シロアリによって家が被害を受けるのは春~夏が多いといわれていますが、その年の夏ごろに受けた被害を大掃除の時に発見したり、被害にあってしばらくしてから見つかるケースもあります。
もしシロアリ被害が見つかったら「保険で直そう」と考える人もいるかもしれませんが、果たしてシロアリ被害で火災保険は使えるのか?
この記事で詳しく解説していきます。
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実は火災保険では”ほぼ”補償されない
シロアリは静かに木材を食べ進めるため、気付いた時には修繕費が高額になりやすい害虫です。
実際、駆除費用だけでなく“家の修繕”が必要になると、以下のような金額がかかることがあります。
軽度(床下補修・部分補強):50万円前後
- 床下の補強工事(腐食した木材の交換)
- 部分的な柱の補修(軽微な被害箇所の修繕)
- 防蟻処理の実施
中度(柱交換・床材張り替え):100〜200万円
- 柱の交換(強度が低下した柱の取り替え)
- 床材の張り替え(食害されたフローリングや畳の交換)
- 床下の湿気対策(換気システムの設置など)
重度(基礎補強・屋根補修を含む):200万円以上
- 基礎部分の補強(シロアリによって弱くなった基礎の補修)
- 屋根や梁の修繕(シロアリが屋根裏に侵入している場合)
- 家全体の防蟻処理(被害箇所の徹底的な処置)
比較的小規模の被害でも、急な出費としては痛いところですよね。
これが火災保険で補償されたら助かるのですが、残念ながら多くの火災保険ではシロアリ被害を補償してくれません。
理由:害虫による損害や経年劣化は免責事項
だいたいの火災保険は、シロアリをはじめとする害虫が原因で起きた被害は補償しない、と免責事項に明記しています。
一方で、タヌキやハクビシンなど害獣がもたらした被害は、状況によっては補償対象になることがあります。
この違いは、シロアリ等が家に被害を出すほど木材を食べるには長い時間がかかり、「徐々に進行する劣化=経年劣化・自然の消耗」とみなされやすい点にあります。
火災保険ではもともと、建物の老朽化や腐食・カビ・シミなどの“時間とともに進む傷み”は補償しない、というルールがあり、シロアリ被害はここに含まれやすいのです。
害獣は虫と比べれば体も大きいので、屋根裏に入り込んで暴れたり、壁をかじって穴を開けたりと、突発的に表れて被害をもたらすことがあります。
一方でシロアリは家に住み着いてから、被害と言えるほどの状態にするまで時間がかかるので、「事前に対策や点検をしていれば、ここまでひどくならなかったはず」と判断されやすくなります。
「火災保険は予測できなかった突発的な被害だけを補償する」と覚えておくとイメージしやすいでしょう。
どの道、対策や被害への対応にはお金がかかるのでそこも補償してほしいところですが、建物の管理にかかる費用は、基本的に建物所有者が負担するものと考えられています。
例外的に使える可能性があるケース
ここまで読むと「じゃあ、どんな場合でもシロアリ絡みは完全にNGなの?」と思われるかもしれませんが、実は“例外的に”火災保険や地震保険が使えるケースもあります。
例えば、シロアリのせいで柱や家の基礎部分が弱っていたとして、次のような自然災害・事故がきっかけで弱った部分に大きな損害が出た場合です。
- 台風(風災)
- 衝突(飛来物・落下・衝突物)
- 地震(地震保険)
鑑定人の調査によって、「その台風や飛来物、地震などの出来事がなければ、今回の損害は発生しなかった」と判断された場合、シロアリが原因で家が弱っていたとしても、保険金が支払われる可能性があります。
ただし、何もなくても近いうちに被害が出ていたと判断されるような状態では、補償が難しくなることも多く、このケースはあくまで“レアケースの例外”と考えておきましょう。
また、例外的に補償されるとしても、「自然災害や事故が原因で破損した部分の修繕」に限定され、それ以外のシロアリ被害の部分まですべて直してくれるわけではない、という点も重要なポイントです。
さらに、もし家を建てる段階でシロアリ対策(防蟻処理など)を施していたのに、築10年以内にシロアリ被害が発生したという場合、施工側の不備が原因と判断されれば、火災保険ではなく住宅瑕疵担保責任保険が使える可能性もあります。

シロアリ対策をしなくてはいけない理由はほかにもある
ここまで読むと、「結局シロアリは自費でどうにかするしかないのか…」と気が重くなってしまうかもしれません。
とはいえ、シロアリなどの害虫によって被害が出ないように、事前の対策や定期的な点検をしておくことは、火災保険の観点から見てもとても大切です。
とはいえ、点検といっても「どこを見ればいいのか分からない」「近所の家も何もしていなさそうだから、うちも大丈夫だろう」と考えて、そのままスルーしてしまう方も多いです。
しかし、何も対策をしないままだと、いざというときに次のような不利な状況になることがあります。
これは先ほど説明した「例外ケース」と裏表の関係にある考え方です。
シロアリ被害がひどい状態で放置されていると、「もともと構造が弱っていたから壊れた」と見なされ、台風や風災などの補償が本来よりも認められにくくなることがあります。
もしくは、火災保険に入ろうとしたけど、断られる
火災保険は一般的に、建物の所在地や構造・広さなどを基準に保険金額を決めますが、実際に保険代理店の担当者などが建物を確認する場面もあります。
その際に、明らかにシロアリ被害が進んでいる・構造に不安がありそうだと判断されると、建物の価値が低く見積もられて、保険金額も低くなってしまうことがあります。
被害の程度によっては、最悪の場合「保険加入自体を断られる」というケースもゼロではありません。
通常は加入前にそこまで細かいチェックが入るケースは多くありませんが、シロアリ被害が多い地域や、明らかにリスクが高いと判断されるような環境の場合は、事前調査が厳しくなることもあります。
保険会社は「保険金を請求されたときに、シロアリ被害なのか自然災害なのか原因の切り分けが難しい状態」を嫌うため、建物のコンディションを重視するのです。
シロアリ被害の対策や修繕は補助金を利用しよう
シロアリのせいで弱っていた部分が、自然災害や事故等で一気に大きな被害につながってしまった場合でも、補償されるのは「その災害・事故が原因と明確に判断された部分のみ」です。
結局どこかのタイミングで、自費負担で修繕しなければいけない部分は出てくるため、シロアリに関しては「自分で何とかする前提」で考えておいた方が現実的です。
そこで知っておいてほしいのが、シロアリの対策や被害の修繕に補助金・助成金が使える場合がある、ということです。
「シロアリ対策専用」の補助金・助成金とうたっているものは少ないものの、リフォーム支援・耐震工事支援・住宅修繕支援といった、“家を丈夫にするための支援制度”の中に、シロアリ対策や床下補強が含まれるケースは意外と多くあります。
ただし、適用条件や対象となる工事内容は自治体ごとに異なるため、詳しく知りたい場合は、市役所などの相談窓口で「シロアリ対策を含めた家の補強をしたい」と相談してみるのがおすすめです。
シロアリ駆除・修理の業者を選ぶときの注意点
シロアリ駆除を業者に依頼するときは、必ず再発保証が付いているかどうかをチェックしましょう。
5年や10年など、「駆除してから一定期間内に再びシロアリ被害が起きた場合は、無償もしくは割引で再施工する」といった保証が付いている業者も多くあります。
業者によっては、その期間内に定期的な無料点検をしてくれるところもあります。
専門業者によって防蟻施工を済ませ、定期点検も受けているという状態であれば、万が一ほかの災害・事故で家が被害を受けたときにも、「シロアリなのか、別の原因なのか」の切り分けがしやすくなります。
結果的に、火災保険や地震保険の補償をスムーズに受けられる可能性も高くなるので、事前の対策は“保険金をもらいやすくするための準備”という意味でも大切です。
まとめ
シロアリ被害は修繕費が高額になりやすく、「できれば火災保険で直したい」と思ってしまうところですが、基本的には火災保険ではほとんど補償されない分野です。
その理由は、シロアリ被害が「時間をかけて進行する経年劣化・自然の消耗」とみなされることが多く、火災保険の免責事項に該当してしまうからです。
一方で、シロアリで弱っていた部分が台風や飛来物、地震などで壊れてしまった場合、損害の“直接の原因”が自然災害や事故だと認められれば、例外的に火災保険や地震保険で補償されるケースもあります。
ただし、その場合でも補償されるのはあくまで「災害・事故で壊れた部分のみ」であり、シロアリによる全ての被害をまとめて直してもらえるわけではありません。
そのため、シロアリについては
- 定期的な点検や防蟻処理で早めに対策する
- 被害が見つかったら、補助金・助成金制度の活用も含めて自費修繕を前提に考える
- 駆除の際は再発保証や定期点検がある業者を選ぶ
といったスタンスが現実的です。
「保険で何とかする」のが難しい分、早めの対策と情報収集がとても大切な分野です。
お住まいの地域の支援制度や、信頼できるシロアリ業者について、一度このタイミングで調べておくと安心です。




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