マンションは戸建てと比べて頑丈な傾向があり、マンションのオーナーや管理組合が保険に入っているケースも多いです。
そのため、「わざわざ入居者が個別に火災保険へ加入する必要はないのでは?」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、マンションの建物全体を対象にした保険では補償されない事故・災害・トラブルもあります。
実際に起きた事故例を交えながら、マンション入居者が個別に火災保険へ加入した方がいい理由を解説いたします。
忙しい人はこちら
マンションでも火災保険に入った方がいい理由
マンションのオーナーや管理組合が加入している保険は、あくまで共用部分を対象とした保険です。
そのため、各戸室の専有部分(自宅の中)で起きた事故・災害の被害は、共用部分の保険ではカバーできません。
もしご自身の室内で火災や漏水事故などが起きてしまい、修繕費が高額になった場合でも、共用部分の保険では対応してもらえないのです。
そういった「自分の財産」を守るためには、入居者が火災保険へ加入する必要があります。
この記事では、「マンションだからこそ起こりえる事故」の例を中心に、実際に火災保険で補償できる内容を保険会社が紹介している事故事例をもとにご紹介いたします。
マンションで起きた事故例とその事故に対応できる保険
マンションでは近隣住戸との距離が近かったり、専有部分と共用部分が入り組んでいたりするため、戸建てとは異なるタイプの事故・災害が起きるケースがあります。
ここからは、実際に保険会社で紹介されている事故事例を引用しながら、どのような保険で対応できるのかや注意点を解説します。
火災、落雷、破裂・爆発など
ここでは火災保険の基本ともいえる「火災・落雷・破裂・爆発」に該当する事故事例をご紹介します。
留守中、家電製品のショートにより居間から出火。
出典:日新火災
■対応できる保険
「火災、落雷、破裂・爆発補償」が付帯された火災保険
■ポイント
入居者自身が原因となった火災だけでなく、周辺戸室からの類焼で被害を受けた場合も補償対象となります。
一方で、自分が出した火災が他戸室へ被害を与えた場合には「類焼損害補償」や「賠償責任補償」が必要です。
落雷により玄関の電子錠が故障した
出典:ソニー損保
■対応できる保険
「火災、落雷、破裂・爆発補償」が付帯された火災保険
■ポイント
雷による家電の故障は意外と多いトラブルです。
併せて「臨時費用保険金補償」などの特約を付けておくと、修理費用の一部をさらに上乗せで補償してくれるケースもあります。
ガス漏れ警報器が鳴ってあわててしまい、キッチンの電気をつけたら爆発してしまった
出典:損保ジャパン
■対応できる保険
「火災、落雷、破裂・爆発補償」が付帯された火災保険
■ポイント
破裂・爆発事故は被害が大きくなりやすいので、事故後の仮住まい費用をカバーできる特約(例:「仮すまい費用補償」)も検討しておくと安心です。
風災、雪災、雹災など
以下にご紹介する事故事例は、台風や大雪、雹(ひょう)などによるトラブルです。
マンションの高層階だからと油断していても、ベランダの窓ガラスが割れたりベランダ内の物が飛散したりすることがあります。
台風の強風で看板が飛んできてベランダのガラスが破損した
出典:損保ジャパン
■対応できる保険
「風災、雪災、雹災補償」が付帯された火災保険
■ポイント
マンションの高層階に住んでいても、看板や飛来物がぶつかってガラスが割れるケースはあります。
特に強風時は飛来物のリスクが高いので要注意です。
水災など
水災とは、大雨や河川の氾濫、高潮などによって建物や家財が浸水被害を受けることです。
マンションの場合でも低層階や地下駐車場が浸水するリスクがあります。
大雨で近くの川が氾濫し、1階部分が床上浸水
出典:ソニー損保
■対応できる保険
「水災補償」が付帯された火災保険
■ポイント
マンションは高層階ほど浸水リスクが低いと言われますが、1階や地下にお住まいの場合は要注意です。
また、水災が起きた際に1階部分が浸水したことでエレベーターや機械式駐車場が故障したという事例もあります。
こういった事案で水災補償が適用されて入居者に保険金が支払われるといったことはありませんが、日常生活に支障をきたすことが考えられますので、「仮すまい費用補償特約」などを契約しておくと便利です。
飛来物が原因の事故など
強風で飛んできた物だけでなく、車の衝突や隣家からの落下物も「飛来物」に分類されるケースがあります。
自動車が飛び込んできて、建物が損害を受けた。
出典:三井住友海上
■対応できる保険
「飛来・衝突補償」「破損・汚損等(その他偶然の事故)」など、風災などと並んで設定されている補償
■ポイント
マンションの場合、1階にある戸室の前に駐車場が設けられている配置も多く、操作ミスによってベランダに車が突っ込んでくる事故なども起こりえます。
1階ではなくとも、高低差がある土地であれば部屋と同じ高さに駐車場が見えるという立地もあることでしょう。
加害者の車の保険から補償される可能性もありますが、過失割合の交渉には時間がかかるケースもあるため、自身の保険で補償できるようにしておくほうが安心です。
破損、汚損(不測的かつ突発的な事故)など
思わぬアクシデントで室内の備え付け設備や家財を壊してしまうケースは、戸建て・マンションを問わず発生しやすいものです。
自宅で子供が遊んでいて、誤って窓ガラスを割ってしまった。
出典:東京海上日動
■対応できる保険
「破損・汚損補償」などの特約
■ポイント
マンションは1階以外の住居ではほぼ庭がないため、子供を室内で遊ばせる機会も多いことでしょう。子供が家や家財を壊してしまった場合は、故意ではないとみなされて「破損・汚損」「その他偶然の事故」といった名称の補償でカバーできます。
ただし、保険金の支払対象範囲が保険ごとに異なるため、加入時に「どの範囲まで補償されるか」を確認してください。
破損・汚損、その他偶然の事故の補償はとても便利で保険を活用しやすい補償なので、その特徴や保険金が支払われるケースについて事前に知っておくと保険料を回収しやすくなりますよ。

水濡れ、漏水など
マンション上階からの水漏れにより、家財が損害を受けた
出典:三井住友海上
■対応できる保険
「水ぬれ補償」や「盗難・水ぬれ補償」など。※名称が違う場合あり
■ポイント
家財を補償の対象に設定していなければ、漏水で家財が被害を受けても保険金が下りません。
逆に、自宅から漏水して階下へ被害を与えた際は「個人賠償責任補償」が必要になります。
詳しくはこちらの記事でも解説しています!

盗難など
空き巣や訪問者による持ち去りなど、マンションでも盗難リスクは存在します。
泥棒が家に侵入した際にドアのカギ穴を壊されてしまった。
出典:日新火災
■対応できる保険
「盗難補償」が付帯された火災保険※名称が保険により異なります
■ポイント
盗難や空き巣などの犯罪は年々巧妙になっており、集合住宅で人目があることから被害に合いにくいと思われていたマンションであっても、用心が必要です。
マンションでは扉の外側の面は共用部とされているケースもありますが、鍵交換などは入居者の負担となるので、そういった部分の費用もカバーしてくれる保険が好ましいですね。
個人賠償責任など
マンションで他人に損害を与えてしまった場合、個人賠償責任補償が活用できます。
排水管が詰まり、階下へ漏水被害を与えてしまった
出典:損保ジャパン
■対応できる保険
「個人賠償責任補償」が付帯された火災保険
■ポイント
マンションでは漏水トラブルが多いと言われていますが、「水ぬれ補償」「漏水補償」などは被害にあった場合の補償であり、自分の過失で漏水事故を起こしてしまった場合は、賠償責任の補償が必要です。
示談交渉サービスがついているものを選ぶと、いざという時の対応を任せられるので安心ですよ。
火災保険の基本的な補償と、マンションで多い事故例をご紹介しました。
ざっとまとめることこんな感じです。
| 補償の種類 | 主な対象事故例 |
|---|---|
| 火災・落雷・爆発 | 家電ショート火災、落雷による家電の故障、ガス漏れ爆発など |
| 風災・雪災・雹災 | 台風での窓ガラス破損、雹による屋根・外壁の損害など |
| 水災 | 河川の氾濫、高潮による浸水被害 |
| 水濡れ・漏水 | 上階からの漏水被害、配管のトラブル |
| 破損・汚損 | 突発的な事故で家財や設備を壊してしまう |
| 盗難 | 空き巣被害、置き引きなど |
| 個人賠償責任 | 漏水や不注意で他戸室に被害を与えるなど |
マンションの保険はどれがいい?
マンション向けの火災保険を選ぶときには、主に以下の3つのポイントを確認しておくと失敗が少なくなります。
マンション向けの補償内容
水ぬれ・漏水、個人賠償責任など、マンションだからこそ備えておきたい補償は要チェックです。
特に水ぬれ・漏水は、戸建てでは上階からの漏水事故が起きるケースが少ないため、マンション特有のリスクといえます。
こうしたマンション特有のリスクへの補償範囲をしっかり確認しておきましょう。
マンションの場合、専有部分と共用部分の切り分けも重要です。
共用部分で起きた被害は管理組合の保険で対応することが多いため、専有部分で発生した被害だけ補償される仕組みになっている火災保険がほとんどです。
例えば共用の駐輪場に停めていた自転車が盗まれた場合、「専有部分外の事故は補償対象外」としている火災保険もあるので注意しましょう。
マンションならではの割引制度
火災保険は、建物構造によって「M構造」や「T構造」などに分類されます。
マンションは一般的に耐火性の高い鉄筋コンクリート造(RC造やSRC造)が多いので、「M構造」というもっとも有利な区分に入ることが多いです。
さらに、耐久性や耐火性などが高いマンションだと、独自の評価を受けて割引が適用される場合もあります。
(例:日新火災のお家ドクター火災保険Web S評価マンション割引 など)
こういった割引制度を活用できるかどうかも、保険料を抑える上で大切なポイントです。
マンションの立地や環境
立地によっては、河川が近くにあって水災リスクが高い、駐車場に隣接していて車の衝突リスクがあるなど、補償選びにおいて重視しておくリスクが変わります。
例えば、1~2階に部屋がある場合、もしくは高低差のある土地で周囲にがけ等がある場合は、床上浸水や土砂崩れによる被害を補償してくれる水災があった方がいいですね。
逆に高層階なら水災リスクは低くなる可能性もありますが、台風などで強風が当たりやすい角部屋だと風災リスクが高まる場合もあるでしょう。
立地や環境を踏まえた補償選びが重要です。
賃貸マンションの保険は?
最後の最後になりますが、以上の内容は持ち家としてマンションに部屋を所有している人向けの保険です。
もちろん賃貸マンションに入居するときも保険の加入をお勧めしますが、持ち家と賃貸では利用できる保険が異なります。
| 違い | 賃貸 | 持ち家 |
| 所有権 | オーナー | 保険加入者 |
|---|---|---|
| 対象 | 家財 | 建物&家財 |
| 事故が起きた時 | オーナーに連絡や修理の許諾が必要 | 自分の判断で修理の手配等ができる |
このように、賃貸マンションは建物の所有者がオーナー(大家・管理会社)なので、加入者が所有する建物を守るという保険の意義に当てはまりません。
賃貸は賃貸向けに事故や災害から自分の所有物を守る保険がありますので、賃貸用の保険に入りましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。


マンションの火災保険についてまとめ
万が一の際に修繕費や損害賠償費を自己負担せずに済むように、管理組合の保険だけでカバーしきれない部分を補う火災保険は、マンション居住者こそ検討しておく価値があります。
リスクを過度に恐れるのではなく、いざという時に備える手段として火災保険を活用するという考え方がおすすめです。
保険料を抑えながら、必要な補償をしっかりと選び、マンションライフをより安心してお過ごしください。










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