火災保険には、補償を広げるための特約だけでなく、補償の一部を対象外にするための特約もあります。
代表的なものが「補償対象外特約」です。
補償対象外特約は、補償や特約を丸ごと外すのではなく、特定の事故や費用だけを対象外にすることで、保険料を抑えられる場合がある仕組みです。
ただし、保険料が安くなる一方で、対象外にした事故や費用は原則として自己負担になります。
この記事では、火災保険における補償対象外特約や縮小型の特約の例、使いどころ、注意点を解説します。
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火災保険料を安くする補償対象外特約とは?
補償対象外特約とは、火災保険の補償や特約に含まれる一部の補償を対象外にするための特約です。
火災保険には、火災、落雷、破裂・爆発、風災、水災、水濡れ、盗難、破損・汚損など、さまざまな事故に備える補償があります。
通常、保険料を抑えたい場合は、不要な補償を外したり、補償範囲が狭いプランを選んだりする方法が考えられます。
しかし、火災保険の商品によっては、補償そのものは残したまま、その中の一部分だけを対象外にできる場合があります。
たとえば、お家ドクター火災保険Webの「落雷危険補償対象外特約」は、火災・落雷・破裂・爆発という補償のうち、落雷による損害を対象外にする特約です。
火災や破裂・爆発の補償は残しながら、落雷による損害だけ※を補償対象外にすることで、保険料が割安になる場合があります。
※落雷が原因で火災や破裂・爆発事故に発展した場合は、補償されます。
このように、補償対象外特約は「補償をすべて外す」のではなく、「補償の一部を制限する」ための仕組みです。
補償を細かく見直したい場合には便利ですが、対象外にした事故や費用については保険金を受け取れなくなる点に注意が必要です。
また、保険会社や商品によっては、「補償対象外特約」という名前ではなく、支払方法を縮小する特約や、一部の費用保険金を支払対象外にする特約として用意されていることもあります。
名称だけで判断せず、どの補償がどの範囲で制限されるのかを確認することが大切です。
どういう人に向いている?
補償対象外特約は、火災保険の補償を丸ごと外すのは不安だけれど、リスクが低いと考えられる部分だけは見直したい人に向いています。
基本補償や自動セットの補償として含まれているため、補償そのものを外せない場合でも、特定の事故や費用だけを対象外にできることがあります。
たとえば、地域や住まいの状況から見て起きる心配が少ない事故や、万が一発生しても自己負担で対応できると考えられる費用がある場合は、その部分を制限することで保険料の負担を抑えられる場合があります。
一方で、補償対象外特約をセットすると、対象外にした事故や費用は、実際に損害が発生しても原則として補償されません。
保険料を安くできる可能性がある一方で、外した部分の損害は自己負担になります。
補償対象外特約を使うときは、保険料の安さだけでなく、その事故が起きたときに自分で負担できるかどうかも考えて判断しましょう。
代表的な補償対象外特約・縮小型の特約
補償対象外特約や縮小型の特約は、保険会社や商品によって内容が異なります。
ここでは、お家ドクター火災保険Webで用意されている特約を中心に、他社の火災保険で見られる類似の仕組みも紹介します。
落雷危険補償対象外特約
落雷危険補償対象外特約は、落雷によって保険の対象が受ける損害を補償対象外にする特約です。
お家ドクター火災保険Webでは、火災・落雷・破裂・爆発の補償のうち、落雷による損害だけを対象外にする仕組みとして用意されています。
落雷による損害では、家電製品や住宅設備の故障が問題になることがあります。
たとえば、落雷による過電流でテレビ、エアコン、給湯器、インターホンなどが故障した場合、通常であれば火災保険の落雷補償で対象になることがあります。
しかし、落雷危険補償対象外特約をセットしている場合、落雷による損害は補償されません。
そのため、落雷によって家電や設備が故障した場合の修理費用や買い替え費用は、原則として自己負担になります。
一方で、落雷を原因として火災が発生した場合は、落雷による損害ではなく火災リスクとして扱われることがあります。
つまり、落雷危険補償対象外特約をセットしていても、落雷が原因で火災が起きた場合の損害まで必ず対象外になるわけではありません。
このように、落雷危険補償対象外特約は、落雷による直接的な損害を対象外にすることで、補償範囲を狭める特約です。
落雷による家電や設備の故障リスクをどの程度重視するかを考えたうえで、必要性を判断しましょう。
保管物賠償責任補償対象外特約
保管物賠償責任補償対象外特約は、個人賠償責任総合補償特約のうち、保管物賠償責任に関する補償を対象外にする特約です。
個人賠償責任総合補償特約そのものを外すのではなく、その中の一部である保管物賠償責任だけを制限する仕組みです。
個人賠償責任総合補償特約は、日常生活の中で他人にけがをさせたり、他人の物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に備える補償です。
保管物賠償責任は、その中でも、他人から借りたり預かったりしている物を壊してしまった場合などに関係する補償です。
たとえば、知人から借りた物を誤って壊してしまった場合や、レンタル品などを破損してしまった場合に、保管物賠償責任が問題になることがあります。
ただし、対象となる物や事故の範囲は契約内容によって異なります。
保管物賠償責任補償対象外特約をセットすると、個人賠償責任総合補償特約は残しながら、保管物賠償責任に関する補償を受けられなくなります。
その分、個人賠償責任総合補償特約にかかる保険料を少し抑えられる場合があります。
他人から物を借りる機会が少ない人や、保管物に関する補償の必要性が低いと考えられる人にとっては、保険料を調整する選択肢になります。
一方で、レンタル品や借用品を扱う機会が多い場合は、対象外にしてよいか慎重に判断しましょう。
費用保険金の一部補償対象外特約
費用保険金の一部補償対象外特約は、費用保険金のうち、一部の費用を支払対象外にする特約です。
東京海上日動のトータルアシスト住まいの保険では、費用保険金の一部を対象外にする仕組みが用意されています。
費用保険金とは、建物や家財の損害そのものではなく、事故に伴って発生する費用を補うための保険金です。
たとえば、修理に付随して発生する費用や、近隣への見舞いに関する費用などが該当する場合があります。
費用保険金の一部補償対象外特約は、費用保険金そのものをすべてなくすのではなく、修理付帯費用や失火見舞費用など、特定の費用保険金だけを対象外にする考え方です。
必要性が低いと判断した費用を制限することで、保険料を抑えられる場合があります。
ただし、事故後に発生する費用は、実際に事故が起きてみないと想像しにくいものです。
修理そのものの費用だけでなく、修理に付随する費用や近隣への配慮に関する費用が発生することもあります。
費用保険金の一部を対象外にする場合は、どの費用が支払われなくなるのかを確認しておくことが重要です。
「費用保険金」という大きな名称だけで判断せず、対象外になる費用の種類まで見ておきましょう。

水災縮小支払特約
水災縮小支払特約は、水災補償を完全に外すのではなく、水災による損害の保険金支払方法を変更する特約です。
代表的な例として、東京海上日動のトータルアシスト住まいの保険の水災縮小支払特約(一部定率払)について解説します。
まず、そもそも水災補償とは台風や豪雨による洪水、高潮、土砂崩れなどの被害に備える補償です。
通常の水災補償では、所定の条件を満たした場合に、損害額から免責金額を差し引いた金額を基準に保険金が支払われます。
一方、水災縮小支払特約をセットすると、水災による損害の程度に応じて、支払限度額の一定割合や損害額の一定割合で保険金が支払われる仕組みになります。
具体的には、損害の程度によって、支払限度額の5%、支払限度額の10%、または損害額の70%といった支払方法になります。
水災リスク縮小支払型
水災縮小支払特約(一部定率払)をご契約いただくことで、水災リスクの保険金支払方法が下表のとおりになります(免責金額(自己負担額)は差し引きません。)。*11*12
水災による
損害の程度床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水 保険の対象に再取得価額の30%以上の損害が生じたとき*13 保険の対象に再取得価額の15%未満の損害が生じたとき 保険の対象に再取得価額の15%以上30%未満の損害が生じたとき 保険金支払
方法支払限度額(保険金額)×5%をお支払いします。
(保険の対象ごとに100万円が限度)支払限度額(保険金額)×10%をお支払いします。
(保険の対象ごとに200万円が限度)損害額(修理費)×70%をお支払いします。 *11 修理付帯費用保険金、損害拡大防止費用保険金、請求権の保全・行使手続費用保険金はお支払いしません。
*12 臨時費用補償特約をセットしている場合でも、水災による損害に対しては臨時費用保険金はお支払いしません。
出典:火災保険の補償内容 | トータルアシスト住まいの保険(火災保険) | 東京海上日動火災保険
「床上浸水または地盤面より45cmを超える浸水」、もしくは「再取得価額の30%以上の損害」という条件は継続ですが、床上浸水・地盤面より45cmを超える浸水被害を受けていれば損害が30%未満でも一定の保険金を請求できるようになります。
これはお家ドクター火災保険Webの実損払・定率払の違いとよく似ていますね。
水災縮小支払特約をセットすることで保険料が安くなるということは、明確には記述されていませんが、一般的に定率払いにすると保険料が安めになる傾向があります。
ただ、その分請求できる保険金の額も抑えられますので、どちらがいいのかは考えどころです。
水災に関しては、ご自宅の所在地(市区町村)の水災リスクを調べられるハザードマップがいくつか公開されていますので、事前にリスクを調べたうえでこういった特約を付帯させるかどうかをご検討ください。
その他の補償対象外特約
補償対象外特約や縮小型の特約は、保険会社や商品によって用意されている内容が異なります。
ここまで紹介したもの以外にも、特定の商品や契約方式の中で、補償の一部を対象外にする仕組みが見られます。
たとえば、損保ジャパンの特約火災保険では、破損・汚損損害等補償特約に関して、臨時費用保険金補償対象外特約がセットされるケースがあります。
これは、破損・汚損損害等による損害保険金は支払われる一方で、その損害に係る臨時費用保険金は支払われないという仕組みです。
この例は、一般的な火災保険の中心的な補償として紹介するというより、特定の商品や契約方式の中で、費用保険金の一部を対象外にする仕組みがある例として見ると分かりやすいでしょう。
また、チューリッヒのネット火災保険には、水災補償対象外特約があります。
これは、基本補償に含まれる水災を対象外にする特約です。
水災補償対象外特約をセットすると、洪水、高潮、土砂崩れなどによる損害は補償されません。
一つの補償の中の細かな一部分を制限する特約というより、保険の設計上、基本補償に含まれる水災を外すための仕組みとして考えるとよいでしょう。
このように、補償対象外特約といっても、対象外にする範囲や仕組みは商品によって異なります。
記事の中心例である落雷危険補償対象外特約のように、補償の一部分だけを制限するものもあれば、基本補償の一部を外すもの、費用保険金だけを対象外にするもの、支払方法を縮小するものもあります。
補償対象外特約を使うときの注意点
補償対象外特約は、保険料を抑える方法の一つとして役立つ場合があります。
しかし、補償を一部制限する仕組みである以上、メリットだけでなく注意点もあります。
格段に安くなるとは限らない
補償対象外特約をセットすると、保険料が割安になる場合があります。
ただし、必ずしも保険料が大きく下がるとは限りません。
火災保険の保険料は、建物の所在地、構造、築年数、保険金額、補償内容、自己負担額、契約年数など、さまざまな条件によって決まります。
補償の一部を対象外にしても、全体の保険料に与える影響が小さいこともあります。
特に、落雷危険補償対象外特約のように、一部のリスクだけを外す特約では、保険料の差が限定的になる場合があります。
保険料を抑えるために補償対象外特約を検討するときは、実際にどのくらい保険料が変わるのかを見積もりで確認しましょう。
保険料が少ししか変わらないのであれば、万が一の補償を残しておいた方が安心できる場合もあります。
安くなる金額と、対象外にするリスクの大きさを比べて判断することが大切です。
対象外にした事故は自己負担になる
補償対象外特約をセットすると、対象外にした事故や費用は、原則として保険金の支払対象になりません。
そのため、事故が起きた場合の修理費用や買い替え費用は自己負担になります。
たとえば、落雷危険補償対象外特約をセットしている場合、落雷による家電や住宅設備の故障は補償されません。
テレビ、エアコン、給湯器、インターホンなどが落雷で故障した場合、修理費や買い替え費用を自分で負担することになります。
保管物賠償責任補償対象外特約をセットしている場合は、他人から借りた物や預かった物に関する賠償責任が補償されなくなります。
借用品を壊してしまった場合でも、保険で対応できない可能性があります。
水災補償を対象外にしたり、支払方法を縮小したりした場合も同じです。
洪水、高潮、土砂崩れなどの被害が発生したときに、通常よりも補償が少なくなったり、補償されなかったりする可能性があります。
補償対象外特約を使うときは、「起きる可能性が低いか」だけでなく、「起きたときに自分で負担できるか」も考えておきましょう。
誤解や勘違いに注意
補償対象外特約は、補償の一部だけを制限する仕組みであるため、内容を誤解しやすい特約でもあります。
名前だけを見ると分かりやすそうに見えても、実際には「何が対象外になり、何が残るのか」を細かく確認する必要があります。
たとえば、落雷危険補償対象外特約をセットすると、落雷による損害は補償されません。
ただし、落雷を原因として火災が発生した場合には、火災リスクとして補償されることがあります。
反対に、個人賠償責任総合補償特約をセットしているからといって、他人から借りた物に関する損害まで必ず補償されるとは限りません。
保管物賠償責任補償対象外特約をセットしている場合、借用品や預かり品に関する補償は対象外になります。
また、水災縮小支払特約をセットしている場合、水災補償を残していても、通常の水災補償と同じ支払額になるとは限りません。
「水災補償がある」という表記だけで安心せず、支払方法や限度額も確認する必要があります。
費用保険金の一部補償対象外特約についても同様です。
事故後の費用がすべて補償されると思っていても、修理付帯費用や失火見舞費用など、一部の費用が支払われないことがあります。
補償対象外特約を検討するときは、特約名だけで判断せず、対象外になる事故、費用、保険金の種類を確認しましょう。
あとから戻せるか確認しておく
補償対象外特約をセットする場合は、あとから補償を戻せるかどうかも確認しておきましょう。
契約時に対象外にした補償を、保険期間の途中で自由に戻せるとは限りません。
火災保険の契約内容を変更できるかどうかは、保険会社や商品、契約時期、変更内容によって異なります。
補償を追加する場合には、契約変更の手続きが必要になったり、変更できるタイミングが限られたりすることがあります。
たとえば、落雷リスクが低いと思って落雷危険補償対象外特約をセットした後に、高額な家電や住宅設備を導入するケースもあります。
そのような場合、落雷補償を戻したいと思っても、すぐに変更できるかどうかは契約内容次第です。
また、引っ越し、建物の改修、家族構成の変化、借用品を扱う機会の増加などによって、必要な補償が変わることもあります。
契約時点では不要だと思った補償でも、数年後には必要になる可能性があります。
補償対象外特約を使うときは、保険料を抑える効果だけでなく、将来の見直しやすさも確認しておくと安心です。
分からない点がある場合は、契約前に保険会社や代理店に相談しましょう。
まとめ
補償対象外特約とは、火災保険の補償や特約に含まれる一部の補償を対象外にするための特約です。
補償を丸ごと外すのではなく、特定の事故や費用だけを制限することで、保険料を抑えられる場合があります。
代表的な例として、お家ドクター火災保険Webの落雷危険補償対象外特約や、保管物賠償責任補償対象外特約があります。
また、東京海上日動の費用保険金の一部補償対象外特約や水災縮小支払特約のように、費用保険金や支払方法を一部制限する仕組みもあります。
補償対象外特約は、起きる可能性が低いと考えられる事故や、自己負担で対応できると判断できる部分を見直したい場合に役立ちます。
基本補償や自動セットの補償として含まれているため、補償そのものを外せない場合でも、一部を対象外にすることで保険料を調整できることがあります。
ただし、対象外にした事故や費用は、実際に損害が発生しても原則として補償されません。
保険料が安くなる金額が大きいとは限らないため、節約効果だけで判断するのは避けましょう。
火災保険を見直すときは、補償対象外特約によって何が対象外になるのか、どのくらい保険料が変わるのか、あとから補償を戻せるのかを確認することが大切です。
必要な補償を残しながら、リスクが低い部分を慎重に見直すことで、保険料と補償内容のバランスを取りやすくなります。









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