太陽光発電×保険の深堀パート2です。
パート1では、東京都の太陽光発電システム導入義務化、それを受けて新築住宅向けに太陽光発電のメリット・デメリット、太陽光発電に関する保険について説明しました。
今回は、新築ではない既存の住宅に後から太陽光発電システムを導入した場合、火災保険の扱いはどうなるのかということに焦点を当てています。
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太陽光発電システム導入後、火災保険へ申告は必要?
自宅に太陽光パネルやパワーコンディショナ(以下パワコン)など、太陽光発電のための機器を後付けした方から『保険会社に連絡したほうが良いの?』『何か手続きが必要?』という質問をいただく機会が増えました。
返答としては、絶対にしないとダメという訳ではないけど、した方が安心安全です。
まず、火災保険でもらえる保険金は、損害の度合いだけではなく、契約した時の建物の状態や価値=保険金額が重要。
これは『損害を受けた保険の対象を原状回復させる』という火災保険の目的のためで、元々の家の価値に見合った再調達価額を割り出すためです。
『再築の為にこれだけの修繕費が必要です』『わかった、すぐに払うね!』といった感じでノーチェック・ノールールだと、ずるいことをしちゃう人がいますからね……。
そのため、保険金額の中に太陽光発電システムに関する評価額が盛り込まれていないと、太陽光発電システムの評価額が保険金の内容に含まれません。
建物の再築・修繕のために申請した保険金で、本来保険の対象ではない太陽光発電システムを修繕するといったことは可能ですが、そうすると建物の再築・修繕費用が足りなくなります。
また、損害を受けたのが太陽光発電システムだけの場合、これは保険の対象ではないとして、保険金自体も支払われない可能性があるのです。
以上のことを踏まえて、火災保険に加入した後に太陽光発電システムを導入した場合、契約している損害保険会社にその旨を連絡しましょう。
保険会社に伝える内容
火災保険を契約している損害保険会社には、シンプルに『自宅に太陽光発電システムを追加したのでこれも保険の対象にしたい』と連絡しましょう。
そうすると、次のようなことを聞かれるので、内容に合わせて申告・書類提出を行いましょう。
- 設置日
- 設置場所
- 設備の種類(売電用かなど)
- 設備の価格に関する情報(評価額算定のため)
以上の内容が全て書かれた書類があるなら、それを提出すれば一発ですね。
契約後に保険の対象に手を加えたからと言って怒られることは全くないので、気楽に連絡しましょう。
申告したらどうなるか
太陽光発電システムを保険の対象に加えるので、当然保険金額などが変わり、保険料もアップする可能性が高いです。
貰える保険金が増えるなら、保険料も増えてしまうのは当然なので、これは仕方がありません。
ちなみに、太陽光発電システムというのはいくつかの機材や部品で構成されているのですが、それぞれの設置方法によって建物と家財に分かれる可能性があります。
太陽光パネルと言われるような、屋根等の建物に固定するものは、設備として『建物』に含まれます。
建物に固着していない機材に関しては生活用動産、つまり『家財』として扱われます。
家財を保険の対象にしていなかった場合、太陽光発電システムの一部は補償されないということになります。
これを期に家財も保険の対象にするよう契約を変更したら、確実に保険料があがります。
こういった理由から、火災保険加入後に太陽光発電システムを取り付けても、保険会社に連絡しないという人が一定数いるのです。
また、そもそも太陽光発電システムを保険の対象にできるかどうかは、保険会社によって異なります。
近年は太陽光発電システムに関するリスク評価が上がっており、今は大丈夫だけど将来的に保険の対象とはみなさない、という動きもあるかもしれません。
後から『あの時保険の対象にしておけばよかった……』と後悔しない様に、導入したらなるべく早めに保険の契約内容を見直しましょう。
太陽光発電システムが原因で起きやすい事故と損害
さて、なぜ太陽光発電システムを保険の対象にした方がいいのか、というこの記事の根幹となる解説に入ります。
太陽光発電システムを導入することによって、大規模な災害や事故で停電してしまってもライフラインへの影響を抑えられるというメリットもありますが、実は太陽光発電システムが原因で起きる事故と言うものもあります。
火災保険に絡めて想定事故例や実際に起きた事故について見ていきましょう。
想定できる事故種別とリスク
- 火災:施工ミスや小動物の配線かじり、蓄電池の異常、飛来物衝突でショートし着火。
-
風災:台風・強風でパネルや架台が飛散・落下し損壊。
配線損傷からのショートも。 -
水災:豪雨で置き型架台が転倒。
洪水後の泥・粉塵堆積で発電効率低下。
遺失利益補償は専用保険のみ。 -
地震・噴火:揺れで機材脱落・配線トラブル等で故障、粉塵堆積で効率低下。
火災保険では地震損害は対象外。
火災や風災に該当する事故では、機材そのものの損害に加えて、建物に対する損害も想定できます。
また、屋根に設置したパネルが落ちて隣家や通行人に損害を与えてしまった場合は、火災保険ではなく賠償責任が必要です。
火災保険にも個人賠償責任の特約が付いているケースが多いので、これを期に特約の内容なども見直しましょう。
実際に発生した代表的な事故
次は実際に起きた太陽光発電システムが原因の事故を、事業用太陽光発電・住宅用太陽光発電に分けて紹介します。
| 分類 | 発生日 | 場所 | 主因 | 被害概要 |
|---|---|---|---|---|
| 事業用 | 2024/3/27 | 鹿児島県(蓄電池併設) | 蓄電池短絡→熱暴走 | 消防員負傷・建屋全焼、売電停止1年以上 |
| 事業用 | 2024/4/15 | 宮城県(山林メガソーラー) | 配線ショート→枯草着火 | 鎮火22時間、下草3.8万㎡焼損 |
| 事業用 | 2019/9/9 | 千葉県(水上メガソーラー) | 台風でパネル衝突 | 湖面上で火災、パネル8割損壊 |
| 住宅用 | 2022年 | 東京都 | パワコン基板トラッキング | 発煙火災、設置場所の湿気が原因 |
| 住宅用 | 2020年 | 兵庫県 | パネル破損→セル過熱 | 裏面焼損、飛来物衝突が発端 |
| 住宅用 | 2022年 | 岡山県 | (施工ミス)ケーブル挟み込み | 屋根まで延焼、遠隔監視警告は4年間放置 |
事業として太陽光発電システムを使用している施設の場合、規模が大きいのでその分損害も大きく、深刻です。
一般住宅に設置した太陽光発電システムはそれほど大規模という訳ではありませんが、設置場所の湿気・埃が原因など、生活と密着した要因で火災が起きています。
参考:製品安全情報マガジン Vol.473 3月25日号「太陽光発電設備の事故」 | 独立行政法人 製品評価技術基盤機構
2022年東京都の火災事故では、浴室や脱衣所など、高温・多湿・ほこりの多い場所へパワーコンディショナを設置してはならないと決まっていたにも関わらず、脱衣所の壁に設置したことで事故が起きました。
設置当初は大丈夫でも、数年かけて負荷が溜まり不具合を起こす→発火につながるので、業者選びと定期的な確認が大切ですね。
もし確認や点検などで未然に防げたはずと判断された場合は、太陽光発電システムを保険の対象としていても、管理義務違反として保険金が支払われない可能性があります。
また、施工ミスが原因で起きた事故は、火災保険ではなく住宅瑕疵担保責任保険という保険の出番です。

太陽光発電システム×保険で注意すべきポイント
実際に起きた事故例を見ると、気を付けないといけないなと言う気持ちが高まったかと思います。
ですが、実は火災保険の内容を見直すだけでは十分といえません。
保険に絡めてあまり知られていない注意ポイントをお教えします。
廃棄費用の高さと外部積立義務
パネルは有害物質を含み産業廃棄物扱いとなるため、住宅用でも撤去・処分費が15~30万円程度かかります。
高額であることを踏まえて、事業用太陽光発電では、2022年7月施行の改正再エネ特措法により廃棄のための費用を国の指定機関へ外部積立することが義務化されました。
発電量が10~2,000kwの太陽光発電システムが対象で、住宅用では一日に3~5kwなので、かなり大規模な事業が対象だとわかりますね。
規模が大きくなればその分廃棄費用もかさみますので、積立などで事前に費用を確保しておくことは大切です。
住宅用は義務対象外ですが、廃棄費用が自己負担となるのは変わりません。
火災保険では、保険の対象を修繕・再築・再調達するための費用を補償してくれますが、使えなくなった物の廃棄費用などは補償してくれません。
ただし、日新火災「お家ドクター火災保険Web」など一部の火災保険では、残存物取片付け費用特約という廃棄費用も補償してくれる特約があります。
使用用途を限定せず見舞金的なノリで保険金を上乗せしてくれる事故時諸費用という特約もあるので、あわせて契約しておくと安心ですね。
※どちらも火災や風災など所定の事故が起き、その事故に対する保険金請求がされた場合に利用できる特約です。
点検・維持管理義務と遠隔モニタリング
改正FIT法では、住宅用(10 kW未満)でも運転開始1年以内+4年に1回以上の定期点検が認定要件となりました。
ちょっとしたことで火災に発展する可能性もあるというのは、事故例を見ての通りです。
所有者の義務として、定期的な点検が義務づけられています。
これを怠ると、火災保険の加入者に課せられた家の管理義務に違反したとして、保険金を請求しても減額されたり、最悪の場合支払いを拒否されることがあります。
太陽光発電システムのメーカー・販売店によっては、異常を検知して通知する機能が搭載されていることもあるので、必要なツールやサービスを利用して太陽光発電システムをいい状態に維持しましょうね。
太陽光発電専用保険もあります
これまでは火災保険で太陽光発電システムを保険の対象にすることを前提に解説してきましたが、実は太陽光発電システム専用の単独保険もあります。
ほとんどは事業用ですが、メーカー・販売店によっては購入者だけが加入できる住宅用の保険もあります。
どのようなことを補償してくれるのかと言えば、次の表のような感じです。
太陽光発電保険の補償内容
| 補償区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 財物 | パネル・パワコンの損壊(台風・落雷・火災等)。 地震補償は商品ごとに異なる。 |
| 賠償(施設賠償) |
主に事業用で補償。 飛散パネルが第三者に損害を与えた場合の賠償責任。 ただし大規模災害発生時は免責のことも。 |
| 利益 |
主に事業用で補償。 故障・災害で売電が停止した期間の遺失利益。 |
保険会社によって異なる点はありますが、基本的にはこんな補償内容になっています。
また、事業用の保険では、リユース・リサイクル費用補償、サイバー攻撃リスク補償といった特約が設けられています。
単独の保険ではなくとも、事業用賠償責任保険で太陽光発電に関する特約を設けている保険もあります。
一般住宅に設置した太陽光発電システムに関しては、火災保険で問題ありません。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
■第1話
■第2話
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。

まとめ
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
最後に記事の内容をまとめますと、火災保険加入後に自宅で太陽光発電を設置した場合、保険会社に連絡しておかなければ、事故時に修理費が足りず泣きを見ることもあります。
火災・風災・水災・地震など多様な損害パターンがあるうえ、点検義務や廃棄費用といった隠れコストも無視できません。
エコな発電方法ということで政治に利用され始め、外国製の素材が昨今の情勢不安で高騰するなど、便利な反面どのようなリスクをはらんでいるか先行きが不透明なところもあります。
今のうちに保険の見直しをして、長期的な安心と投資回収を両立させましょう。









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