今秋も火災保険が改定される――そんなニュースを聞くと「またか……」と感じてしまいますよね。
本記事では 2015年以降の主な改定を振り返りつつ、2025年9月予定改定の最新情報をまとめました。
過去に書いた記事と重複する部分は最低限にとどめ、まだ触れていなかった追加情報を中心にお届けします。
保険の仕組みはあくまで私見も交えた解説である点もご承知おきください。
忙しい人はこちら
火災保険改定年表(2015 → 2025)
| 年月 | 平均改定率 | トピック概要 |
|---|---|---|
| 2015/10 | +2〜3.5% | 参考純率見直し/水災リスクを部分的に料率反映 【解説記事はこちら】 |
| 2019/10 | +5〜6% | 水災算出方法刷新・料率引き上げ 【解説記事はこちら】 |
| 2021/01 | +約5% | 築浅割引新設・補償単位ごとに免責金額を設定可 |
| 2022/10 | +10.9% | 長期契約10→5年へ短縮/復旧義務化/汚損・破損免責5万円化 |
| 2024/10 | +13.0% | 水災料率を市区町村5等地に細分化/築50年超料率急騰/長期割引縮小 |
| 2025/09〈予定〉 | +20〜30%* (業界観測値) |
特約・割引・付帯サービスを中心に商品性がアップデート* |
*料率幅は正式発表前のため参考値
これまでの主な改定ポイント
ここからは、過去10年間の改定で押さえておきたいポイントを4つに分けてご紹介します。
まずは「料率の細分化」を皮切りに、「自己負担額の選択肢拡大」「復旧義務化」「現代の生活に合わせたカスタマイズ」まで順に解説しますので、全体像をつかみながらお読みください。
料率の細分化
リスクが高い建物・地域ほど保険料負担を高め、リスクが低い世帯は抑える方向へ――という流れが加速しています。
築浅割引(2021)や水災料率等地制(2024)が代表例です。
自己負担額(免責金額)の選択肢が拡大
自己負担額(免責金額)とは、保険金を請求する際に契約者が自分で負担することを約束した金額のことで、免責額を超えた分だけが保険会社から支払われる仕組みです。
2021年の改定までは、自己負担額は「契約全体で一律○万円」などと画一的に設定されることが一般的で、火災・風災・水災など補償ごとに細かく変えることはできませんでした。
そのため、リスクの低い補償だけ免責を高く設定して保険料を抑えるといった柔軟な調整はほぼ不可能だったのです。
補償ごとに自己負担額(免責金額)を設定できるようになり、リスクが低い項目は自己負担を高く設定して保険料を抑える工夫が可能になりました。
ただし、万が一の時を考えれば、むやみに自己負担額を増やしすぎるのも危険です。
復旧義務化
近年、悪徳な修理業者が「保険金は使途を問わないので生活費にも充てられます」と嘘をついて保険金を不正に入手させる手口の犯罪が横行しています。
この対策として 2022年改定から建物を事故直前の状態に復旧”した”ことが保険金支払いの必須要件に加わり、単なる見積もり段階では保険金を受け取れなくなりました。
結果、要件通りに考えれば、保険金は工事費用を支払った後に振り込まれることになり、加入者は高額な修理費用をいったん負担しなければならなくなります。
それでは負担が大きすぎるということで、たいていの場合は「○年以内に復旧すると約束するなら事前に保険金を支払いますよ」という風にしています。
-
東京海上日動
「あらかじめ復旧することをお約束いただき、弊社が認めた場合等については、復旧前に保険金をお支払いします(損傷状況や修理内容によっては対応できないことがあります。)。」 -
損保ジャパン
「損保ジャパンが承認した場合は、建物を事故直前の状態に復旧する前に、復旧したものとみなします。」 -
ソニー損保
「復旧することを確約いただき当社が承認したときは、従来どおり、建物の復旧前に保険金をお支払いすることができます。」
損傷具合や見積もりの内容によっては後払いになる可能性もあるようなので、そこは保険会社や保険代理店としっかりやり取りして、申請手続きに不備がないようにしましょう。
もし悪徳業者の詐欺にあい、保険金を貰ったにもかかわらず保険の対象(建物)の復旧工事が期日内にできなかった場合は、状況によっては保険金の返還を求められることがあります。
保険会社側も審査段階で怪しい点がないかチェックしているはずですが、業者選びには十分気を付けましょう。
お家ドクター火災保険の指定工務店特約など、保険会社の方から安全な業者を紹介してくれることもありますよ。
現代の生活に合わせたカスタマイズ
置き配被害を家財補償に追加(2022)、長期契約期間を短縮してこまめな見直しを促す(2022)など、ライフスタイルや災害トレンドに合わせた改定が続いています。
2025年9月予定改定で注目したい最新情報
残念ながら、2025年7月現在で明確な情報を公表している保険会社は少ないです。
この項目に関しては、損保ジャパンの火災保険に関して公表されている情報などを例に、想定できる改定内容について解説します。
損保ジャパンの主な改定一覧
まずは、損保ジャパンの改定内容について、現段階で公表されているものを見てみましょう。
参考リンク:損保ジャパン「個人用火災総合保険改定のご案内」(PDF)
| 分類 | 内容 |
|---|---|
| 特約 | 安心更新サポート特約を整数年契約に自動付帯/個人賠償責任特約に無制限プラン追加/弁護士費用特約を新設 |
| 割引制度 | Web証券割引(▲240円)新設/建物+家財セット割引の適用条件を緩和 |
| 付帯サービス | マイページ経由で証券・契約情報をオンライン閲覧可能に |
| 支払方法 | クレジットカード払・請求書払を追加。月払手数料は口座振替5%/カード3%とし、カードの方が割安ケースあり |
安心更新サポート特約は、保険の満期が近づいたら「更新手続きをしてください~」とお知らせするといったサービスです。
個人賠償責任特約に関しては、これまで限度額が1億円だったのに対し、無制限のプランが新しくできるとのこと。
これは自転車保険の加入義務化など、世間の流れに即したものですね。
ペーパーレス化やキャッシュレス化もどんどん食い込んできて、IT関係が苦手な保険代理店はますます厳しい立場に立たされそうです。
ソニー損保の主な改定一覧
保険料率算出における築年数の区分を細分化
| 改定前 | 改定後 |
|---|---|
|
|
これにより、築年数によって保険料が増えたり減ったりする可能性があるでしょう。
*契約内容によっては変わらない可能性もあります。
また、自然災害のリスクが大きく変化していくことが見込まれているという前提のもと、築40年以上の契約に関しては保険期間が1年になります。
建物評価基準の改定
建築費や物価が高騰したことを踏まえて、建物の評価額に関する基準を改定。
これによって、改定後に保険契約を更新した場合、建物の評価金額が変更され、保険料にも影響が出る可能性があります。
水災補償で、床上浸水の被害にあった際は、損害保険金の先行払いを導入
自然災害が増えてきていることから、水災の床上浸水被害のみ、損害状況の審査や保険金請求の確定の前に保険金を貰える仕組みが導入される見込みです。
先行払いの金額:保険金額の5%(1敷地内ごとに100万円が限度)から免責金額を差し引いた額
他社動向(速報レベル)
- 東京海上日動:2025/10始期版約款公開ページが開設。商品名は従来どおり「トータルアシスト住まいの保険」だが、詳細改定内容は今後更新予定。
- 三井住友海上・あいおいニッセイ同和:2024 年改定パンフレットまで公開済み。2025 年9月改定情報はリリース待ち。
- ネット専業(チューリッヒ・ソニー損保等):2025 年6月〜10月始期版の約款更新を告知、長期一括割引率の縮小やネット申込み割引の変動が予告されているケースあり。
見えてきた傾向
- 料率のさらなる細分化
自然災害へのリスクは今後もどんどん変化していくと思われ、保険料率もそれに合わせて複雑になっていきます - 紙媒体→Web証券へシフト
環境配慮とコスト削減を目的に、Web証券割引を設ける流れが顕著。 - 支払方法の多様化
カード払・請求書払を導入し、手数料差で「キャッシュレス化」を後押し。 - 割引制度新設で値上げの緩衝材に
現時点でも各社それぞれ割引制度を設けていますが、値上げへの不満を緩和させるためにさらに増えることが予想できます
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。
皆さんの反応
この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。
まとめ
ここ数年の改定は「リスクに応じて公平に負担しよう」という流れと、「デジタル化で手続きを簡単にしよう」という2軸で進んできました。
2025年9月改定でも Web証券割引や自動付帯特約など“使い勝手”部分の改良 が目立ちます。
保険料節約ワザとしては、追加された割引制度(Web証券割引・セット割引など)の活用がまず第一歩。
正式な料率や細部の発表があり次第、あらためて詳報記事をアップする予定ですので、どうぞご期待ください。











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