万が一の事態が発生した際、残された家族のために加入する死亡保険。
しかし、「多額の保険金を設定しても月々の保険料が高額になる上、相続税もかかる」と懸念される方もいらっしゃいます。
実は、相続税について正しく理解することで、適切な保険金額を設定し、家族に十分な資金を残すことが可能です。
本記事では、相続税や控除について、保険代理店の視点から解説します。
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相続と保険の関係
事前に「どのくらいの遺産が発生するのか」「相続税はどれくらいになるのか」を把握しておくことは、保険の選定や保険金額の設定において非常に役立ちます。
家族を想うのであれば、いざという時のために、事前の準備が欠かせません。
ご相談をお寄せいただいた場合は提携する税理士をご紹介いたします。
遺産には保険も含まれる
相続財産には以下のような項目が含まれます。
- 家屋や土地(自宅)
- 現金や有価証券 (※)
- 死亡保険金
ポイントとして、学資保険の満期保険金や返戻金などは、死亡保険金には該当せず、有価証券として扱われます。
また、死亡保険金とは対象者が死亡した場合に支払われる保険金を指し、生命保険や死亡保険、自動車保険の死亡事故に関する補償などを指します。
保険の種類や状況によって異なる保険金額
生命保険や死亡保険以外にも、契約者が亡くなった際に支払われる保険金があります。
以下は代表的な例です。
自動車保険
自動車事故が原因で亡くなった場合、人身傷害保険が適用されます。
ただし、勤務中の社用車での事故の場合、保険金は勤務先に支払われるため、遺族が全額受け取れるわけではありません。
勤務中の事故でお亡くなりなった場合、保険金は見舞金や退職金などにあてられるケースが多いです。
クレジットカード付帯保険
クレジットカードの会社、カードのランクによっては、自動付帯保険がついている場合があります。
不正使用などクレジットカードが関わる金銭トラブルの補償として知られていますが、旅行中の傷害を補償する保険もあり、旅行中の事故で亡くなった場合は旅行傷害保険によって保険金が支払われます。
お使いのクレジットカードの契約内容等をご確認ください。
死亡保険金と有価証券の違い
死亡保険金は、受取人として指名された方が受け取ります。
一方で、有価証券は法定相続人で分配対象となります。
ただし、死亡保険金も相続税の対象となる点には注意が必要です。
次は、実際に例となるモデルケースを基に相続税と保険の関係について解説していきます。
【事例で解説】相続税の計算方法と控除一覧
遺産の総額から控除額を差し引き、最終的に出た金額を税率表に当てはめることで、相続税がいくらになるのかがわかります。
わかりやすくなるように、例となるモデルケースを設定し、それを基に解説していきます。
- 40歳の男性会社員が国内旅行中の交通事故で死亡
- 相続人は妻、18歳と16歳の子供の計3人
- 保険加入: 生命保険、団体信用生命保険、自動車保険、クレジットカード付帯保険、学資保険
- 例として挙げる金額は一般的な平均値を参考に設定しています。
- 保険契約者が配偶者に死亡保険金をかけて保険金受取人になる場合などは、税の扱い等が変わってきます
| 1 | 自宅(家屋&土地|団信加入) | 2,500万円 ※評価額 |
|---|---|---|
| 2 | 現金・有価証券 | 800万円 |
| 3 | 生命保険金 | 3,000万円 |
| 4 | 損害死亡保険金(自動車保険) | 3,000万円 |
| 5 | 損害死亡保険金(クレジットカード付帯保険) | 1,000万円 |
| 6 | 葬儀費用 | -300万円 |
| 合計: | 1億円 | |
1億円と聞くとかなり高額に思われるかもしれませんが、複数の保険に加入している、なおかつ持ち家がある家庭の場合はよくある金額感です。
また、葬儀費用や負債は相続税の課税対象から除外されます。
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンを利用する際に加入が求められる保険です。
ローン契約者が返済中に死亡または高度障害状態になった場合、保険金が支払われ、残りの住宅ローンが完済されます。
家族に経済的負担を残さないための仕組みであり、一般的には住宅ローンの契約条件に含まれることが多いです。
団信には、がんや三大疾病への保障が付帯するタイプもあり、契約内容によって保障範囲が異なります。
初期の状態だと、1億円に対する相続税がかかるように思えますが、実際はこの金額に様々な控除が加わります。
相続税の控除
相続税には一定金額を非課税として差し引くことができる制度(基礎控除)がいくつか設けられています。
その控除の種類を、順を追って説明します。
基礎控除
基礎控除額 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の人数)
(例の場合: 4,800万円)
遺族の経済基盤を安定するため、課税から外すことが望ましいという考えから制定された制度です。
以前は600万円の部分が1,000万円でしたが、法改正により減額されました。
死亡保険金の控除
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の人数
(例の場合: 1,500万円)
死亡保険金は残された遺族の生活保障という目的があるため、一定の限度額に収まる場合は死亡保険金に該当する金額は非課税になります。
ちなみに、上記の基礎控除も合わせて法定相続人の人数には相続放棄した人も含みます。
速算控除
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 控除額 |
|---|---|
| 1,000万円超 ~ 3,000万円以下 | 50万円 |
| 3,000万円超 ~ 5,000万円以下 | 200万円 |
| 5,000万円超 ~ 1億円以下 | 700万円 |
後述の相続税率は課税対象の金額ごとの区分されており、区分金額から1円でもオーバーすると相続税の金額が大きく変わります。
そういった差を埋めるための控除であり、所定の金額が控除されます。
小規模宅地等の特例
相続人が遺産に含まれる自宅(家屋&土地)に3年以上同居していることが証明できる場合、評価額を80%減免できるという制度があります。
例でいうと、2,500万円 → 500万円になります。
配偶者控除
配偶者は一定金額内(法定相続分以下、もしくは1億6000万円以下)の相続であれば、相続税が0円になるという控除です。
内縁、事実婚状態にある場合は、残念ながら法的な婚姻関係から外れてしまうため、配偶者控除は受けられません。
相続税の計算
まずは遺産の総額から控除額を差し引いた金額を割り出しましょう。
例としてあげた金額は、控除を適用することで次のような内容に変わります。
| 1 | 自宅(家屋&土地|団信加入) | →小規模宅地等の特例で500万円 |
|---|---|---|
| 2 | 現金・有価証券 | 800万円 |
| 3 | 生命保険金 | →生命保険金の控除で1,500万円 |
| 4 | 損害死亡保険金(自動車保険) | 3,000万円 |
| 5 | 損害死亡保険金(クレジットカード付帯保険) | 1,000万円 |
| 6 | 葬儀費用 | -300万円 |
| 7 | 基礎控除 | -4,800万円 |
| 合計: | 1,700万円 | |
相続税の課税対象となる金額が、1億円 → 1,700万円まで下がりました。
相続税は相続した人ごとに発生する
相続税は相続人が受け取った金額ごとに発生します。
例を基に、法定相続分の割合に乗っとり、妻が1/2の5,000万円、子供が1/4の2,500万円ずつ相続としたとしましょう。
妻は配偶者控除を利用でき、法定相続分の割合に収まっているため、相続税は0円。5,000万円の相続はそのまま残ります。
子供の場合は、相続額を次の相続税率に当てはめて、所定の税率が相続税として課税されることになります。
課税の対象となる価格も相続額の割合と同じように分配されますので、この場合は1,700万円の1/4である425万円が課税価格です。
| 課税価格 | 税率 |
|---|---|
| ~1,000万円 | 10% |
| ~3,000万円 | 15% |
| ~5,000万円 | 20% |
| ~1億円 | 30% |
※100円未満は切り捨てになります。
1,000万円以下なので、10%の42万5千円の相続税がかかるということになりました。
手元に残る相続額は2,457万5,000円で、進学するかどうかの進路にもよりますが、安心でしょう。
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
相続税について皆さんの反応
「相続に備え、火災保険を見直したい」
などのお声をいただきました。
相続税についてまとめ
事前に相続税と控除について正しく把握することで、家族に十分な資金を遺すことが可能です。
また、保険金額の設定を適切に行えば、遺族の生活を守りながら、相続税の負担を軽減できます。
ぜひ、保険代理店や専門家にご相談ください。





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