事業用の賠償責任保険に加入する時の注意点と解決方法を解説!知らないと怖い落とし穴

保険全般

事業用賠償責任保険に加入している企業や、個人事業主の方はそれなりにいます。
しかし、この保険はただ加入するだけでいいという訳ではなく、知らないとまずい落とし穴があります。
その注意点の内容と、問題を解決できる加入方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

事業用の賠償責任保険とは

冒頭でもご説明した通り、事業用賠償責任保険は企業や個人事業主が加入するもので、仕事に関連する法律上の賠償責任を負った際に賠償金を補償する保険です。

食品を販売して食中毒を起こしてしまった、店内でお客様や従業員が怪我をしてしまった場合などに機能します。
仕事の結果に起因して問題が起きてしまったときの保険と覚えましょう。

また、この保険では従業員が業務中に起こした賠償事故も補償対象となることがあります。
保険によってはさまざまな条件やルールがあり、場合によっては補償対象外になる場合もあります。

事業用の賠償責任保険の仕組み

事業用の賠償保険も他の保険と同じように、

  1. 保険加入
  2. 保険料支払い
  3. 事故が発生→保険会社への連絡と保険金請求手続き
  4. 保険会社の審査
  5. (審査を通過したら)保険金が支払われる

という仕組みになっています。

それに加えて、賠償責任保険は『事故発生後の保険金請求手続き』『保険会社の審査』のところでやるべきことがいくつかあります。

事故が発生した時にやること

事故が発生した際に、速やかに保険会社や保険代理店に連絡することは他の保険と同じです。
しかし、その後に加入者(企業)が被害者への謝罪や損害・事故状況の確認、どのような賠償をするのか等の話し合いをする必要があります。
示談交渉サービスがついている保険ならそういった話し合いを代行してもらえますが、示談交渉等のサポートがない保険に関しては、保険会社はノータッチです。
この問題に関しては後半で詳しく解説します。

相手方との話し合いの結果、お互いの希望や要求が合致しなかった場合は、裁判に発展する可能性があります。
事故の状況によっては、弁護士に依頼して対応をお願いしましょう。

保険会社への説明や書類提出

被害者との話し合いがまとまったところで、保険会社に改めて詳細や話し合いの結果を報告し、保険金請求手続きの際には必要書類を提出します。
この際に事故状況と補償内容が合っているか、免責事項に該当する事柄はないかなど、保険会社からの細かい確認が入ります。
もし免責事項に記された内容と合致する事柄があった場合、最悪の場合保険金が支払われません。

他の保険についてはこちらの記事をご覧ください。

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企業の賠償責任保険加入率は?

建設業の保険加入状況は企業単位99.2%、労働者単位92%
国土交通省は2024年3月29日、公共事業労務費調査(2023年10月調査)における保険加入状況調査の結果を公表した。公共工事に従事する建設企業、建設労働者の社会保険加入状況は、企業単位で99.2%、労働者単位で92%となった。
出典:建設業の保険加入状況は企業単位99.2%、労働者単位92% | 新建ハウジング

保険の加入件数 「業務災害」9万件突破 ビジネス総合も6万件超
日本商工会議所が各地商工会議所の協力の下に取り扱っている「ビジネス総合保険制度」の加入件数がこのほど、6万件を超えた。「業務災害補償プラン」の加入件数も9万件を突破し、順調に推移している。
ビジネス総合保険制度は事業活動での賠償や事業休業、財物損壊リスクを総合的に補償するもの。加入件数は、7月計上分で6万5107件となった。
出典:保険の加入件数 「業務災害」9万件突破 ビジネス総合も6万件超 |日商 Assist Biz

上記のデータからも分かるように、建設業をはじめとした多くの企業が、何らかの形で保険に加入している状況がうかがえます。

公共工事に従事する建設企業の社会保険加入率は企業単位で99.2%と非常に高水準であり、また日本商工会議所が取り扱う「ビジネス総合保険制度」においても加入件数が拡大しています。

業務災害補償や事業用の賠償責任保険はリスク管理の一環として重要であり、こうした数字からも、事業活動を行ううえで保険に加入している企業は相当数にのぼることが見て取れます。

事業用賠償責任保険に加入するときの注意点

事業用賠償責任保険に加入する場合、かなり重要な注意点があります。

それは、賠償事故が起きた際は自分で被害者への対応をしなければならず、保険会社は示談交渉などはしてくれないという点です。
まず、弁護士法によって弁護士資格がない第三者(事故の当事者ではないということ)が示談交渉をすることは禁じられています。
このことを保険業界では非弁行為の壁といい、もし示談交渉を保険会社が請け負うのであれば、弁護士資格を持った従業員が対応する、保険会社の方で弁護士を選任するといったことが必要になります。

日新火災の『事業をおまもりする保険』は示談交渉サービスが付帯しますが、それ以外の有名な事業用賠償責任保険には示談交渉サービスがありません。

保険会社 商品名 示談交渉対応
日新火災 事業をおまもりする保険 ○(示談交渉&FP・士業相談サービス付き)
損保ジャパン ビジネスマスター・プラス ×(示談交渉なし。弁護士費用等の補償あり)
東京海上日動 超ビジネス保険 ×(同上。特約で弁護士費用対応可能)
三井住友海上 ビジネスプロテクター ×(特約で支援あり)
AIG損保 賠償責任総合保険 △(示談ではなく解決援助サービス)

自動車保険や、一部の火災保険の個人賠償責任補償では示談交渉サービスがついているものがあります。

なぜ自動車保険では示談交渉をしてくれるのかと言うと、とある仕組みがあるからです。
自動車保険では、保険加入者が賠償責任を負った場合、賠償のための保険金を加入者に支払うのではなく、保険会社が被害者に直接支払うという風にしています。
こうすることで保険会社は事故の当事者になり、保険金に関する案内や説明、交渉といったことが可能になります。※ちょっとグレーですが……

一方、事業用の賠償責任保険は、多種多様な業種の企業を対象としているため、それぞれの事業の知識がないと法律が絡む問題に対処しにくいというのも、保険会社が何もしてくれない理由の一つです。
自動車事故であればこれまで発生した膨大な数の自動車事故を参考に、過去の判例に則った対処を行うことができますが、事業用の賠償責任保険では参考にできる判例が業種ごとに違い、また判例がないような珍しい業種の事故には対応できません。

賠償責任を負った場合、そして示談交渉サービスがない保険に入っているなら、やはり弁護士に依頼するのが安心ではあります。
ですが、費用の問題で弁護士に依頼できない中小企業や個人事業主の方もたくさんいるでしょう。
そういう方に向けた対処方法について、事例を交えながら解説します。

実際にあった事例

保険得々チャンネル運営 保険代理店 家禄堂 佐藤さんのお客様に実際にあった話です。→この話を解説した動画はこちら

テナントビルの五階に店を構えているお客様で、夜中に全自動洗濯機で備品を洗っていたところ、留め具が外れて水が溢れてしまった。
さらには、翌日の午前10時までそのことに気づかず、事態に気づいたときには五階から二階までが水浸しになる漏水事故を起こしてしまった。

保険代理店はお客様から連絡を受け、二階~四階のテナントに入っている店舗に謝罪を行い、賠償に応じる旨を説明。
要求された賠償金額は3フロア合計で1,800万円となったが、新価と時価の違いについて説明し、賠償金を時価基準の750万円まで縮小することに成功した。
そして、その750万円は保険を使って賠償できるようにした。

後日、お客様がもう一つ賠償責任に対応する保険に加入していることが判明。
電話が来たというので、その保険会社に今回の事故についてどのようなことを言われたのか確認すると、「来年の保険料は今より高くなりますよ※」と言われただけだった。

※このお客様は一社にしか保険金請求をしていなかったが、請求した保険会社が他社の保険と二重保険になっていると気づき、お客様が契約しているもう一つの保険会社と協議して保険金を按分していた。
事故の報告や保険金請求をしていなかった方の保険も使ったことになり、それを受けてリスク評価が上がり、保険料が上がる可能性があるよとお客様に連絡していた。


以上のことからわかる通り、最初に保険金を請求した保険会社、後から連絡してきた補償が重複する別の保険会社は、賠償事故に関して特にフォローしていません。
しかし、保険代理店は謝罪や賠償金の算出基準についての説明を被害者に行い、保険金請求の手続きもサポートしています。

これが、賠償事故に対して賠償保険加入者が対応しなければいけないことに関する解決策であり、記事タイトルにある『加入する時の注意点と解決方法』に繋がります。

事業用賠償責任保険は、親身になってくれる保険代理店から加入しよう

保険代理店は保険会社と保険加入者の間に立ち、保険に関するサポートをしてくれます。
賠償責任保険に関しても、示談交渉とまではいかなくとも親身になってくれる代理店から加入することで、弁護士に依頼しなくとも対応できるケースがあります。

ただし、全ての保険代理店が、事例のように一緒に被害者への謝罪や賠償金に関する説明、交渉をしてくれるという訳ではありません。
保険会社ができないことを保険代理店がするのも……という考えから、全くノータッチで手続きの補助のみサポートするという保険代理店もあります。

こういった保険会社や保険代理店の対応が、冷たい・間違っているという訳ではありません。
『被害者と加害者で示談交渉してください。その中で支払える部分だけ保険金をお支払いします』というのが賠償責任保険の基本スタンスなのです。
示談交渉は弁護士の専任業務と決められていることからも、法律の専門家ではない人が下手に首を突っ込んではいけないという考えはごもっともです。

だからこそ、中小企業や個人事業主の人は、事業用賠償責任保険にただ加入すれば安心だと思うのではなく、実際に事故が起きた時のことを考えて、保険選びの前にまずは保険代理店を選びましょう。

親身になってくれる保険代理店を選ぶポイントとしては、加入前に「~~~で、×××な事故が起きたらどうなるの?」と、その事業で想定できる事故の設定などを話して、どのような対応を受けられるのかを聞いてみましょう。

この時に、その事故について詳しく聞いてきたり、事故発生後の対応を話す際に代理店側の動きについても詳しく話してくれる代理店はアタリです。
逆に、第一声が免責事項やできないことを説明だった場合は、親身と言うよりはフラットな対応をする保険代理店だとわかります。

親身になってくれる保険代理店から事業用賠償責任保険に加入すれば、事故が起きた時も安心して対処できます。
事故が起きていない時でも質問や相談に応じてもらえますし、事業の内容に合った保険を一緒に探してくれますので、事業用の賠償責任保険に加入するときは保険代理店選びが重要ということです!

 

この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!

メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。


ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。

事業用賠償責任保険について皆さんの反応

コメント部分スクリーンショット
https://www.youtube.com/watch?v=VpR0vldqBvc

この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。

Question Icon

介護施設の送迎ドライバーとして働いています。介護施設の社用車で、ご利用者様を送迎をしています。個人事業主で勤務しており、また対人対物の事故を伴う仕事に就いたので、どのような保険に入れば良いか教えていただければ助かります。よろしくお願いいたします。

Answer Icon

介護施設の社用車の運転中に限った場合、賠償事故を補償するには、その社用車をご自身が専有的に使用する場合には任意保険の加入が必要になります。現在、介護施設側で加入している該当車輛の任意保険がある場合はその保険を使用し、保険料の負担方法を施設側と予め取り決めておく事が一般的です。自動車事故に起因する賠償責任は、自己負担もしくはその車両に掛けられている自動車保険を使用するしかない為です。他に、ドライバーズ保険といった方法もありますが、車両同乗者に対する損害賠償や車輛その物に対する補償を考えた場合、現在の任意保険の運用を予め取り決めた方が現実的だと思います。

Question Icon

動画内で仰っている代理店の対応(賠償金額を下げた等)は非弁行為にあたらないのでしょうか?

Answer Icon

広義でいえば非弁行為といえる場合がありますが、実際には賠償ルールをご存じない方に保険金請求の仕組みを説明している行為と見なされるため、賠償額の交渉には当たらないとされています。保険会社による交通事故の示談交渉も同様で、保険金請求の補助として認識されており、問題視されておりません。

Question Icon

サイバー保険でも、事故が起きた場合は保険会社は対応してくれないのでしょうか?

Answer Icon

素晴らしく重要なご質問です。基本的には、保険会社が対応してくれるとは考えにくい状況です。現在「損害保険と非弁行為」をテーマとした最新動画を企画しており、その中で保険会社が積極的に事案解決に動けない理由を詳しくご説明いたします。 また、事業者向け賠償責任保険のうち、サイバー攻撃による情報漏洩をカバーする保険は「費用保険」の色合いが強く、必ずしも二次被害者を救済する内容にはなっておりません。したがって、保険会社は契約者側の努力義務を強調する可能性がありますので、この点に十分ご注意ください。

まとめ

事業用賠償責任保険は、仕事上で生じる賠償リスクをカバーしてくれる重要な保険です。
しかし、示談交渉サービスがついていないことがほとんどで、実際に事故が起きた際には被害者への謝罪や話し合いを自分(または自社)で行わなくてはなりません。
また、多くの企業がすでに何らかの保険に加入している実態があるとはいえ、保険会社は法律の専門家ではないため、示談交渉に直接関わることは非弁行為にあたる可能性があり、サポートしてもらえない場合がほとんどです。

そのため、保険代理店選びが非常に重要になります。
実際に事故が起きた際に、親身になってサポートしてくれる代理店かどうかを見極めて加入することで、万が一の賠償リスクに対してもしっかり備えることができます。
ぜひこの記事を参考に、事業用賠償責任保険の加入や代理店の選定を検討してみてください。

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