あなたの自宅や店舗で現金や貴金属が盗まれたとき「火災保険では補償されない」と思い込んでいませんか。
実は、多くの火災保険には盗難補償が組み込まれており、正しく請求すれば保険金を受け取れるケースが珍しくありません。
本記事では保険代理店 家禄堂(かろくどう)の実際の相談事例をもとに、個人用と事業用それぞれの火災保険で盗難被害をカバーする仕組み、請求の流れ、そして保険金が下りない NG 例までを詳しく解説します。
同じような被害で悩む方の手助けになれば幸いです。
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実際にあった盗難補償の相談例
別の保険代理店経由で店舗用(事業用)の火災保険に加入していたオーナー様から「店内で売上金が盗まれたが保険でカバーできないと言われた」という相談がありました。
その代理店は不動産会社が兼業しており「現金だけ盗まれたなら火災保険は使えない」と回答したのです。
このタイミングで「本当に補償してもらえないのかな?」とご相談をいただきました。
そしてご契約されている火災保険を確認したところ、なんと実際は現金の盗難も補償対象に含まれていたのです。
実際に契約している保険代理店に再確認を促したところ、現金・預貯金証書を盗難された場合の補償について把握できていなかったそうで、最終的に保険金が支払われ、被害額の大部分を補填できました。
なぜ保険代理店なのに補償内容を詳しく把握できていなかったかというと、その代理店の本業は不動産屋であり、代理店資格を所有してはいますが貸店舗を契約する人に向けて火災保険を紹介する程度だったからです。
保険代理店と不動産屋を兼業する業者が全てこのように保険知識が乏しいと言うわけではありませんが、こういった事例は割とよく見られます。
よくあるとはいえ、何かあった時に保険代理店が力になってくれないのは困りますよね。
他にも火災保険は『実は補償してくれる事故』『補償してくれると思っていたのに対象外だった事故』などがあり、色々と複雑です。
もし加入中の保険について不安なことがあれば、専業の保険代理店に相談してみましょう。

店舗や事務所で盗難被害にあった場合
事業用火災保険には「設備・什器補償」や「店舗総合保険」など名称はさまざまですが、テーブル・イス・パソコンといった什器備品だけでなく、店内に保管している現金・通帳などの盗難もセットで補償する特約が一般的です。
この契約は補償や特約という形態ではなく、保険をかける対象に設備・什器を含めると自動で現金等も補償されるなど、保険商品によって細部が異なります。
補償限度額なども同様に保険商品によって異なりますが、平均的な金額で例を出すと、このような感じです。
| 項目 | 内容 | 限度額(例) |
|---|---|---|
| 現金 | 売上金・つり銭準備金など | 30万円まで(特約で100万円まで拡張可) |
| 預貯金証書 | 通帳・キャッシュカード等。 印鑑と同時に盗難に遭うと口座から引き出されるリスク |
300万円まで(特約で1,000万円まで拡張可) |
上記金額は特定の保険商品の情報を記したものではなく、平均的な例としてあげています。正確な金額は各保険商品の案内をご確認ください。
売上を入金している通帳や、大口現金を保管している場合は被害が高額化しがちです。
限度額を超える部分は自腹になるため、必要に応じて特約で上限を引き上げるか、現金管理を見直しましょう。
さて、冒頭のオーナー様が保険金を一度は断られた理由は『設備・什器の補償に金品が含まれることを知らなかった』点にあります。
盗難にあったのは現金だけだったので、『設備と什器に損害がない = 火災保険の対象外』と早合点してしまったわけです。
事業用火災保険を契約する際は、ご自分でも約款と公式サイトを読み込み、万一に備えてください。
自宅で盗難被害にあった場合
個人向けの火災保険では「家財」を保険の対象に含め、さらに「盗難補償」を選択していないと補償されません。
ただし、補償範囲・限度額・自己負担額は商品によって大きく異なるため、代表的な5商品を整理しました。
- 必要な補償:盗難・水ぬれ等補償+ 家財補償契約
- 建物:盗難で壊された窓・ドアなどの修理費用
- 家財:盗まれた家財の再調達費用・破損家財の修理費用
- 現金・預貯金証書:現金は1事故 20万円、預貯金証書は200万円または家財保険金額のいずれか低い額
- 必要な補償:盗難の補償+ 家財の補償
- 建物:ドア・窓ガラス等の修理費用
- 家財:盗まれた家財の再取得費用・破損家財の修理費用
- 現金・貴金属等:現金は1事故 20万円が目安。宝石・貴金属は契約時に設定した限度額
- 必要な補償:外部からの衝突、水濡れ(みずぬれ)、盗難などの補償+ 家財の補償
- 建物:侵入時に破損した窓ガラス・ドアの修理費用
- 家財:盗まれた家財または破損家財を補償
- 現金:1事故 20万円まで
- 必要な補償:基本補償(盗難・水濡れ等リスク)+ 家財補償契約
- 建物:空き巣被害で壊れたドア・窓・鍵の交換費用
- 家財:盗まれた家財の再調達費用や修理費用
- 現金・貴金属等:契約時に設定した限度額内で補償(自己負担額を選択可能)
- 必要な補償:盗難補償+ 家財補償契約
- 建物:盗難に伴い保険の対象に発生した損傷または汚損等の損害修理費用
- 家財:盗まれた家財の再取得費用・破損品の修理費用
- 現金:1事故 30万円まで。預貯金証書は 300万円または家財保険金額のいずれか低い額
上記のように「盗難+水ぬれ」をセットにした補償もあれば、自己負担額を0円〜10万円まで※細かく設定でき、保険料を抑えられる商品もあります。
※盗難と他の事故の補償がセットになっている補償の場合、自己負担額(免責金額)は下限に制限があるケースがあります。
自宅の防犯環境や高額品の保有状況に合わせて、補償の有無と限度額を見直してみてください。
盗難補償の請求方法
盗難は人為的被害のため、自然災害とは請求フローが少し異なります。
一般的な流れは次のとおりです。
- 警察署に連絡
保険会社に提出するための受理番号入りの書類も取得します。 - 保険会社または保険代理店に連絡
早期連絡が望ましく、契約した代理店に相談すれば連絡や手続きの補助を受けられます。 - 書類・証拠の提出
盗まれた金種(売上金・つり銭など)の詳細や被害直後の写真、現場見取り図を求められることがあります。
被害状況の写真は片付け前に撮影しておきましょう。
また店舗の場合、つり銭準備金と売上金の区別が曖昧だと金種確認に時間がかかるため、日常から管理簿を整備しておきましょう。
盗難補償の保険金が下りない NG 例
保険会社が行う保険金を支払うかどうかという審査に関しても、火災や水災などの補償とは少々異なります。
場合によっては保険金をもらえなかったり、受け取った後に「返してください!」と言われる可能性が……。
その理由、ポイントを3つに分けて解説します。
犯人が捕まった場合
保険金支払い前に犯人が逮捕され、現金が全額戻ったときは、当然保険金は給付されないでしょう。
また、保険金支払い後に犯人が逮捕され盗まれた現金等が戻ってきた場合は、受け取った保険金を保険会社に返還する必要があります。
ただし、盗難の際に壊された建物の設備や什器の修理費用として支給された部分は返還対象外です。
この辺りは各保険商品の案内に明記されているはずですので、パンフレットや約款などをご確認ください。
内部犯行(従業員・同居家族など)の場合
契約者または被保険者による故意・重大な過失が判明すると保険金は下りない可能性が高いです。
保険金をお支払いできない主な場合
●ご契約者や被保険者またはこれらの方の法定代理人の故意もしくは重大な過失または法令違反
出典:お家ドクター火災保険Web
このように、身内の犯罪によって起きた被害は補償しないという条件が各保険商品で定められています。
保険会社は警察の捜査結果を直接知ることが難しく、かつ盗難事件の犯人が捕まる前に保険金申請がくることを踏まえて、内部犯行かどうかを判断するために契約者から事故の詳細を確認します。
その際の判断ポイントは、侵入経路。
外部の犯行だった場合は当然出入り口のどこかから不法侵入しており、ピッキングや窓ガラスの破損といった形跡が残ります。
もし出入り口にそういった形跡が残っておらず、『自由に出入りできる人が盗んだのでは?』と判断されると、保険会社に内部犯行の可能性が高いと認識される可能性があります。
保険会社に事故の詳細を知らせる際は、嘘をつく必要は無いですが内部の犯行だと勘違いされてしまうかもしれないワードは言わないように気を付けましょう。
ガラスの破片が建物の外側に落ちていた、という一見何の変哲もない一言も要注意です。
なぜガラスの破片の位置がNGワードなの?というのは、こちらの記事で解説しています。

補償対象外の場所で盗まれた場合
火災保険は「保険の対象建物内」での損害に限られます。
例えば店舗の場合、売り上げを入金しに行く途中でひったくりにあったとしたら、店舗用火災保険では補償されません。
住居用火災保険であっても、マンション住まいなら専有部か共用部かで扱いが変わります。
戸建ての場合、庭などの敷地内なら補償されますが、知り合いに貸した貴金属類が知り合いの家で盗まれたなどの状況では、やはり補償されないでしょう。
保険の対象となる建物の中では補償対象でも、一歩外に出れば補償されなくなりますので、契約前に補償が効く範囲を確認しておきましょう。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
まとめ
火災保険=火災しか補償されないという先入観を持っていると、損をする可能性があります。
事業用の設備・什器補償、個人用の盗難補償・家財補償を付帯していれば、現金や通帳の盗難も保険でカバーできます。
ただし、限度額や自己負担額、請求手続きは保険により異なり、申請時の手順や事件解決後の返金義務など注意点も多岐にわたります。
万一に備え、約款などの契約書をよく読み、疑問点は必ず専門家に確認しましょう。
知らなかったでは済まされない盗難補償。この記事や動画を見て、今日から見直しを始めてみてください。





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