故意による交通事故で保険金は支払われる?被害者救済の仕組みと注意点【2025年最新版】

保険全般

万が一、故意による交通事故の被害に遭った場合でも、被害者が受けられる救済手段は制度として用意されています。
ただし、自賠責保険と任意保険とでは対応が大きく異なり、加害者に対する賠償請求や国の保障事業の活用方法を理解していないと、適切な補償を受け取れないおそれがあります。
本記事では2025年7月時点の最新情報を踏まえ、保険の仕組みと被害者が取るべき行動をわかりやすく解説します。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

故意事故でも保険金は支払われる?まず押さえたい全体像

自動車保険の大前提は「人命救済と被害者保護」です。
故意・過失を問わず一定の補償を確実に行う仕組みとして自賠責保険が位置づけられ、その不足分を任意保険が補う二層構造になっています。

しかし「故意」という特殊事情が加わると、自賠責保険と任意保険で保険会社が取るスタンスは大きく異なります。
ここを理解することが第一歩です。

自賠責保険と任意保険の位置づけを比較

項目 自賠責保険 任意保険
加入義務 法律で強制 任意(推奨)
補償対象 対人のみ 対人・対物・自損など幅広い
限度額 死亡3,000万円
傷害120万円
後遺障害最高4,000万円
設定次第で無制限可
故意事故への対応 一定条件で支払い義務
あり(後述)
約款で一律免責
被害者の直接請求 可(自賠法16条) 不可
国の保障事業 あり
(保険会社損失を補填)
なし

自賠責保険の仕組みと故意事故への対応

自賠責保険は「最低限の被害者救済」を目的としているため、故意事故であっても被害者への補償責任を極力外さない作りになっています。

「未必の故意」と「確定的故意」の違い

未必の故意(みひつのこい)…結果が起きるかもしれないと認識しながら行動を止めなかった場合。
確定的故意…明確な加害意思をもって結果発生を狙った場合。

最高裁判例(平成4年12月18日判決など)では、任意保険における免責の判示でこの分類が重視されてきましたが、自賠責保険でも免責可否判断の参考になります。

参考リンク:自動車保険の故意免責に関する最高裁判決を紹介します。| 法律事務所エソラ

被害者が使える「直接請求」制度

自動車損害賠償保障法16条(保険会社に対する損害賠償額の請求)により、被害者は加害者の保険会社に直接、自賠責保険金を請求できます。
確定的故意であっても保険会社は支払いを拒めません。

政府保障事業で保険会社の損失をカバー

保険会社が故意事故で支払った保険金は、国土交通省が運営する「政府保障事業」から全額補填され、最終的に国が加害者へ求償します。
したがって被害者保護は維持されつつ、保険制度の健全性も保たれます。

任意保険は故意事故をどう扱うか

任意保険は自賠責保険よりも補償範囲が広い一方で、支払い可否は約款の条項によって厳格に制限されています。
とりわけ故意に起こした事故は例外扱いとなるため、その免責規定を理解することが被害者救済や加害者側のリスク管理に直結します。

約款上の「故意免責」条項

任意保険各社の約款には「契約者または被保険者の故意による損害は免責」と明記されており、1992(平成4)年12月18日最高裁判決でその有効性が追認されています。
未必の故意も故意に含まれるため、加害者側の任意保険からは被害者救済を受けられません。

なぜ「直接請求」制度がないのか

任意保険は対人・対物無制限など高額補償を提供しているため、直接請求を認めると保険金詐欺リスクが上昇します。
制度設計上、被害者は自賠責保険もしくは加害者個人に請求する流れとなっています。

被害者が取るべき具体的ステップ

故意の事故にあった直後は混乱しやすいものですが、適切な補償を確実に受け取るためには、やるべき手続きを順序立てて進めることが大切です。

ここでは事故発生から請求完了までの流れを時系列で整理します。

事故直後〜請求までの流れ

  • 警察への通報・人命救助を最優先
  • 相手車両の自賠責保険証番号と保険会社名を必ず控える
  • 医療機関で受診し診断書を取る(遅れは損害額減額の原因)
  • 示談が難航したら、加害者側任意保険への交渉を打ち切り、自賠責の直接請求を検討
  • 自賠責支払い上限を超える損害は、加害者本人または裁判で請求

政府保障事業を利用する場合

  • ひき逃げや無保険車・保険会社倒産などで賠償が受けられない場合、最寄りの損保会社窓口で申請
  • 限度額は自賠責と同一(死亡3,000万円ほか)
  • 申請後、国が加害者へ求償するため、被害者は返済義務なし

加害者の賠償責任と破産の不可避性

自賠責保険分を超える損害は加害者が全額負担します。
政府保障事業が立替払した場合でも求償権は加害者に向けられ、自己破産しても免責されません。
給与や財産が差し押さえられるリスクを一生背負うことになります。

よくある誤解と最新トピック

自動車保険に関しては、制度の複雑さから誤解が生まれやすく、毎年の法改正や新型モビリティの登場によって情報もアップデートされています。ここでは特に相談が多い誤解を取り上げ、2025年時点で押さえておくべき最新トレンドとあわせて整理します。

「自分のケガも自賠責で補償される」は誤解

自賠責は対人賠償専用です。
運転者自身のケガは対象外であり、人身傷害保険や労災で備える必要があります。

2023〜2025年の制度改正ポイント

  • 2023年4月:被害者支援を強化するため自賠責保険料に賦課金が新設。
  • 2024年4月:特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)の自賠責保険料率が独立し、公道走行には加入義務。
  • 2025年現在:賦課金は継続中。
    保障限度額・直接請求制度に変更はなく、故意事故への対応方針も従来通り。

 

この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!

メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。

ここからは、動画に寄せられた皆さんのご質問、ご感想をご紹介します。

皆さんの反応

コメント部分スクリーンショット
https://www.youtube.com/watch?v=YxHIQApIhMs

この動画には以下のような声が寄せられています。内容を分かりやすくするために一部要約しています。

Question Icon

車に跳ねられてしまった子供の、親が加入している自動車保険に人身傷害の特約があれば、それで対応する方法もありますね。

Answer Icon

多くの方が保険に入っていても、使い方はあまり知られていないのが現状です。契約者にしっかり伝えるのも保険従事者の責任だと感じます。

まとめ

故意による交通事故では、自賠責保険が最後のセーフティネットとなり、被害者は直接請求で一定の補償を確保できます。
一方、任意保険は故意事故を全面的に免責するため、被害者救済の場面では期待できません。
事故直後の証拠保全と保険証番号の確認、必要に応じた政府保障事業の利用が重要です。
制度の基本構造を理解し、万が一の際にも適切な手続きを踏むことで、泣き寝入りを防ぎましょう。

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