異常気象に備える火災保険ガイド【2025年】見直しポイントを詳しく解説

火災保険

近年は「数十年に一度」と言われるような異常気象が毎年のように起こっています。
2020年の豪雨、2021年の熱暑や土石流、2022年の記録的猛暑、2023~2025年にかけての観測史上最高クラスの暑い夏など、生活・住まいを取り巻くリスクは明らかに増加傾向です。
ただの天候の変化として侮っていては、水災や落雷による被害を受けた時に火災保険がうまく機能しない可能性も考えられます。

この記事では、例年続く異常気象に合わせた火災保険の見直しポイントについて解説します。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

近年の異常気象の傾向と予測

まずは2020~2025年の出来事をおさらいして、そのうえで火災保険の見直しポイントを整理しましょう。

代表的な異常気象 概要 主に関係する補償 関連用語
2020 7月の記録的豪雨 九州・中国・東北で河川氾濫や浸水が多発 水災補償(洪水・土砂) 線状降水帯、バックビルディング現象、内水氾濫、大気河川(アトモスフェリック・リバー)
2021 極端な大雨・土砂災害 熱海市の大規模土石流など長雨と地盤飽和が背景 水災補償(土砂・土石流) ポスト・ラニーニャ、梅雨前線停滞、線状降水帯、地盤飽和
2022 歴史的猛暑 6月から高温※が長期化し熱波が継続 (直接補償は限定的) ヒートドーム、フェーン現象、都市ヒートアイランド、WBGT(暑さ指数)
2023 記録的高温※ 全国平均気温が統計開始以来最高クラス (直接補償は限定的) エルニーニョ、海面水温偏差、太平洋高気圧の張り出し、夜間熱帯夜
2024 高温※と局地的豪雨 真夏日に加え対流性の短時間強雨が頻発 水災補償(内水氾濫・水濡れ)、落雷 積乱雲群(MCS)、ダウンバースト、ゲリラ雷雨、線状降水帯
2025 非常に暑い夏 平年比で高温※が広域に継続 (直接補償は限定的) ヒートドーム、高海面水温、都市ヒートアイランド、フェーン現象

※高温そのものは建物の損害とは無関係ですが、長時間気温が高いことが原因で建物の設備や配管に負荷がかかるといった二次的リスクや、台風・ゲリラ豪雨などの自然現象と密接なかかわりがあるため無視はできません。

このように、毎年のように何かしらの異常気象が発生している状態です。

補償内容の確認など、事前の備えが重要です。

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事前に予測できる異常気象もある

エルニーニョ現象、ラニーニャ現象など、聞き覚えのある現象もあるかと思います。
こういった現象の中には、他の現象と因果関係があり、事前に予測がたつものもあります。

項目 詳細
ポスト・エルニーニョ エルニーニョ発生翌年の梅雨に雨が増えやすいといった傾向。エルニーニョ後のインド洋の昇温が関連しているという研究がある。
ポスト・ラニーニャ ラニーニャ発生年の冬は“寒気が入りやすい”、夏の気温・降水も系統的な偏りが出やすい、といった季節的な特徴。
負のダイポールモード現象 インド洋東部の南東貿易風の異常な強弱により発生する事が多い現象で、強いと正・弱いと負とつく。負の場合日本周辺は夏の豪雨リスクが高まると報告されている。
ラニーニャ現象発生年の冬 寒気流入が強まり、西日本~日本海側で寒波・大雪になりやすい年があります。

※あくまでも関連がある、発生傾向がみられるというもので、確実に起きるというものではありません。

火災保険は契約前・変更前に起きた損害は補償されません。

こういった気象現象予測やハザードマップ損害保険料率算出機構の水災等地検索など、入念にリスクを確かめて現状の契約内容では不安だという場合は、補償の見直しをしましょう。

近年の料率改定と傾向

異常気象の多発は、火災保険の商品設計・料率にも直結しています。

2018年の台風・豪雨等の巨額損害を受け、2021年1月に業界横断の料率改定が行われました。
以降も自然災害リスクを反映した改定が続き、保険のかけ方自体にも影響が出ています。

2025年も値上げ等が行われると発表されているため、自然災害と火災保険の関係は今後も注視が必要です。

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最近の火災保険の変化

自然災害による被害の増加が、火災保険に対してどういった変化を与えるのか、2018年の災害×2021年の改定を例に詳しく解説します。

2018年は猛暑・豪雨・豪雪に加え、台風が近畿地方に甚大な高潮・風害をもたらしました。

2018年に発生した主な災害の概要
2018年は、2月に起きた福井県の豪雪に始まり、夏以降も大阪府北部地震、平成30年7月豪雨、平成30年台風第21号・台風第24号、平成30年北海道胆振東部地震等の自然災害が続発し、これに伴う大規模停電など、災害発生時のエネルギーの安定供給の重要性が再認識されるとともに、過酷な災害時における安定供給に係る課題が明らかとなった年となりました。

そして近年、こうした顕著な自然現象の発生回数は増加傾向にあると言えます。例えば地震について、震度5以上の地震の回数は近年増加傾向にあることが見て取れます。また、大雨の発生状況についても、1時間当たり降水量が50mmを超える降雨の回数も逓増傾向にあります。こうした背景もあり、過去の地震や風水災等による保険金の支払額を見ても、近年は大規模災害が相次いでいることが確認できます。
出典:資源エネルギー庁

こうした損害多発を反映させるために参考純率・料率の見直しや改定が実施され、次のような内容が変わりました。

長期契約の上限短縮(10年→5年)

ここからは近年行われた改定により変わった点について解説していきます。

火災保険はかつて最長36年で結べましたが10年へ短縮され、さらに2022年10月からは最長5年に。

こういった流れは今後も加速していくと見られており、「長く固定して安くかける」よりも、「頻繁に見直してリスクに追随する」時代に変わりました。

地域別水災リスク反映と選択設計

豪雨・台風の被害格差が大きくなる中で、水災リスクの区分が市町村区単位で5等地に分類されました。
そのため、リスクが高い等地は水災の保険料が上がり、逆にリスクが低い等地は保険料が下がりました。

また保険によっては水災補償の付帯・不付帯や免責金額(自己負担額)を選べるようになり、他の補償との組み合わせも選べる自由設計型火災保険が人気になっています。

補償ごとに免責金額を設定可

これまでは保険契約全体で免責金額(自己負担額)を設定するという仕組みでしたが、補償単位でそれぞれ免責金額を設定できるようになりました。

免責金額(自己負担額)とは、損害が発生した際にかかる修繕費・再調達額のうち、設定した金額は契約者が自分で負担するというもので、保険会社が支払う保険金が少なくなることから保険料も多少抑えられます。

割引制度の変化

改定により長期契約割やそれに類する割引制度にうま味が無くなった分、それに代わる割引制度が新しく設けられています。

例:お家ドクター火災保険

名称 割引額 詳細
インターネット割引*11

申込みからご契約まで、インターネットで手続きをした方に適用される割引です
指定工務店割引*11

指定工務店特約をセットする場合に適用される割引です
S評価割引(マンション区分所有者向け)*11

保険対象のマンションがM構造・T構造であり、かつ(一社)日本マンション管理士会連合会のマンション鑑定士の診断により「S評価」を獲得した場合、建物の保険料が割引になります。*12

出典:お家ドクター火災保険WEBとは

ネット完結型保険で手続きにかかる人件費を短縮しその分割引する、建物の損害リスクが低い場合に割引するなど、各社で保険金を支払うリスクが低い契約者に対しては割引をするといった傾向がみられます。

保険の対象となる建物が新築だった場合の割引なども同様です。

主要補償と「昔の契約」の注意点

ここからは近年の異常気象リスクと保険改定を踏まえ、住まいを守るうえで確認したい補償と、古い契約で起こりやすい落とし穴を整理します。

1.雷による損害(落雷損害)

落雷は火災と関連が深い災害なので、火災保険では基本補償に含まれています。

火災に至らなくても、落雷由来の過電圧(サージ)で機器が故障した場合は支払対象となるのが一般的です。

ただし、雷の影響を受けやすい機器類に関しては、雷が原因の故障だと証明することが重要であり、専用の特約が必要になる場合があるなど、注意が必要です。
次のポイントに注意しましょう。

  • 保険の対象を確認:建物のみ契約だと持ち家の家電は対象外になり得るため、家財もセットで検討を。
  • 建物と家財の区別に注意:据え付けのエアコン・ビルトイン設備は建物で見るのが一般的、テレビやPCなどは家財です。

申請時に修理業者の診断書や見積もり、損害を受けた具体的な日時、その日時の気象情報に関する客観的な資料があるとスムーズですので、事前に修理や診断を依頼できる業者をピックアップしておくと安心です。

2.強風による損害(風災)

アンテナや屋根・外装などの損壊、飛来物による窓破損などは「風災」で補償します。
※風が原因ではない飛来物は、飛来物補償が必要です。

しかし古い契約では「20万円フランチャイズ(20万円未満は不払、以上は全額)」という条件が付いている例が少なくありません。

また、老朽化などの自然な消耗・経年劣化はどの火災保険でも補償対象外になります。

約款・保険証券の確認と、自宅のメンテナンスを事前にやっておきましょう。

3.大雨・台風・高潮による損害(水災)

水災」は洪水・内水氾濫・土砂災害・高潮まで幅広くカバーします。

ただし、いくつか注意が必要なポイントがあります。

水災は保険料改定の辺りから保険金支払い基準に上限が設けられ、契約時に新価払か定率払かといった選択肢が選べるようになりました。

参考リンク:お家ドクター火災保険WEB「水災 実損払/定率払」

保険金の支払い額が少ない契約の方が保険料が抑えられますが、実際に損害が起きた場合に修繕費の自己負担が増えてしまいます。

また、川や海が近くにない立地でも内水氾濫や土砂災害といった被害にあう可能性はゼロではないため、水災を外すかどうかはハザードマップなどでリスクを確かめてからにしましょう。

そして案外引っかかりやすいのが、津波は水災では補償されないということです。

津波は地震と関連した災害であるため、地震保険の補償範囲になっています。地震保険で補償されることは火災保険では自動で補償対象外となりますので、津波の被害に備えたい場合は地震保険に加入しましょう。

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「普通火災」だったら要再検討

15~25年前の長期契約では、火災・落雷・破裂・爆発のみの「普通火災」や、風災・水災を外して保険料を抑えた設計が残っていることがあります。

異常気象下では実需に合わないことが多く、更新時に総合型へ切り替えるのが無難です。

4.雨が原因ではない土砂災害

土砂災害でも「主な原因」によって保険の扱いが変わります。

まずは原因の特定が最重要で、雨起因とそれ以外(地震・人為・構造等)で請求先が分かれる点にご注意ください。

  • 地震・噴火・津波が主因の土砂流入:地震保険の補償対象です。
  • 盛土崩落・造成不良・老朽化等の人為・構造要因:火災保険・地震保険ともに対象外となるのが一般的です。加害者の過失が明確な場合は賠償請求を。
  • 近隣工事・重機の振動等に伴う崩落:原則として住まいの火災保険では対象外。施工側の責任や賠償の問題として扱われるのが一般的です。
  • 雨が主因でない複合要因(例:長期的な排水不良+軽微な降雨):起因の割合・経緯により判断が分かれます。

この原因特定によっては、保険金を請求しても審査が通りません。

しかし、賠償問題に関しては被害事故の対応のために弁護士を選任した場合の費用をカバーしてくれる補償もありますので、万が一に備えることは出来ます。

被害事故弁護士費用等補償特約とは|お家ドクター火災保険Web

事故時の確認・準備ポイント

異常気象に起因する事故によって建物や家財が損害を受けた場合、保険金請求の際は次のポイントを押さえましょう。

  • 自治体の罹災証明や原因区分、気象庁データ(降雨・地震等)の収集
  • 現場写真・動画、被害箇所の見積書や修理報告書
  • 造成・盛土・擁壁・排水設備の設計図面や工事記録があれば写しを確保
  • 地震・噴火・津波が疑われる場合は地震保険の適用可能性も同時に確認
  • 人為・構造起因の可能性がある場合は、相手方の保険(施設所有者賠償責任保険等)や法的手続の相談も検討

建物や地盤に関する資料は、保険証券と一緒に保管しておくとスムーズです。

損害によりすぐに避難しなければいけない場合は、必要な書類を探して避難が遅れたといったことがないように気を付けましょう。

万が一の時は保険証券が無くても身分証明書があれば何とか手続きができるようになっています。

また、保険代理店を通して契約している場合は、その代理店に連絡をするのが一番スムーズです。
原因によって変わる請求先や手続きの内容に関しても、サポートしてくれます。

5.隣家からの飛来物による損害(天災時)

もし隣接する建物が壊れ、その破片が自宅に衝突した場合。これも建物が壊れる原因によって対応が変わってきます。

隣家が工事をしていた時に事故で破片が飛んで来たなど、人的ミスが関わるのであれば火災保険に請求するのではなく法的に賠償責任を課せられた人物へ賠償請求をすることになります。

台風や竜巻、強風など自然災害が原因で起き、隣家に過失がないと判断された場合は、賠償請求することは難しいでしょう。
この時は火災保険の風災補償が使えます。

なお、損害を受けたのが自動車だった場合は、火災保険の対象外なので、車両保険(自動車保険)での対応が一般的です。

管理不全や明確な過失がある場合は例外もあり得るため、どのような状況でも写真で被害の記録を残してください。

異常気象に備える火災保険見直しポイント

近年の異常気象を鑑みて火災保険を見直す際にはいくつかのポイントがあります。

火災保険は保険会社によって細かな設定や仕組みが異なっており、うっかり落とし穴にはまってしまう場合もあるので注意しましょう。

途中変更(中途更改・特約追加)の基本

契約内容は何でも自由に変えられるわけではありません。

保険によっては、水災の追加や免責金額の変更が途中からではできないようになっているものもあります。

さらには変更するタイミングも重要です。
事故発生後にその事故に対応する補償や契約設定を追加しても、補償を受けられることはありません。

増改築といったリフォーム、太陽光発電システムの導入といった設備品の増減、建物の用途を自宅から店舗や事務所といった事業用物件に変える場合は、必ず契約内容も変更しなければいけません。
そして変更内容によっては、その火災保険が定めた引き受けできない住居に該当してしまうこともあります。

以上のことから、補償や契約内容の変更をする際は建物の確認や写真・書類の提出など、追加手続きが求められる場合があります。

見直しは時間に余裕をもって行いましょう。
急いでいる場合は親身に相談に乗ってくれる保険代理店で見直しや手続きの補助を依頼することがおすすめです。

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満期更新時の見直しポイント

現在火災保険の長期契約の上限は5年になっています。

1年更新制のところが多く、中には2年や3年、4年が選べる火災保険もあります。

更新の頻度が多い分、その時々に合わせた補償や契約内容の調整が可能です。

  • 異常気象や集中豪雨などの水災が起きる可能性
  • 最新のハザードマップ情報
  • 近隣の災害情報
  • 家財の再調達、修繕に関する物価の変動

上記のような情報を基に、現状に適した火災保険になるよう見直しましょう。

また、保険が改定される際は割引制度が増えることが往々にしてあります。
新しく出来た割引制度が利用できるかどうかといった点もチェックしておくと、保険料の節約につながります。

古い保険契約の見直し

保険期間の上限が縮小されたのは2015年10月の改定がはじめなので、その前に契約した人は最長35年の契約期間が継続中というケースもあります。

保険は契約時の内容が契約期間中も維持されるため、新しい補償や契約設定などが生まれても、変更しなくては古い契約のままです。

20万円フランチャイズ(20万円以下の損害は補償されない)や高額な免責設定などは変更し、現在の環境やリスクに合わせた補償内容にすることをおすすめします。

※保険会社によっては現行の制度とは異なる保険契約は一度解約してから再契約という手続きが行われる可能性があります。
保険期間がまだ残っている場合、そして契約時に一括で保険料を支払った場合は、未経過保険料としていくらかが返ってきますが、どの程度の金額になるかは保険会社によって異なります。

いま見直すべき実務チェックリスト

異常気象が常態化した前提で、以下を最低限ご確認ください。

  • 建物だけでなく家財も加入しているか(落雷・水災で家電や家具を守れるか)
  • 水災補償を外していないか(床上浸水・45cm・30%基準など支払要件も確認)
  • 風災の「20万円フランチャイズ」や高めの免責が残っていないか
  • 評価額(再調達価額)が実勢に追いついているか(リフォーム・物価上昇を反映)
  • 臨時費用・残存物片付け・持出し家財・水濡れ(給排水設備)など特約の要否
  • 更新間際の改定・地域料率の影響を販売会社に試算してもらったか
  • 自動車は車両保険で台風・飛来物に備えているか

この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!

メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。

まとめ

異常気象は「例外」ではなくなりました。そのため、今一度異常気象が原因の災害に現状の火災保険契約が適しているかどうか、確認が必要です。
保険の対象に家財を追加するかどうか、水災補償があるかどうか、「20万円フランチャイズ」など古い契約が残っていないかなど、現在の環境と災害リスクに合わせて、こまめにチェックしていきましょう。
新しい割引制度など、保険料節約につながる情報も要チェックです。

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