保険の重複に要注意!知らないうちに損するケースとチェックポイント、放置した場合の事例も掲載

保険全般

保険に加入しようとするときや、見直しをしようとするとき、「補償が重複していないか確認してください」といった案内を目にしたことはありませんか。
これを見ると保険の重複はしちゃダメなことなんだと思いがちですが、実際は保険によって違ったり、加入者がちょっと損をするだけで済むケースが多いんです。

しかし状況によっては思わぬトラブルに発展することもありますし、損はしたくないですよね。
この記事では「保険の重複とはなにか?」というところからその仕組み、重複を確認するポイントなどを事例込みで紹介します。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

そもそも「保険の重複」って何?

保険の重複とは、同じような保険を複数契約している状態をさします。

本来、誰がどの保険に加入するのかは自由です。
しかし、「一つの事故の保険金を複数の保険から受け取って利益を得る」といった不正行為を防ぐため、保険によっては重複を避けてほしいと案内されています。

『別々の会社の保険だったら、黙っていればわからないのでは?』と思うかもしれません。
でも実は、会社が異なっていても契約情報を一定範囲で確認できる仕組みがあります。

一般社団法人生命保険協会および一般社団法人日本損害保険協会では、加盟会社を通じて契約者情報の一部をデータベースで管理し、必要に応じて照会できる制度を設けています。
登録されるのは、氏名・生年月日や一定額以上の契約内容、保険金請求履歴などです。

※個人を特定できる最低限の情報のみとされており、詳細は各保険会社の約款や個人情報の取扱いに関する説明書面をご確認ください。

なお、加入時点から常にチェックが行われるというよりも、高額契約や保険金請求時などに確認されることがある、というイメージに近いです。常に監視されているというものではありません。

以上を踏まえ、保険の種類ごとに重複がどのように扱われるのかを見てみましょう。

保険の種類 タイプ 重複した場合
生命保険(死亡保険) 定額型 契約ごとに定められた保険金が支払われる。
高額・短期集中加入など不自然な場合は確認されることがある。
医療・傷害保険 主に定額型 条件を満たせば契約ごとに給付されることがある。
ただし実費補償型は実損額が上限。
自動車保険 実損補填型と定額型が混在 対物賠償などは実損額が上限。
搭乗者傷害保険など定額部分は
契約ごとに支払われる場合がある。
火災保険 実損補填型 実際の損害額が上限。
複数契約があっても総受取額は損害額まで(按分等で調整)。

さて、「実損補填型」と「定額型」という言葉が出てきました。
これは保険金の支払い方法による分類です。

  • 実損補填型:保険事故によって実際に発生した損害額を上限として保険金を支払う
  • 定額型:所定の条件を満たした場合に、あらかじめ定められた金額を支払う

実損補填型は「実際の損害を補う」ことが目的のため、複数の保険会社に同じ損害額で請求した場合でも、最終にはトータルの受取額が実損額になるように調整されます。

例:
保険金額2,000万円の家で火災が起き、修理に1,000万円かかる損害が出た。
加入しているA社の火災保険、B社の火災保険それぞれに1,000万円の保険金を請求し、余分に受け取る保険金で損害とは関係がない部分もリフォームしようとした。
しかし実際に支払われたのはA社・B社それぞれから500万円ずつだけだった。

この例は、申請を受けたA社・B社それぞれがデータベースから請求情報を確認し、実損額にあたる保険金をそれぞれ半分ずつ出したという状況です。
重複している他の保険があるからといって請求額の半分しか支払われないという訳ではなく、A社とB社で「どうする?」と話し合いがもたれることが一般的です。

一方、定額型はあらかじめ保険金額が決まっているため、条件を満たしていれば契約ごとに給付される仕組みです。そのため、保険や保障の重複はあまりタブー視されていません。

この違いから考えると、実損補填型は重複を避けたほうが合理的であり、定額型は設計次第では重複していても問題にならないと整理できます。

もっとも、重複が可能な保険であっても、支払う保険料の総額が受け取る可能性のある保険金を大きく上回るようであれば、本来の保障目的から外れてしまいます。
保障内容と保険料のバランスを見ながら設計することが大切です。

なぜ保険の重複が起きやすいのか

保険の重複は、あえてそうしようとしなくとも、誰にでも起こり得ることです。主な理由は次のとおりです。

  • 家族がそれぞれ別の保険に加入している
  • 更新時に内容を十分に確認していない
  • 「自転車保険」など名称に引きずられて中身を見ていない
  • 主契約ばかりに注目し、特約や付帯サービスを見落としている

特に多いのが、「何かの保険に特約として付いている補償」「単独の保険として販売されている補償」が重なっているケースです。

例えば、火災保険に個人賠償責任特約が付いているのに、別途個人賠償系の保険(自転車保険など)に加入している場合などが典型例です。
また、自動車保険と火災保険それぞれで個人賠償責任特約をつけてしまうなど、すでに契約している保険の特約のことを忘れていて、うっかりダブらせてしまうこともあります。

重複しやすい保険・補償とは?

重複しやすい補償は、大きく分けて次の2系統です。

  • 個人賠償責任補償(火災保険・自動車保険・自転車保険など)
  • 傷害・医療系補償(医療保険・傷害保険・スポーツ保険など)

この二つの補償は、関連する、もしくは系統が似ている他の保険に特約として設けられていることが多く、それでいて単独の保険も存在します。
保険商品は他社との差別化のためにひとひねりした名前がつけられていることもあるので、なんとなくのイメージではなくじっかり契約内容を確認しておくことが重要です。

●ひとひねりした保険商品名の例●

  • お家ドクター(日新火災の火災保険)
  • みらいのカタチ(日本生命の生命保険)
  • ウェルスマイル(楽天生命の医療保険)
  • ネットde保険@さいくる(三井住友の自転車保険)

どれも良い名前だとは思いますが、メインの保険機能はイメージできても、そこに個人賠償責任特約や傷害保険機能がついているというところまで連想することは難しいかもしれませんね。
以上を踏まえまして、よくある重複パターンを例として挙げますので、現在加入している保険と同じ組み合わせがないかチェックしてみてください。

  • 火災保険の個人賠償特約 × 自転車保険
  • 自動車保険の個人賠償特約 × 火災保険の個人賠償特約
  • 医療保険 × 傷害保険
  • スポーツクラブ付帯の傷害保険 × 民間の傷害保険
  • クレジットカード付帯の旅行傷害保険 × 別途加入の旅行保険

保険や補償が重複していたらどうなるの?

ここまでの時点で、保険の重複は定額型であれば問題ないこと、個人賠償責任や傷害保険系の特約が重複しやすいことを説明してきました。
次は、実際に保険や補償が重複してしまったらどうなるかという点について説明します。

実損填補型の場合

実損補填型は、保険会社側も「重複契約は避けてほしい」と思っています。
しかし実際に保険や補償が重複してしまっていても、ペナルティなどは基本的に無いです。

問題は、なんらかの事故が発生して保険金を請求した時にあります。

先述通り、このタイプの保険で請求できる保険金は、実際の損害額が上限です。
複数契約があっても、損害額を超えて受け取ることはできません。

このとき行われるのが「按分(あんぶん)」というものです。
按分とは、複数の保険会社が契約内容に応じて保険金を分担して支払うことをいいます。

按分で済めば、事故歴が各保険について今後の保険料に何らかの変化があるということ以外は特に問題ないでしょう。
ただ、「保険金を不正に受け取ろうとしている」みなされた場合はやっかいです。
審査に時間がかかる上に、問題行為があったとみなされて保険が終了してしまうなんて可能性もゼロではありません。

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実損保険型保険の会社が保険の重複を警戒するのは、手続きの面倒さだけではなく不正受給を警戒してのものだとお考え下さい。

また、重複に気づいていない状況で一社にのみ請求した場合でも、事故が起きたことすら知らないはずのもう一つの保険会社に連絡がいって、按分されることがあります。
このケースに近い事例を後半でご紹介していますので、先に見たい方は【こちら】からどうぞ。

定額型の場合

医療保険傷害保険の入院一時金などは定額型です。
この場合は、契約している分だけそれぞれ支払われる可能性があります。

そのためもしもの備えとして実際にあえて保険を重複させている人もおり、公益財団法人生命保険文化センターの調査でも、民間の生命保険に複数加入している人は多い傾向にあります。


出典:公益財団法人生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉」

※上記の表は民間の保険会社が販売する保険商品に関するものであり、複数の保険会社の保険に加入しているからと言ってそれが必ず保険・保障の重複にあたると示すものではありません。

ただし、「本当にその重複が必要かどうか」は別問題です。

もらえる保険金が増えても、その分支払う保険料も増えていることは忘れないでください。
目的が同じ補償を複数持っているなら、保険料の負担が過大になっていないか見直す余地があります。

保険重複の事例

実際にあった事例として、店舗で水漏れを起こし、階下の店舗へ賠償することになったケースがあります。
事業用保険の賠償補償で保険金を請求したところ、実は別の保険にも同様の補償が付いており、保険会社同士で按分されていました。

結果として、本人が意識していなかったもう一つの保険も「事故使用扱い」となり、翌年の保険料が上がるという連絡が届いたのです。
事故が起きたことすら知らせていなかった保険会社からいきなりそんなことを言われたら、驚きますよね…。

この事例の詳細は下の記事(事業用火災保険の記事)で解説していますので、合わせてご覧ください。

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重複チェックポイント

さて、最後に保険の重複を防ぎたい場合のチェックポイントを解説します。

重複を防ぐ第一歩は、契約内容を把握することです。
保険証券をまとめて確認し、ファイリングして各保険の補償内容を横並びで比較できる状態にしておきましょう。

ネット型保険などで紙の証券がない場合も、契約内容を印刷しておくと見比べやすくなります。
クレジットカード付帯保険やスポーツクラブの傷害保険なども、案内書類をファイリングしておくとパーフェクトです。

保険証券に書いてあること一覧

保険の種類 共通 内容
自動車保険
  • 証券番号
  • 契約者・被保険者情報
  • 保険期間
  • 保険料・支払い方法
  • 主契約・特約の一覧
  • 車両情報
  • 等級
  • 運転者の範囲・年齢条件
  • 対人・対物賠償の保険金額
  • 個人賠償責任特約の有無
生命保険
  • 保障金額
  • 解約返戻金の有無
  • 受取人
  • 医療・災害特約の有無
医療保険
  • 入院給付金日額・一時金額
  • 手術給付金
  • 通院補償の有無
  • 傷害補償との重複有無
火災保険
  • 建物・家財の保険金額
  • 補償範囲
  • 免責金額
  • 個人賠償責任特約の有無
  • 示談交渉サービスの有無

特に「特約」の欄は見落としがちです。
「その他の~」とスルーしやすそうな文言で書かれている場合もあるので、契約内容に関する部分は要チェックですね。
個人賠償責任や傷害補償など、思わぬところに同じ機能が付いていないか確認してみましょう。

まとめ

保険の重複は、「安心のつもり」で加入した結果、気づかないうちに発生していることがあります。
実損填補型の補償では、複数契約していても支払われるのは実損額までです。

まずは契約内容を整理し、何がどの保険でカバーされているのかを把握することが大切です。
重複を放置せず、意図的な備えかどうかを確認することが、無駄のない保険設計につながります。

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