自宅に太陽光発電システムを設置しているという家は、全体で見ればまだ少ないといえるでしょう。しかし、リースサービスの拡大や自治体の助成金・補助金を背景に導入を検討する人は年々増えています。
さらに東京都では一定の条件を満たす住宅に太陽光発電システムの導入が義務付けられました。
太陽光発電システムは電気代を節約でき、環境にも優しい一方で、導入・維持コストや事故リスクをカバーする保険が不可欠です。
この記事では太陽光発電システムと保険の関係、もしもの時に使える補償について解説します。
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東京都では太陽光発電システムの設置が義務化!
2025年4月1日から、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(環境確保条例)の改正により、条件を満たす一般住宅の屋根へ太陽光発電システムを設置することが義務化されました。
これはハウスメーカー(建築事業者)に課せられる義務で、都内に新しく家を建てる人(施主)が何かしなければいけないという訳ではありません。
また、設置できない住宅は免除されるなど細かなルールが定められています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 対象ハウスメーカー | 都内で年間延べ床面積20,000㎡以上の住宅を建築・販売する事業者 |
| 設置対象の住宅 | 延べ面積2,000㎡未満で、屋根の日照条件が良好な新築住宅 |
| 設置免除条件 | 屋根面積が十分でない、 北向きで日照が不足する、 立地条件などで設置困難な住宅 |
そして、東京都は「ゼロエミッション住宅導入促進事業」など複数の助成制度を用意しています。
太陽光発電のみの場合は1kWあたり最大12万円(上限約4.5kW)、蓄電池やV2Hを併設すると加算され、総額が40万~60万円程度になるケースが一般的です。
※年度ごとに上限額や要件が変動するため、最新の公募要領を確認してください。
この助成制度を受けるのはハウスメーカーなど住宅を建造・販売している業者ですが、相当額を契約額に反映される形で購入者(建て主)に還元することが条件になっています。
以上のように、これから都内に新しく家を建てるとしても、太陽光発電システムの導入で施主側に大きな影響が出るという訳ではありません。
むしろ、入居後は太陽光発電を自家消費して電気代を節約できますし、所定の手続きをすれば電力会社に余った電力を買い取ってもらえるので、メリットが多いと思えると思います。
しかし、デメリットが無いという訳でもありません…。
太陽光発電システムのメリット・デメリット
太陽光発電システムは、自宅の屋根や敷地を利用して再生可能エネルギーを生み出す代表的な設備です。
光熱費の高騰やカーボンニュートラルへの関心の高まりに伴い、家庭でも導入を検討するケースが増えています。
まず、導入を後押しする主なメリットを整理しておきましょう。
- 電気代の節約:発電した電気を自家消費すれば、日中の買電量を大幅に削減できる。
- 売電収入が得られる:余剰電力を電力会社に売電でき、家計の新たな収入源となる。※
- 停電時の備え:蓄電池やV2Hと組み合わせれば、災害時でも自宅で電力を確保できる。
- 環境貢献・CO2削減:化石燃料由来の電力使用を減らし、カーボンニュートラル実現に寄与する。
- 住宅価値の向上:省エネ性能が高い住宅として査定評価が上がる可能性がある。
※売電を行うには申請や契約などの手続きが必要です。ハウスメーカーがサポートしてくれるケースもあるので相談してみましょう。
以上のようなメリットがある一方、先ほども書いた通り、初期費用やメンテナンスコスト、自然災害リスクなどのデメリットも存在します。
そしてそのデメリットの中には、保険と密接に関係するものがあります。
設置費用や修繕費が高い
物価高・物流コスト増加などの影響で、太陽光発電システムを設置する費用や、故障した場合の修繕・交換費用が上昇しています。
特に、太陽光発電システムやその部品は中国製のものが多く、アメリカの対中関税政策によって中国製太陽光パネルの国際供給網が不安定化、結果的に日本での太陽光発電システムの価格が高騰している傾向にあります。
ソーラーパネル自体の価格は技術と生産効率の進歩によって下落傾向があり、他の部品含め他の国(東南アジアなど)の製品に切り替える動きも出ていますが、施工コストや設備品質の確保といった面から、設置費用や修繕費が大きく下がるという状況には至っていません。
故障するリスク
品質は向上していますが、太陽光パネルは屋外に露出しているため飛来物・雷・雹・施工不良など予測困難なリスクが潜んでいます。
強化ガラス・強化プラスチックなどを使ったパネルもありますが、太陽光が当たらなければ意味がないので、雨や雹、飛来物、落ち葉などのごみを防ぐ形状にはなっていません。
ソーラーパネル以外の機械も、様々な外的要因で故障するリスクがあります。
想定できる故障リスクをまとめてみました。
| 機器・部位 | 想定故障 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 太陽光パネル(モジュール) | ガラス割れ、 ホットスポット、 出力低下 |
飛来物、熱劣化、雹、汚れ、断線 |
| パワーコンディショナー | 出力エラー、電源停止 | 部品劣化、雷サージ、過熱 |
| 接続箱・ケーブル | 焦げ、ショート | 経年劣化、施工不良、小動物侵入 |
| 蓄電池 | 容量減少、異常発熱 | 充放電サイクル、高温環境 |
| 架台・固定金具 | ゆるみ、腐食、落下 | 風雨、塩害、施工不備 |
以上のようなリスクは、発生する可能性が高い、もしくは頻繁に起きるといったものではありません。
しかし日常的に起こる自然現象やうっかりミス、経年劣化などが原因なので、確実に起こらないという訳でもありません。
飛来物や雷、雨や雹は予測できない偶発的な事故と言えますし、施工不良・不備なども一般人の目では予め気づくことが難しい事柄です。
部品の劣化なども、場所によっては『事態が深刻化する前に気づいて対処する』といったことが困難だと思います。
さて、これを踏まえて、太陽光発電システムと保険の関係を見ていきましょう。
太陽光発電システムが故障した際に使える保険
故障原因や加入している保険によって、受けられる補償は大きく変わります。
太陽光発電用の保険・メーカー保証
産業用(発電所)向けには単独保険(例:東京海上日動「GX INSURANCE」)があります。
しかしこういった保険は事業用の保険であることが多く、一般住宅に設置した太陽光発電システムには掛けられない場合があります。
一般住宅では、設置業者経由で個別保険に加入できる場合もありますが、火災保険とメーカー保証でカバーできることが多いです。
また、太陽光発電システムのメーカー・販売業者が購入者向けに用意している単独保険も一部存在します。
メーカー・販売店独自の保険例:エクソル「XSOL災害補償」
火災保険
個人用火災保険でも太陽光発電システムは保険の対象にできますが、設置状況により「建物扱い」か「家財扱い」かが変わる点に注意が必要です。
- 建物の設備・付属品:パネルや機器が屋根・建物にボルトなどで固着されている場合
- 家財:システムが建物と一体化しておらず、パネルが地面に設置されている場合
家財に分類される場合は「家財補償」を付けなければ対象外となります。
パネルは建物、パワコンは家財と分かれるケースもあるため、契約時に必ず確認しましょう。
補償は原因ごとに適用される特約が異なります。自由設計型やシンプルプランの場合、次のような補償がセットされているか、要確認です。
| 損害原因 | 該当補償 |
|---|---|
| 雹・台風・強風など | 風災・雪災・雹災補償 |
| 豪雨など | 水災補償 |
| 物体の衝突など | 飛来物・落下・衝突補償 |
| 雷など | 火災・落雷・破裂補償 |
| 経年劣化・製品不具合 | 補償対象外 |
自由設計型の火災保険、シンプルな補償内容のプランなどを契約している場合、セットしていない補償があるかもしれません。
それも含めて確認・見直ししましょう。

賠償責任保険
例えば、太陽光発電のソーラーパネルが風によって屋根から外れて、隣家の塀の上に落ちて塀や庭木に損害を与えてしまった。
そういった第三者に損害を与えてしまった場合は、賠償責任を負うリスクも想定されます。
太陽光発電システムの修繕・交換費用に関する心配だけではなく、太陽光発電システムが原因で他者に不利益を与えてしまった場合の賠償についても、考えなければいけません。
賠償責任保険という単独の保険もありますが、日新火災・お家ドクター火災保険Webのように個人賠償責任補償がある火災保険も増えています。
賠償責任保険についてはこちら↓

住宅瑕疵担保責任保険
もし施工時のミスが原因だった場合、通常の保険では補償されません。
その場合、施工業者が用意した保証を使うことが一般的ですが、それが難しい場合は住宅瑕疵担保責任保険という保険が使える可能性があります。
これは個人で加入する物ではなく、ハウスメーカーなど新築住宅を販売した業者が加入する保険です。
新築住宅を引き渡してから10年以内に瑕疵(欠陥)が見つかった場合、販売業者はこの保険を使ってその瑕疵を修繕する義務があります。
最初から住宅の屋根に太陽光発電システムが搭載されている場合、メーカー保証や火災保険で補償されない際は、販売業者に連絡すれば住宅瑕疵担保責任保険をつかって修繕してもらえる可能性が高いです。
詳しくはこちらの記事をご確認ください。

保険では補償してもらえないケース
経年劣化や不具合が原因じゃなくても、保険では補償してもらえないというケースがあります。
それは、
- 日ごろの手入れを怠っていた
- 予防策を講じれば防げたはずだった
という状況で起きた損害です。
想定できるケースを上げると、このような感じです。
| ケース例 | 解説 |
|---|---|
| パネル上に大量の落ち葉を長期間放置しショート | 適切な維持管理義務違反と判断される可能性 |
| パワコン通気口をほこりが塞ぎ過熱・焼損 | 取扱説明書に清掃義務がある場合は重大な過失 |
| ネジや配線の緩みを放置し発火 | 明らかな不注意と見なされることがある |
火災保険でも、太陽光発電システム専用の保険でも、ありとあらゆる損害保険には、保険の対象を適切な状態を維持管理する責任というものがあります。
加入者に何らかの過失があり、その責任が重いと判断された場合、補償を受けられない、もしくは保険金を減額されることが想定できます。
とはいえ、機器類は原因追及が難しいので、例に挙げた落ち葉放置によるショートのように、あからさまな状況でなければ過失を取りざたされるケースは少ないです。
屋根の上に登ってパネルを掃除するといった高所作業は危険なので、定期的に業者に掃除・メンテナンスをしてもらう、目視で状況を確認するなど、出来る範囲で気を付けましょう。
太陽光発電システムの保険は、今後どうなる?
実は、太陽光発電所など法人が加入する事業用保険では、保険料の高騰や新規引受停止が増えています。
記事の冒頭で書いた価格の高騰や、自然災害が増え損害リスクが上昇していることが理由です。
実際にあったケースでは、参考純率が1.5倍に、保険会社側からの要求でさらに2倍になり、最終的に保険料が3倍になったということがありました。
個人用火災保険では、現時点で大幅な値上げは見られませんが、自然災害の増加や部材価格の上昇次第では、将来的に保険料アップ・補償縮小の可能性も否定できません。
太陽光発電システムに関する状況の変化、保険会社の対応などは、今後も注意が必要です。
必要な補償を早めに確認し、今のうちにプランを見直しましょう。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
まとめ
- 東京都では2025年4月から一定条件の新築住宅で太陽光発電が義務化され、補助金も用意されている
- 設置費用・修繕費は高騰傾向。飛来物や雷など偶発的リスクに備える保険が不可欠
- 火災保険では「建物か家財か」の区分と、原因別補償の有無を要チェック
- 賠償責任特約やメーカー保証、住宅瑕疵担保責任保険も上手に活用
- 経年劣化や管理不足は補償対象外。定期点検とメンテナンスでリスクを低減
太陽光発電システムのメリットを最大化するには、補助制度と保険内容の両面を最新情報で確認し、万一に備えることが重要です。
適切なメンテナンスと補償で、安心してクリーンエネルギーを活用しましょう。











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