地震大国・日本に暮らす私たちにとって、住まいの安全と経済的な備えは車の両輪です。
この記事では「自宅の耐震強化」「家具の転倒防止」「地震保険のしくみと入り方」という三つの柱を中心に、最新制度や補助金情報も交えて詳しく解説します。
読み終えるころには、今日から始められる実践的なステップが明確になっているはずです。
忙しい人はこちら
なぜ今、地震対策と保険の両輪が必要なのか
大地震が発生したとき、命を守る一次的な備えと、被災後の生活再建を支える経済的備えの双方がそろって初めて「安心」が成立します。
耐震補強や家具固定などの物理的対策が不十分だと人的被害が拡大しやすく、一方で保険未加入だと住まいを失ったあとに負債だけが残る……そんな事例は過去の震災で繰り返し報告されています。
先人たちの失敗や後悔を元に、大事なものを地震から守りましょう。
住まいの備えと保険の備え、それぞれを詳しく解説していきます。
1. 自宅の耐震強化
耐震補強は「命を守る壁」を厚くする第一歩です。
過去多くの地震を体験してきた日本では、昭和56年(1981年)6月1日に建築基準法が改正され、耐震基準の内容が新しくなりました。
そのため、昭和56年6月1日以降に着工した建物は新耐震基準、5月31日以前に着工した建物は旧耐震基準と、大きく二つに分けられています。
現在は、この旧耐震基準の建物が新耐震基準を満たすよう、自治体ごとに推進事業が行われています。
申請すると診断・補強費用の補助金が利用できるので、それを活用して今のうちに自宅の耐震強度を見直しましょう。
- 対象建物:原則として旧耐震基準(1981年5月31日以前着工)の木造住宅
- 補助内容:耐震診断費用の3~10割、補強工事費用の1~5割など(自治体により幅)
- 申請の流れ:事前相談 → 耐震診断 → 補助金交付決定 → 工事契約 → 完了報告 → 実績確認
「お住まいの地域 + 地震 補助金」で検索してみてください!
例えば、「板橋区 地震 補助金」と検索すると、板橋区が運営する公式サイトの案内が一番上に表示され、どのような助成や補助が受けられるのかが詳しく解説されています。
板橋区役所公式ホームページ|木造住宅の耐震化促進事業 – 東京
日本にある約1,700もの自治体のうち、こういった制度がない自治体は1~5%くらいでしょう。(具体的な数は色んな都合で隠されていますが、最小で15か所くらいと推測できます。)
また、対象は“旧耐震基準”で建てられた住宅ですが、自治体によっては、新耐震基準の住宅でも耐震性が不足していると診断された場合や、大規模リフォーム時の補強に限り補助の対象となるケースがあるので、まずは一度調べてみてください。
耐震補強のポイント
地震により深刻な被害を受けた地域をGoogleアースなどで見ていると、かなり古い建物が多いです。
外観を写真で見ただけなので、実は耐震補強工事をしているかもしれませんが、すべての建物がそうという訳でもないでしょう。
古民家など、築年数が古い建物にお住まいの方は、次のポイントを重点的に補強するようなリフォームをご検討ください。
- 壁量の確保:筋交いや耐力壁を追加し、バランスを整えるなど
- 接合部の補強:ホールダウン金物で柱脚・柱頭を緊結など
- 屋根の軽量化:瓦屋根をガルバリウム鋼板等へ葺き替え、重心を下げるなど
施工会社を選ぶ際は、国交省登録の「木造住宅耐震診断・改修講習修了者」が在籍しているかを確認すると安心です。
自治体ごとに業者を指定していることもあります。
古民家の耐久性は、保険加入にも関わってきます。
しっかりと手入れして補強もされている古民家は、保険代理店の交渉によっては、本来加入を拒否される築年数であっても特例で加入できるケースがあります。
その特例について、実際にあった事例と一緒に解説している記事がありますので、そちらもぜひご覧ください。

2. 家財の転倒・落下・移動防止
家具や家電の転倒は、避難経路を塞ぐだけでなく二次災害(火災)も招きます。
補強工事よりも簡単にできる対策があるので、今すぐ確認してみましょう。
家具の固定
L字金具・ポール式突っ張り棒・ベルト式固定などを活用して家具を固定することで、安定感が増して転倒リスクを軽減できます。
壁に穴をあけずに設置できるものも多く、ニトリやIKEAなど安い家具ブランドでも販売されています。
家具の下に敷く耐震ジェルなどは、DAISOなどの100円ショップで売ってます。
レイアウトの見直し
大きな家具を置く位置を見直して、危険な場合は模様替えしましょう。
窓のそば:家具がぶつかって窓が割れてしまった場合、避難時に怪我をする可能性が高くなります。窓自体に飛散防止フィルムを貼るのもアリ。
扉や廊下:避難経路に大きな家具を置いていると、倒れた際に道がふさがり、避難が遅れます。
物の断捨離
『いつか使うかも』『処分するにもお金がかかる』と放置している大きな家財、ありませんか?
何かきっかけが無ければ処分できないものもあります。これを期に断捨離しましょう。
物の整理のついでに、緊急時に持ち出す貴重品や備蓄のチェック、家財の保険金額が実際の持ち物にあっているかといった点も一緒に確認できますよ。
3. 地震保険のしくみと入り方
物理的対策を万全にしても、絶対に建物や家財が壊れないという補償はありません。
また、建物・家財が無事でも停電や交通網の麻痺、二次災害の被害(隣家が通電火災→自宅も延焼など)など、さまざまなトラブルに見舞われる可能性があるので、経済的な備えもあった方がいいでしょう。
ここで頼りになるのが地震保険です。
3-1 地震保険は火災保険とセット
地震保険単独では加入できず、必ず火災保険に付帯する形になります。
何故かと言うと、理由はいろいろあげられますが、国民の被災後の生活復興への手助けといった趣旨の制度で、国と損害保険会社が協力して運営している保険だからです。
保険の対象になる建物は火災保険をかけている建物と同じで、契約者の情報なども火災保険と同じものが引き継がれます。
火災保険未加入なら、火災保険契約→同時または後日付帯の二段階手続きとなる点に注意してください。
3-2 保険金の上限と損害区分
| 損害区分 | 建物・家財の状態(例) | 支払割合 |
|---|---|---|
| 全損 | 主要構造部の損害率50%以上等 | 保険金額の100% |
| 大半損 | 同40%以上50%未満 | 保険金額の60% |
| 小半損 | 同20%以上40%未満 | 保険金額の30% |
| 一部損 | 同 3%以上20%未満 | 保険金額の5% |
ただし保険金額の上限は火災保険の半額(建物:5,000万円、家財:1,000万円が上限)と法律で定められています。
あくまでの生活復興の助けであって、原状回復できる費用は給付されません。
その分使用用途に制限などは無く、保険金をいくらにするかという審査が効率化されているので請求から振込までも割とスムーズです。
※大規模な地震だと、請求連絡がどっと押し寄せ、順番待ちになります。
3-3 加入パターン別チェックリスト
-
未加入者:ネット完結型の火災保険(例:日新火災「お家ドクター火災保険Web」)なら見積~申込までスマホで完了。
災害直後や政府の警戒宣言が公布された後は、保険会社が一時的に引受(契約受付)を停止するケースもあるため、平時に契約を。 -
火災保険のみ加入中:契約期間中いつでも付帯可能(保険会社が引き受け停止中でないことが条件)。
ネット型だとこの付帯手続きもネットで完結するケースがほとんど。 -
保険料を抑えたい人:地震保険は家財のみ加入することも可能。
建物は等級判定が厳しく保険金が出にくい一方、家財は比較的判定が緩く、費用対効果が高いとされる。
地震保険を家財のみにする方法と詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています!

3-4 保険料を安くするコツ
- 建築年割引:1981年6月以降の新耐震基準住宅は10%割引
- 免震建築物割引:免震構造なら最大50%
- 耐震等級割引:耐震等級1~3で10~30%
- 長期契約割引:最長5年一括払で約10%前後
火災保険を更改するタイミングで建物の耐震等級証明を取得し、一気に割引適用するのが王道です。
3-5 申請・給付の流れ
- 罹災証明書を市区町村で取得
- 保険会社へ連絡し、被害状況を報告
- 調査員(損害保険登録鑑定人)が現地確認
- 損害区分確定 → 保険金支払い
損害を受けたものが家財のみの場合、また広範囲で被害を受けた被保険者がいる場合は、写真のやりとりのみで調査が完結することもあります。
簡易払い制度を利用すれば、最短で調査後数日以内に支払われるケースもあります。
備えを強くする+α の視点
いざという時に「お金はあるが物がない」「物はあるが資金がない」となるのを防ぐため、物資面と金銭面の両面から備蓄をチェックしましょう。
非常用持ち出し袋に追加したい 6 アイテム
- 携帯トイレ・消臭袋(断水対策)
- モバイルバッテリー(ソーラーパネル付きが便利)
- 多機能ラジオライト(手回し・太陽光充電式)
- 常備薬・処方薬の写し
- 紙の地図・家族写真(通信遮断時の情報共有用)
- 小銭と1,000円札(停電で電子決済不可の場合に備える)
地域コミュニティとの連携
自治会やマンション管理組合で安否確認体制を作ると、初動の救助が迅速になります。
LINEオープンチャットや防災無線アプリを共有しておくと、停電時でも通信インフラが生き残る確率が上がります。
さらに、耐震診断や家具固定の共同発注を行えばコスト削減にもつながります。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
まとめ
地震への備えは、
- 自宅そのものを強化して命を守る「ハード対策」
- 家具転倒防止や非常用持ち出し袋などの「日常対策」
- 被災後の生活再建を支える「地震保険」
という三層で構築すると抜け漏れがありません。
古い住宅は自治体補助を活用して耐震補強を進めつつ、保険は平時に加入しておくのが鉄則です。
保険料を抑えたい場合は家財のみ付帯し、建物の耐震等級割引を併用すればコストとリスクのバランスを最適化できます。
今日できる小さな一歩を積み重ね、安心して暮らせる住まいと家計を一緒に築いていきましょう。










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