火災保険や地震保険は、満期を待たずに契約が終了してしまうことがあります。
意外と知られていないポイントを押さえて、もしものときに備えましょう。
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火災保険が契約終了するケース
火災保険には、契約者と保険会社が合意した「保険期間」というものがあります。
たとえば、2025年4月1日始期の場合、1年契約なら2026年4月1日、5年契約なら2030年4月1日までが保険期間です。
保険の開始時刻は原則として午後4時(保険により例外有)なので、開始日と終了日が同日になります。わかりやすいですね。
しかし、保険期間内であっても、次のようなケースでは契約が終了します。
建物が消失した場合
保険の対象である建物が失われると、契約も終了します。
消失の原因が補償対象(保険契約で『補償します』と定められている災害・事故)であれば保険金が支払われた上で終了します。
逆に原因が補償対象外の事故なら、保険金が出ないまま終了します。
これは厳密には契約失効と言われる状態です。
(参考:日本損害保険協会「損害保険の契約の終了」)
火災や地震などで建物が全壊してしまうことはあっても、補償されていない災害や事故で建物が消失することなんてあるの?と思うかもしれません。
しかし、風災の補償範囲である台風や竜巻、水災の補償範囲である洪水やシンクホール(道路陥没事故)といった、建物が全壊するレベルの災害・事故は割と起こりえますし、風災・水災は保険料節約のために外すという人もいます。
補償を手厚くすると保険金が給付された状態で契約が失効になるので、せっかく支払ってきた保険料が無駄になることはありません。
しかしそうすると保険料が上がってしまうので、ハザードマップでリスクを調べつつ適切な補償を必要な分だけ選ぶのが一番良いでしょう。
保険料を下げる裏技の記事もよろしければご参考ください。

大きな事故が発生した場合(全損終了)
1回の事故で支払われる保険金が保険金額の80%以上※になると、全損と判定されて契約が終了することがあります。
※割合は保険会社、保険商品によって違います。詳しくは後述します。
建物に2,000万円の火災保険を掛け、保険期間は2025年4月1日~2026年4月1日。
5月に火災が起こり、修繕費1,700万円を保険金で支払ってもらったところ、残り300万円分を使い切る前に契約が終了してしまった。
この例のように、保険期間内に保険金額の8割以上の保険金が給付される事故が起きた場合、残りの約2割が満期まで残るという訳ではなく、保険契約そのものが終了してしまいます。
保険業界では『全損終了』といったりします。
ちなみに、この全損終了に関するルールは2021年1月1日始期契約以降、費用保険金(残存物取片づけ費用など)を全損判定から除外するよう改定されています。
2020年12月31日以前:費用補償(残存物取片づけ費用、臨時費用など)など建物に関係ない補償でも、所定の割合を満たすと全損判定された。
2021年1月1日以降:建物に関係ない補償は全損終了の判定に用いる“支払保険金の合計額”に含まれなくなった。
2020年12月31日以前に契約して、まだ更新や乗り換えをしていないという人は注意しましょう。
契約が終了する保険金の割合は?
保険会社、保険商品によって異なっていますが、この情報は約款や各社のホームページで案内されています。
代表的な5つの火災保険の情報を比較する表を用意しましたので、見てみましょう。
| 保険会社(商品名) | 全損終了となる基準 | 判定単位 |
|---|---|---|
| 日新火災 (お家ドクター火災保険Web) |
支払保険金額が保険金額の80%※1を超えた場合 | 1事故ごと |
| ソニー損保 (新ネット火災保険) |
支払保険金額が保険金額の80%を超えた場合 | 1事故ごと |
| 損保ジャパン (THE すまいの保険) |
支払保険金額が保険金額の80%相当額※2を超えた場合 | 1事故ごと |
| 東京海上日動 (トータルアシスト住まいの保険) |
損害保険金の支払額が保険金額※3の80%を超えた場合 | 1事故ごと |
| 三井住友海上 (GK すまいの保険) |
支払保険金額が保険金額の80%※4を超えた場合 | 1事故ごと |
※1 超過保険の場合は新価額
※2:復旧費用等を除く
※3:新調達価額
※4 旧来の商品では100%超で終了
ピックアップした5つの火災保険ほぼすべてが、1回の事故で請求した保険金が、保険金額の80%を超えた場合に契約を終了すると定めています。
ただ、どの火災保険も80%で終了するという訳ではありませんので、契約中、検討中の火災保険の約款をご確認ください。
また、契約が終了した場合、終了日時はその事故が発生した日時になります。
契約終了の原因になる事故が発生した時点で火災保険の契約は終わっているので、その後に起きた事故は契約終了の通知前であっても補償されません。
火災保険が終了してしまった場合の注意点
火災保険が終了すると、セット契約の地震保険も同時に終了します。
地震保険が終了した場合も火災保険が一緒に契約終了となるケースがありますが、実は地震保険終了後も火災保険の契約が生き続けることがあります。
次は、地震保険が終了するケースと火災保険への影響を解説します。
地震保険が契約終了するケース
地震保険では、地震によって受けた被害を4つの損害区分に分け、その区分に応じて保険金が支払われる仕組みになっています。
| 損害区分 | 損害の程度 | 支払保険金 |
|---|---|---|
| 全損 | 主要構造部の損害率50%超 等 | 保険金額の100% |
| 大半損 | 主要構造部の損害率40%以上50%以下 等 | 保険金額の60% |
| 小半損 | 主要構造部の損害率20%以上40%未満 等 | 保険金額の30% |
| 一部損 | 主要構造部の損害率3%以上20%未満 等 | 保険金額の5% |
(参考:日本損害保険協会「地震保険 損害の認定基準について」※PDFを開きます。)
全損判定を受けた場合、建物が消失したものとみなされて火災保険と同じように契約終了となります。
地震保険が終了してしまった場合、一緒にセットで入っている火災保険も終了しそうなものですが、実は必ずしもそうという訳ではありません。
東日本大震災の際に、お客様のご自宅がある地域でひどい液状化現象が起き、建物が7度も傾いてしまいました。
建物自体に損傷はほとんどありませんでしたが、地震保険の損害区分に応じて全損認定を受け、お客様は給付された地震保険金を使って傾きを修繕されました。
傾きを直した後は、そのままその建物で生活が出来ています。
実は、建物自体が無事でも地盤の影響で家が傾いてしまった場合は全損判定となります。
以上の事例のように、全損判定を受けても建物自体が消失していなければ、火災保険は終了しないケースがあります。
保険会社が判断することなので様々な事情が絡み合うことなのですが、
- 地震保険と火災保険は損害区分が異なる
- そもそも地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%までと決まっているので、建物の保険金額&支払額を基準にすると大きな差が出る
といったポイントも踏まえると、建物が無事なら火災保険の契約は継続される可能性があります。
ただし、火災保険においても全損と判断できる状態であれば、保険の対象が消失したとして二つとも契約が終了しますので、そこはご注意ください。
契約終了後に再加入する方法
全損判定を受けて保険の契約が終了した場合、加入する方法は火災保険と地震保険で微妙に異なります。
火災保険に再加入する方法
それまでの保険契約の内容は引き継がず、新規契約を結ぶ形になります。
建物の審査なども改めて初めからやることになりますし、面倒な手続きも最初からやり直すことになります…。
ただ、提出書類に前回の保険証券を提出すれば確認がスムーズでしょう。
自動車保険のように、事故有係数で等級が下がって保険料が上がるということはありませんが、前回の全損原因が自然災害で、それが環境や地盤によって被害が大きく出たといった見方がされた場合は、災害リスクによって料率が上がってしまう可能性が少しだけあります。
保険料が上がるのが嫌だという人は、別の保険商品に乗り換えたり、契約内容を見直してみましょう。

地震保険に再加入する方法
もし火災保険の契約が終了せずに生き残っていたら、その契約を元に地震保険を再度付帯させることが出来ます。
ただ、火災保険と地震保険の満期がずれることになり、火災保険が満期終了した際は地震保険も終了してしまうので、その点はあらかじめ注意してください。
火災保険も一緒に終了していたら、火災保険ごと新規契約することになります。
この場合、手続きは火災保険の分も一緒にやることになるので、すぐにパパっと再契約という訳にはいきませんね。
どちらのケースも火災保険の契約が軸になるということは覚えておいてください。
再加入の注意点
保険料が上がる可能性については『火災保険に再加入する方法』でご説明しましたが、それ以外にも注意して欲しいことがあります。
大規模な自然災害が原因で全損相当の損害を受け、再度保険に加入する場合。
そのタイミングで政府等による警戒宣言が発令している最中は新規契約の手続きが出来ない可能性があります。
損害保険は加入前(正確には保険期間が始まる前)に受けた損害は補償しないことが原則で決まっています。
そのため、災害が頻発している状況だとどの損害がいつ受けたものなのかという調査が難しくなります。
山火事なら一度消火した後にもう一度出火してしまったり、地震なら余震が頻発してしまうケースは十分考えられます。
契約者としては早く保険に入って安心したいものだけど、保険会社にとっては損害発生の日時判定が厄介でリスキーです。
そういった理由で、保険会社によっては約款やHPの案内に、申し込み時点の状況を理由に新規加入を断ることがあるという旨が記しています。
保険の対象となる建物がある地域で大規模な自然災害が頻発している状況、それを証明するように警戒宣言が発令しているという状態では、新規契約が難しいかもしれません。
もしそういった状況で保険に加入しなおしたい場合は、保険代理店を相談するのも手です。
保険代理店は保険に関する知識が豊富で、保険会社との交渉にも慣れています。
地震保険に関しては、警戒宣言が発令しているときに保険加入を断るという法律は無いとされているので、交渉力によっては加入できるかもしれません。

この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
まとめ
火災保険・地震保険は、満期前でも建物の消失や全損終了によって契約が終わる場合があります。
保険金額の設定や特約の選択でリスクに備え、万一契約が終了した場合はできるだけ早く再加入手続きを行いましょう。











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