災害救助法適用に伴う特例措置とは?保険料の払込猶予や保険金請求時の注意点を解説

保険全般

夏から秋にかけては、大雨や台風、土砂災害などの自然災害が発生しやすい時期です。
災害が起きたときは、建物や家財、自動車などの被害だけでなく、避難生活や収入の変化によって保険料の支払いが難しくなることもあります。

ここで被災者の助けとなるのが、災害救助法が適用された地域に向けて設けられる特例措置です。
この記事では、災害救助法適用時の特例措置とは何か、どういった内容なのか、また特例措置中の保険金請求はいつも通りでいいのかなど、詳細を解説していきます。

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掲載内容は『保険得々チャンネル』で紹介した保険の情報を基に記事として再構成したものです。

災害時の特例措置とは

災害時の保険に関する特例措置とは、災害救助法が適用された地域で被害を受けた契約者に対して、保険会社が保険料の払込猶予や契約手続きの猶予などを行う特別な対応のことです。

具体的な内容は保険会社や保険の種類などによって異なり、特例措置を利用できる条件などもその時々で変わります。
この辺りは後述する「災害救助法適用時に保険会社が設ける特例措置の内容」の章で詳しく解説します。

ここで注意したいのは、災害救助法そのものによって、保険料の支払いが自動的に猶予されるわけではないという点です。
災害救助法は国の制度ですが、保険料の払込猶予や契約手続きの猶予は、保険会社や保険業界団体が被災者支援の一環として設ける対応であって、そうするように保険会社へ義務が課されているという訳ではありません。

つまり、災害が発生したからと言って、必ず保険の特例措置が設けられるという訳ではないのです。
まずは災害救助法とは何か、災害救助法と保険の関係といったとこから解説します。

災害救助法とは

保険会社の特例措置に関する説明へ入る前に、そもそも災害救助法とは何かという部分を説明します。

災害救助法とは、大規模な災害が発生したときに、国や都道府県などが被災者の生活を支えるための制度です。
災害によって多くの人が避難を余儀なくされたり、住まいに大きな被害が出たりした場合に、一定の条件を満たす市区町村などに適用されます。

災害救助法が適用されると、避難所の設置や食品、飲料水の供給、生活必需品の支給、医療、応急仮設住宅の供与、住宅の応急修理など、被災直後の生活を守るための支援が行われます。

これは保険の加入有無にかかわらず、該当地域で被災した人であれば誰でも受けられる支援です。
保険はもしもの時の備えであり、人の命を守る制度ではありません。
こういった重要な支援制度についても合わせて確認しておきましょう。

被災後の生活支援制度もある

災害後の生活再建に関係する制度として、被災者生活再建支援制度もあります。
これは、住宅が全壊や大規模半壊などの被害を受けた世帯に対して、生活再建のための支援金が支給される制度です。

この二つの制度は保険にかかわらず重要なものなので、詳細を覚えておくか、もしくはこの記事をブックマークしていつでも見返せるようにしておきましょう。

制度や対応 主な内容 窓口の例
災害救助法 避難所の設置、食品や飲料水の供給、住宅の応急修理など 国、都道府県、市区町村
被災者生活再建支援制度 住宅が全壊、大規模半壊などの被害を受けた世帯への支援金 都道府県、市区町村など

災害救助法と保険の関係

災害救助法は、内閣府の防災担当が中心になり、各省庁が連携して発令や対象地域などを決定します。

一方、保険関係の監督省庁は金融庁。
共済の場合、こくみん共済・コープ共済・都道府県民共済(生活協同組合)の監督官庁は厚生労働省(根拠法:消費生活協同組合法)、JA共済(農業協同組合)は農林水産省(根拠法:農業協同組合法)と、共済を運営する組織の業種によって監督省庁が異なります。

このことからもわかる通り、災害救助法と保険会社が設ける特例措置に直接的な関係はなく、特例措置を設けるようにという法的な強制力もありません。

災害救助法が発令した際に、金融庁などから「被災者への配慮」などを求め、保険会社がそれに応じたことで設けられるのが、この記事の主題である「災害救助法発令時の保険会社の特例措置」です。

災害救助法適用時に保険会社が設ける特例措置の内容

さて、本題の「保険会社が設ける災害時の特例措置」の説明に入ります。

保険会社は災害救助法が適用された地域に住む契約者・被保険者に対し、いくつかの特例措置を案内することがあります。
その内容は、主に「期間の延長」といった猶予です。

被災すると自宅を離れなければいけなかったり、電話やインターネットが一時的に使えなくなる状況に陥る可能性があります。
その期間中に

  • 保険料の支払い
  • 更新手続き

などの期限を迎えてしまった場合、大変な時だからこそ頼りたい保険をうまく使えなくなるかもしれません。

こういった状況を踏まえて、保険会社は災害救助法が適用された地域を対象に、期限のある手続きの猶予期間を延長するといった措置を設けることが多いです。
また、生命保険に関しては保険金・給付金・契約者貸付等を請求する際の手続きの簡易化、損害保険に関しては加入手続き期間の延長といった特例措置を設けることも。

どういった特例があるのかは保険の種類や性質、そして保険会社の判断によって変わるということです。
万が一被災した場合は、状況が許す限り加入している保険会社の発表や、代理店からの連絡をチェックするようにしましょう。

ここからは、代表的な特例措置に関して一つ一つ解説していきます。

保険料払込猶予期間の延長とは

保険料払込猶予期間の延長とは、被災によって保険料の支払いが難しくなった契約者に対し、保険料の支払期限を一定期間延ばす対応です。

たとえば、避難生活が続いている、通帳やキャッシュカードを持ち出せなかった、インターネットや電話が使えない、収入が一時的に減ってしまったといった場合。
通常どおりに保険料を支払うことは、難しいかもしれません。
また、加入手続きをしている最中だったという場合も、円滑に手続きを進めることは難しいでしょう。

そのような事情に配慮し、災害救助法発令時は、保険会社が保険料の支払いを待つ、手続きの期限延長という対応を行う場合があります。

ただし、保険料が免除されるというわけではありません。
あくまで支払期限を延ばす対応なので、猶予期間が終わった後は、保険会社が指定する方法で保険料を支払う必要があります。

猶予期間がいつまでなのか、申し出が必要なのか、猶予期間後の支払い方法はどうなるのかは、保険会社によって異なります。
保険会社の公式サイトに掲載される災害時のお知らせや、契約者向けの案内、代理店からの連絡を確認しましょう。

また、被災状況を証明する書類が必要になるかどうかも、保険会社や手続き内容によって異なります。
一律に罹災証明書や被災証明書が必要になるとは限らないため、まずは保険会社や代理店に相談し、必要な書類を確認することが大切です。

罹災証明書被災証明書については、こちらの記事でも解説しています。

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契約手続きの期間延長とは

契約手続きの期間延長とは、満期を迎える保険契約の更新手続きや、継続契約の締結手続きについて、通常よりも長い猶予期間を設ける対応です。

火災保険や自動車保険などの損害保険では、契約期間が終わる前に更新手続きが必要になることがあります。
しかし、更新期限の直前に被災し、避難や停電、通信障害などによって電話やインターネットが使えない状況になると、期限までに手続きできないこともあります。

このような場合に、保険会社が契約手続きの猶予を設けていれば、延長された期限までに手続きを行うことで、契約を継続できる可能性があります。
満期日が近い契約がある場合は、災害時の特例措置の対象になるかどうかを早めに確認しましょう。

ただし、契約手続きの猶予は、すべての保険やすべての災害で必ず行われるものではありません。
自動継続の有無、口座振替の状況、保険料の支払い状況などによって対応が変わることもあるため、個別の確認が必要です。

普段からこういった手続きを早めに済ませておく、というのも重要なポイントですね。

保険金や給付金等に対する対応の簡易化とは

一部の生命保険などでは、災害発生時等の特例措置として、保険金請求手続きの際の対応を簡略化することがあります。

例として、2024年初めに起きた能登半島地震の際に、ソニー損保が出した通知をご紹介します。

「令和6年能登半島地震」に伴う災害により被災された皆さまに対する特別取扱について

このたびの「令和6年能登半島地震」によりお亡くなりになられた方々に対しまして、心よりお悔やみ申しあげますとともに、被災された方々に、心よりお見舞い申しあげます。

弊社では、このたびの災害により被災された方々に対して、次のお取り扱いを実施いたします。
一日も早い復旧と復興を心からお祈り申しあげます。

1.保険金・給付金・契約者貸付等の簡易迅速なお支払い
保険金・給付金・契約者貸付等のご請求の際に必要な書類を一部省略、簡易化することで、迅速なお支払いをいたします。
入院給付金については以下のお取り扱いをいたします。
ご入院治療が必要であったものの、医療機関の事情により入院できなかった期間について、医師により入院が必要であると証明されたときは、入院給付金をお支払いいたします。

1)入院までの待ち期間があった場合
ご入院治療が必要であったものの、医療機関の事情により、すぐにご入院ができなかった場合、医師により治療を受けた期間においては、ご請求の際にご提出いただく診断書にその旨の証明をしていただく事で、当該期間については「本来必要であった入院期間」として、入院給付金をお支払いいたします。

2)予定よりも早く退院することとなった場合
引き続きご入院治療が必要であったものの、医療機関の事情により、退院が当初の予定より早まり、その後は避難所・臨時施設等で医師により治療を受けた、または医師の指示により自宅等で療養された場合は、ご請求の際にご提出いただく診断書にその旨の証明をしていただく事で、当該期間については「本来必要であった入院期間」として、入院給付金をお支払いいたします。

3)入院できなかった場合
ご入院治療が必要であったものの、医療機関の事情により入院できず、避難所・臨時施設等で医師により治療を受けた場合は、ご請求の際にご提出いただく診断書にその旨の証明をしていただく事で、当該期間については「本来必要であった入院期間」として、入院給付金をお支払いいたします。
出典:令和6年能登半島地震より被災された皆さまに対する特別取扱について | ソニー生命保険

災害時は、保険証券、本人確認書類、印鑑、診断書などを紛失してしまったり、避難時に持ち出せないということもあるでしょう。
また、市区町村の窓口が混雑し、罹災証明書や被災証明書といった提出書類の発行に時間がかかる可能性も。

通常どおりの書類をすべてそろえるまで支払いが進まないと、被災者の生活再建が遅れてしまうおそれがあります。

そのため、一部の生命保険では、保険金、給付金、契約者貸付金について、必要書類を一部省略するなどの簡易迅速な取扱いが行うという特例措置を設けることが多いです。

ただし、どの書類を省略できるか、どの保険金や給付金が対象になるかは、保険会社や契約内容によって異なります。
簡易支払いという言葉だけを見て、必ずすぐに支払われると考えるのではなく、まずは加入先に確認することが大切です。

災害救助法適用時の保険金請求

災害救助法が適用された地域で被災した場合でも、保険金請求は通常どおり行えます。
特例措置のお知らせが出ているからといって、「保険金請求もいつも通りじゃないかも」と心配する必要はありません。

建物や家財、自動車、身体などに損害が発生した場合は、まず保険会社または代理店に連絡しましょう。
ただし、大規模災害時は保険会社や自治体の窓口が混み合い、通常よりも手続きに時間がかかることがあります。

以上を踏まえまして、ここからは災害時に保険金請求を行うときに知っておきたい注意点を解説します。

保険会社自体も被災してしまった場合は時間がかかる

大規模災害では、保険会社の営業拠点や代理店、損害調査を行う担当者も被災することがあります。
その場合、被災していない地域の支店や本部が支援に入り、災害対策本部や専用窓口を設けて対応することがあります。

ただし、被害件数が多い場合は、受付、損害確認、書類確認、支払いまでに時間がかかることがあります。
カスタマーセンターの人員を増やしたり、他地域の担当者が応援に入ったりしても、災害の規模によっては通常より対応が遅れるケースがあります。

また、保険金請求には、損害箇所の写真、修理見積書、診断書、罹災証明書や被災証明書などが必要になる場合があります。
ただし、必要書類は保険の種類や事故の内容、保険会社の判断によって異なるため、自己判断ですべてをそろえようとするより、先に保険会社へ確認した方がスムーズです。

罹災証明書や被災証明書が必要な場合でも、自治体の窓口が混雑していると発行までに時間がかかることがあります。
保険会社によっては、先に写真や被害状況の連絡を受け付け、書類は後から提出する流れにできることもあります。

なお、被災していない地域の契約者が保険金請求をする場合でも、大規模災害の対応に人員が集中していると、問い合わせや支払いに通常より時間がかかる可能性があります。

地震保険の請求や二次災害時の注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。
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一部の保険は簡易支払いにより早く保険金が支払われることもある

災害時は保険金請求に時間がかかることがありますが、一方で、保険会社側でも迅速に支払うための仕組みづくりが進んでいます。

生命保険では、災害救助法が適用された地域の被災者に対して、必要書類を一部省略するなど、保険金、給付金、契約者貸付金を簡易迅速に支払う対応が行われることがあります。
書類の紛失や自治体窓口の混雑が想定される災害時には、こうした対応が生活再建の助けになります。

また、自動車保険では、事故画像や修理見積もり、過去の事故データなどを活用し、AIによって損害確認や支払い判断を効率化する取り組みも進んでいます。
事故対応の一部が自動化されることで、内容によっては従来よりも早く保険金が支払われる可能性があります。

火災保険でも、水災、風災、雹災、雪災などの災害データを活用し、保険金請求手続きを効率化する動きがあります。
大規模災害時は申請件数が一気に増えるため、今後はこうした仕組みによって、手続きの負担が軽くなっていくことが期待されます。

AIを活用した自動車保険の事故対応については、以下の記事もぜひご参考ください。

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被災中に保険期間が終わってしまった場合

更新手続きをする前に被災し、避難や通信障害などで手続きができないまま保険期間が終わってしまうこともあります。

この場合、保険会社が契約手続きの猶予措置を設けていれば、延長された期限までに手続きを行うことで、契約を継続できる可能性があります。
特例措置が発表されていない場合でも、被災により手続きができなかった事情があるなら、まずは保険会社または代理店に相談しましょう。

また、更新手続きが完了していないからといって、保険期間内に発生した損害の保険金請求までできなくなるわけではありません。
損害が発生した日時が保険期間内であり、その時点で補償が有効であれば、満期後に契約が切れていたとしても、保険金を請求できる可能性があります。

ただし、保険金請求権には時効があります。
保険法では、保険金などを請求する権利は、原則として請求できる時から3年で時効により消滅するとされています。
そのため、保険期間内に起きた損害であっても、連絡や請求はできるだけ早く行いましょう。

また、保険期間内の事故であっても、保険料の未払いなどにより事故発生時点で補償が有効でなかった場合は、保険金が支払われないことがあります。
事故日が保険期間内かどうかだけでなく、その時点で契約が有効だったかも確認が必要です。

被害状況を記録するときは、損害箇所の写真、被害が発生した日時がわかる記録、病院の診断書、修理見積書などを可能な範囲で保管しておきましょう。
写真を撮影する場合は、周囲の安全を十分に確認し、危険な場所には無理に立ち入らないことが大切です。

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まとめ

災害救助法が適用された地域で被災した場合、保険会社によって保険料払込猶予期間の延長や契約手続きの期間延長、保険金や給付金等の簡易迅速な支払い対応などの特例措置が設けられることがあります。

ただし、災害救助法によって保険料が自動的に免除されたり、すべての保険会社で同じ特例措置が行われたりするわけではありません。
災害救助法による公的支援と、保険会社が行う特例措置は別のものです。

被災した場合は、自分の住んでいる地域が災害救助法の適用地域になっているか、加入している保険会社がどのような特例措置を案内しているかを確認しましょう。
保険料の支払いが難しい場合や、更新手続きができない場合は、早めに保険会社または代理店へ相談することが大切です。

また、建物や家財、自動車などに損害が発生した場合は、特例措置の有無にかかわらず、保険金請求の連絡をして問題ありません。
保険期間内に発生した損害であれば、満期後に契約が切れていたとしても請求できる可能性がありますが、時効や保険料未払いによる補償の有効性には注意が必要です。

災害時は手続きが多く、何から確認すればよいかわからなくなりがちです。
まずは安全を確保したうえで、保険会社や代理店に相談し、利用できる制度や特例措置を確認しながら進めていきましょう。

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