地震保険の保険料はいくら?高い理由や算出基準・仕組みを保険代理店が解説

地震保険

地震保険の保険料が高いという理由で、地震保険に入らないという選択をされている方もいると思います。
確実に起こるかわからない地震に、毎年数万円の負担を感じるのは当然かもしれません。しかし、実際に地震が発生すれば、家や家財に大きな被害を受ける可能性があるので、保険料だけで加入の必要性を判断するのはおすすめできません。

本記事では、地震保険の保険料が高い理由や算出方法、補償の目安を解説します。
加入するかどうか迷っている方は、ぜひご参考にしてみてください。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

地震保険の保険料とは

地震保険の保険料は、火災保険に連動していることや、公的な地震保険制度の存在など、いくつかの要素によって決められています。
特に以下の3点が大きなポイントです。

  • 火災保険と連動
    地震保険の保険金額は火災保険の保険金額がベースになる
  • 政府と民間保険会社が共同で運営
    保険会社だけではなく、政府も保険金を支払う可能性があるため、法律によりルールや保険料率がある程度決まっている
  • 地域別の災害リスク区分
    都道府県ごとに地震リスクをランク付けして、そのランクが保険料に反映されている

この公的な仕組みについては、財務省が公開している「地震保険制度」を見てみるとよく分かります。
ここでは、地震保険が火災保険とどのようにつながっているのかや、政府の関与によって保険料率がどのようにコントロールされているのかなどが紹介されています。

なお、地震保険についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
ぜひご参考ください。

地震保険は必要か?地震保険に入った方がいい家と地域、その理由を保険代理店が解説
地震保険というものについて、今は様々な場所で見聞きするものですが、それは日本で大規模な地震災害があるたびに、注目度が上がっているからです。 令和6年能登半島地震や、8月に政府より発表された「南海トラフ地震臨時情報」など、特に直近は地震への備...

地震保険と火災保険の関係

地震保険は、基本的に火災保険に加入していないと入れない仕組みになっています。

これは公的地震保険と呼ばれるもので、大規模な災害が発生した際に備え、政府と保険会社が一体となって運営しているのが特徴です。

消火や応急処置ができないほどの大規模災害時には、損害が拡大することが想定されるため、地震保険は火災保険の補完的存在として設計されています。
しかし、地震保険はあくまで被災者の生活再建を目的とした保険なので、建物や家財の再調達に必要な費用をすべてまかなえるわけではない点に注意が必要です。

ここからは、地震保険の補償範囲や、どのような金額を受け取れるのかなどを具体的に見ていきます。

地震保険の保険金額

一般的に、保険には対象の価値に合わせて保険金の支払い上限を設定する『保険金額』というものがあります。

地震保険は保険の対象に関する情報や評価を火災保険から引き継ぐため、保険金額に関しても火災保険と全く同じになると思われがちですが、実際には火災保険の30%~50%に制限されています。

以下は、火災保険の保険金額を2,000万円にした場合の、地震保険の保険金額の例です。

対象 火災保険の保険金 地震保険の保険金
評価額が
2,000万円の建物
2,000万円に設定 受け取れる額は600~1,000万円まで
評価額が
1,000万円の家財
1,000万円に設定 受け取れる額は300~500万円まで

この表を見れば、火災保険が保険の対象(家や家財)を再調達するのに必要な金額を保険金額に設定するのに対し、地震保険はそうではないということがわかるかと思います。

ちなみに、地震の揺れが原因で火災などの『火災保険の補償対象になる二次災害』が起きた場合、地震が原因に関係しているという場合は、火災保険では補償されません。
地震発生後は交通網の麻痺、消防への連絡が思うようにいかないことが想定でき、通常の火災保険で想定している以上の損害や再調達費用がかかることが多いからです。

保険金額を100%にできる地震保険や、単独で加入できる地震保険もある

市販されている地震保険の中には、火災保険と同額(100%)を保険金額として設定できる商品や、火災保険に加入していなくても単独で契約できる商品があります。
これは、公的地震保険の仕組みを利用したうえで、所定の割合以外を保険会社が独自に負担する仕組みになっているものや、そもそも政府の関与なく保険会社だけで大きなリスクをカバーするものなど、いくつか種類があります。

大規模地震が発生すると保険会社が支払う保険金が莫大になるため、こういった保険は資金力のある保険会社が取り扱っていることが多く、上限や補償内容は商品ごとに独自に設定されています。
条件が良いものほど「本当に支払いに耐えられるのか」を確認する必要があるため、加入前に必ず契約内容をチェックしましょう。

ちなみに、こういった商品は「地震保険」という名称ではなく、「地震補償保険」や「地震に備える保険」など、公的地震保険とは違った形式の名前になっています。また、保険金額の上限は低めに設定されていることが多いです。
美味しい部分にだけ注目せず、名前や補償内容(特に上限・制限に関する規約など)をじっくり確認しましょう。

<保険金額を火災保険と同額に設定できる地震保険の例>
ソニー損保「地震保険」

法律と再保険

地震保険は、保険会社だけではなく政府も保険金を支払う可能性があるため、法律によって保険料率や保険金の支払いルールが定められています。
大地震が起きれば、広範囲にわたって多くの住宅や家財が被害を受けるため、保険会社の支払総額が莫大になりかねません。
こうしたリスクに対応するため、地震保険は再保険という仕組みを活用しています。
ここからは、地震保険と政府の間で行われる再保険について、もう少し詳しく見ていきましょう。

再保険の仕組みとは

再保険とは、保険会社が自ら引き受けた保険(一次保険)を、別の保険会社や再保険会社に一部引き受けてもらうことでリスクを分散する仕組みです。
地震保険の場合、巨大地震で一度に膨大な金額の保険金請求が発生すると、単独の保険会社だけでは対応しきれない可能性があります。
そのため、政府や日本地震再保険株式会社などが間に入り、以下のような負担区分でリスクをカバーしています。

段階 各社全体の
保険金総支払額
負担
第一層 0~1,827億円まで 民間100%、政府0%
第二層 ~3,807億円 民間50%、政府50%
第三層 ~約12兆円以上 民間0.5%、政府99.5%

2025年3月現在の情報
出典:日本地震再保険株式会社「地震保険と再保険のしくみ」

日本地震再保険株式会社は、日本の損害保険会社各社が共同で設立した「保険会社向けの保険会社」で、各社が引き受けている地震保険をさらに補完した支払能力を確保しています。

もし支払総額が政府の上限額(約12兆円)を超えた場合、それ以上の地震保険金は支払われない仕組みですが、現時点ではそこまでの規模の支払いが必要になった地震の事例はありません。
実際に、過去の大きな地震で支払われた地震保険金と、国の負担分は下記のようになっています。

順位 地震 支払われた地震保険金の累計 国の再保険金
1 東日本大震災 約1兆2,894億円 約5,872億円
2 熊本地震 約3,909億円 約1,378億円
3 令和3年福島県沖地震 約2,509億円 約1,304億円
4 令和4年福島県沖地震 約2,654億円 約698億円
5 阪神淡路大震災 約783億円 約62億円

上記の表にある各地震の再保険金額は、発生当時のルールに沿ったものです。レイヤー(階層)ごとの上限金額、負担割合などが現在とは異なる場合があります。

阪神淡路大震災を機に地震保険への関心が高まったともいわれています。

また、熊本地震は短期間に震度7の地震が2回発生したため、耐震性能が高い建物であってもダメージを受けてしまい、被害が非常に大きくなりました。
もともと地震が少ない地域と思われていたため、地震保険の加入率も低かったと推測されていますが、もし他の地震多発地域で同規模の地震が発生していたら、さらに支払い総額が増えていたかもしれません。
参考リンク:NHKアーカイブス 2016年熊本地震まとめ 震度7が2回 いつ何が起きたのか

都道府県ごとの地震保険料率

地震保険では、都道府県別に大規模地震のリスクをランク付けした「等地」が設定されており、このランクによって保険料を決める「料率」が変わります。
料率は省庁(財務省)の定める「基本料率」をベースに、各保険会社で微調整される仕組みです。

以下は財務省が公表している最新の地震保険基本料率(保険金額1,000万円あたり・保険期間1年につき)の一覧です。
建物の構造が木造か、それ以外か(鉄骨・コンクリート造など)でも料率が変わります。

都道府県 等地 イ構造
(主として鉄骨・コンクリート造建物等)
ロ構造
(主として木造建物等※)
北海道 1 7,300 11,200
青森県 1 7,300 11,200
岩手県 1 7,300 11,200
秋田県 1 7,300 11,200
山形県 1 7,300 11,200
栃木県 1 7,300 11,200
群馬県 1 7,300 11,200
新潟県 1 7,300 11,200
富山県 1 7,300 11,200
石川県 1 7,300 11,200
福井県 1 7,300 11,200
長野県 1 7,300 11,200
岐阜県 1 7,300 11,200
滋賀県 1 7,300 11,200
京都府 1 7,300 11,200
兵庫県 1 7,300 11,200
奈良県 1 7,300 11,200
鳥取県 1 7,300 11,200
島根県 1 7,300 11,200
岡山県 1 7,300 11,200
広島県 1 7,300 11,200
山口県 1 7,300 11,200
福岡県 1 7,300 11,200
佐賀県 1 7,300 11,200
長崎県 1 7,300 11,200
熊本県 1 7,300 11,200
大分県 1 7,300 11,200
鹿児島県 1 7,300 11,200
宮城県 2 11,600 19,500
福島県 2 11,600 19,500
山梨県 2 11,600 19,500
愛知県 2 11,600 19,500
三重県 2 11,600 19,500
大阪府 2 11,600 19,500
和歌山県 2 11,600 19,500
香川県 2 11,600 19,500
愛媛県 2 11,600 19,500
宮崎県 2 11,600 19,500
沖縄県 2 11,600 19,500
茨城県 3 23,000 41,100
徳島県 3 23,000 41,100
高知県 3 23,000 41,100
埼玉県 3 26,500 41,100
千葉県 3 27,500 41,100
東京都 3 27,500 41,100
神奈川県 3 27,500 41,100
静岡県 3 27,500 41,100

※「耐火建築物」、「準耐火建築物」および「省令準耐火建物」等に該当する場合は「イ構造」となります。
出典:財務省HP「地震保険の基本料率」

47都道府県を3つの区分に分類し、等地区分の数字が少ないほどリスクが低いということで、保険料が安くなります。
ただ、よく見るとイ構造(鉄骨・コンクリート造など)は3等地の中でも価格が分かれていますね。
都道府県別の3等地区分は、保険料率を決める際に用いる基本的なグループ分けであり、ここにさらに建物の構造や耐震等級(免震建築物認定)など細かな情報が盛り込まれます。
また、リスクに関する等地も、3等地の中でさらに細かく分類する考え方もあり、Youtubeで公開している動画では11等地の区分をご紹介しています。

そして、地震保険であっても火災保険と同じように付加保険料率というものが存在します。
これは保険のために必要な費用に関する料率(純保険料率)とは別に、保険会社の運営費(人件費、固定費など)、宣伝費用、代理店手数料など、その保険商品を運営販売するにあたってかかる費用をまとめた料率です。
ただし、地震保険に関しては保険会社の利潤などは含まれません。そのため、火災保険とは異なり保険会社ごとの保険料の違いなどは、ほとんど無いといっていいでしょう。
→付加保険料率についてはこちらの記事でも解説しています。

以上のように、最終的な料率や保険料は、基本料率に加えて建物の構造など様々な情報を用いて計算されますので、正確な保険料が知りたいという方は、保険代理店にご相談ください。

地震保険の割引や所得控除

地震保険は、政府が積極的に加入を促進していることもあり、割引制度が充実しています。
また、火災保険と同様、地震保険も年末調整や確定申告で申請すると所得控除の対象になります。

地震保険の耐震・免震に関する割引

建物の耐震性に応じてリスクの低さが評価されるため、条件に合った建物ならば地震保険の保険料を割り引いてもらえます。
割引率はいくつかの種類に分かれていて、最大で50%の割引が受けられます。

割引名:割引率 内容 確認資料
免震建築物割引:50% 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)
に基づく免震建築物である場合
・住宅性能評価書(写)
・長期優良住宅の認定書類(写)
・設計内容説明書(写) など
耐震等級割引
耐震等級3:50%
耐震等級2:30%
耐震等級1:10%
品確法に基づく耐震等級を取得している場合 ・住宅性能評価書(写)
・耐震診断の評価書(写)
・長期優良住宅の認定書類(写) など
耐震診断割引:10% 1981年6月1日施行の建築基準法を満たすと診断された場合 ・耐震診断結果を示す書類(写)
・減税措置を受けるための証明書(写) など
建築年割引:10% 1981年6月1日以降に新築された建物である場合 ・建物登記簿謄本(写)
・建築確認書(写)
・重要事項説明書(写) など

注意点としては、これらの割引は併用ができないので、最も割引率の高いもの1種類だけが適用されます。
また、耐震等級などを取得・証明するためには専門登録機関に依頼して費用をかける必要がある場合があります。
しかし、書類を取得しておくと火災保険での割引や住宅ローンの優遇など、ほかの場面でも有利に働くことがあるため、長期的に見るとメリットが大きいともいえます。

地震保険の契約年数(保険期間)に関する割引

さらに、契約を複数年(長期)で結ぶことで保険料を安くできる割引係数も存在します。
火災保険では近年、長期契約の割引率が縮小傾向にありますが、地震保険はまだ長期契約がお得になる仕組みが残っています。
財務省の基本料率を参考に、東京都・コンクリート造・保険金額1,000万円の場合で試算した例が下記です。

契約期間 長期係数 長期係数適用の保険料 1年更新との差額 (円) 割引率 (%)
1年契約 1.00 27,500円
2年契約 1.90 52,250円(27,500×1.90) 2,750円 約5.0%
3年契約 2.85 78,375円(27,500×2.85) 4,125円 約5.0%
4年契約 3.75 103,125円(27,500×3.75) 6,875円 約6.25%
5年契約 4.60 126,500円(27,500×4.60) 11,000円 約8.0%

地震保険の所得控除

地震保険は「地震保険料控除」という制度の対象です。
1年間に支払った地震保険料(旧長期損害保険料を含む場合あり)に応じて、最大50,000円の所得控除が受けられます。
控除を受けるには、年末調整確定申告保険料控除証明書などを提出する必要があります。
 
火災保険の保険料は控除の対象外ですが、地震保険部分のみ控除を適用できるので、課税所得が減り所得税や住民税が軽減されるメリットがあります。

 

この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!

メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。


ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。

地震保険について皆さんの反応

コメント部分スクリーンショット
https://www.youtube.com/watch?v=lEkaEWfSb9c

この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。

Question Icon

地震保険は10年一括が終わって今は年払い時価払い補償で保険料年6万円。(11の地域です) 火災保険と地震保険を見直そうかと悩んでましてネットで地震保険に特約つけて100%のとこも気になってましたが この動画で仕組みがわかってスッキリしました。 子供も家を出て同じ規模の家は必要ないので火災保険の金額は下げたいけど地震保険の金額が下がるのに抵抗があって候補の一つにしてました。 ありがとうございます。

地震保険についてまとめ

地震保険は、火災保険と連動していること、公的な制度・法律に則ってルールが決まっていることから、保険をかける建物の構造や所在地によっては保険料が高いと感じるかもしれません。
しかし、保険料算出の仕組みはリスクや条件等に応じて計算されたものであり、地震によって損害を受けた際の生活再建の役に立つ内容になっています。
各種割引制度が充実し、所得控除など保険料をおさえる取り組みも存在します。

とはいえ、それでも火災保険とは別でそれなりの保険料を払う必要があるとなると、地震保険への加入を迷う大きな理由になるでしょう。
地震保険をお得に活用する裏ワザを紹介した記事もありますので、そちらもあわせてごらんください!

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