火災保険の漏水、水ぬれに関する補償とは?補償範囲や事例、見落としがちな注意点などを完全網羅解説

火災保険

「マンションの上階からの漏水」や、「自宅の洗濯機から水が溢れた」など、意外と頻繁に起こる水濡れ事故。
ところが「水災とは別」「給排水設備本体は対象外」などの落とし穴を知らずに補償を外してしまうケースが少なくありません。
本記事では主要5社の火災保険を比較しながら、補償される・されない範囲、免責金額のクセ、契約時のチェックポイントを整理します。
必要性を見極め、いざという時に困らない備えを検討しましょう。

忙しい人向け忙しい人はこちら

掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

漏水や水濡れ事故の補償はどんなもの?

漏水・水濡れ補償は「マンション上階からの水漏れ」「給排水設備や他戸室からの漏水」「自宅で水をあふれさせて水浸しにしてしまった場合」など屋内で発生した偶然&水が原因の事故をカバーします。
自分の不注意でも故意でなければ対象になることがほとんどが、逆に自分に責任がない水濡れ事故でもこの補償では適用範囲外になる場合もあります。

  • 補償される主な事故
    上階からの漏水被害/自宅で洗面台や洗濯機が溢れた など
  • 別の補償が必要な事故
    床上浸水(=水災)/台風飛来物による破損後の雨漏り(=風災)/階下への賠償責任(=個人賠償責任補償)など
  • 補償されない事故
    雨漏りなど建物自体の不具合が原因、壁内部の給排水設備の修理など

上記のように、豪雨による浸水や台風で破損した窓からの吹込みは別の補償で、雨漏りは建物のメンテナンス不足と判断されて補償されないケースが一般的です。
契約者が階下へ損害を出してしまった場合も、個人賠償責任保険で対応するため、火災保険の水濡れ補償とは切り離して考える必要があります。

また、この記事の内容は持ち家向け火災保険の漏水・水濡れ補償について解説しているもので、賃貸物件で入居者が入る保険とは内容が異なります。
賃貸物件に入居している場合の漏水・水濡れ事故に関しては、次の記事をご覧ください。

漏水・水漏れが起きた時にやる事、やってはいけない事!保険をうまく使う方法を保険代理店が解説
『あなたの部屋から、うちの部屋に漏水しています!』 集合住宅の賃貸物件に住んでいると、階下の人から急にこんなことを言われるような出来事がおきるかもしれません。 経年劣化やちょっとしたトラブルで起きる可能性がある漏水事故。 実際に起きてしまっ...
賃貸で漏水事故が起きた場合は誰がお金を払う?細かい条件や使用できる保険を解説
集合住宅で漏水事故が発生した場合、どのように対応すべきかを2つの記事に分けて解説しています。 前編では、漏水事故が起きた際に入居者が取るべき行動について説明しました。 後編である本記事では、漏水事故の責任の所在を判断する方法や、使用できる保...

代表的な火災保険の水濡れ補償比較

漏水・水濡れ補償は、実は保険会社ごとの特色が大きく出る保険です。
その理由を、代表的な5つ火災保険を比較しながら見ていきましょう。

保険商品 補償名称 形態 免責金額 同じ補償にまとめられたもの
お家ドクター火災保険Web 盗難・水濡れ等危険補償特約 特約・自由設計 5万円以上(0円を選んでも自動で5万円設定) 「盗難」、「落下、飛来、衝突」、「騒擾・集団行動・労働争議に伴う暴力行為・破壊行為」
新ネット火災保険 漏水による水濡れほか 基本補償・プランにより外せる 5万円以上(なし/3万円を選んでも自動で5万円設定) 建物外部からの物体の飛来・落下・衝突、車の飛び込みや、騒擾(そうじょう)等に伴う破壊行為
THE すまいの保険 漏水などによる水濡れ 基本補償・プランにより外せる 5万円以上(0~3万円を選んでも自動で5万円設定) 「建物外部からの物体の落下・⾶来・衝突など」、「騒擾(そうじょう)・集団行動などに伴う暴力行為」、「盗難による盗取・損傷・汚損」
トータルアシスト住まいの保険 盗難・水濡れ等リスク 基本補償 高額免責方式導入で0~20万円 「盗難」、「建物の外部からの物体の衝突」、「労働争議等に伴う破壊行為 等」
GK すまいの保険 水ぬれ 基本補償 5万円以上(0円を選んでも自動で5万円設定) 特になし
注意:免責金額(自己負担額)のルールは築年数や始期で微妙に異なります
免責金額・自己負担額を最低でも5万円以上に設定するというルールは、比較的新しい時期に導入されたルールです。
火災保険に加入した時期(始期日)や建物の築年数などによって色々と細かい部分が違いますので、正確な情報は公式の案内をご確認ください。

ご覧の通り、ほとんどの火災保険で漏水・水濡れ事故の補償には盗難被害飛来物関係の補償が抱き合わせでまとめられています。

雨漏りなど建物の屋根や屋上からの浸水は補償されないので、漏水・水濡れ補償は自然とマンション専用の補償となってしまいます。
そのため、マンションではなく一戸建ての建物を保険の対象とする場合は、高確率で契約から外されてしまいます。それを防ぐために、一戸建てでも機能する内容の補償とまとめているのでしょう……。

漏水や水濡れの補償が使える事故とは

ここからは各社ページに掲載されている事故例と注意点を抜粋します。
あるあるが多いので、見ていると「ああ……うちでも起きそう……」と思うかもしれませんよ。

盗難・水濡れ等補償|お家ドクター火災保険Web

上階の人が占有する戸室からの漏水により、天井の張替えが必要となった。


建物を対象とした事故例です。マンションで上階の部屋から漏水した場合は、すぐに対処できればいいのですが、時間がかかるとカビが生えたりしますので壁紙の張替えは十分に想定できます…。

給排水設備に生じた事故により、家電製品が水ぬれし、壊れてしまった。


家財を対象とした事故例です。家財補償を選択(保険の対象に家財を追加)していないと、例のような補償は受けられませんのでご注意ください。

給排水設備自体に生じた損害を除きます。


給排水設備の問題が漏水事故が起きた場合、それが原因で天井や壁、家財などに損害が出た場合は補償されますが、給排水設備自体の修理や交換、それにかかった費用は補償されません。

漏水による水濡れ補償|新ネット火災保険

キッチンやトイレ等の給水管が破裂し、床が水浸しになり張替えが必要になった


給排水設備は使用頻度などから経年劣化が顕著です。築年数が古い物件が火災保険に加入できないのは、給排水設備の劣化具合を考慮してのことだと考える専門家もいます。

上階の部屋から水が漏れて家電が壊れた


家財を対象にした事故例です。保険の対象に家財が追加されている場合の補償例になりますのでご注意ください。

洗濯機の蛇口から水が漏れ、家が水浸しになった


契約者のうっかりミスによって自損事故的に水濡れ事故が起きたという例ばかりが紹介されていますが、他の戸室からの漏水などもきちんと補償してくれますのでご安心ください。

漏水などによる水濡れ|THE すまいの保険

給水管が破裂して室内が水浸しになり、家財が損傷してしまった。


家財を保険の対象にしている場合の事故例です。

給排水設備⾃体に生じた損害は補償されません。


お家ドクター火災保険Webと同じように、給排水設備自体の修理、交換、それにかかった諸費用は補償されません。

盗難・水濡れ等リスク|トータルアシスト住まいの保険

上の階からの漏水により自分の部屋が濡れてしまった


事故例と言うよりはQ&Aに掲載されていた内容です。「盗難・水濡(ぬ)れ等リスク」を補償するタイプ契約をしていた場合は、補償されます。
【火災保険】上の階からの漏水により自分の部屋が濡れてしまった場合、自身の火災保険で補償されますか? | よくあるご質問(FAQ) | 東京海上日動火災保険

給排水設備の老朽化や腐食により亀裂が生じ、突発的に水が吹き出た場合


こちらもQ&Aにあった内容です。
給排水の問題が原因で起きた水濡れ事故は補償してくれますが、他のいくつかの火災保険と同じように給排水設備自体の損害は補償の対象外です。

被保険者が自宅の風呂の水をあふれさせた結果、階下の方に水濡れ損害が発生し、法律上の損害賠償責任を負った場合


こちらもQ&Aにあった内容です。
漏水事故を起こし、階下の住人へ賠償責任を負った場合は「個人賠償責任補償特約」じゃないと補償されません。

水濡れ|GK すまいの保険

給排水設備が破損し、部屋が水びたしになった。


GKすまいの保険は、他の火災保険と同じように「給排水設備自体に発生した破損等」は水ぬれ補償では対応できませんが、同じ基本補償の「破損、汚損等」で補償してもらえます。

マンション上階からの水漏れにより、家財が損害を受けた。


上階からの漏水の他にも、放水(例えば近隣の戸室で火災が起きてその消火活動のためにされた放水)が原因の水ぬれ事故なども補償してくれます。

漏水・水濡れ補償の注意点

以上の内容を踏まえて、漏水・水濡れ事故の補償にはいくつかの注意点があるとわかりになったかと思います。
その注意点を詳しくまとめておきます。

水濡れ補償は「結果損害のみ」

他の戸室からの漏水が原因で起きた水濡れ事故、洗濯機などの戸室内で起きたうっかりミスが原因の水濡れ事故、給排水設備の破損や不具合が原因で起きた水濡れ事故など、この補償で認められている損害は、何らかの原因で偶然発生した室内の損害のみです。
給排水設備自体の破損や不具合に対する修理費や、それにかかった費用(原因調査など)は補償されません。

マンションの場合、そういうことはマンションの建物自体を所有するオーナーや管理会社、管理組合が負担するケースがあります。
ですが、破損や不具合が起きている箇所が専有部にあたる場合、修理費は区分所有者が負担する可能性があります。そして、原因が工事の施工ミスなどだった場合は、施工業者が賠償責任を負うでしょう。

こういった事案は管理規約と竣工図、また原因調査の結果によって責任の所在が決まる複雑なものなので、改めて各書類を確認しておくといいでしょう。
ちなみに、難しい言葉が多い書類は、テキスト化してチャットGPTなどのAIに要約や解説を頼むとわかりやすくなりますよ。

自己負担額5万円がデフォルトの商品が多い

近年では、免責金額・自己負担額が5万円以上になっている火災保険が多いです。
漏水・水濡れ事故の補償だけではなく、風災や水災など、損害を負うリスクが増えつつある補償は、保険会社ごとに加入者が自己負担する金額を設けています。

保険金の支払い額を減らしたいというだけではなく、自己負担額を設定することで保険料が安く算出される仕組みになっているので、出来る限り補償を選択して事故に備えてほしいという考えも含まれています。
※契約内容によっては大して安くならない場合もあります。

保険料が安くなるとありがたいのは確かですが、しかし実際に事故が起きた際に負担しなければならない金額が5万円は確実にあるというのは、ちょっとシビアですよね。
事故内容に問わず、何かの補償で保険金が下りた際に諸費用を給付する、保険金の金額をアップするといった便利な費用補償特約がある火災保険もありますので、築年数が古いマンションにお住まいの方は万が一のことを考えてこういった特約も付けておくと安心です。

階下や隣室への損害は個人賠償責任補償が必要

上階から漏水したなど、被保険者側に責任が一切ない事故の場合は心配いりませんが、被保険者に責任がある水濡れ事故で階下の戸室に漏水させてしまった場合は、賠償が必要になる可能性が高いです。

階下の人も火災保険に入っていればそちらの保険で補償を受けられますが、入っていない場合や、自分の保険を使うのは嫌だと言われるケースもあります。

その場合は個人賠償責任を負った際に賠償金を保険金でカバーできる補償、個人賠償責任補償が必要になります。
住居がマンションの2階以上にある場合は、漏水・水濡れ補償と一緒に加入しておくと、様々な不安をカバーできますよ。
この個人賠償責任補償は、建物内で起きた事故以外でも補償してくれますので、日常生活賠償補償なんて呼び名もついています。

まとめ

漏水・水濡れ補償はマンションで生活しているうえで起こりうる水トラブルの事故を保証してくれます。
ただし、「屋内の偶然事故」を想定したもので、豪雨や台風など別の補償が絡む事故は補償してくれず、階下への賠償なども別の補償が必要になります。
そして、ほとんどの火災保険は給排水設備本体の修理や原因調査費用は補償外ですので、自己負担額以外にも備えをしておくか、そういった費用をカバーしてくれる別の費用補償特約が必要でしょう。
色々と制限がある補償ですが、リスクを考えればマンションにお住まいの方にはおすすめの補償なので、今一度リスクや費用の負担などを考慮して、この補償を付けるか外すかは慎重に考えてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました