台風の季節になると、地域によっては落雷も増えてきます。
落雷や急な停電があると心配になるのが電気製品。エアコンや給湯器など高価なものも多く、もし壊れてしまったら家計に大きなダメージです。
しかし経年劣化ではなく何らかの原因がある場合は、火災保険で補償を受けられないかと考える方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そんなときに関わってくる火災保険の「電気的・機械的事故特約」について解説します。
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火災保険の電気的・機械的事故特約とは
電気的・機械的事故特約とは、その名の通り電気的事故・機械的事故によって建物の設備に損害が生じた場合を補償する特約です。
電気的事故とはショート・アーク・スパーク・過電流など電気に由来する事故のことで、機械的事故とは軸折れや内部部品の破損など機械の構造部にまつわる事故を指します。
| 種別 | 定義 | 具体的な事象 | 発生した損傷の例 |
|---|---|---|---|
| 電気的事故 | 電気の作用によって機器内部で 炭化・溶解・変色などが生じる事故 |
ショート(短絡) アーク放電 スパーク 過電流 絶縁低下 |
配線の焼きつき、基板の溶損、 部品の炭化・変色 |
| 機械的事故 | 機械の内的要因によって 構造部品に物理的な損傷が生じる事故 |
軸折れ 部品の亀裂・曲損 噛み込み 焼付き 冷媒管の詰まり |
モーターの焼損、ヒートポンプ 内部の損傷、回転部品の破損 |
もともとは事業用・企業用の保険でよく登場する特約だったのですが、個人宅で太陽光発電システムを設置するようになったころ合いから、家計用火災保険(個人の住宅用火災保険)にも登場するようになりました。
代表的な火災保険でこの特約を用意しているのは次の3社です。
- 損保ジャパン 個人用火災総合保険 THE すまいの保険「建物電気的・機械的事故特約」
- 三井住友海上 GK すまいの保険「建物電気的・機械的事故特約(専用・併用住宅用)」
- 東京海上日動 トータルアシスト住まいの保険「建物付属機械設備等電気的・機械的事故補償特約」
損害が補償対象かどうかを判断するには、修理業者に見積りを依頼し、故障の原因を調べてもらう必要があります。
保険金を請求する際にはこの見積書を提出することで審査がスムーズに進みます。
補償の対象は建物付属の設備のみ
この特約を検討する上でとても重要なのが、「補償の対象は建物に付属する設備のみ」という点です。
建物付属の設備とは、給湯器・浴室乾燥機・エアコンの室外機など、建物に内蔵・固定されていて自由に動かせないものを指します。
電子レンジはビルトインタイプとしてキッチンに固定されている場合は対象になりますが、据え置き型の場合は対象外です。
洗濯機・テレビ・冷蔵庫など、持ち運びができる家電は「家財」という扱いになるため、家財を保険の対象にしていても、この電気的・機械的事故特約では補償の対象外となります。
建物付属の設備と家財の分類については詳しく解説している記事がありますので、あわせてご覧ください。

電気的・機械的事故特約がない火災保険は?
火災保険の種類は数多くありますが、電気的・機械的事故特約を用意している商品は決して多くありません。
例えば、お家ドクター火災保険Webなどの補償を自由に選べるタイプの火災保険の中には、この特約が用意されていないものもあります。
そういった場合、電気設備の故障はどうなるのかというと、故障の原因によって変わります。
落雷や漏水など、その火災保険で付帯させている補償や特約の対象となる事故が原因なら、保険金を請求することが可能です。※
一方、原因が経年劣化や寿命、あるいは原因不明という場合は、火災保険を使うことが難しくなります。
加入している火災保険に電気的・機械的事故特約があるかどうか、ない場合でも故障の原因となりうる事故や災害を補償する特約が付帯されているか、一度保険証券を確認してみることをおすすめします。
※事故の内容や状況などにより、保険金を請求しても審査が通らない場合もあります。詳しくは「火災保険で請求が却下された時の対処法!」をご覧ください。
電気的・機械的事故特約の仕組み
この特約がやっかいなのは、他の補償・特約やメーカーの保証なども関わってきて、判断がやや複雑になるところにあります。
まず建物に付属する設備が故障した場合、修理業者に見積りを依頼して原因を確認してもらいます。
このとき、例えばショートが原因だったとすると、それが落雷によるものなのか別の原因によるものかで使える補償が変わります。
落雷が原因であれば落雷補償が適用されますし、それ以外の電気的事故であれば電気的・機械的事故特約の出番となります。
ショート以外の原因についても、他の補償で対応できる事故なのか、この特約の対象となる事故なのかを見極める必要があります。
また、メーカー保証の期間内に故障した場合、たとえ火災保険の補償範囲内の原因であっても、まずメーカー保証で修理することを求められるケースがあります。
保険と保証、それぞれの適用範囲を理解した上で対応することが大切です。
業者による見積りや確認が重要
経年劣化など免責に該当する故障なのか、火災保険で補償される故障なのかを判断するには、専門業者の見積書が必要になります。
一般的な流れは次の通りです。
- 事故発生
- 保険会社へ連絡
- 業者へ見積りを依頼
- 見積書を保険会社へ提出
見積書には修理費用だけでなく、作業工程や故障の原因なども記載されています。
また、修理が不可能と判断された場合は、修理不能証明書を発行してもらうことも可能です。
なお、見積りや書類の発行には手数料がかかることが多いため、依頼する前に料金を確認しておきましょう。
これらの書類の内容をもとに、保険会社が補償の可否と適用される補償・特約を判断します。
地震が原因の場合
自宅内の電気製品が故障した時、その原因が地震だった場合は、火災保険ではなく地震保険が機能します。
そして地震保険は被災者の生活再建をサポートするために作られた制度なので、保険金の申請には何が・どのように損害を受けたかをしっかり判定しますが、実際に保険金が支払われた後は、その用途を厳密に制限することはありません。
そのため、地震保険と一緒に加入する火災保険に電気的・機械的事故特約があってもなくても、支払われた地震保険金で電気製品を修理したり、買いなおすことが可能です。
家財か建物付属品かという制限もなくなります。
地震が原因で電気製品が故障したケースと関連する情報は、次の記事で解説しています。

電気的・機械的事故特約の事故例
損保ジャパンの公式ページには、この特約が適用された事故例として次のものが紹介されています。
エアコン室外機の内部の電気部品がショートし、焼きつけが生じたことにより、室外機が使用不能になった。
ヒートポンプ式給湯器の機械部品がショートしたため修理した。
給湯器の点火操作時に異常着火し、配線が焼きついて故障した。
出典:損保ジャパン 個人用火災総合保険『THE すまいの保険』補償内容「建物電気的・機械的事故特約」
どれも住宅購入時にメーカーから説明書や保証書が渡される設備です。
保証期間や修理の連絡先は説明書や付属書類に記載されているので、いつでも確認できるよう建物関係の重要書類としてまとめて保管しておきましょう。
なお、各メーカーには延長保証サービスを提供しているものもあります。
保証期間が長いほど万が一の際の選択肢が増えるため、購入時に延長保証の有無を確認しておくことも有効な備えの一つです。
また、この特約を付帯する際には築年数の条件がある場合があります。
三井住友海上では、築年数10年1か月以上のご契約への新規付帯はできないとされており、東京海上日動でも同様に築年数10年未満のご契約または前契約で同特約をセットしていた場合に限るとされています。
検討する際は保険会社に確認してみてください。
他の補償が使える可能性がある事故例
建物に付属する電気製品が故障した場合、電気的・機械的事故特約以外の補償が使える例もあります。
落雷により給湯器の機械部品がショートした
自宅や周辺の電柱等に雷が落ち、雷サージが発生して建物付属の電気製品が故障した場合は、落雷補償が使えます。
詳しくは専門の記事で解説していますので、合わせてご覧ください。

強風により、庭に置いていた植木鉢が室外機に衝突し、故障した
この場合は風災による衝突が故障の原因として、風災補償の対象になります。

隣家から落ちてきた物によって屋根の太陽光パネルが破損した
衝突物や落下物の補償が機能しますが、隣家から賠償として修繕費が支払われた場合は保険金を請求できません。

まとめ
電気的・機械的事故特約は、エアコンの室外機や給湯器など建物に付属する設備が電気的・機械的な原因で故障した場合に補償を受けられる特約です。
落雷が原因であれば落雷補償が使えますが、それ以外の電気的・機械的事故については、この特約がないと補償されないケースが多くなります。
ただし、補償の対象はあくまで建物付属の設備に限られ、持ち運び可能な家電(家財)は対象外です。
また、経年劣化や自然消耗が原因の故障も補償されません。さらに、特約を付帯できる条件(築年数など)が保険会社ごとに設けられている場合があります。
故障の原因を正確に判断するためには専門業者の見積書が欠かせないため、いざというときに備えてメーカーの書類や保証書を整理して保管しておくことが大切です。
加入中の火災保険にこの特約が付帯されているかどうか、一度確認してみることをおすすめします。










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