建物の築年数が40年以上・または50年以上、もしくは築年数不明の場合、火災保険に加入できないことがあります。
古い建物ほど損害を負うリスクが高いためこのように築年数の上限が設けられていますが、今後はこの上限がさらに引き下げられる可能性もあります。
しかし、実はやりようによっては加入できる場合もあるんです。
この記事では、築年数が古い古民家でも災害や事故に備える方法、火災保険に加入する裏技をご紹介します。
忙しい人はこちら
火災保険の築年数の上限とは
基本情報として、火災保険は保険の対象となる建物の強度や耐久度に応じて保険料を算出しています。
例えば、同じ地域・同じ面積の家でも、木造か鉄骨造か、新築か築数十年かによって保険料がかなり変わります。
【新築】年間10,540円
【築10年】年間20,180円
【築35年】年間32,400円
住所:埼玉県、プラン:ベーシック、保険期間:1年、面積:100㎡、木造(非耐火)一戸建て、他全て同じ条件
簡易見積もりなので、実際は選択する補償・特約などでもだいぶ変わります
なぜ築年数が古いと保険料が高いのか
火災保険の保険料はどのくらいの保険金額を設定するかという点も重要ですが、何より重視されているのは『保険会社が保険金を支払う可能性や、支払う可能性が金額はどのくらいになるか』です。
保険金を請求された時にたくさんのお金が必要になる地域や建物の条件が分かっていれば、請求されたときの為に多めに取っておこうということです。
築年数が古い建物は、保険会社側にとっての支払いリスクが非常に高い為、保険料も高くなります。
建物がいくら丈夫な作りになっていても、建物内部の配管や屋根など建物を構成する全ての部分が丈夫とは言えません。
そういった耐久度が弱い部分から事故や災害時の損害リスクが高まるので、古ければ古いほどリスクの高い家とみなされてしまうのです。
また、建物だけではなく地盤に関しても、建物が立っていることで数十年手つかずという状態になっていたり、造成の状態が劣化しているのにメンテナンスができていなかったりと、危険度が高まっている可能性があります。
古民家の火災保険料について、こちらの記事でも詳しく解説しています。

現在の築年数の上限は?
現在はネット型やダイレクト型の火災保険を中心に、保険の対象となる建物に築年数の上限を設ける流れが進んでいます。
| 保険会社 | 火災保険 | 保険のタイプ | 築年数の上限設定 |
|---|---|---|---|
| 東京海上日動 | トータルアシスト 住まいの保険 |
代理店紹介型 | 明示なし 風災の免責金額は築15年以上だと5万円 |
| 三井住友海上 | GK すまいの保険 | 代理店紹介型 | 明示無し 建物電気的・機械的事故特約は築10年1ヶ月以上だと付帯不可 |
| 損保ジャパン | THE すまいの保険 | 代理店紹介型 | 明示無し 風・雹・雪災は築30年以上または築年数不明だと免責金額が5万円 |
| あいおいニッセイ同和 | タフ・すまいの保険 | 代理店紹介型 | 明示無し 築50年以上または築年不明は所定の免責金額設定あり |
| 日新火災 |
お家ドクター 火災保険Web |
ネット・ダイレクト型 | 築40年未満のみ 築年数不明の建物は不可 |
| ソニー損保 | 新ネット火災保険 | ネット・ダイレクト型 | 昭和56(1981)年以降に建築された物件なら加入可 (旧耐震基準の建物はNG) |
| ジェイアイ傷害火災 | ieho いえほ | ネット・ダイレクト型 | 「築40年以上」または「建築年不明」は申込不可 |
代理店紹介型の保険とは、保険代理店が取り扱うことが出来る火災保険をさしています。
築年数が古くても損害リスクが低い家もあるので、保険のプロである保険代理店が間に入って詳細な調査を行うことで、古民家でも火災保険をかけられる可能性があります。
逆に、ネット・ダイレクト型の保険は、保険代理店が間に入ることは出来ず、加入者が直接手続きを行います。
保険料が安いことがネット・ダイレクト型の大きなポイントなので、料率を一律で下げるためにはリスクが高い築古物件を無条件で引き受けるのは危険です。
そのため、ネット・ダイレクト型は築年数に上限を設けられていることがほとんどです。
最近の動き
2020年の改定から、建物の建築年数(築年数)に基づいたリスク区分が導入されるなど、築年数に関する動きがありました。
注目したいのは、次の3つの動きです。
築年数による保険料の変動
古い物件に対しては保険料の「割増料率」が適用され、新築などの築浅物件には「割引料率」が適用されるようになりました。
多くの保険会社では、築15年から25年を境に保険料が高くなる傾向があります。
構造別(H構造:非耐火構造、T構造:鉄骨構造、M構造:マンション構造)によっても、割増・割引の設定は各社で異なります。
長期契約の制限
保険会社は長期契約を避ける傾向にあり、特にリスクの高い古い物件に対しては長期契約を認めないケースが増加しています。
2022年には長期契約期間を最長5年にするといった動きがあり、今後もさらに最長契約期間が短縮される見込みです。
これは保険会社が、過去の自然災害による保険金支払いの増加を将来の契約に反映させたいという意図があるためです。
特定の補償内容の制限
古い物件に対しては、「その他偶然の事故」と呼ばれる補償(他の補償で設定された事故原因に該当しない偶発的な事故、古民家でいえば害獣被害などもこれに該当するケースが多い)が付けられない保険会社が増えています。
保険活用の柔軟性を高める補償ともいえるので、この補償が付けられないのは少し損をしてしまいます。
その他偶然の事故・破損汚損の補償について、こちらの記事で詳しく解説しています。

2025年も築年数に関する改定や契約条件の変更が行われる可能性が高く、築年数が一定以上の建物は1年の短期契約のみといった条件が付けられる可能性があります。
古民家・築古物件が災害や事故に備える方法
先述の通り、代理店を通して契約するタイプの火災保険では、明確な上限を表記していない保険が多いです。
そのため、大手損害保険会社の火災保険のいくつかでは、築古物件でも契約可能とHPに記載されています。
Q.古い建物でも、『トータルアシスト住まいの保険』を契約できますか?
A.築年数が長い建物でも補修維持管理が適切に施されており、現に使用されている建物であれば契約できます。
実際の使用状況やメンテナンスの状況を確認させていただく必要がありますので、まずはお近くの代理店までご相談ください。
出典:東京海上日動 よくあるご質問(FAQ)
Q.新築ではなく古い家ですが、火災保険を契約することは出来ますか?
A.はい、ご契約いただけます。
建築後の築年数にかかわらず住居として使用されている場合、ご契約いただけます。
ただし、築年数や建物の状況によっては、補償内容が限られたり、ご契約いただけない場合もございます。詳細は取扱代理店へお問い合わせください。
出典:三井住友海上 よくあるご質問(FAQ)
ただ、どんな築古物件・古民家でも加入できるという訳ではありません。
家の状態によって損害リスクが判断されるため、築年数が古い建物に火災保険をかけるには、次のポイントに気を付けましょう。
古民家で火災保険に加入する場合のポイント
地盤や給排水管(消耗品に近い扱い)に問題がある場合、加入前に専門業者によるリフォームやメンテナンスで交換・補強しておくのがおすすめです。
定期的に工事や手入れが必要な箇所がある場合は、スケジュールや内容をまとめた計画書も用意しましょう。
工事の詳細や計画書を、図面や写真などの建物資料とあわせて提出すると、交渉が進みやすくなります。
免責金額を高めに設定する、長期契約(現在は最長5年が主流)や一括払いを選ぶなど、保険会社にとって条件の良い契約方針をお伝えすると、前向きに検討されやすいです。
また、害獣・害虫の被害も敬遠されがちです。
お住まいの地域で発生しやすい被害がある場合は、侵入防止や防除の対策を施すとより安心です。
地域の事情や保険会社の反応については、地域密着型の代理店が詳しいので、近隣の代理店に相談してみましょう。
それでも加入できない…という場合は、共済は築年数に制限をかけていないものもあるので、そちらを検討するのも一案です。
共済について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご確認ください。


古民家で共済に加入する場合のポイント
古民家で共済に加入する際は、築年数の制限が比較的ゆるい点を活かしつつ、保険と同様に建物の状態を客観視できる資料で示すことが重要です。
屋根・外壁・配管・シロアリ等の点検や補修記録、写真、図面、耐震診断書があると審査が進みやすくなります。
共済は「時価」評価が基本のものも多いため、建物評価額と自己負担額(免責)を必ず確認しましょう。
地域リスクに合わせて風水害・雪害や個人賠償などの特約を選び、地元窓口で被害実績や掛金、支払事例まで相談すると安心です。
加入後も修繕・防災対策を継続しましょう。
古民家が火災保険に加入できても残る課題と備え方
古民家は魅力が大きい一方、保険加入後も費用負担や補償額、更新時の継続可否などの不安が残りがちです。
そこで、古民家が抱える課題と対策を以下に整理しました。
まずは現状のリスクと費用感を見える化し、無理のない備え方を選びましょう。
保険料が高く負担になる
古民家はリスク評価が高く、保険料が高くなりがちです。
まずは共済への切り替えも含めて相見積もりを取り、補償範囲と自己負担額(免責)のバランスを見直しましょう。
自治体の耐震・屋根・配管等の改修補助や減税が使えることもあるので、制度の有無を確認すると負担軽減につながります。
保険金が修繕費に届かない
築年数が古いと修繕に使う建材の入手が大変になる場合や、工法が現在主流のものと異なるケースがあることから、工事を引き受けてくれる業者が限られてしまい、修繕費も高くなります。
保険・共済は“万一の下支え”と捉え、評価方法(時価/再調達価額)を確認したうえで、日頃から修繕積立を用意しておくのが現実的です。
見積りや点検記録、写真を常に更新しておくと、いざという時の手続きもスムーズです。
契約更新時に断られる可能性
事故歴や老朽化の進行によって、更新時に条件が厳しくなる、あるいは継続不可となることがあります。
共済への切り替えを含め、早めに選択肢を把握しておきましょう。
合わせて、耐震・防災・防虫対策や配管更新などの予防保全を進め、記録を整えておくと、次回交渉の材料になります。
まとめ
古民家は築年数や設備の老朽化により、保険料の上昇や補償の制限などの課題が残ります。
一方で、地域密着型の保険代理店を利用する、建物の修繕・点検・整備、免責や支払い方法の工夫、自治体補助の活用、共済の検討によって加入・継続の可能性は高められます。
家を守るベストな方法は一つではありません。
信頼できる地元の窓口に早めに相談し、補償や予防保全を整えながら、古民家の暮らしを守りましょう。




コメント