年末に向けて家のあちこちが気になる季節。火災保険が使えないと思い込んで自費で修理してしまうと損をしてしまうかもしれません。
実は火災保険を使って修繕費を保険金で賄えるものもあるので、詳しく解説します。
大掃除で起きた事故については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ併せてご一読ください。

忙しい人はこちら
火災保険で修理できるもの・できないものの基本
火災保険の基本は、契約した補償の適用範囲に該当する“予測できない事故”に対して、契約内容に沿って保険金を支払うというものです。
例えば、雨が降っているのに窓を開けっぱなしにしていたり、うっかり蛇口を締め忘れてしまったことで部屋が水浸しになったというケースは、予測できたはずのうっかり事故に該当するため、水災補償や漏水・水濡れ補償をつけていても補償されません。
また、経年劣化が原因の被害も、原則として事故には該当せず、補償されません。
建物の劣化を放置した結果、雨漏りが発生して部屋が水浸しになる……というのが典型です。
突然起きた事故のように思えても、原因が経年劣化によるものだと判明したら保険金は下りません。
屋根や外壁、配管などは気づかないうちに劣化が進むため、重大な破損を起こした時に「管理不足」と判断されやすい傾向があります。
台風や寒波などが劣化を早めることもあり、気候変動によって災害が増えている現代では、以前よりも経年劣化と判断される割合が増えています。
| 状況 | 原因 | 可否 |
|---|---|---|
| 窓を開けっぱなしにして水浸し 蛇口を開いたままにして水浸し |
うっかりミス | 事故ではないと判断されて補償されない |
| 屋根のメンテナンス不足で雨漏り | 経年劣化 | 経年劣化は補償しないと免責が設定されているため補償されない |
| 強風で窓ガラスが割れて水浸し | 窓が予期せず割れたから起きた | 予測できない事故が原因なので、補償される※風災 |
部屋が水浸しになるという結果は同じでも、原因によって補償されるかどうかが大きく違います。
よくある「保険が使える修理」ケース
一般的によくある事故で、保険が使えるケースを紹介します。
屋根の破損
屋根が破損した場合、原因が強風や台風なら風災補償、飛来物や落下物など外部からの衝撃が原因なら飛来物・落下物・衝突の補償が適用されます。
原因になりうる災害や事故が起きていない状態で屋根が破損した場合、新築でなければ経年劣化の可能性が高めです。
また、台風や地震などは屋根の劣化を早めるため、災害があった後は早めの点検が重要です。
保険業法では、事故が発生したとされる日から3年以内は保険を請求できますが、時間がたつほど原因特定が難しくなります。
雨樋破損
雨樋が破損した場合も、原因が突風・台風・積雪などの外力であれば保険の対象になります。
一方、雨樋は「日光・雨風・紫外線」で劣化しやすいため、経年劣化と判断されるケースも多い部位です。
例えば
- 落ち葉が詰まりやすいのに定期的に掃除していなかった
- 金具がサビて弱っていた
しかし、
- 大雪で変形した
- 強風で物が飛んできて割れた
- 台風後に突然落下した
といった“外力による破損”が明確なケースでは、補償される可能性が高い部位でもあります。
カーポート破損
カーポートは建物の付属物として扱われるため、基本的には建物と同じ考え方で保険が適用されます。
ただし、紫外線・雨風・積雪などで劣化しやすい部位でもあり、日常的なメンテナンス不足があると経年劣化と判断される可能性があります。
錆が目立っていた、前からヒビが入っていた……などは保険金請求が通りにくいので、こまめな点検が大事です。
給湯器の凍結から起きた事故
給湯器が凍結して故障した場合、「給湯器そのものの修理費」は保険対象外になることがほとんどです。
ただし、給湯器の凍結が原因で起きた“二次的な事故”は補償される可能性があります。
例えば:
- 給湯器が凍結して破裂し、室内や外壁が水浸しになった
- 給湯配管が破裂して床材・壁紙が濡れて損傷した
- 漏れた水が階下に流れ、賠償責任が発生した
なお、水道管の凍結事故には特約がある保険もありますが、給湯器は対象外となるケースが多いので注意が必要です。
ベランダ配管
ベランダ配管の破裂・水漏れについては、「経年劣化ではない」「管理不足ではない」と判断される状況であれば補償される可能性があります。
台風で飛んできた葉っぱがベランダの排水溝をふさいでしまい、ベランダに蓄積した雨があふれて居住スペースが水浸しになってしまった。
⇒戸などの開口部はきちんと締め切っていて、排水口は管理不足などではなく、あくまで台風時に巻き上げられた葉やゴミなどで詰まった状態であれば、建物や家財の「水濡れ等」で補償の対象となる可能性があります。
※実際に被害に遭われた際には、担当者より詳しい状況を確認した上で補償可否についてご案内いたします。
出典:SBI損保
SBI損保のQ&Aに書いてある例のように、台風で飛んできた葉が排水口を塞いだことによる水濡れは、外力性が認められ“事故”として扱われます。
ただし、配管自体の修理費は保険対象外になることが多く、これは給湯器同様「壊れやすく経年劣化しやすい部位」として免責事項に含まれやすいためです。
配管の場合、「建物側の配管か」「専有部の配管か」で扱いが変わる点も注意です。

保険が使えない代表例
ここからは、実は火災保険では補償されない事故の例を紹介します。
給湯器の故障(摩耗・劣化)
給湯器そのものの故障は、火災保険では原則補償されません。
凍結による二次被害は補償される可能性がありますが、給湯器は寿命が短く、消耗品扱いのため「経年劣化」と判断されやすいからです。
外壁塗装の劣化
外壁塗装は紫外線・風雨で徐々に劣化していくため、剥がれや色あせは経年劣化として扱われます。
一方、強風で物が飛んできて一部分だけ剥げたなど、“事故性のある破損”は補償対象になります。
シロアリ
シロアリ被害は火災保険では補償されません。
「長期間の侵食による損害」であり、これも経年劣化・管理不足の扱いとなるためです。
排水管詰まり・トイレ逆流(原因による)
排水管トラブルは、本来は「保険が使える修理」ケースにも該当しやすい事故ですが、原因によっては補償されません。
例えば
- 日常的に油を流していた
- 掃除を怠っていた
- トイレに流せないものを流した
など“予測できた事故”に該当するものは、保険対象外になります。
ただし、台風で排水口が詰まった、共用部の配管が破裂した、など“外力による事故”なら補償される場合があります。
ここがよく混同されるため、火災保険では「排水管トラブルはグレーゾーンが多い」とされています。
判断が難しいグレーゾーン
保険の適用・不適用を分ける基準はありますが、実際には“事故か経年劣化か”の判断が難しいケースも少なくありません。
ここでは、特に迷いやすい事故例を紹介します。
雪害・寒波被害
雪の重みでカーポートが破損する、凍結で配管が破裂するなどは雪害として補償される可能性があります。
ただし、雪が降る地域で必要な対策をしていなかった場合、「管理不足」の扱いになることもあります。
経年劣化+事故の複合
たとえば
「経年劣化していた屋根に、強風がとどめを刺した」
というケース。
この場合、劣化部分は補償対象外でも、“事故が原因で悪化した部分”だけ補償される場合があります。
施工不良と事故の線引き
外壁や屋根の施工不良が原因で破損した場合は、火災保険では補償されません。
施工不良は施工業者の責任になるため、住宅瑕疵担保責任保険など、別の保険で対応されるケースがあります。
この記事を読んで「施工不良かも?」と感じたら、住宅瑕疵担保責任保険の解説記事も参考にしてください。

申請のコツ
火災保険を使えるかどうかは、事故状況の説明の仕方や書類の準備によって大きく変わります。
次のポイントを押さえて申請すると、スムーズに手続きが進みやすくなります。
- 事故状況は「余計なことを言わず、事実を正確に」伝える
- 破損直後の写真をしっかり残しておく
- 修理前に代理店へ相談する
- 事故後すぐ申請することで、原因が曖昧になるリスクを避ける
まとめ
火災保険をうまく使えるかどうかは、契約している火災保険の内容、そして契約内容をよく把握していることが大切です。
保険が使えると思っていなかったけど使えた、逆に保険が使えると思っていたのに使えなかったなど、損をしないようにしましょう。
また、請求時期や事故報告の時の伝え方などによっても大きく変わるので、困った際は保険代理店へご相談ください。







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