今こそ要チェック!感染症による休業リスクをどう補償?事業用保険で備えるポイント

保険全般

感染症で営業停止や休業を余儀なくされた場合、その損害を補償する保険は意外と限られています。
事業用保険の休業補償や感染症特約を活用し、万一に備えましょう。

本文に記載されている保険料や補償範囲などはあくまで一例で、実際には保険会社ごとに条件や計算方法が異なる場合があります。加入検討の際は、必ず詳細を保険代理店などでご確認ください。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

感染症を理由とした営業停止・休業で損害を被った場合に使える保険は?

2020年から数年続いた新型コロナの流行により、事故やトラブルではなく感染症によって事業が停止した場合の損害を補償してくれる保険に関して注目が集まっています。
事業用の保険に入っていれば大丈夫だろう、と考える人もいるかもしれませんが、実は保険の種類や契約内容によっては、感染症による損害を補償してもらえません。
新型コロナの流行は落ち着きましたが、今後同じことが起きないとは断言できませんので、今のうちに確認しておきましょう。

まず最初に、感染症を理由とした営業停止・休業で損害を被った場合に使える保険とそうではない保険を表にまとめましたのでご覧ください。

保険 使える? 内容
就業不能保険(所得補償保険) OK 所得が得られなくなった場合の収入減を補償してくれる フリーランスの人がよく加入している保険 「症状の重さ」「何日以上の就業不能なら支払うか」という細かな条件が定められている場合が多い
傷害保険 NG これは「急激かつ偶然な外来の事故によるケガ」が対象で、感染症は対象外
労災関連の保険 状況による 労働者災害補償保険法に基づく公的保険なので、政府の判断や公布内容による
事業用保険 対応する補償が
ついていればOK
休業補償・感染症特約はドンピシャな補償!

また、保険得々チャンネルの動画では、第三分野の保険も使えると説明されています。

第三分野保険とは
生命保険(第一分野)、損害保険(第二分野)以外の保険をひっくるめた、保険の分類です。
医療保険、がん保険、介護保険、傷害保険、就業不能保険(所得補償保険)など様々なものがあります。

個別に紹介している保険と重複しているので、第三分野保険という大きな枠組みは表から外しました。
動画では第三分野保険についても詳しく説明していますので、もっと知りたいという方は動画をご覧ください。

以上を踏まえまして、この記事では事業用保険の休業補償や感染症特約について詳しく解説します。

事業用保険の休業補償・感染症補償とは?

事業用の賠償保険については別の記事で解説しましたが、事業で起きたトラブルによって負った損害賠償責任の補償ではなく、そのトラブルによって負った損害を補償してくれる保険もあります。

これは事業活動保険事業用総合保険といった名称で販売されており、火災保険と同じように自然災害や事故によって負った事業用の建物の損害、設備や什器の損害など、補償範囲が幅広いです。
その中に、休業損害補償、感染症補償(特約)というものがあります。

休業損害補償は多くの事業用保険に設けられている補償ですが、感染症等の病気が原因の休業を補償してくれるものと、そうではないものがあります。
そうではないものは、感染症の補償(特約)といった形で、専用の補償が設けられています。

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補償の条件

厚生労働省が定めた、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(略して感染症法)で定められた5つの分類のうち、第一類~第三類に該当する場合を補償すると定めている保険が多いです。
この分類は感染症の危険度(感染力・重篤性など)や、その感染症に対する措置の内容に合わせて分類されており、数字が小さい分類ほど厳しい措置が必要になります。

分類 該当する感染症 措置
第一類
  • エボラ出血熱
  • 痘そう
  • ペスト
  • マールブルグ病

など

  • 感染者の入院隔離
  • 消毒
  • 交通制限(都市封鎖)

など

第二類
  • 急性灰白髄炎
  • ジフテリア
  • SARS
  • 結核
  • H5N1型鳥インフルエンザ

など

  • 感染者の入院隔離
  • 消毒

など

第三類
  • 腸管出血性大腸菌感染症
  • コレラ
  • 細菌性赤痢
  • 腸チフス

など

  • 就業制限
  • 消毒

など

出典:厚生労働省健康局結核感染症課「感染症の範囲及び類型について」(PDFを開きます)

また、上記の分類に加えて指定感染症(最大2年間)や、新感染症という枠組みもあります。

この二つは、状況などにもよりますが第一類~第三類のいずれかに相当すると判断され、措置に関してもその分類に準じた措置が必要と考えられています。
したがって保険においても第一類~第三類と同等の扱いになり、補償対象に入ります。

新型コロナは、2020年1月28日~2023年5月7日はこの指定感染症という扱いでした。

何を補償してくれる?

感染症の発症が補償対象となる場合は、

  • 休業期間中の利益の損失分(利益補償)
  • 人件費・家賃などの固定費
  • 消毒費用や検査費用

などが補償されます。

保険によっては、感染症が原因で営業できなくなったことを証明する書類の提出を求められます。

また、休業期間中の利益損失分は、1日当たりの利益を判断する算出方法が保険会社ごとに決められており、前年度の決算書や売上実績の資料を求められる可能性が高いです。

予め補償をセットする際に、補償してくれる期間を設定するケースもあり、その期間が保険料にも関わってきます。

保険料は?

感染症特約や休業補償をセットした場合の保険料は、他の保険と同じようにセットしない場合よりも高くなります。
また、事業用の建物・什器などを保険の対象になっている保険の場合は、建物の構造(木造かRC造か)といった情報も保険料算出に反映されます。

例を挙げると…
1日の利益が30万円 × 半年分の休業補償設定 × RC造の店舗の場合:
【保険料は年間約8万円】といったところです。

ただし、感染症が原因の休業を懸念して感染症特約・休業補償を設定する場合は、期間は1か月程度が妥当かと思われますので、保険料はもう少し抑えめでしょうね。

加入のタイミング

事業用保険の休業補償・感染症補償は、地震保険とは違ってどのタイミングでも加入できるとされています。
ただし、次のような特殊な状況だと、一時的に加入できない可能性があります。

例えば、新型コロナのように全く新しい未知の、ヒトからヒトに感染する危険な感染症が流行した場合。

流行りだしたという時点では問題なく保険に加入できると思いますが、その感染症が新たに第一類~第三類+αのいずれかに分類されたと発表された直後は、保険会社の判断で一時的に引き受けが停止される可能性があります。

現状の補償がその感染症に対してきちんと機能しているか、保険金請求が殺到した場合に対応できるかなど、確認のために一時休止するのでしょう。

そして、もし既に加入しているタイミングで、なおかつその感染症がまだ第一類~第三類+αに分類される前に感染した場合、感染した時は補償の対象となる感染症ではなかったということで、保険金を請求しても審査が通らない可能性が高いです。

認定されてから発症した場合は補償対象外になりますが、認定される前の過去の発症例はダメと言うことですね。

つまり、どのタイミングで入るのかがとても重要ということです。

新しい感染症が流行りだしたタイミングで認定されることを見越して加入しても、その新しい感染症が第一類~第三類+αに認定されなければ補償されないので、賭けですね。

新型コロナの時はどうだったかというと、指定感染症から第五類に分類されたという経緯から、2023年以降は補償対象外になっています。

時期 状況
2020年1月28日~
2021年1月31日
指定感染症(1年限定・2類感染症相当の対応)
2021年2月1日~
2023年5月7日
感染拡大による医療と経済のバランスや、
変異株による症状と深刻度の違いなどから、
指定感染症の再指定や期間延長などを繰り返す
2023年5月8日 第五類に分類(インフルエンザ等と同じ)

第五類に分類されたことで、2025年現在では新型コロナを対象とした感染症特約がある事業用保険は、ほとんどありません。

複雑な条件が絡み合ったうえで補償を受けられるケースはありますが、2023年5月8日をめどに、有名保険会社各社から続々と、補償対象外とするという発表がされました。

また、新型コロナが流行り始めた当時は、休業補償の対象に感染症による休業が含まれていた保険はほぼ無く、感染症に関する特約でも「保健所による営業停止命令」が条件になっていた等、なかなか厳しい状況でした。

(自粛が理由の休業ではなく、営業したくてもできない状況じゃないとだめだったというのがミソです)

そのため、国が休業補償を代替する形をとり、2021年辺りから事業用保険も感染症に関する補償を手厚くしました。

感染症特約・休業補償特約の付帯率は?

事業用保険に加入している人の中で、感染症特約や休業補償を付帯させている人の割合は、公的なデータは発表されていません。
しかし体感でいうと、大体3割くらいで少な目でした。

その3割の人がどのような事業をしていたかと言うと、

  • 飲食店(食中毒が発生した場合、消毒作業の時間は営業できない、営業停止命令を受ける場合もあるから)
  • 浸水等の水害が発生する可能性がある店舗・事務所(下水が流入したら飲食店でなくとも消毒が必要になるので)

といった、事業内容や立地の関係で、予期せぬ休業が予測できた事業です。

新型コロナが流行してからは、感染症が原因の休業を補償してくれる特約を付ける人が増えたかと思いますが、それでも感染症法の分類という壁によって付帯率が劇的に上がったという訳ではないでしょう。

 

この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!

メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。

まとめ

感染症が原因の休業に備える場合、それを補償対象に設定した休業補償か、感染症特約というものを付帯させた事業用保険に入る必要があります。
しかし感染症の種類や発症したタイミングなどによっては、うまく機能しないこともあります。
病気というのはイレギュラーな事態が発生しやすく、世間にも大きな影響が出るということは、新型コロナの流行で多くの人が分かったかと思います。
一概にも「絶対に入った方がいい」と勧められるタイプの補償・特約ではない、というのが現状ですが、事業内容によっては欠かせないものでもあります。
保険の内容や事業内容をしっかり照らし合わせて、保険代理店に相談しながら加入を検討しましょう。

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