自由設計型の火災保険は、必要な補償を自由に組み合わせられる点が魅力です。
火災や落雷といった基本補償を土台に、生活スタイルや住まいの形態に応じて特約を加えることで、リスクに合った保険設計が可能になります。
一方で、補償の重複や不要な特約を付けすぎで、保険料が割高になってしまうことも。
この記事では、災害や日常リスクに応じた特約の選び方や、ハザードマップを活用した補償の最適化方法を分かりやすく解説します。
忙しい人はこちら
自由設計型の火災保険は「基本補償+特約」で最適化!
保険はいろんな種類がありますが、その中でも火災保険は更にさまざまな種類があります。
最近特に人気があるのは、自由設計型と呼ばれるタイプの火災保険です。
これまでは加入者一律で、保険会社があらかじめ定めた補償内容での契約に限られていましたが、自由設計型は加入者が好きなように補償を組み合わせることができるという物です。
| 項目 | 自由設計型火災保険 | パッケージ型火災保険 |
|---|---|---|
| 補償内容 | 必要な補償(火災・風災・水災・盗難など)を選んで組み合わせられる | 基本補償があらかじめ一括でセットされている |
| 自由度 | 高い。不要な補償を外せるため、オーダーメイド感覚で契約可能 | 低い。基本セットから外すことができない補償も多い |
| 保険料 | 選択内容に応じて調整可能。無駄を省けば安くできる | セット内容によっては割安だが、不要な補償が含まれる場合は割高感あり |
| 契約のしやすさ | 選択肢が多いため比較検討に時間がかかる | シンプルでわかりやすく、短時間で契約できる |
| おすすめの人 | 補償内容を細かく調整したい人、コストを最適化したい人 | 火災保険に詳しくない人、手間をかけずに契約したい人 |
火災保険自体の選び方については、こちらで詳しく解説しています。

ただ、自由設計と言っても、何でも好きに選び放題という訳ではありません。
火災・落雷などの基本補償をベースに、生活や住環境に合わせて特約(オプション)を足していくのが特徴です。
なお「基本補償」といっても、その内容は保険商品によって微妙に異なり、免責金額(自己負担)が設定されていることがあります。
まずは土台となる補償の中身を把握し、「足すべき特約」と「削ってよい特約」を仕分けしていきましょう。
特約について、こちらの記事で詳しく解説しています。

災害や事故の特約
火災保険の補償や特約は、それが災害や事故による損害に対する補償なのか、それとも何等かの費用に対する補償なのかで性質が異なります。
この項目では損害に対する補償と特約をご紹介します。
代表的な事故類型ごとに、それぞれの特約がどこまでカバーされるのかと、注意点をまとめました。
※商品により名称や条件が異なるため、約款や重要事項説明書で最終確認をしてください。
火災、落雷、破裂・爆発
建物や家財が火災で損害を受けた、落雷で家電が損傷した、ガス漏れの爆発で壁が壊れた等を補償。
具体例:お家ドクター火災保険Web「火災、落雷、破裂・爆発」
こちらは火災保険のメインの補償であり、自由設計型では基本補償として誰もが付帯させる補償になります。
落雷や破裂、爆発事故は、一見火災とは関係なさそうに思えますが、発生すると突発的で激しいエネルギーにより大きな被害を出すという特徴や、二次災害として火災に発展しやすいということから、火災とまとめられています。
水災
台風や線状降水帯などに伴う洪水・高潮・土砂災害で建物や家財に生じた損害を補償。
雨や台風など水に関する自然現象が原因となる損害を補償します。
洪水・高潮・土砂崩れ・落石等といった被害は、場所によっては全く被害が出ないところと、深刻な被害が出るところなど地域差があります。
その為、水災にかかる保険料は都道府県ごとに細かく設定されています。保険金は加入者一律、条件合わせです。
風災・雪災・雹災
台風や突風で屋根や外壁が破損した、豪雪でカーポートが潰れた、雹で窓が割れた等を補償。
風・雹(ひょう)・雪が原因で起きた損害を補償するというものですが、
- 天候とかかわりが深い自然災害
- 広い範囲で同程度の被害が出ることが多い
といった性質から、一つの特約にまとめられています。
また、最近ではAIなどのデジタル技術を活用した効率化が研究されていて、今後も申請や審査がどんどん早くなる特約なのではないかと言われています。
飛来物・落下物・衝突
上階から物が落下した、近隣の車が自宅塀に衝突した、ボールが飛び込んで窓が割れた等を補償。
具体例:お家ドクター火災保険Web「飛来物・落下物・衝突+盗難+水濡れ」
この補償は多くの火災保険に用意されているポピュラーな補償ですが、保険商品ごとの特質が出やすい傾向があります。
例えばお家ドクター火災保険であれば、後述する盗難や水濡れと同じ補償になっています。
飛来物・落下物・衝突の補償はとても便利で日常生活で使いやすい反面、水濡れは戸建て住宅では機能しないことがほとんどなので、一つの補償にまとめたのでしょう。
他の補償と被りやすい事故が補償対象なので、もしこの補償を契約する場合は申請時の説明などにお気を付けください。

盗難
空き巣で家財が盗まれた、こじ開けでドアや鍵が壊れた等を補償。
被害届の提出や鍵交換費用の取り扱いは商品ごとに差があります。
具体例:お家ドクター火災保険Web「盗難+水濡れ+飛来物・落下物・衝突」
この補償で大切なのは、保険の対象をどのように設定したのかです。
家財を保険の対象に入れていなかった場合、補償されるのは盗難事故によって起きた建物の損害だけで、盗まれた家財に関してはノータッチです。
家財を保険の対象に入れていても、盗まれたものが現金だった場合は、保険金に現金・貴金属用の上限設定がかかります。
漏水・水濡れ
上階からの漏水で床・壁・家電が水びたしになった等を補償。
具体例:お家ドクター火災保険Web「水濡れ+盗難+飛来物・落下物・衝突」
マンションなどの集合住宅だった場合、床の下を通る給排水管が劣化などで壊れたり、上階の住人がうっかり洗濯機のホースが外れたままで水浸しにしてしまったといった事故で漏水の被害にあうことがまれにあります。
この補償はそういった被害を受けた場合の損害を補償します。
ただこちらも家財が保険の対象になっていた方がいい補償ですね。
漏水被害に気付いてすぐに対処すれば建物を対象にした大規模な工事などは不要なことがほとんどですが、家電やソファ、寝具など濡れたらまずい家財はそうではありません。
破損汚損、その他偶然の事故
突発的かつ予測できない事故によって起きた損害を補償します。
この補償は、水災や風災、飛来物など様々な事故に対応する補償が用意されている中、該当する補償がない事故をカバーするかなり便利な補償です。
オールマイティな分、故意ではないか、予測できたのではないかと厳しい審査が入る場合もあります。
ただ、子どもが遊んでいて窓ガラスを割ったなど、非常によくある事故を補償してくれるので、高い保険料をこまめにコツコツ回収できる大きな魅力があります。
費用補償特約
費用補償特約とは、事故後に実際に発生する「付随費用」をカバーする補償です。
金額や上限、対象範囲は商品で差が大きいので、約款や重要事項説明書で最終確認をすると安心です。
修理に関する費用
修理付帯費用、残存物取片付け費用、仮修理費用など。
具体例:お家ドクター火災保険Web「修理付帯費用」
具体例:お家ドクター火災保険Web「残存物取片付け費用」
足場・養生・廃材処分など修理に不可欠な付帯作業費や、焼失・破損した残存物の片付け費用を補償。
通常は「損害保険金のお支払いがある事故」に付随して支払われ、割合(例:損害額の10%限度)や上限額が決まっています。
個人賠償に関する費用
個人賠償補償、弁護士費用補償など。
日常生活で他人にケガ・物損を負わせた際の賠償責任(自転車事故や子どもの加害事故、ペットによる咬傷等)をカバー。
示談交渉サービスや弁護士費用等補償をセットできる商品もあります。
具体例:お家ドクター火災保険Web「個人賠償責任」
具体例:お家ドクター火災保険Web「被害事故弁護士費用等」
子どもがいない・すでに自動車保険に個人賠償特約を付けている、という方は、火災保険側の個人賠償を省いても足りるケースがあります。(ただし「自動車に起因する事故のみ」ではなく、日常生活全般を対象にする個人賠償特約であることの確認が必要。)
一方、車の有無に関わらず自転車・日常生活の賠償リスクを包括的に備えたい場合は、火災保険にセットしてもOKです。
重複加入時は保険金が二重に出るわけではないため、保険料のムダにご注意ください。
その他費用
損害拡大防止費用、失火見舞い金、臨時費用など。
延焼や被害拡大を防ぐためにかかった費用(ブルーシート養生等)、近隣へのお見舞い費用、生活立て直しの臨時費用などを補償。
地震発生後の火災に限定して定率で支払われる「地震火災費用保険金」を自動付帯する商品もあります。
特殊な補償
近年は、標準的な補償に加えて「使い勝手」を高めるサービス型の特約も増えています。
指定工務店特約
お家ドクター火災保険Web「指定工務店」
事故時に保険会社提携の修理業者(指定工務店)に修理を任せる代わりに、修理手配の手間を省き、保険料割引(例:建物保険料3%引き)が適用されるタイプの特約。
自分で業者を手配すると減額される条件がある商品もあるため、適用条件を必ず確認しましょう。
ペット関連の補償
災害や事故により建物が損害を受けた場合、自宅にいることが多いペットも被害を合う可能性が高いでしょう。
しかし、火災保険は生き物を保険の対象にすることは出来ません。
商品によっては、家財を保険の対象にしたうえでペットや植物などを家財補償に含めるといった拡張特約が用意されている場合がありますが、これはペットが死んでしまった場合に限定されています。
ケガを負ったペットの治療費などを目的に保険を設計したいと考えている場合、単独のペット保険をご利用ください。
また、もしペットの受けた損害ではなく、ペットが他者に与えた損害に対する賠償責任をカバーしたいのであれば、個人賠償責任補償で大丈夫です。
こちらは日常生活賠償とも言われており、日常生活でおきうる事故のほとんどが保証対象になっています。
ホームセキュリティ連動
ホームセキュリティの導入状況に応じて「ホームセキュリティ割引」が適用され、保険料が下がる商品があります。
盗難後の鍵交換費用の補償や、駆けつけ等の付帯サービスを用意する会社もあります。
特約の選び方
ここからは「リスク→必要な特約」の順で、チェックリスト形式で絞り込んでいきます。
当てはまる項目にチェックを入れて、必要な補償を拾い漏れなく確保しましょう。
1:”マンション”か”戸建て”か
マンション(分譲・賃貸いずれも)では、上階・共用部起因の事故や管理規約の関与がポイントです。
戸建てでは、屋外からの侵入・風水害・設備トラブルに目を配ります。
| 建物の種類 | 補償・特約 | 内容 |
|---|---|---|
| マンション | 漏水・水濡れの補償 | 上階からの漏水や共用配管トラブルに対応。 設備そのものの修理費は対象外が多い。 |
| 賠償費用補償 | 上下階・隣戸への漏水加害やベランダから物が落ちた場合などに備える。 | |
| バルコニー特約 | 共用部分(専用使用権付)のベランダ・バルコニー修理費を補償。 管理規約で居住者が修復義務を負う場合に有効。 |
|
| 戸建て | 盗難補償 | 侵入窃盗の被害比率が高い。窓やドア破壊による損害も対象。 |
| ホームセキュリティ関係 | 機械警備導入で保険料割引となる商品あり。 実被害の抑止にも効果的。 |
|
| 太陽光発電関係 | 屋根のパネルは建物扱い、といった感じで部品ごとに扱いが違う場合がある。 さらに「電気的・機械的事故」や「発電利益補償(売電損失)」特約があれば手厚い。 |
2:ハザードマップ
災害リスクは地域差が大きく、保険料にも反映されます。
ハザードマップは「必要な補償」を見極めるだけでなく、「優先度の低い補償」をあぶり出す意味でも有効です。
例えば高台の住宅で水災リスクが明らかに低いなら、水災補償の免責を高める・外すなどの選択肢も現実的です。
また、ハザードマップから「直接確認できる情報」と「地形などから推測できる情報」に分けられます。
どのような情報を確認したいかにより、ハザードマップを使い分けるのも一つの手です。
あらかじめ、住まいの住所でハザードマップを確認するようにしましょう。
ハザードマップから直接確認できる情報
| 重ねるハザードマップ | 洪水・内水、土砂災害、高潮、津波、道路防災情報、地形分類 |
| わがまちハザードマップ | 洪水、内水、ため池、高潮、津波、土砂災害、火山、津波 |
| NHKハザードマップ | 急傾斜地の崩壊(土石流)、土石流、地すべり、洪水、津波 |
| J-SHIS地震ハザードステーション | 地震全般 |
地形などから推測できる情報
以下の情報は、地形分類などから判別します。
- 風災:台風の通り道、海沿い・山間部の地形で風の通りが強い等。
- 山火事・類焼:周辺が林地・木造密集、市街地延焼の懸念等。
その他環境による日常のリスク
生活導線や周辺環境に応じて、日常に起こりうるリスクも確認しておきましょう。
- 人通り・車通りが多い:他人や他物への損害に備えて、個人賠償責任補償や弁護士費用補償があると安心。
- 木造住宅が密集、家と家の隙間が狭い:万一の出火時に備え、類焼損害補償や失火見舞い金があるとご近所対応がスムーズ。
- リモートワーク中心:PC・周辺機器・楽器等の高額家財が増える傾向。
家財保険金額の見直しと「破損・汚損(不測かつ突発的な事故)」の付帯がおすすめ。 - 近隣に公園や学校がある:ボール等の飛来物でガラス破損などが起きやすい環境。
飛来・落下・衝突や風災の補償をチェック。
コスパがいいオススメの補償
先述の通り、日常で起こりがちな小さな事故に対応できる「その他偶然事故・破損汚損(不測かつ突発的な事故)」はコスパ良好のオススメの補償です。
子どもがガラスを割った、模様替え中に壁を傷付けた等、火を使わない事故でもカバー範囲が広がります。
加えて、火災保険は自動車保険のような等級制ではないため、原則として「保険金請求で翌年の保険料が上がる」ことはありません。
だからこそ、日常的に起こりうる事故で“使える”設計にしておくのが得策です。
その他偶然事故・破損汚損について、こちらの記事で詳しく解説しています。

補償選びの注意点
特約をたくさん付けるほど安心感は高まりますが、当然ながら保険料も上がります。
火災保険の保険料は、建物の構造・所在地(自然災害リスク)・保険金額・免責・補償範囲など多要素で決まります。
近年は水災リスクの細分化(地域等級)も進んでおり、同じ市内でも料率が異なることがあります。
予算と優先順位のバランスを取りながら、付ける・外す・免責を上げる等の調整を行いましょう。
保険料の考え方について、以下のページで詳しく解説しています。ぜひご参考ください。

まとめ
自由設計型の火災保険は「住まいのハザード(地域)」「住まいの形(マンション/戸建て)」「暮らし方(日常の動線・家財の中身)」の3軸で最適化するのがコツです。
基本補償の抜けと免責を確認したうえで、飛来・落下、漏水、破損・汚損、個人賠償、類焼・見舞い、臨時・片付け等の費用補償を必要分だけ足していきましょう。
自動車保険の個人賠償特約があれば重複に注意し、太陽光やセキュリティなど設備・サービス連動の特約も上手に活用を。
ハザードマップの結果を根拠に「入れる・外す」を判断できれば、過不足のない“使える設計”に近づけます。





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