって地震の揺れを建物に直接伝えにくい構造であることが評価されます。
分譲マンションでは、管理組合が保管している建築資料や、販売時のパンフレットなどで確認できることが多く、個人で専門的な調査を行う必要はありません。
- 設計/建物住宅性能評価書
参考リンク(国土交通省HPのPDFを開きます) - 管理組合の証明書
- 長期優良住宅の技術的審査適合証
参考リンク(PDFを開きます)
耐震診断割引
こちらは新築住宅ではなく中古物件向けの耐震・免震診断から建物の強度をはかる割引制度です。
耐震診断の結果、1981年6月1日施行の建築基準法と同等以上の耐震性能があると評価された建物が対象で、割引率は10%です。
旧耐震基準の建物でも、耐震補強工事を行ったあとに診断を受けることで適用できる可能性があります。
ただし、どの診断でも使えるわけではなく、診断方法や実施機関、診断結果の書式には条件があります。
- 耐震診断結果報告書
参考リンク(国土交通省HPのPDFを開きます) - 耐震診断結果通知書(自治体発行)
- 耐震診断書(建築士等が作成したもの)
建築年割引
1981年6月1日以降に新築された建物を対象とする割引で、割引率は10%です。
この日付は、耐震基準が大きく見直された「新耐震基準」が施行された日であり、地震に対する安全性が一定以上確保されていると評価されます。
登記事項証明書などで建築年月日を確認できます。
- 登記事項証明書
- 建築確認書
- 重要事項説明書
- 検査済証
- 固定資産税課税明細書
各書類については、お家ドクター火災保険Webのサイトで解説されていました。
ぜひ併せてご参考ください。
どれが使える?地震保険割引チェックシート
ここからは、順を追って自宅にどの割引が使えるのかを確認していきましょう。
前提
まず押さえておきたい前提条件があります。
賃貸住宅の場合、建物の地震保険は大家が契約するため、入居者が耐震・免震に関する割引を使うことはできません。
一方、マンションは販売時に耐震性や免震構造がセールスポイントとして示されていることが多く、条件を当てはめやすい傾向があります。
すでに地震保険に加入している場合、加入時に割引を適用していなければ、後から追加するのは難しいケースが多いのが実情です。
ただし、契約の更新時や契約し直しのタイミングで見直せる場合もあり、対応は保険会社によって異なります。まずは保険会社や代理店に相談してみましょう。
築年数
建物が1981年6月1日以前に建てられている場合、建築年割引は使えません。
この場合に選べる割引制度は限られます。
| 割引制度 | 適用可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 建築年割引 | 不可 | 新耐震基準以前のため |
| 耐震等級割引 | 原則不可 | 後付け取得は現実的でない |
| 免震建築物割引 | 理論上可 | 実例はほぼなし |
| 耐震診断割引 | 可能性あり | 診断結果次第 |
耐震診断割引は、診断で新耐震基準と同等以上と評価されれば使えますが、診断には費用がかかります。
一戸建ての場合、簡易的な診断で数万円程度、一般的な診断で10万円前後から、精密診断になるとさらに高額になります。
マンションの場合は規模が大きくなるため、1平方メートルあたり数千円といった面積ベースの計算が一般的です。
また、建物全体で診断を行う必要があるため、入居者が個別に依頼する形にはなりません。
書類を確認
割引の可否は、書類でほぼ判断できます。
手元や管理先にある、以下の書類を一度確認してみましょう。
- 住宅性能評価書
- 建築確認書
- 登記事項証明書
- 管理組合の資料
- 販売時パンフレット など
マンションの場合
マンションでは、管理組合や販売した不動産会社に確認するのが近道です。
販売時のパンフレットに免震・耐震等級が明記されているケースも多く、同じマンションの居住者が地震保険の割引を使っている場合、あなたも同じ割引を使える可能性が高いと考えられます。
ただし、増改築している、一部住戸のみ構造が異なるなど、特殊な事情がある場合は例外になることもあるため注意が必要です。
どれも当てはまらない場合
どの割引制度にも当てはまらない人もいます。
ただし、地震保険は被災後の生活再建を支えるための備えです。
割引が使えないからといって、すぐに諦めてしまう必要はありません。
保険料の負担を抑えたい場合、保険金額(評価額)を下げたり、共済に切り替えるといった方法もあります。
それでも、できるだけ補償額を確保したい人は、次の節約術も確認してみましょう。
追加でチェックしたい保険料節約術
割引制度以外にも、保険料の負担を軽くする方法があります。
長期契約による割引係数
地震保険では、長期契約にすることで保険料が割安になる仕組みがあります。
割引制度という名称ではありませんが、契約年数が長いほど、1年あたりの保険料は抑えられます。
火災保険自体の割引もチェック
火災保険には、保険会社独自の割引制度が用意されていることがあります。
ダイレクト型保険では、ネット割やペーパーレス割などが代表例です。
保険会社ごとに内容が異なるため、加入時には必ず確認しておきたいポイントです。
地震保険は控除が使える
地震保険料は、年末調整や確定申告で「地震保険料控除」の対象になります。
支払った保険料の一部が所得控除されるため、結果的に税負担を軽減できます。
詳しくは、こちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ
地震保険の割引制度は、建物の耐震性能によって使えるものが大きく変わります。
とくに築年数が古い住宅では選択肢が限られますが、耐震診断割引や契約方法の工夫など、現実的な対策は残されています。
まずは自宅がどの割引に当てはまるのかを整理し、割引が使えない場合でも契約設計や節約術を見直すことで、無理のない地震保険加入につなげていきましょう。




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