地震保険への加入をご希望のお客様にご案内や契約手続き等をおこなった後、「地震保険に入ったから、これで安心」というお声を聞くことが少なくありません。
もちろん、被害を受けた家や家財を再調達するための費用を支援するという意味では心強い保険です。
しかし、地震保険は契約者の命を守るものではない点を忘れてはならないと感じています。
この記事では、地震保険の基本的な知識に加え、加入後にも気を付けるべきことや避難時に知っておきたいポイントをお伝えします。
忙しい人はこちら
地震保険に入っただけで安心するのは危険!?
地震保険は、地震によって家屋や家財が被害を受けた場合に、生活を再建するための資金を一定割合で支援することが目的の保険であり、保険に入っていれば地震から命を守れるというわけではありません。
契約者や家族が無事でなければ、保険金が支払われたとしても本来の意味は半減してしまいます。
特に避難する際、保険証券を持ち出そうとするあまり避難が遅れるケースもまれに耳にします。
しかし、保険証券が手元になくても地震保険の申請は可能です。
命を第一に行動するためにも、ここでは後ほど説明するいくつかの重要ポイントを再確認し、地震に備えていただければと思います。
地震保険について、こちらの記事でも詳しく解説しています。




保険証券がなくても地震保険は申請できる
地震に備えて緊急時の持ち出し袋を用意している方も多いと思います。
その中に火災保険証券(地震保険の付帯証券)を入れておけば、従来どおり保険金の申請がしやすくなるのは事実です。
しかし実際には、火災保険証券がなくても保険の申請は行えます。
避難の際には証券を探したり、無理して取りに戻ったりすることのないよう、まずは安全を最優先にしてください。
保険証券が無い状態で保険金を申請する方法
保険証券が手元にない場合の最善策は、まず保険に加入する際に利用した保険代理店に連絡して、指示を仰ぐことです。
けれど、大規模地震のような甚大な被害が発生すると、保険代理店や保険代理人自身も被災している可能性があります。
そうした場合は、以下の書類や証拠があれば申請手続きが可能です。
- 本人確認ができるもの(運転免許証や保険証など)
- 罹災証明書
- 損害を受けた建物や家財の写真
本人確認ができれば、保険会社側で契約内容を照会できます。
また、損害の確認は通常、鑑定人と呼ばれる専門家が現地調査を行いますが、被災状況が大規模な場合は写真を基にした審査となることが多いです。
とはいえ、安全が確認されるまでは現場に立ち入らず、必ず避難を優先してください。
罹災証明書と被災証明書
大規模災害が起こった際には、自治体などが被害状況を証明する「罹災証明書」や「被災証明書」という書類を発行します。
この証明書を提示(提出)することで、保険申請だけではなく、様々なサービスや支払いに置いて減免・減額・割引を受けられる場合があります。
火災被害であれば消防署、それ以外の災害であれば各自治体が発行手続きを行います。被災した際はそれぞれの窓口に申請してください。
ただし、これらの証明書は災害発生から2週間~1か月程度で発行申請の受付が終了するケースもあるため、避難後に安全が確認できたら早めに手続きを行うことをおすすめします。
| 証明書名称 | 発行窓口 | 内容・注意点 |
|---|---|---|
| 罹災証明書 | 火災:管轄の消防署 その他災害:各自治体 |
様々な災害において建物が被害を受けたことを証明 |
| 被災証明書 | 各自治体 | 被災状況を確認して発行 主に外構部など建物以外の被害を証明 |
罹災証明書と被災証明書について、こちらの動画で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
地震によって起こる二次災害に注意
地震が発生すると、まずは震度を気にして、次に避難するかどうかを考え、避難すると決めた際はどこに避難するか、といった風に考えることがいろいろあります。
しかし、この時に「二次災害が起きるかもしれない!」と即座に考える人は、どのくらいいるでしょうか?
海岸沿いなど海が近い地域にお住まいの方は、津波を心配するでしょう。埋立地など造成工事がされてから総時間が経っていない土地にお住まいの方は、液状化という言葉が脳裏をよぎるかもしれません。
しかし、その他にも地震発生後に起きやすい二次災害があります。
それは火災。特に「火災旋風」と「通電火災」はどの地域でも起きやすく、起きた場合は甚大な被害をもたらす可能性があります。
火災旋風による被害
火災旋風とは、大規模火災の際に発生する強烈な上昇気流と、竜巻のような回転運動が組み合わさり、高熱と炎が渦を巻いて広範囲に被害をもたらす現象です。
過去には、関東大震災によって被災した約4万人の人々が陸軍被服廠跡地に避難したところ、火災旋風が発生し多くの人々がなくなったという記録があります。
正確な発生条件はいまだ研究中ですが、特定の動き・強さの風、広めの平地などで起きやすいといった定説があり、通常の竜巻が起きやすい場所で火災が起きればとても危険です。
総務省消防庁などの公的機関も研究している段階ではありますが、避難時に火災旋風を避ける方法があります。
目視できる範囲(500mくらい)で構いませんので、火災によって上がる煙が二つ以上確認できたら、風上に向かって煙から離れた場所に避難してください。
火災旋風は竜巻の動きに合わせて火災を周囲に広げる為、風下はとても危険です。
もし自宅が火元となってしまった場合は、消火してから避難すると近隣住宅への類焼や火災旋風の発生を抑えることができますが、これは余裕がある場合で大丈夫です。
消火のために避難が遅れてしまうと危険ですし、たとえ消防車を呼んだとしても地震発生後は交通状況の乱れなどによってすぐには到着しませんので、出来る限りのことをしたらすぐに避難しましょう。
通電火災による被害
通電火災とは、電線などの破損と停電が重なった状況で、停電が復旧し再通電したときに破損箇所がショートを起こし、火災に発展してしまう現象のことです。
通電火災とは?原因や防ぐにはどうすればよいか簡単に解説! – コツコツCD | 株式会社CDエナジーダイレクト
地震の二次災害として語られる通電火災は、実は地震保険が下りない可能性がある危ない火災です。
地震発生時に起きる電線の破損は、電柱が倒れるといった大きな被害から、家具の転倒といった小さな被害など、要因がさまざまなので破損に気づかずに避難してしまうことがあるかもしれません。
そして、もし自宅やその周辺に人が誰もいない状況で停電が復旧し、通電火災が起きてしまった場合、迅速な消火活動ができず、常時の火災よりも甚大な被害を被る可能性が考えられます。
ここで大事なのは、
- 通電火災は、地震発生から少し時間を置いてから起きる可能性が高い
- 地震保険では、地震発生から10日間に起きた損害しか補償されない
- 時間が経っていても原因が地震になるので、火災保険でも補償されない
ということです。
地震保険は、本震が発生してから72時間以内に起きた地震は全て1つの地震としてカウントし、なおかつ地震発生の翌日から10日以上が経過してから起きた損害は、地震保険の補償対象外となってしまいます。
停電の復旧が10日以上かかったという例はあまり無いようですが、東日本大震災を思えば、すぐさま復旧と言うわけにはいかないこともあるでしょう。
通電火災を防ぎ、大事な家を守るためにも、次の対策を確認してください。
通電火災の予防1:避難するときにブレーカーを落とす
避難するときに、可能であればブレーカーを落としましょう。電気が復旧しても通電されず、ショートによる火災のリスクを大幅に低減できます。
とはいえ、地震直後は余震が続く可能性も高く、何より命が最優先です。
分電盤が遠い場所にある場合は、無理にブレーカーを落としに行こうとせず、まずは速やかに避難してください。
もしこれから家を新築される場合は、分電盤を玄関付近や避難経路の近くに配置することも一つの対策です。
通電火災の予防2:感震ブレーカーをつける
地震の揺れを感知すると自動的に通電を遮断する「感震ブレーカー」は、簡易タイプから専門業者に取り付けを依頼するタイプまでさまざまな商品があります。
簡易タイプはコンセントに差し込むだけで工事は不要、価格も2~3,000円と安いですが、電気工事が必要なタイプだと5~8万円はします。
価格だけ見ると高く感じるかもしれませんが、二次災害で家が延焼してしまう被害と比較すると、十分検討に値する設備といえます。
これがあれば通電火災のことは気にせずに避難できますので、自宅の分電盤が玄関から離れた位置にある場合などは、ぜひ導入を検討してみてください。
(参考:消防庁「地震による電気火災対策を」)
この記事の内容は、家禄堂『保険得々チャンネル』で動画解説しています!
メディアでは語れないもっと踏み込んだ内容についても触れているので、ぜひご覧ください。
まとめ
地震保険は被災後の生活再建に大きく寄与する制度ですが、あくまでも経済的な支えを得るためのものです。
命を守るのは契約者自身の判断と行動にかかっています。
避難時に保険証券を探し回る必要はなく、保険会社や保険代理店は契約内容を照会できる仕組みが整っています。
また、地震がもたらす二次災害は津波だけでなく、火災旋風や通電火災など多岐にわたります。
建物の倒壊リスクや火災リスクがある場合は、まず避難を最優先にすることを心がけてください。
安全を確保した上で、罹災証明書や写真の準備、そして保険会社への連絡などの手続きを行い、地震保険をうまく活用して生活を立て直せるよう備えていただければと思います。








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