地震保険と地震共済は、ともに地震による損害を補償してくれる仕組みですが、実際には公的な地震保険(政府が統括する制度)と、各種組合が独自に提供する地震共済という形態で大きく異なります。
実は地震共済は公的地震保険ではありません。
「地震保険が高いから共済を選ぶ」という理由だけで加入すると、補償の範囲や保険金(共済金)の支払い水準などが想定と違うこともあるので注意が必要です。
この記事では、それぞれの特徴を比較しながら、地震保険と地震共済の違いについて詳しく解説します。
忙しい人はこちら
地震保険と地震共済の違い
まず、火災保険とセットで加入する公的地震保険と、共済の契約に含まれる地震に関する保障を区別するために、この記事では公的地震保険は地震保険、共済の方は地震共済と呼称します。
『地震保険』と『地震共済』は、どちらも地震による損害を補償してくれる点では共通していますが、その仕組みは異なります。
以下4つの違いについて、詳しく解説します。
- 監督官庁と法令
- 加入条件
- 運営主体
- 保険料・保険金(掛け金・共済金)
地震保険について、こちらの記事で詳しく解説しています。

また、共済の仕組みについてはこちらの記事で解説しています。

違いその1:監督官庁と法令
保険と共済の仕組みを理解するうえで重要なのは、監督官庁と法令が異なることです。
この違いによって、加入者を守るためのルールや補償のあり方に差が生まれます。
| 法令 | 監督官庁 | 詳細 |
|---|---|---|
| 保険法 | 法務省 | 保険契約のルールを定めた民事法。 |
| 保険業法 | 金融庁 | 保険会社の業務運営を規制する法律。 |
| 地震保険法 | 金融庁 | 地震保険の制度や支援を定めた法律。 |
地震保険は、主に上記の保険法・保険業法・地震保険法が根拠となっており、金融庁や法務省といった監督官庁の管理下で運営されています。
他にも、保険料の純保険料率を算出する『損害保険料率算出機構』(法人)なども絡み、不正やトラブルが減るように法整備がされています。
一方で、地震共済(共済の地震補償・特約)は、運営する組合の種類によって適用される法律・監督官庁が変わります。
| 共済の例 | 法令 | 監督官庁 | 詳細 |
|---|---|---|---|
| 農協のJA共済 | 農業協同組合法 | 農林水産省 | 農家向け共済制度の運営主体となる農協を規定する法律 |
| 全労済など | 消費生活協同組合法 | 厚生労働省 | 組合員に共済を提供する生協活動を規定する法律 |
地震共済は地震保険のように厳しいルールを定める法律は無いようですが、だからこそ過不足がないようにと地震保険の仕組みやルールをまねているものが多いです。
しかし、保険と共済でこれほど法令・監督官庁が違うと、目的や存在意義といった根幹の部分からして異なっているのだとわかると思います。
違いその2:加入条件
■地震保険:
地震保険は火災保険に入っていれば、基本的に誰でも加入できます。
対象となる建物は住居用のもの(家計地震保険)に限られ、企業ビルや工場などの事業用建物は別の特約を利用します。
■地震共済:
地震共済は、その共済を運営する組合員のみを対象とすることが原則です。
とはいえ、近年では員外利用が認められていたり、組合員以外でも加入できるケースが増えているので、実際の加入条件は各共済によって異なります。
加入を検討する際には、組合員になる条件や必要な手続きを確認することが大切です。
違いその3:運営主体
■地震保険:
地震保険は、政府と損害保険会社が共同で運営しており、政府が補償の枠組みを統括しつつ、損害保険会社が窓口業務や契約手続きを担当しています。
そのため、保険料(火災保険とセットで加入する分も含む)や保険金の支払い条件などは法律によって統一され、どの保険会社で契約しても大きな差異がありません。
■地震共済:
地震共済は、生活協同組合や労働組合、農業協同組合(JA)などが独自に運営しているケースが多いです。
その結果、掛け金や共済金の支払い基準に、各共済ごとの独自ルールが設けられることが珍しくありません。
違いその4:保険料・保険金(掛け金・共済金)
■地震保険:
地震保険の場合、どの損害保険会社から加入しても下記のように統一されたルールで保険料・保険金が設定されます。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 保険金額 | 火災保険の保険金額の30~50%まで、かつ建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限 |
| 保険料 | 保険金額、都道府県別の等地や、建物の構造等、複数の要素を考慮して算出 |
| 保険金 | 全損・大半損・小半損・一部損の4区分で損害を評価し、時価や保険金額に応じた割合を支払う |
地震保険は火災保険にセットで加入する必要がありますが、火災保険とは別に保険料が計算されます。
また、保険金の査定や支払いスキームも金融庁や第三者機関が介入して定めているため、保険会社間で大きな差異は生じません。
(参考:日本損害保険協会「地震保険とは」)
地震保険の保険料について、こちらの記事でも詳しく解説しています。

■地震共済:
地震共済は、火災共済など建物を対象とした共済に付帯する形で、地震補償として組み込まれることが一般的です。
火災共済とあわせて「共済掛け金」を算出するため、地震部分だけを単独で切り離しては加入できない場合がほとんどです。
さらに、地震の補償に関する掛け金は都道府県ごとや建物の構造によって異なります。
たとえば、石川県民共済では以下のような区分が示されています。
(出典:石川県民共済公式サイト)
| グループ名 | 構造 | 新型火災共済ご加入額 1万円当たりの掛金(月払/円) |
新型火災共済ご加入額 1万円当たりの掛金(年払/円) |
|---|---|---|---|
| Aグループ | 木造等 | 0.2625 | 3 |
| 鉄筋コンクリート造 | 0.13125 | 1.5 | |
| Bグループ | 木造等 | 0.3675 | 4.2 |
| 鉄筋コンクリート造 | 0.18375 | 2.1 | |
| Cグループ | 木造等 | 0.63 | 7.2 |
| 鉄筋コンクリート造 | 0.34125 | 3.9 |
共済金の支払基準も各組合によって違いがあります。たとえば、以下は一例です。
| 地震共済の例 | 概要 |
|---|---|
| JA共済(建物更生共済) | ほぼ地震保険に準ずるが、まったく同一ではない |
| 全労済(すまいる共済) | 建物が半壊・半焼以上で掛け金の5%(上限300万円) |
| COOP共済 | 建物が半壊・半焼以上で掛け金の5%(上限300万円) ※特約によって最大500万円 |
地震保険は保険料が高い分、上限額や補償範囲も幅広い傾向があります。
一方で地震共済は掛け金が安めに設定されている分、地震被害時に受け取れる共済金も限定的である場合が多いです。
共通点もある
ここまで地震保険と地震共済の相違点を見てきましたが、両者には共通する点もあります。
主な例を挙げると次のとおりです。
- 所得控除が受けられる(地震保険料控除)
- 火災保険や火災共済に付帯する形で加入するため、単独加入が難しい
控除証明書さえ発行されれば、保険も共済も地震保険料控除の対象になります。
また、地震保険は火災保険とセット、地震共済は建物共済の特約の一部であるため、どちらも「地震部分だけの加入」はほとんどできません。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
地震保険と地震共済についてまとめ
地震保険と地震共済は、どちらも地震による損害を補償してくれる点では共通していますが、監督官庁・法令・運営主体・加入条件・補償範囲・掛け金(保険料)といった多くの面で異なります。
特に地震保険は政府によって統括される公的地震保険であり、保険会社ごとのばらつきが少ない一方、掛け金が高めに設定されがちです。
それに対して地震共済は組合が運営主体となり、掛け金は安めでも、受けられる共済金の上限が低かったり支払基準が異なったりすることがあります。
「地震共済」と呼ばれているものを地震保険と同じ仕組みだと勘違いしてしまうと、いざ被害が生じたときに想定外の補償しか受けられない可能性も否めません。
地震リスクが高まっている現在、加入する際には以下の点をしっかりと確認しましょう。
- 加入するのは公的な地震保険か、各組合の地震共済(特約)か
- 上限金額や補償される範囲、支払い基準
- 組合員になる必要の有無、掛け金の算出方法
地震保険と地震共済の両方に長所・短所があります。
自分の住居やライフスタイル、家計状況に合った方法をよく検討し、安心できる備えを整えることをおすすめします。





コメント