火災保険の保険金額は更新時に見直すべき?建築費上昇と補償不足

火災保険

火災保険を契約してから数年が経つと、「契約したときと同じ保険金額のままで大丈夫かな」「家は古くなっているのに、更新時の保険金額が高くなったのはなぜだろう」と感じることがあるかもしれません。

建物自体に大きな変更がなくても、材料費や人件費などの建築費が変わると、今、同等の建物を建て直すために必要な金額は変化します。
そのため、契約時には十分だった保険金額が、数年後には今の建築費に対して不足してしまう可能性があります。

この記事では、火災保険の更新時に保険金額を確認する必要性や、建築費上昇と評価額の関係、補償不足を防ぐための確認方法について解説いたします。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

火災保険の保険金額は更新時に見直すべき?

結論からお伝えすると、更新時には一度、現在の評価額と保険金額を確認し、ズレがあれば必要に応じて見直すことをおすすめいたします。
ただし、これは「更新のたびに必ず保険金額を変更しなければならない」という意味ではありません。
今の保険金額が適正であれば、変更する必要はないためです。

保険金額とは、事故が発生した際に支払われる損害保険金の上限として機能する契約上の金額であり、建物や家財の評価額を基準として設定します。
契約時には適正だった保険金額でも、年月の経過や建築費・物価の変化によって、現在の評価額とのズレが生じることがあります。

日本損害保険協会でも、建物の評価額は年月の経過とともに変動するため、契約を締結するときだけでなく、契約を更新する際にも必要に応じて保険金額を見直すことが必要だと案内されています。

昔の保険金額のままだと補償不足になることも

ここが、この記事でお伝えしたい重要なポイントです。
たとえば、契約当時の保険金額が2,000万円だったとしても、現在同じ建物を再築するために2,500万円必要な状態になっていれば、以前の保険金額のままでは十分な再建費用を確保できない可能性があります。

※この金額はあくまで説明用の例です。実際の評価額の算定方法や保険金の支払い方法は、契約している商品によって異なります。

「契約した当時は適正だった保険金額が、今も適正とは限らない」ということを、まず知っておいていただければと思います。

保険金額を高くしておけば安心とは限らない

一方で、「今後も建築費が上がりそうだから」といって、現在の評価額より大幅に高い保険金額を設定すればよいというわけでもありません。

火災保険は、実際に発生した損害を補償する保険です。
現在の評価額を大きく超える保険金額を設定しても、損害額を超えて保険金を受け取れるわけではなく、補償上のメリットにはつながりにくい一方で、保険料の負担だけが増えてしまう可能性があります。

「高ければ高いほど安心」ではなく、その時点の適正な評価額に合わせることが大切だと考えてください。

建築費が上がると火災保険の評価額も変わる

現在の住宅向け火災保険では、同等の建物を今再築するために必要な金額である「再調達価額」を基準に評価する契約が一般的です。
材料費、人件費、設備費などの建築コストが変化すれば、同じ建物であっても再建に必要な費用は変わってきます。

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実際に、国土交通省では、建設工事費の変動を示す公的な統計として「建設工事費デフレーター」を公表しており、近年は上昇傾向が続いています。

ここで大切なのは、統計の数値そのものではなく、「建築費が変われば再調達価額も変化するため、過去に設定した保険金額が現在も適正とは限らない」という考え方です。

築年数が経っても評価額が上がることはある

「うちは古い家なのに、保険金額が上がるのはおかしいのでは」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、火災保険の再調達価額は、中古住宅としていくらで売れるかという市場価格とは異なる考え方です。

築年数が経っていても、同等の建物を今建て直す費用が高くなっていれば、火災保険上の評価額が上昇することがあります。
評価額の詳しい仕組みについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

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評価額には「年次別指数法」「新築費単価法」などがある

評価額の算出方法には、いくつかの考え方があります。

■新築時の建築費がわかる場合:
建築時から現在までの物価や建築費の変動を反映する「年次別指数法」が使われる。
 
新築時の建築費がわからない場合:
所在地や構造などに応じた標準的な新築費単価と延床面積から評価する「新築費単価法」が使われることが一般的。

とはいえ、これらの数値をご自身で調べて厳密に計算する必要はありません。
保険会社の満期案内や更新見積もり、Web見積もりなどで、現在の建物評価額が示されることが多いためです。

更新時に保険金額が見直されるケースもある

すべての火災保険で、更新のたびに保険会社が自動的に保険金額を変更するわけではありません。

保険金額の扱いは、商品や特約の内容によって異なります。
ここでは、実際に保険会社が公表している対応例を2社ご紹介します。

損保ジャパンの例

損保ジャパンの「THE すまいの保険」のうち、「安心更新サポート特約」がセットされた一定の契約では、2024年10月1日以降に更新を迎える契約から、更新後の保険金額の設定方法が変更されました。

具体的には、一定の条件を満たす自動更新契約について、更新前契約の協定再調達価額と保険金額が同じ額である場合、物価や建築費の変動等にしたがって調整・算出した協定再調達価額をもとに、更新後の保険金額を設定する方法に変わっています。

この変更の背景として、以前と同じ保険金額のまま自動更新すると、建築費等の上昇分をカバーできず、事故発生時に十分な保険金を支払えない可能性があったことが挙げられています。
なお、更新後の保険金額が増加する場合には、保険料が上がる可能性がある点にも注意が必要です。
詳しくは以下の公式ページをご確認ください。

参考リンク:安心更新サポート特約がセットされた契約における「更新後契約の保険金額の設定方法」変更に関するご案内(損保ジャパン)

これはあくまで、特定の商品・特約・契約条件における一例です。
「どの火災保険でも保険会社が自動的に最新の評価額へ変更してくれる」というわけではない点にご注意ください。

契約者が更新案内を確認して見直すケース

保険会社側で保険金額の設定方法が自動的に変わるケースだけでなく、満期案内や更新見積もりで現在の評価額や推奨保険金額が示され、それを参考に契約者が継続契約の保険金額を設定するケースもあります。

三井住友海上の例

三井住友海上では、満期を迎える契約について、現在の建物評価額を算出したうえで案内しています。
建物の評価額は所在地や構造によって異なり、物価変動等を踏まえて必要に応じて見直しが行われています。
そのうえで、案内された評価額と同額で建物保険金額を設定することが推奨されています。

参考リンク:火災保険 保険料値上がりの理由は?ポイントを解説!(三井住友海上)

ここで大切なのは、「三井住友海上が勝手に保険金額を変更する」のではなく、「現在の評価額や継続契約の保険金額が案内され、契約者自身がそれを参考に適切な保険金額を設定する」という流れになっている点です。

今の自宅の評価額を簡単に確認する方法

ここからは、実際に行動するためのパートです。

目的は、自分で正確な評価額を算出することではなく、今の保険金額と現在の評価額に大きなズレがありそうかを確認することです。
以下の3ステップで進めてみてください。

STEP1. まず現在の建物保険金額を確認する

保険証券、契約内容のお知らせ、保険会社のマイページなどから、現在契約している建物保険金額を確認しましょう。

家財保険金額とは別の項目なので、混同しないよう注意してください。
ここで確認した金額を、次のステップで現在の評価額と比較します。

STEP2.保険会社のWeb見積もり・シミュレーションを使ってみる

自宅の評価額を手っ取り早く確認したい場合には、現在加入している保険会社の公式サイトに、次のようなサービスが用意されていないか確認してみましょう。

  • Web見積もり
  • 保険料シミュレーション
  • 火災保険かんたん見積もり

特に、次のような項目を入力すると、建物評価額や再調達価額、推奨する建物保険金額などが表示されるタイプであれば、現在の契約額と比較する目安として利用できます。

  • 建物の所在地
  • 建物の構造
  • 延床面積
  • 建築年月
  • 新築時の建築費

新築時の建築費と建築年月などを入力して評価額を算出するタイプでは、年次別指数法などの考え方に基づき、建築後の物価・建築費の変動を反映した簡易的な評価が行われる場合があります。
建築費倍率や1平方メートルあたりの標準新築費単価をご自身で調べて手計算するよりも、保険会社が提供するWeb見積もり等で現在の評価額を確認するほうが手軽です。

ただし、「保険料シミュレーション」という名称であっても、すべてのサービスが建物評価額を算出してくれるわけではありません。
利用者自身が保険金額を入力し、その金額をもとに保険料だけを試算するタイプもあります。
シミュレーション結果に建物評価額や再調達価額、推奨保険金額などが表示されているかを確認するようにしてください。
加入している保険会社に評価額を算出できるWebサービスがない場合には、満期案内や更新見積もりを確認するか、保険会社・代理店へ問い合わせてみましょう。

STEP3.現在の保険金額と評価額を比べる

たとえば、現在の建物保険金額が2,000万円で、現在の建物評価額の目安が2,500万円だったとします。
この場合、現在の契約額と評価額に500万円程度の差があることが確認できます。

この時点で「では保険金額を2,500万円へ変更しよう」と自己判断するのではなく、なぜ差が生じているのか、現在の適切な保険金額はいくらなのかを保険会社や代理店へ確認するきっかけとして利用してください。

Web上で表示された評価額は、あくまで簡易的な目安です。
実際には建物の仕様、増改築の有無、契約条件、商品ごとの評価方法などによって金額が異なる可能性があります。

評価額が分からない・差が大きい場合は保険会社に確認しよう

Web見積もり等を利用できない場合や、現在契約している保険金額と評価額の目安に大きな差がある場合には、保険会社や代理店へ直接確認することをおすすめします。

「今この家を建て直すならいくら?」を確認する

確認する際は、「今、同等の家を建て直すとしたら、いくら必要と評価されているのか」を教えてもらうイメージを持つとわかりやすいです。
特に、次のような事情がある場合は、その内容もあわせて保険会社・代理店へ伝えてください。

  • 増築した
  • 大規模なリフォームを行った
  • 建物の用途を変更した
  • 特殊な仕様の住宅である

なお、次のような金額は、そのまま火災保険の保険金額の基準にしないよう注意してください。

  • 土地の売買価格
  • 中古住宅としての販売価格
  • 住宅ローンの残高

分譲マンションは購入価格をそのまま使わない

分譲マンションにお住まいの方も、簡単に注意しておきたい点があります。

マンションの購入価格には、土地に関する権利や共用部分などの費用も含まれているため、購入価格をそのまま自宅の建物評価額として使うことはできません。
専有部分の面積や所在地、構造などをもとに評価するため、戸建て住宅と同じように、保険会社の見積もりや評価方法を利用して確認するようにしてください。

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更新時は保険金額を確認しやすいタイミング

満期前には更新案内や見積もりが届くため、現在の保険金額・評価額・補償内容をまとめて確認しやすいタイミングといえます。
前回の契約から数年経っている場合には、建築費や物価、増改築の有無、建物の使用状況、家財、必要な補償範囲などに変化がないかもあわせて確認してみましょう。

ただし、「保険金額は更新時にしか変更できない」というわけではありません。
現在の保険金額では明らかに補償が不足していると分かった場合には、更新を待たずに保険会社や代理店へ相談していただいて構いません。

まとめ

火災保険の保険金額は、契約時に設定した金額がその後もずっと適正とは限りません。

建築費や物価が上昇すると、同じ建物を再築するために必要な評価額も上がり、以前の保険金額では十分な補償を確保できない場合があります。
一方で、将来の値上がりを見越して必要以上に高く設定する必要もありません。

更新時には現在の評価額を確認し、加入中の保険会社のWeb見積もりや保険料シミュレーションなども参考にしながら、必要に応じて保険金額を見直しましょう。
Web上の評価額はあくまで目安のため、現在の契約額との差が大きい場合や判断が難しい場合は、保険会社や代理店に適正な評価額を確認すると安心です。
なお、更新時の保険金額の扱いは商品によって異なります。加入している火災保険の契約内容や更新時の取り扱いについても、あわせて確認しておきましょう。

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