マンションなら地震保険はいらない?M構造での地震保険の必要性と注意点

地震保険

「マンション 地震保険」と検索すると、検索候補に「マンション 地震保険 いらない」と出てくることがあります。
実際、専門家などが「2階以上の戸室に住んでいる場合は、地震のリスクが低いので必要ない」と述べているケースもあります。
ですが、マンションだからといって必ず地震の被害を受けないわけではありません。
ここでは、マンションで地震保険がいらないと言われる理由と、実は加入したほうが良いケースについて詳しく解説していきます。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

マンションは地震保険がいらないと言われる理由

マンションでは地震保険が不要だとされる主な理由としては、以下のことが挙げられます。

  • 建物の構造が丈夫である
  • 共用部の損壊リスクはオーナーが負担
  • 地震保険の保険金が十分に支払われない可能性がある

M構造建築物(マンション)は丈夫

地震保険や火災保険では、建物の構造によって保険料が異なります。
保険会社は、建物の柱や主要部分の材質などから耐火性・耐震性を判断し、構造級別という形でランク分けをしています。

  • 地震保険:「イ構造」「ロ構造」
  • 火災保険:「M構造」「T構造」「H構造」

マンションの多くは鉄筋コンクリート造などで丈夫なため、保険料が比較的安いランクに分類されやすいというメリットがあります。

構造区分 特徴
イ構造(地震保険)
M構造(火災保険)
鉄筋コンクリート造、鉄骨造など耐火・耐震性が高い建物。
保険料が安くなる傾向。
ロ構造(地震保険)
T構造(火災保険)
中層程度までのコンクリート造や耐火仕様の木造建築物など。
イ構造・M構造よりは耐火・耐震性が劣る。
(火災保険)H構造 等 一般的な木造住宅。火災リスクや耐震リスクが相対的に高い構造。

共用部の損壊はオーナー負担

地震によってマンションが損壊する場合、多くの人が想像するのは外壁のひび割れやエレベーターの急停止などだと思います。
しかし、木造建築が多い一戸建てに比べ、マンションは先述のとおり頑丈に造られているため、地震で倒壊に至る例はそう多くありません。
さらに、マンションの建物自体(外壁やエレベーターなど)は「共用部」にあたるので、修理や再築の費用負担はオーナー(または管理組合)が行うことが一般的です。
一方で、地震保険の補償対象となるのは、居住者が使用する専有部(戸室)です。
専有部が大きく損壊するケース自体が稀であるため、「マンションなら地震保険は不要」という意見につながりがちです。

損害区分 概要
全損 建物・家財の損害額が時価の50%以上
大半損 建物・家財の損害額が時価の40%以上50%未満
小半損 建物・家財の損害額が時価の20%以上40%未満
一部損 建物・家財の損害額が時価の3%以上20%未満

保険金が十分にもらえない?

地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30~50%に設定され、そのうえで建物は一戸あたり5,000万円、家財は1,000万円という上限が設けられています。
さらに損害の度合いを示す4つの損害区分に応じて保険金が支払われるため、実際の損害よりも低い金額しかもらえないことがあります。
もともと地震保険は、被災後の生活再建を目的としているため、建物や家財を新品で買い直すための費用(再調達価額)を完全にカバーするものではありません。
そのため、保険料が割高に感じられる一方で、支払われる保険金額が少なく感じられるかもしれません。
こうした理由から「マンションなら入らなくてもいいのでは」という見解もあるのです。

もっとも、これらの主張には一理あるものの、マンションでも地震保険があったほうが良いケースも存在します。

マンションに地震保険が必要な理由

マンションは頑丈なイメージがありますが、高層階だからこそ受けやすい被害や、建物以外の部分にも損害が発生する可能性があります。
さらに、地震保険には他の保険と異なる「裏技的」な使い方もあるため、状況によっては検討しておく価値が大いにあるのです。

マンションは長周期地震動に弱い

高層マンションは耐震性が高いと思われがちですが、「長周期地震動」に対しては意外な弱点を持っています。

長周期地震動とは、ざっくりいうと揺れ幅が大きく、ゆっくりと揺れているように感じる地震の揺れ方を指します。
その逆で揺れ幅が狭く小刻みに早く揺れているように感じるのは短周期地震動といいます。
そして、建物にも同じように揺れやその速さを示す『固有周期』という物があります。

建物の高さ 固有周期(目安)
2階建て 約0.1〜0.5秒
10階建て 約1〜1.5秒
超高層(30階〜) 3〜6秒以上

この建物の固有周期と地震の周期がぴったりと重なってしまうと、揺れの強さが増幅されてしまい、大きな被害に繋がります。

短周期地震動


主に震源に近い場所で発生する波長の短い揺れで、2階建て程度の低層住宅の固有周期に近く、高層マンションよりは低層住宅に対して大きな影響を与えます。

長周期地震動


周期の長い揺れが地盤や地層の影響を受けて遠方まで伝わる現象で、高層ビルなどの固有周期と似ている田部、構造物にとって共振しやすく、大きな揺れとなる場合があります。

建物の固有周期と地震動の周期が一致すると、揺れが増幅される現象を『共振現象』というものが起こります。お隣韓国ではエアロビの揺れが構造ビルの固有周期と共振して、一斉避難をするほどの揺れになったという大騒動が起きたことがあります。
参考:エアロビが縦揺れ誘発か、ソウルの超高層ビル – 日本経済新聞

特定の方向に強い加速度で揺れる『キラーパルス』という現象もあり、地震の揺れ方というのは本当にいろんなものがあるのです。

気象庁では、通常の震度とは別に「長周期地震動階級」を定めており、最も強い「階級4」に分類される長周期地震動が起きた場合、高層マンションでは立っていられないほどの揺れになる可能性があるとされています。
出典:気象庁「長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について」

深い場所を震源とする地震(深地地震)でも長周期地震動が大きくなる傾向があり、マンションの高層階での被害が懸念されます。
出典:㈱アイ・エム・エー「地震による建物倒壊のメカニズムを解説」

このように、戸建てよりも上階のほうが大きく揺れるケースもありますので、「高層マンションだから安心」とは言い切れません。
詳しい解説は下記の動画も参照してみてください。

建物が損壊しなくても被害はある

大規模な地震が発生した場合、たとえ建物本体が全壊しなくても、以下のような損害や被害が起こる可能性があります。

  • 家財が倒れて壊れる(大型家電や家具などの破損は出費が大きい)
  • サッシや扉が歪んで、窓・出入口の開閉ができなくなる
  • 窓ガラスが割れる、あるいは外れて落ちる
  • 揺れで給排水管がずれたり外れたりして、漏水事故が起きる
  • エレベーターが急停止したあと、復旧まで長期間かかる可能性がある
  • 水道・ガス・電気などのインフラが停止し、生活に支障が出る
  • 公共交通機関がストップし、出勤・通学に影響が出る

マンションであっても、こうしたトラブルが発生すると住み続けるのが難しくなったり、修理のための費用がかさんだりします。
特に給排水管だけが被害を受けた場合、地震保険の損害区分としては一部損にも満たないことが多く、火災保険の漏水補償や賠償責任補償でも地震が原因の場合はカバーされません。こうした点を考慮すると、いざというときの備えとして地震保険は検討の余地があります。

地震保険の裏技

地震保険は、火災保険に比べて保険料が高い割に、損害区分や時価評価があるため、条件を満たさないと保険金が出ないことがあります。
こうした理由で敬遠されがちですが、実は火災保険と異なり「保険金の使途に制限がない」という特徴があります。
火災保険では、受け取った保険金は主に壊れた建物や家財の修理・再調達に使わなければいけません。
しかし地震保険は被災後の生活を立て直す支援が目的であり、被害状況に応じて損害区分が認定されれば、その範囲内で自由に使うことができます。

例えば、被災して一部損以上に認定されれば、日常生活の復興や被災によって発生した諸費用を賄うために保険金を活用することも可能です。
詳しい活用方法や申請手順などは別の記事でも取り上げていますので、そちらも参考にしてください。

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マンションにおすすめの火災保険と地震保険

地震保険は火災保険とセットでなければ加入できません。
マンションの方は、少なくとも火災保険は加入しておいて、必要に応じて地震保険を付帯するのがおすすめです。
保険会社によっては、警戒宣言が出ているときなどに新規で地震保険に加入できない場合もありますので、タイミングには注意しましょう。
マンションの方に向いている火災保険には、以下のような特徴があります。

補償 盗難、漏水(水濡れ)などマンション向けの補償がある
保険料 自由設計型なら、マンションに不向きな補償(水災など)を外して保険料を抑えられる
その他 公的地震保険を付帯できる

具体的には次のような保険会社・商品が挙げられます。

日新火災「お家ドクター火災保険」


火災、落雷、破裂・爆発などの基本補償以外は、オプションで自由に選ぶことができます。
地震保険の付帯も可能です。

ソニー損保「地震保険」


地震保険は通常、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内でしか加入できませんが、ソニー損保では特約を付けることで最大100%まで引き上げが可能です。

SOMPOダイレクト(損保ジャパン)「じぶんでえらべる火災保険」


自分の家に合わせて補償内容をカスタマイズできるダイレクト型の商品です。
マンションならではのリスク(盗難・漏水など)に特化した補償を選べ、地震保険ももちろん付帯できます。

マンションに地震保険をかける場合の注意

マンションで地震保険を検討する際には、次の点に気をつけましょう。

マンション共用部には公的地震保険が付けられないことがある


オーナーや管理組合が建物全体や共用部にかける場合、政府再保険が付帯される公的地震保険に加入できないケースもあります。
これは、大規模物件では保険金が巨額になる可能性が高いため、通常の個人向け保険とは扱いが異なるからです。
公的地震保険ではない商品だと、保険会社の全額負担で補償が組まれるため、補償上限が低めに設定される場合などがあるので注意が必要です。

割引適用と所得控除を忘れずに


マンションは免震・耐震性能が高い場合、地震保険の割引制度(耐震等級割引など)が適用される可能性があります。
また、地震保険料は「地震保険料控除」として所得控除の対象にもなります。

控除項目 控除限度額 対象となる税金
地震保険料控除 所得税:最大50,000円 まで
住民税:最大25,000円 まで
所得税・住民税
地震保険は家財のみでも加入できる


火災保険の場合は、建物のみ・家財のみで加入できないこともありますが、地震保険は家財だけに掛けることも可能です。
費用を抑えたい場合は、まず家財分だけ加入するという方法もあります。

マンションの地震保険についてまとめ

マンションは構造がしっかりしており、地震によって倒壊するリスクは戸建てと比べて低いのは事実です。
しかし、長周期地震動による高層階の大きな揺れや、給排水管の損傷・家財の破損など、建物が無事でも生活に支障をきたす可能性は十分にあります。
加えて、地震保険は被災後の生活再建に柔軟に使えるというメリットもあるため、火災保険とセットで検討しておく意義は大いにあると言えるでしょう。
もし迷われている場合は、まずは火災保険の見直しや、今お住まいのマンション管理組合がどのような地震保険に加入しているのかを確認してみてください。
適切な補償を選ぶことで、いざというときのリスクを最小限に抑えられます。

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