2026年から損害保険が変わる?AI化で契約者に増える見えないリスクと責任

保険全般

AI技術の進化により、私たちの身の回りのサービスは急速に便利になっています。
その流れは、これまで「人」が中心となって支えてきた損害保険の世界にも及び、2026年からはAIを活用した仕組みへと大きく舵を切ろうとしています。
一見すると手続きが簡単になりそうな変化ですが、その裏側では、契約者自身が背負う責任やリスクが静かに増えつつあります。
これから損害保険に加入する人、すでに加入している人こそ、事前に知っておきたい注意点があります。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

2026年から損害保険が変わる

現在、損害保険業界は大きな転換期にあります。
そのきっかけの一つとなったのが、ビッグモーター事件です。
この事件では、会社ぐるみでの不正行為が行われていたことに加え、保険会社から出向していた社員もその状況を把握しながら是正されなかった点が問題視されました。
この一件を機に、損害保険業界全体に対する社会の目は一気に厳しくなり、金融庁の強い指導のもと、業界体質の見直しが進められています。

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その流れの中で、以下のような変化が同時に起きています。

  • 大手損害保険会社の再編・合併の動き
  • 修繕資材や人件費の高騰による収益性の悪化
  • 「売上優先」から「契約者本位」への転換要求

こうした背景から、各社は業務の効率化とコスト削減を迫られ、その解決策の一つとして注目されているのがAI技術の本格導入です。

AIツールの導入へ

損害保険のAI化とは、単にシステムが新しくなるという話ではありません。
これまで人が担ってきた役割の一部が、AIに置き換えられていくという構造的な変化を意味します。

特に重要なのが、「初期データのインプット」です。
初期データのインプットとは、契約内容を決めるための基礎情報を登録する作業を指します。
たとえば自動車保険であれば車検証の内容、火災保険であれば建物の構造や築年数、家財の有無などがこれにあたります。

これまでは、代理店の担当者が書類を確認しながら内容を整理し、入力を代行していました。
しかし今後は、契約者自身がAIの質問に答える形で、これらの情報を直接入力するケースが主流になっていきます。

一見すると手続きがスムーズになったように感じますが、実際には契約者側の負担が増える側面もあります。
保険の仕組みや用語を十分に理解しないまま進めてしまうと、意図しない内容で契約が成立してしまう可能性があるからです。

損害保険のAI化がうむリスクと影響

AI化によって利便性が高まる一方で、契約者側にはこれまで以上に注意が求められるようになります。
特に大きなポイントとなるのが、「入力内容の正確さ」です。

入力ミスが虚偽申告とみなされる可能性がある

AIによる契約では、入力された情報がそのまま契約内容の前提となります。
知識不足や思い込みによる入力ミスであっても、結果的に事実と異なる情報が登録されてしまえば、虚偽申告と判断されるリスクがあります。

初期データの入力を誤った場合、次のような不利益が生じる可能性があります。

  • 事故時に保険金が支払われない
  • 保険料の不足分を過去にさかのぼって一括請求される
  • 更新時に契約を断られる
  • 本来必要な補償が付いていない、または不要に高い保険料を支払っている

また、入力ミスに気づいて修正しようとしても、最近ではカスタマーセンター自体がAI対応になっているケースも増えています。
機械操作が苦手な人にとっては、問い合わせや修正のハードルが高く感じられる場面も少なくありません。

これまでが「プロのガイドと一緒に書類を作成する状態」だったとすれば、これからは「無人のセルフチェックイン機を一人で操作する状態」に近いと言えるでしょう。
操作を間違えても、AIは「入力された内容が正しい」として処理を進めてしまうため、後からのトラブルでは自己責任が問われやすくなります。

さらに、代理店を通さず保険会社と直接やり取りする場合、保険の仕組みや補償内容についても自分で理解する必要があります。
難しい点や細かい条件を丁寧に説明してくれる人がいないまま手続きを進めてしまい、勘違いした状態で契約してしまう危険性も高まります。

保険代理店の廃業が増える可能性

AI化の影響は、契約者側だけでなく、保険代理店にも及んでいます。
「AIに仕事を奪われる」と言われることもありますが、実際にはそれだけが理由ではありません。
代理店の高齢化や後継者不足に加え、AI対応ツールの導入や初期設定といった、従来とは異なるIT対応が求められるようになったことが大きく影響しています。

特に、個人事業規模や小規模で運営されている代理店ほど、その負担は重くなりがちです。
実際に、保険代理店の募集人から聞いた事例として、次のようなケースがあります。

賃貸物件を扱う不動産会社が、兼業代理店として入居者に賃貸向けの家財保険を案内していました。
しかし、AI化に伴うシステム変更によって、その保険がネットダイレクト型へ移行。結果として代理店経由での取り扱いができなくなり、紹介しても代理店報酬が得られない状況になってしまったというものです。

このように、代理店の減少や直契約の増加は、すでに現実のものとなり始めています。

 
 
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!

メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。

まとめ

2026年から進む損害保険のAI化は、業界全体にとって避けられない流れです。
手続きの簡略化や効率化といったメリットがある一方で、契約者自身が入力や判断に責任を持つ場面は確実に増えていきます。
特に、保険の内容がよく分からないまま契約を進めてしまうと、思わぬ不利益を被る可能性があります。
機械操作や専門用語に不安がある人ほど、相談できる相手がいるかどうかは重要なポイントです。
これからの時代は、「どの保険に入るか」だけでなく、「どのように加入するか」も含めて考えることが、損害保険と上手に付き合うための鍵になるでしょう。

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