今回は、飛来物・落下物・衝突補償について解説します。
この補償を付帯することで多くの事故が補償されますが、補償内容が多岐にわたるため、かえってよく分からないという印象をお持ちの方も少なくありません。
代表的な火災保険情報や事故例を基に、飛来物・落下物・衝突補償の内容を詳しく分かりやすくご説明します。
忙しい人はこちら
飛来物・落下物・衝突補償とは
この補償は、端的に言うと建物外部からの飛来物・落下物・衝突によって生じた損害を補償するというものです。
保険会社や商品によっては、本補償が他の補償と組み合わされ、ひとつの特約としてまとめられている場合があります。
非常に便利であるため、自由設計型保険などではぜひ検討して欲しい補償ですが、「字面だけでは具体的な事故がイメージしづらい」「補償が多種多様で分かりにくい」と感じられる方もいらっしゃるでしょう。
分かりやすくするため、代表的な5つの火災保険商品を比較いたします。
実際にどのような補償なのか、一緒に深堀りしてみましょう。
お家ドクター火災保険Webにある飛来物・落下物・衝突関連の補償
- 保険会社:日新火災海上保険
- 補償名:盗難・水ぬれ等補償
- 飛来物:○(外部からのもの)
- 落下物:○(外部からのもの)
- 衝突:○(外部からのもの、および内部の衝突・接触)
- その他:盗難、水ぬれ、騒擾・集団行動・労働争議に伴う暴力行為・破壊行為
- 自己負担額:基本0円から選択可能、水ぬれ事故のみ5万円スタート
詳しくはこちら→ direct.nisshinfire.co.jp
お家ドクター火災保険Webは、敷地内で起きた衝突や接触による事故も補償の適用範囲です。
『建物内部での車両もしくはその積載物の衝突もしくは接触』と書かれているので、自動車保険との重複に注意しましょう。
新ネット火災保険にある飛来物・落下物・衝突関連の補償
- 保険会社:ソニー損保
- 補償名:漏水による水濡れ、飛来物や外部からの物体の衝突などの補償
- 飛来物:○(外部からのもの)
- 落下物:○(外部からのもの)
- 衝突:○(外部からのもの)
- その他:水濡れ、騒擾等に伴う破壊行為
- 自己負担額:0円/3万円/5万円から選択可 ※所定の基準で全損認定された時は、建物のみ免責なし
THE すまいの保険にある飛来物・落下物・衝突関連の補償
- 保険会社:損保ジャパン
- 補償名:外部からの衝突、水濡れ、盗難などの補償
- 飛来物:○(外部からのもの)
- 落下物:○(外部からのもの)
- 衝突:○(外部からのもの)
- その他:水濡れ、盗難、騒擾・集団行動などに伴う暴力行為
- 自己負担額:5万円~
詳しくはこちら→ www.sompo-japan.co.jp
トータルアシスト住まいの保険にある飛来物・落下物・衝突関連の補償
- 保険会社:東京海上日動
- 補償名:盗難・水濡れ等リスク
- 飛来物:○(外部からのもの)
- 落下物:○(外部からのもの)
- 衝突:○
- その他:盗難、水濡れ、労働争議等に伴う破壊行為 など
- 自己負担額:5万円~
詳しくはこちら→ www.tokiomarine-nichido.co.jp
GKすまいの保険にある飛来物・落下物・衝突関連の補償
- 保険会社:三井住友海上
- 補償名:破損・汚損等補償(の中に落下・飛来・衝突事故を包含)
- 飛来物:○(破損・汚損等補償内でカバー)
- 落下物:○(同上)
- 衝突:○(同上)
- その他:偶然な破損・汚損事故 等
- 自己負担額:0円/3万円/5万円から選択可(商品設計により異なる)
このように、具体的な補償範囲は商品ごとに微妙に異なります。
そして注意しなければならないポイントとして、例え基本補償に含まれていたとしても、契約時のプラン設定などで飛来物・落下物・衝突補償を外すことが出来るという点があげられます。
保険料は契約している補償の数によっても変わるため、補償を必要最低限に絞ることで安く抑えることが出来ます。これが自由設計型火災保険が人気な理由です。
さてどの補償を外そうか、という段階で候補に挙がりやすいのが、必要と思えない補償や、何を補償してくれるのかが良く分からない補償です。
「飛来物・落下物・衝突」なんて聞いても、身近な事故のイメージと結びつかないことから、この補償は外されがち…。
火災や水災のように大きな損害にはならない可能性が高いですが、しかし日常生活において損害を受ける可能性がある頻度に関してはこちらの方が上だと考えています。
その理由として、飛来物による事故、落下物による事故、衝突による事故で自宅が損害を受ける可能性や事例について詳しく解説していきます。
飛来物の事故とは?
ここからは各要素を詳しく掘り下げます。
まず「飛来物」とは、外部から飛んできた物によって生じた損害を指しますが、明確に飛来物と認識できない事故は補償対象外となります。
飛ぶ=その物体が空中で移動している、という状態で、飛んでいる最中に建物にぶつかったことで損害を受けた場合に、飛来物による事故として判定されます。
また、契約者や同居の家族が自宅に物を投げて傷をつけてしまった場合は、飛来物の補償では保険金の申請が通りません。
故意ではなく、予測できない状況で起きたといえる場合は、その他偶然の事故(汚損・破損)補償の対象になります。
飛来物の補償例
- 外から飛んできたボールでノートパソコンが壊れた(ソニー損保:新ネット火災保険)
- 外から野球のボールが飛んできて窓ガラスが割れた(損保ジャパン:THE すまいの保険)
- ボールが飛んできて窓ガラスが割れてしまった(日新火災:お家ドクター火災保険Web)
見事にボール関連の事故例ばかりが紹介されていますが、それだけボールによるガラス破損は日常的に起きているということでしょう。
すりガラスや網入り板ガラスなどだった場合、修理費も高額になりがちです。
子どもが多い住宅地や公園、学校、保育園・幼稚園に隣接する立地では、付帯しておくと安心でしょう。
落下物の事故とは?
落下物補償は、上空から落下してきた物が衝突したことによる損害を補償します。
こう聞くと、マンションの上階から物が落ちてきたというケースを想像するかもしれませんが、その場合バルコニーや共用廊下など、専有部分にあたらない箇所で発生する可能性が高いので、保険の対象の取り決めから補償されない可能性が高いです。
ではどのような状況だと落下物による事故だと判断されるかと言うと、正直日常的に起こりうるようなポピュラーな例はあまりありません。
近くにビルがあり看板が外れて落ちてきた、ドローンが不具合により落下し自宅の建物を傷つけた、ヘリコプター等から物が落ちてきたといった状況が考えられますが、ボールで窓ガラスを割られるという事故ほど頻繁に起きている印象はありませんね。
落下物の補償例
先述の通り、落下物により起きた損害を補償した例というのは、どの保険会社のHPにも記載がありませんでした。
ただ、事故例ではなく補償内容の説明テキストに、以下のような記述がありました。
- 取材中のヘリコプターから物が落下し、屋根に衝突した(損保ジャパン:THE すまいの保険)
落下物と飛来物の境界はあいまいですが、だからこそ同じ補償になっているのでしょう。
外から物がぶつかって建物が壊れた、傷ついたという場合は、落下物でも飛来物でも衝突でも、同じ補償で保険金を申請できると覚えておいてください。
衝突の事故とは?
衝突補償は、飛来物でも落下物でもない外部の力による損害を補償します。
よくある事例は、この後もご紹介しますが自動車などによる交通事故が原因というものです。
火災保険では、建物そのものではなく敷地内にある塀や門、柵、物置やカーポートなども建物の付属品として保険の対象になります。
衝突の補償例
- 自動車に当て逃げされ、塀が壊れてしまった(日新火災:お家ドクター火災保険Web)
- 自動車が運転を誤り自宅敷地内に突入し、壁を壊した(損保ジャパン:THE すまいの保険)
- 自動車が飛び込んできて建物が損害を受けた(東京海上日動:GKすまいの保険)
飛来物の補償例にある「ボールが飛んできて窓ガラスが割れた」という事例と同じように、どの火災保険HPでも自動車による衝突事故が事例としてあげられていました。
車両との衝突は件数が多いため、補償例としても定番です。
一緒に補償されることが多い損害の事故例・補償例
本補償と同じ特約で扱われやすい「盗難」「水濡れ」「騒擾・集団行動・労働争議に伴う暴力行為・破壊行為」についてもご説明いたします。

盗難補償
自宅に泥棒が侵入した際の損害を補償します。
家財が補償対象であれば、盗まれた物の再調達費用や現金(上限あり)も補償されることが一般的です。
建物が壊された場合の修繕費も補償対象に含まれます。
事故例:泥棒が家に侵入した際にドアのカギ穴を壊されてしまった。※警察への届出が必要です。(日新火災のお家ドクター火災保険Web)

水濡れ補償
漏水などにより被害を受けた場合を補償します。
ただし、一戸建てやマンションの最上階の戸室だった場合は、建物の構造が原因の雨漏りやすが漏れだと考えられるため、水濡れ補償では補償されません。
外部からの力で屋根が破損し、その穴から水が入って家の中が水浸しになった場合は、破損原因に合わせた補償が適用されます。
台風・竜巻:風災補償
豪雨:水災補償
飛来物や落下物:飛来物・落下物・衝突の補償
以上のことから、この補償はマンションの戸室、それも最上階から下の戸室に住んでいる人向けの補償です。
事故例:上階の部屋から水が漏れて家電が壊れた(ソニー損保の新ネット火災保険)

騒擾・集団行動・労働争議に伴う暴力行為・破壊行為
これは日常生活であまり見かけない言葉ばかりで、具体的な事故例が分かりにくいと思います。
誰もがそのように思っているからなのか、火災保険の公式HPにあるQ&Aに、詳しい説明が乗っていました。
Q.騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為とは、具体的にどのようなものを指しますか?
A.騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為とは、群衆または多数の者の集団の行動によって数世帯以上またはこれに準ずる規模にわたり平穏が害される状態または被害を生ずる状態であって、暴動(*)に至らないものをいいます。
*群衆または多数の者の集団の行動によって、全国または一部の地区において著しく平穏が害され、治安維持上重大な事態と認められる状態をいいます。
出典:騒擾(そうじょう)・集団行動等に伴う暴力行為とは、具体…/損保ジャパン
さらにわかりやすくするために重要なワードが、騒擾と暴動の違いについてです。
いずれも集団による行動を指しますが、その規模に違いがあります。
「騒擾(そうじょう)」は、数世帯程度の比較的小規模な集団による混乱や破壊行為を指し、「暴動」は市区町村全域など、より広い地域にわたる大規模な集団行動を指します。
たとえば、ニュースで見かけるようなデモや、一定人数の集団によって引き起こされた騒動で建物や家財が損傷・破損した場合、それが「暴動」と言えるほどの広域的・大規模なものでなければ、一般的な火災保険の補償対象となるケースが多いと考えられます。
具体的な事故例はこんなものがあります。
- 自宅前で破壊行為が発生し、自宅の塀や壁が破壊されてしまった(損保ジャパンTHE すまいの保険)
- 騒擾状態となったデモ隊の行為によって、自宅の壁が壊された(ジェイアイ傷害火災保険 ieho)
具体例を見ても、日常的とはいいがたくあまりイメージができないかもしれませんが、デモなど集団が起こした行動によって受けた損害、という風に覚えておくといいかもしれませんね。
飛来物・落下物・衝突補償の注意点
本補償には、特に次のような注意点があります。
他の補償との区別があいまい
落下物の事故の項目でも触れましたが、「飛来物・落下物・衝突」の補償は、飛来したのか落下したのか衝突したのかという判断が難しい場合もあります。
それだけではなく、他の補償ともかぶっているところがあるので、さらにややこしくなってしまう事故もあります。
- 台風・竜巻などによる飛来物損害 →風災補償
- こども(同居家族)が投げたボールで窓ガラスが割れた →その他偶然の事故(汚損・破損)補償
- 壁にスプレーで落書きをされた →飛来物補償
- 壁にペンキで落書きをされた →その他偶然の事故(汚損・破損)補償
このように、外部から加わった力による損害でも、原因に応じて補償区分が変わる場合があります。
「風災補償はあるが飛来物補償はない」「飛来物補償はあるが汚損・破損補償はない」といった契約では、想定外で補償を受けられないケースが生じる可能性があるため、申請時の説明には十分ご注意ください。
たとえば、カラスが網戸に衝突した際に「足からぶつかった」と説明したために汚損・破損補償と判断され、飛来物補償が適用されず保険金が受け取れなかった事例があります。
誤解を招く表現は避けるようにしましょう。
加害者がいる事故の場合の注意点
加害者が特定できる飛来物・衝突事故では、相手から賠償金や慰謝料を受け取る可能性があります。
火災保険では一般的に、一つの損害に対して修繕や再調達に必要な資金を二重でゲットするということはNGになっています。
そのため、もし飛来物・落下物・衝突の事故を起こした相手から損害に対する何等かのお金を受け取った場合は、それを差し引いた額までしか保険金を貰えません。
もし保険金を受け取った後に相手から支払いがあったときは、保険会社へ返金しなければいけないので、保険会社の案内に従って手続きをしてください。
また、その際は示談書などの書類を提出する必要もありますので、必ず用意しておきましょう。
まとめ
飛来物・落下物・衝突補償は、原因特定が難しい事故を幅広く補完できるよう複数リスクを一括で扱います。
日常トラブルを連想しにくく保険料節約で外されがちですが、飛来物や落下物の損害はもちろん、車両衝突や集団行動による破壊行為まで対象となり、一度起これば修繕費が高額になりやすいのが実情です。
カバー範囲の広さと支払い実績の多さから、備えておいて損のないおすすめ補償と言えます。










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