今回のテーマは、『火災保険の特約について』です。
このメディアサイトの基になっているYoutubeチャンネル、保険得々チャンネルにて、「火災保険の特約について教えてほしい」というリクエストがありました。
そのご要望にお応えした動画の内容に追加して、特約と基本補償の違い、少し変わった特約などもご紹介します。
忙しい人はこちら
火災保険の特約とは
火災保険における特約とは、基本補償に追加できるオプションのようなもので、保険契約者と保険会社との間で取り決める「補償に関する特別な約束」のことです。
約款などでは、『~~補償特約』と書かれています。
特約を付けるか、どの特約を選ぶかは契約者次第ですから、必要な補償を過不足なく受けられるというのがメリットですね。
このようにカスタマイズ性が高い火災保険は、水災リスクの見直しや保険料値上げの影響から人気があり、今のトレンドと言えます。
保険会社や商品によって扱っている特約の内容はさまざまなので、どんな特約があるのかを比較してみるというのも、火災保険選びの重要なポイントです。
基本補償とは?
基本補償とは、その火災保険商品を契約したすべての人に最初から提供される補償のことを指します。
保険会社や商品によって差はありますが、よく見られる基本補償の例としては次のようなものがあります。
- 火災・爆発・落雷
- 風災・雪災・雹災
- 水災→詳しくはこちら
- 飛来物・落下物・衝突
- 水ぬれ(漏水)→詳しくはこちら
- その他偶然事故・破損汚損→詳しくはこちら
ただし、保険商品によっては「1.火災・爆発・落雷」以外はすべて特約扱いになっていたり、水ぬれに盗難被害の補償が組み合わされていたりと、実にさまざまな形態があります。
何故保険によって基本補償の内容が違うかというと、契約者のニーズにこたえると同時にその保険商品の個性を出すため、と考えることが出来ます。
基本補償を少なめにして必要な補償だけを選べるようにすることで、保険料は抑える(安めにする)ことが出来ます。
特に水災は地域や建物の立地によってリスクが異なるため、保険料も大きく変わるケースが多いです。
一方、選ぶ手間や比較する余裕がない人にとっては、最初から手厚い基本補償を備えた火災保険の方が安心と感じることもあるでしょう。
基本補償がどうなっているかは、各保険会社のホームページや約款で確認できます。
細かい文字を全部読むのはちょっと…という人はホームページやパンフレットでもいいので、契約前にしっかりチェックしておきましょうね。
基本補償と特約の違い
火災保険の特約と基本補償について説明してきましたが、改めて二つの違いを見てみましょう。
| 項目 | 基本補償(主契約) | 補償特約 |
|---|---|---|
| 契約形態 | 火災保険の主契約部分として最初から含まれる | オプション(必要に応じて付ける) |
| 補償範囲 | 火災を中心に、商品によって1~6個くらいの補償に分かれる | 盗難補償・個人賠償責任補償・仮住まい補償など、必要に応じて追加できる範囲や特別な条件が設定される |
| 追加・解除の自由度 | 範囲縮小特約が無い限り変更はできない | 見直し(契約変更)で追加・解除が可能 |
| 補償されるリスクの重要度 | 「火災」や「大きな災害」に対するリスクを幅広くカバーする、いわば“標準装備” | 各家庭や建物が抱えるリスク(例えば賠償トラブルリスク、事故リスクなど)を個別にカバー |
以上を見てわかるように、自由設計型の火災保険だとしても、基本補償を軸に特約を組み合わせる仕組みが一般的です。
また、特約は補償の内容や範囲を広げるタイプだけでなく、逆に補償範囲を狭めることで保険料を抑えられるタイプもあります。
(例:お家ドクター火災保険Web 落雷危険補償対象外特約 など)
さらに、契約者に特定の同意を得るための特約(たとえば「建物復旧特約」など)もあり、これは特約であっても基本補償と同じように必須のものとして設定されています。
代表的な特約
特約は保険会社や商品によって本当にいろいろな種類がありますが、需要や必要性が高い特約は多くの商品で用意されています。
そこで、各保険商品である程度共通して見られる代表的な特約を4つご紹介します。
詳細を確認して、自分に合った補償内容かどうか、ぜひ参考にしてみてください。
地震火災費用保険金特約
これは地震保険ではなく火災保険として、地震に関する火災の損害を補償するというものです。
通常の火災保険では、地震が原因の損害は火災であっても補償されません。これは各社共通です。
この特約を付けていれば、地震・噴火・津波が原因で建物が半焼以上、または家財が全焼した場合に、保険金額の5%(上限300万円)を受け取れます。
「地震保険ほど本格的ではないけれど、一部だけは備えておきたい」という方に向いているものといえます。
ただしあくまで地震による火災に限定されるため、地震そのものの揺れによる建物の倒壊などは対象外です。
もしハザードマップなどで地震リスクが低い地域に住んでいる方や、地震保険の保険料負担が重いと感じる方に人気のオプションです。
注意点として、これは地震保険ではないということは頭に入れて置いてください。
実際の地震保険とは異なる位置づけで、公的な地震保険制度とも連動していません。
また全ての火災保険にあるという訳ではなく、この特約がない火災保険もあります。
失火見舞い費用保険金特約
「しっかみまいひようほけんきんとくやく」と読みます。保険の対象である建物から出火し、第三者の所有物に損害を与えた場合に給付される特約です。
自宅(保険の対象の建物)から出火した火災において、他者の所有物に対して損害を与えてしまった場合の補償であり、人身傷害は含まれません。
類焼被害だけではなく、例えば隣家に燃え移りはしなかったけど消火活動によって水浸しにしてしまった、という場合でもこの特約があれば賠償できます。
ただし保険金にはいろいろと条件があり、1世帯×20~50万円、かつ全体の金額に対しても上限があります。
火災共済にも類似の補償がある場合がありますので、共済を検討している方も確認してみると良いでしょう。
電気的・機械的事故補償特約
「でんきてき・きかいてきじこほしょうとくやく」というもので、過電流が原因で配線が焦げたり、基板が溶解したりしたケースを想定している特約です。
ただし機械の事故や故障を全て補償してくれるという訳ではなく、誤作動や経年劣化など、過電流が直接的な原因ではない故障は対象外です。
何もしていないのに壊れた!という状況でも、他者が衝撃を与えた、埃が溜まっていたせいでショートしたなど日ごろの管理・メンテナンス不足、機械の初期不良など、一般的によくある機械の故障理由はこの特約の補償対象となりにくいのが現状です。
そのため、実際にこの特約で保険金が下りるという例は、保険代理店の経験から考えてもレアケースになります。
また、基本補償に落雷に関する補償が含まれており、雷が落ちたことが原因とみなされる場合は、この特約ではなく基本補償の方で保険金が下ります。
各社の案内や事故例からも以上の『条件の厳しさ』がわかるので、代表的な火災保険の事故例を見てみましょう。
電気的・機械的事故(ショート、アーク、スパーク、過電流、機械の内的要因による焼付けなど)により損害が生じた場合に補償する特約です。
<特約の対象となる事故例>
・点火操作時に異常着火し、給湯器から大きな音がして、配線が焼きついて故障した。
<ご注意>
1.自然の消耗、劣化等による損害に対しては保険金をお支払いできません。
2.この特約の対象の納入者が被保険者に対し法律上または契約上の責任(保証書、延長保証制度に基づく製造者または販売者の責任を含みます。)を負うべき損害に対しては保険金をお支払いできません。
3.補償の対象外となる機械設備等もあります。
出典:損保ジャパン 個人用火災総合保険『THE すまいの保険』
電気的・機械的事故とは、「不測かつ突発的な外来の事故に直接起因しない、電気の作用や機械の稼動に伴って発生した事故」をいいます。
【補償対象となる事故の例】
・太陽光発電のパワーコンディショナ内の内部回線がショートし、損傷した。
・エコキュートのヒートポンプ内の冷媒管が詰まり、ヒートポンプが蓄熱により損傷した。
【補償対象外となる事故・故障の例】
・人為的な機械操作のミスで生じた事故。
・落雷等の影響で機械が電気的に故障したような事故。
・経年劣化による故障。
出典:東京海上日動 トータルアシスト住まいの保険
原因の調査結果や保証の有無によっては、メーカーや施工業者に修繕費・交換費を請求するべきだとして、保険金はおりません。
しかし、それ以外の不測かつ偶発的な要因で損害が生じた場合は、この特約で補償されます。
太陽光発電の機器を設置しているお家や、大規模な機器が設置されている工場などでは、ついているのといないのとでは大きな差が出る特約です。
最近も給湯器の不具合によって事故が起きたというニュースが出ましたし、不安な人は付けておくと安心できます。
安心感を買うと考えましょう。
類焼損害補償特約
「るいしょうそんがいほしょうとくやく」と読みます。保険の対象となる建物から出火した結果、近隣の住宅が火災被害を受けたときに補償される特約です。
日本には「失火責任法」という法律があり、原則として失火者に重大な過失がない限り、類焼先への賠償は不要とされています。
失火(軽過失)による不法行為の場合は民法709条を適用せず、「重大ナル過失」(重過失)がある場合のみ損害賠償責任を負い、軽過失による失火の場合は損害賠償責任を負わないとされた。
出典:wikipedia 失火ノ責任ニ関スル法律
しかし法律上は責任がなくとも、被害を受けたご近所さんに「払う気はありません」と言い切るのは、やはり現実問題として難しいでしょう。
火災保険に入っているお宅は自分の火災保険で修繕・再築をすることがほとんどですが、火災保険をかけていない住居もそれなりにありますので、『どうしてくれんだ!』と責任を追及される可能性は捨てきれません。
そこで、こうした類焼損害補償特約を付けておくと、“いざというとき”の対応がしやすくなります。
なお、同じ類焼による損害でも、失火見舞い費用保険金特約は見舞金程度の額、類焼損害補償特約は建物や家財の新価補償という違いがあります。
限度額は保険商品にもよりますが1億円という高額に設定されています。被害者の家を建て直す場合は2~3軒が限度ですが、それでもかなり助かりますよね。
住宅同士の距離が近い、さらには木造住宅が集中している場合は、補償額が大きい類焼損害補償特約がいいでしょう。
ただし、自動車など保険の対象ではない物から出火した場合には適用されないので、その点はご注意ください。
少し変わっている特約
次に、保険会社ごとの独自性が強い“ちょっと変わった特約”をご紹介します。
現代のニーズや保険会社の得意分野が色濃く反映されているので、ぜひチェックしてみてください。
安全な修理業者を紹介してくれる
日新火災のお家ドクター火災保険Webの指定工務店特約では、提携するローカルワークスの工務店ネットワークサービスを利用し、信頼できる工務店を紹介してくれます。
近年は悪質な工務店によるトラブルが増えているため、保険会社が厳選した工務店を紹介してくれるのは大きなメリットです。
さらに、工事の見積もりを保険会社に提出するといった面倒な作業を代行してくれるサービスもあるため、事故後の手間を減らしたい方にとって便利な仕組みといえます。
サイバー犯罪被害に対応
ホームサイバーリスク費用補償特約 トータルアシスト住まいの保険
東京海上日動のトータルアシスト住まいの保険には、ホームサイバーリスク費用補償特約があります。
これは、パソコンやスマホ、IoT家電などが不正アクセスやサイバー攻撃を受けた際に、修理費用やデータ復旧費用を一定額まで補償してくれるものです。
近年はスマートホーム化が進み、インターネットに接続される機器が増えています。その分サイバーリスクも高まっているため、こうした特約は今後さらに重要視されるかもしれません。
古い家を最新省エネ住宅にする費用
三井住友海上のGKすまいの保険(火災保険)には、建物省エネ化費用特約というユニークなものがあります。
2017年12月31日以前に建築された戸建て住宅で、特定の条件に合致する場合に限り、火災などで全焼・全壊した家を「省エネ基準適合建物」に建て替えるときの費用をサポートしてくれます。
大きな損害を受けた際に、より省エネルギー性能の高い住宅へ建て替えるための費用を補償してくれるのは、環境意識の高まりを反映した今どきの特約といえます。
ホームセキュリティ会社ならではの特約
ホームセキュリティサービス『セコム』のグループ会社が販売するセコム安心マイホーム保険では、セキュリティ・グレードアップ費用という自動付帯特約があります。
万が一火災などで損害を受けて、保険を使って修繕や再築をする際に、金庫や監視カメラなどを新たに導入して防犯性を高めるための費用を、1事故につき最高50万円まで補償してくれます。
セコムらしい特約で、災害をきっかけにさらなる安全対策を取りたいと考える方には魅力的です。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
火災保険の特約について皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
火災保険の特約についてまとめ
ずばり、火災保険の特約とは基本補償をもっと強化したり、逆に絞って保険料をおさえたりするためのオプションです。
保険会社ごとに特徴があり、代表的な『あるある特約』からちょっと珍しいものまで、多種多様に存在します。
自分の住まいやライフスタイルに合った特約を見極めるには、まずは基本補償の内容をしっかり把握し、必要そうな特約の内容や保険料を比較検討することが大切です。
少し変わった特約でも、意外と自分のリスクにぴったりはまる場合もありますので、ぜひいろいろとチェックしてみてください。
保険というと難しく感じる方も多いですが、必要最小限の補償で保険料を抑えたいのか、万が一に備えて広くカバーしておきたいのか、まずはご自身の希望を整理してから検討するのがおすすめです。






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